Successfully reported this slideshow.
We use your LinkedIn profile and activity data to personalize ads and to show you more relevant ads. You can change your ad preferences anytime.

ドイツにおける若者政策-政治参画と政治教育-

719 views

Published on

ドイツの若者政策、とくに政治参画と政治教育についての報告資料です。この内容は、2014年・2017年のドイツ視察をもとに作成したものです。

Published in: Education
  • Be the first to comment

ドイツにおける若者政策-政治参画と政治教育-

  1. 1. ー NPO法⼈Rights 理事 NPO法⼈わかもののまち静岡 代表理事 早稲⽥⼤学⼤学院 修⼠課程 都市計画・コミュニティデザイン論 ⼟肥 潤也/Junya Dohi1
  2. 2. n  ⽇ 程:2017年11⽉12⽇〜18⽇ n  テーマ:「ドイツにおける政治教育」 n  訪問地域:ベルリン州、ブランデンブルグ州 n  同⾏者(敬称略): •  中村 美奈⼦(毎⽇新聞) •  原⽥ 謙介(NPO法⼈YouthCreate) •  室橋 祐貴(⽇本若者協議会) n  実施主体:ドイツ連邦外務省 n  プログラムコーディネート:GOETHE INSTITUT ▲視察メンバーの皆さん 2
  3. 3. ベルリン州 ⼈⼝:347万⼈(2015年) ドイツ最⼤の都市 ブランデンブルグ州 ⼈⼝:250万⼈(2015年) ベルリンを取り囲む州、 今回はポツダムを訪問。 今回の訪問地域 3
  4. 4. 2014年にもドイツを訪問。 2014年9⽉1⽇〜7⽇のドイツ スタディツアーにも参加。 【主な訪問先】 •  連邦政治教育センター(bpb) •  国際ユースワーク専⾨機関(IJAB) •  若者政策センター •  ⽣徒会⽀援協会 •  ベルリン州パンコウ区 •  ベルリン州若者協議会 •  ブランデンブルグ州選挙キャン ペーン •  フリードリヒ・エーベルト財団 NPO法⼈Rights 著 『ドイツの⼦ども・若者参画のいま』 4
  5. 5. ⾃分のドイツ研究(ミュンヘン) ミュンヘンの⼦ども・若者参加も研究中。 •  ミニ・ミュンヘン •  ⼦ども・若者フォーラムなど ⼦どもには権利がある! 5
  6. 6. 今回の視察先リスト •  連邦若者協議会(DBJR)若者担当 •  ドイツ連邦議会 •  ドイツ連邦家族省 若者政策担当 •  ドイツ外務省 •  社会⺠主党(SPD)⻘年部 ベルリン州⽀部 •  ブランデンブルク州 若者協議会 •  ベルリン州、ブランデンブルク州の学校(総合学校) における政治教育 •  ベルリン州政治教育センター •  各州⽂部⼤⾂会議 •  虐殺されたヨーロッパのユダヤ⼈のためのメモリアル 財団 •  ドイツ全国紙 出版組合“ディー・ターゲスツァイトゥ ング” •  “querstadtein”プロジェクト 6
  7. 7. 〜 ⽬ 次 〜 (2014年の視察内容も含めて報告) 1.  ドイツの社会制度 2.  欧州の若者政策の体系 3.  ドイツの若者政策 4.  若者の政治参画と利益実現の仕組み 5.  ドイツの政治教育 •  学校教育実践 •  学校外教育の実践 6.  示唆 7
  8. 8. ドイツの社会制度 8
  9. 9. ドイツ連邦共和国の近代史 1933〜45 •  ナチ党・ヒトラーの独裁政権 1949 •  ⻄ドイツ(ドイツ連邦共和国)と東ドイツ (ドイツ⺠主共和国)に分断 1961 •  ベルリンの壁が建設される 1989 •  東欧⾰命で東ドイツの変容 •  ベルリンの壁崩壊 9
  10. 10. ドイツの連邦制 連邦政府 州 群 市町村 独⽴市 都市州 ベルリン、 ブレーメン、 ハンブルク 連邦政府は基本法、 州ごとに憲法を制定 10
  11. 11. ドイツ連邦共和国の国家形態としての⺠主主義 •  基本法第20条1項 「ドイツ連邦共和国は、⺠主的かつ社会的連邦国家である」 •  基本法第20条2項 「すべての国家権⼒は国⺠より発する。国家権⼒は、国⺠に より、選挙および投票によって、ならびに⽴法権、執⾏権お よび司法権の特別の機関を通じて⾏使される」 多党制としての⺠主主義 •  基本法第21条1項 「政党は、国⺠の政治的意思形成に協⼒する。その設⽴は⾃ 由である。政党の内部秩序は、⺠主主義の諸原則に適合して いなければならない」 ドイツにおける⺠主主義の考え⽅ 市⺠の⾃⼰決定、参画、決定権としての⺠主主義 (参加権、共同決定、市⺠イニシアティブ)1.2.3 JP 参考:IJAB
  12. 12. 連邦の権限・州の権限 与えられている権限 連邦 •  外交、防衛、通貨、関税、航空、郵便・ 電気電信、警察に関する連邦と州の協⼒ •  経済法、労働法、社会法、交通法、⺠法、 刑法など 州 教育制度、⽂化政策、地⽅⾃治制度、 警察制度 、 出典:(⼀財)⾃治体国際化協会「ドイツの地⽅⾃治」をもとに筆者作成
  13. 13. 各州⽂部⼤⾂会議(KMK) 16州の⽂部⼤⾂による教育の⼤きな枠組みを つくる会議。(1948年に発⾜) 【KMKの役割】 1.  合意 Ø  ⼤学⼊学資格を得られるための授業数 2.  勧告 Ø  ⺠主主義教育について Ø  多⽂化共⽣について Ø  ⼈権教育について
  14. 14. 出典:⽂科省HP 14
  15. 15. 政治状況(ドイツ連邦議会選挙2017) 15
  16. 16. 欧州の若者政策の体系 16
  17. 17. 欧州の若者政策の動向 年 内容 1980年代 若者のエンプロイアビリティ、シティズンシップの実現 (雇⽤、教育訓練、家族形成、住宅、社会保障) 1985年 世界⻘年年(若者のシティズンシップの重要性を掲げる) 1989年 ⼦どもの権利条約 採択(⽇本は1994年に批准) 2001年 欧州委員会「若者に関する⽩書」(Commission of the European Communities) 本⽩書から参画が強調される 2003年 欧州評議会地⽅⾃治体会議「地⽅・地域⽣活における若者 の参加に関する欧州憲章(改正版)」 2005年 欧州⻘少年協定 2009年 若者政策の新たな枠組み 2010-2018(Council of the European Union) 2015年 欧州若者報告書2015 出典:⼩林(2010),宮本(2012)を元に筆者作成 17
  18. 18. EUの若者政策の概観 欧州における若者政策の焦点の変化 「1970年~80年代」  道徳、健全育成、スポーツ・⽂化・レジャーの保障 「1990年代〜」  雇⽤、インフォーマル教育、社会的包摂、参画 2001年の「若者⽩書」でも上記の分野を強調 2009年の「若者戦略」で個別の具体策を規定      (2010-2018) 18 (⼩串スライドを引⽤)
  19. 19. アクティブシティズンシップ?参画? l  若者を意思決定のプロセスに参加させること を、アクティブシティズンシップとおさえる l  権利の主体としてのシティズンシップから、 参画する主体としてのシティズンシップへの 転換 Commission of the European Communities 2001 European Commission White Paper : A New Impetus for European Youth (宮本みち⼦ スライドを参考) 19
  20. 20. 若者政策の政策的枠組みの違い ⽇本 欧州 課題 政策  課題 政策  課題 政策  課題 課題 課題 若者政策 全体の主⽬標が 「シティズンシップの獲得」個々の課題への対応 20
  21. 21. イギリス 「学校における⺠主主義教育とシティズン シップ教育(1998) 英国児童法2004(Children Act 2004) 「ECM どの⼦もみんな⼤切-⼦どもたちの ための⾏動計画」(Every Child Matters- Change for Children) (2004) ドイツ 社会法典第8編(児童・⻘少年援助法(Child and Youth Service Act) )(1990) スウェーデン 若者政策担当⼤⾂を設置 (1986) 若者政策法 (1994) 「決定する権利-幸福への権利」(The Power to Decide-The Right to Welfare)  (2004) 欧州各国の⼦ども・若者に関わる動き 21
  22. 22. ドイツの若者政策 22
  23. 23. ドイツ連邦 家族・⾼齢者・⼥性・若者省 「⻘少年と教育」課⻑ フィリップさん(写真:左) 「独⽴した⻘少年政策」担当 フランツィスカさん(写真:右) •  ⼈⼝政策としての「若者」の位置付けもある。 •  しかし、それ以上に「⻘年期」はその後の⼈ 間形成に⼤きな影響を与える時期であり、そ の特殊なニーズに合わせたアプローチが必要。 児 童 期 成 ⼈ 期 ⻘年期 23
  24. 24. 【参画の原則】 ①  親、⼦ども・若者、若年成⼈は市⺠であり、福祉 サービスを受ける権利を有する。 ②  意思決定過程に参画する権利を有する。 ③  ⼦ども・若者⽀援法に携わる育成担当者は、親、 ⼦ども・若者、若年成⼈を参画させる義務を負う。 2.2.2.1 JP ドイツの⼦ども・若者政策の法的枠組み 社会法典第8編 ⼦ども・若者⽀援法 (Child and Youth Service Act : KJHG) 【具体的⽅策】 若者団体の連合組織の⽀援、ユースワークの促進、⼦ども・ 若者の計画(Child and Youth Plan)の作成、資⾦メカニズム の設置など。 参考:IJAB
  25. 25. ⼦ども・若者⽀援法で定められる「参画の権利」 •  希望・選択権(⼦ども・若者⽀援法第5条)              = 施設およびサービスを選ぶ権利 •  児童・⻘少年の参画(⼦ども・若者⽀援法第8条)   =成⻑の段階に合わせた情報や相談を受ける権利、参与権 •  教育の基本⽅針、男⼦と⼥⼦の平等(⼦ども・若者⽀援法第9 条)   = 性別による特性や社会的・⽂化的特質に対して配慮を受け    る権利 •  ⻘少年育成活動への参画(⼦ども・若者⽀援法第11条)        = 参画と共同決定は⻘少年育成活動の基礎である •  保育施設における親の参画 (⼦ども・若者⽀援法第22条)             = すべての重要な決定における関与権  •  養育援助の際の参加 (⼦ども・若者⽀援法第36条)  =援助の必要性、形、程度が確認される養育援助計画への作成    参加権 2.2.2.2 JP 参考:IJAB
  26. 26. 連邦 州 市および郡 連邦家庭・⾼齢者・ ⼥性・⻘少年省 16の州⻘少年援助 所轄省 および州⻘少年局 すべての郡および 特別市の⻘少年局 社会法典第8編 ⼦ども・若者⽀援法 社会法典第8編施⾏ 法 中期的⻘少年援助計 画 所轄 根拠法令等 広域レベル・ 全国レベルの 提案と助成 公および⺠による ⻘少年援助に対する 提案、助成、促進 地⽅⾃治体の責任のも と、 地⽅に応じた計画およ び 助成 ⼿段 連邦児童・⻘少年計 画 児童・⻘少年報告 州⻘少年計画 児童・⻘少年報告 公および⺠の施設と サービス 助成および 報告 連邦、州、地⽅⾃治体による⻘少年援助 2.1.1.2 JP 出典:IJAB(2009)
  27. 27. その他の 州レベルの 団体 州レベル の 福祉団体 青少年政治 連合の 州委員会 連邦家庭・⾼齢者 ・⼥性・⻘少年省 連邦青少年審議会 州青少年援助委員会 解説: 自己の権限による直接的なつながり 委員会への代表派遣 任命 ドイツ国際⻘少年育成活動委員会 ドイツ連邦 青少年連合 (DBJR) ドイツ スポーツ ユーゲント (dsj) 青少年 政治連合 (RPJ) 他の上部団体・ 機関例: AGJ・BKJ・ DJI・DJH ・ IJAB その他の 地域の 団体 青少年政治 連合の 市または郡 委員会 市または郡 青少年連合 地域の スポーツ クラブ 地域の 福祉団体 ドイツス ポーツ ユーゲント 州スポーツ 連盟 福祉団体 民間の児童・青少年援助 州青少年 連合 市または郡 青少年援助委員会 ドイツ 連邦議会 連邦政府 連邦参議院 連邦議会 家庭・高齢 者・女性・青 少年委員会 各州⻘少年・ 家庭所轄省連絡会 地方自治体 連合組織の 全国組織 州政府州議会 市議会・郡議 会・町村議会 市・郡・町村 各州 青少年援助 所轄省 州青少年局 州レベルの 地方自治体 連合組織 市、郡、町村の行政 市または郡の 青少年局 公的な児童・青少年援助 児童の利益代表 小委員会 ドイツ連邦共和国における児童・⻘少年援助の構造 州 ⾃ 治 体 連 邦 ⾃ 治 体 州 連 邦 2.1.3 JP 出典:IJAB(2009)を修正
  28. 28. 若者の政治参画と利益実現の仕組み 28
  29. 29. ○⽬的:若者団体のネットワーク化と国政に若者の声を反映さ せる。 ○加⼊条件:2万5千⼈以上の会員数の団体 (⒈⾃ら組織している ⒉主体的 ⒊⾃⼰決定の3つを満たす) ※スポーツ団体、政党⻘年部は除く ○主な活動: ①  若者の意⾒集約と連邦・EUレベルでのロビイング ②  若者ボランティア活動のコーディネート  連邦若者協議会 (German Federal Youth Council :DBJR) 27の連邦若者団体及び16州の若者協議会によ り構成されるドイツ最⼤の若者の利益団体・ 圧⼒団体。(会員数は600万⼈以上) 29
  30. 30. 連邦議会 子ども委員会 連邦下院 家族高齢者子ども 若者委員会 州 その他の 関連組織 州 福祉連合 州若者ス ポーツ連合 連邦政府家族省 連邦若者委員会 州 子ども・若者 サービス委員会 Key: 直接的な繋がり 意思決定機関へのメンバーの派遣 任命 国際ユースワークのための ドイツ国家委員会(DNK) 連邦 若者協議会 (DBJR) 連邦 若者スポー ツ連合 (DSJ) 連邦 政党青年部 協議会(RPJ) その他の連邦組織 AGJ, AdB, BKJ, DJH, DJI, IJAB 市町村 その他の関 連組織 市町村政党 青年協議会 市町村若者 協議会 市町村 福祉組 織連合 州政党青年部 協議会 2.1.3 E 連邦 福祉連合 非公的機関による子ども・若者政策推進 州若者協 議会 市町村議会 若者委員会 連邦議会 (下院) 連邦政府 連邦上院 州ごとの家族関連政 策のハイレベルワー キンググループ 市町村ごとのワー キンググループ 州政府及び 上院(都市州) 州議会 都市州 連 邦 レ ベ ル 市町村議会 役場 州 子ども若者 政策局 州 若者政策課 州 市町村の若者 政策課の統括す る部局 若者 政策局 若者政策課 州 レ ベ ル 市 町 村 レ ベ ル 公的機関による子ども・若者政策推進 市町村若 者スポー ツ連合 ドイツの⼦ども・若者政策に関する「参画枠組み」 出典:IJAB(2009)を修正
  31. 31. (ちなみに)スウェーデンの若者圧⼒団体LSU スウェーデンでは政党⻘年部も参加 出典:NPO法⼈Rights ドイツスタディツアー報告資料 31
  32. 32. 学校外における政治教育 “U18”プロジェクト •  1996年から実施されている学校外における模擬選 挙シュミレーションプログラム。 •  連邦若者協議会(DBJR)がコーディネート。 •  2017年 約22万⼈が参加。(2002年は約2万⼈) •  実際の選挙の9⽇前に開票! ▲U18の説明の様⼦▲⼦どもがつくった投票箱 32
  33. 33. 実際の選挙結果 U18の選挙結果(写真左)、連邦議会選挙の結果(写真右) 33
  34. 34. ブランデンブルグ州若者協議会(ljr) •  州レベルの⻘少年協議会 1.  会員団体の利益の代弁 2.  会員団体へのアドバイス・若者団体の研修 3.  若者に関わるテーマのロビイング [具体的な活動] •  ⻘少年政策対話 Ø  州教育⼤⾂と年に10回 •  16歳選挙権引き下げ運動 •  議員との対話の⼣べ 34
  35. 35. ブランデンブルク州若者協議会 ナチスなしで美しく⽣きよう 35
  36. 36. ⾃治体レベルでの実践 ユースジュリー(若者審査員)(ベルリン・パンコウ地区) •  ⼦どもたちが3⼈以上でチームを結成し、⾃分た ちの名前、やりたいプラン、それに必要な⾦額を 申請書を作成する。 •  企画を提案したチーム3名のうち2名が審査員とし て参加することになっている。各チーム2票(2 ⼈)投票できる。 •  例:スキムボード –  ⽔を流して、遊べる場をつくる。 –  ボードでサーフィンをする。 –  200ユーロほどの予算がついた。 36
  37. 37. ⾃治体レベルでの実践 U18(未成年模擬選挙)(ベルリン・パンコウ区) 37
  38. 38. (おまけ)パンコウの⼩学4年⽣との対話 ⽇本の⼦供たちに保障され ている権利って何? 38
  39. 39. 私たちには授業を受 ける権利があるし、 社会に対して意⾒を ⾔う権利がある。 私は環境問題に関⼼ があって、みどりの 党を⽀持しているよ。 39
  40. 40. 学校内での⺠主主義の実現① ドイツの学校会議 -School Conference- •  ドイツでは学校ごとに学校会議がある。 •  校⻑、⽣徒、教員、保護者、学校外の有識者で構 成され、学校の最⾼意思決定機関である。 •  議論のテーマは、学校⻑を選ぶ、チャイムを鳴ら すかどうか、学校ではどのようなイベントを⾏う べきかなど。 40
  41. 41. 学校内での⺠主主義の実現② ⽣徒会⽀援団体(SV Bildungswerk) 41 n  ⽬的:⽣徒会の⽀援・エンパワー メントで、主なメンバーは元⽣徒会 経験者 n  ⽣徒会の主な活動  1)学校会議(意思決定機関)での 発⾔・提⾔  2)学校内の⽇常的な活動・イベン ト運営  3)⽣徒会連合による外への働きか け n  ⽣徒会⽀援団体の主な活動  1)定期セミナー研修(⽣徒会⽀援 者養成)  2)アドホックな⽣徒会活動⽀援 (⼩串スライドを引⽤)
  42. 42. •  各クラスの学級委員から4名が⽣徒会役員とし て選出する。 •  意⾒がある⽣徒は⽣徒会室に来て、⽣徒会メン バーに意⾒する。 •  教師は⽣徒会室には⼊らないことが暗黙の了解。 学校内での⺠主主義の実現③ レオナルド・ダ・ビンチ総合学校 ⽣徒会 42
  43. 43. (おまけ1) スウェーデンの⼀般的なSchool Democracy Class Council (学級会) Student Council (⽣徒会) School Board /School Conference (学校協議会) 代表者   選出 代表者   選出 Teacher (教師) Parents (親) Principal (校⻑) 学校の最高     意思決定機関 43
  44. 44. (おまけ2) 国内における学校における⽣徒参加  ⾠野⾼校三者協議会(⻑野県) – 憲法・教育基本法・⼦どもの権利条約に則った⾠野 ⾼等学校のより良い学校づくりをめざし、⽣徒・⽗ ⺟・教職員が定期的に話し合いをもつための、三者 による協議会を設置する。(⾠野⾼校ホームページ より) – 1997年に始まり、年3回実施。 – 制服、アルバイトなどの校則、 教員の授業評価、⽣徒の授業態度など 44
  45. 45. ドイツの政治教育 -歴史と実践- 45
  46. 46. ドイツの政治教育の歴史 年号 出来事 1662年 ゴータ公国 学校令に政治教育の規定が盛り込まれる 1918年 国⽴祖国奉仕センター 1952年 連邦祖国奉仕センター 1964年 連邦政治教育センターに改名 1976年 ボイテルスバッハコンセンサス 1989年 ベルリンの壁崩壊 2003年 「政治教育学および⻘少年・成⼈教育のための学会」 が連邦教育学術省と常設⽂相会議の委託を受け、「政 治科教育」のナショナル・スタンダードを作成 46
  47. 47. ボイテルスバッハ・コンセンサス (政治的中⽴に関する合意?) 1.  教員は⽣徒を期待される⾒解をもって圧倒し,⽣ 徒が⾃らの判断を獲得するのを妨げてはならない。 2.  学問と政治の世界において議論があることは,授 業においても議論があることとして扱わなければ ならない。 3.  ⽣徒が⾃らの関⼼・利害に基づいて効果的に政治 に参加できるよう,必要な能⼒の獲得が促されな ければならない。 出典:『ドイツの政治教育』,近藤 1976年に学者間の多様な政治教育論の和解を求めた会議 (バーデン・ヴェルテンベルク州政治教育センター主催)で、 ヴェーリンクがまとめた。(⾮公式合意) 47
  48. 48. ベルリンの学習指導要領 教員は、個⼈的な⾒解として⾃らの意⾒を 表明することができる。ただし、それが⽣ 徒を圧倒し、唯⼀の意⾒や理解として受け ⽌められたり、ましてや成績評価の基準と なってはいけない。 出典:近藤孝弘教授(早稲⽥⼤学) 講演資料 48
  49. 49. 連邦政治教育センター(bpb) ナチス政権崩壊後、市⺠から政治組織は敬遠され、政治 に無関⼼な市⺠が多かった。⺠主主義社会の実現のため 1952年に「祖国奉仕センター」が⻄ドイツのボンに設 置される。(1963年に改名) 州レベルの政治教育センターも存在。※⽀部という位置付けではない 【bpbの役割】※内務省による定め 1. 市⺠に対して政治とは何かを伝 える。 2. 市⺠に⺠主主義を促す。 3. 市⺠に政治参加することや参加 することへの興味を促す。 49
  50. 50. bpbの取り組みその1: •  10~30の質問に回答すると各政党とのマッチ ング率が表⽰される。 •  2002年(360万回)〜2017年(1570万回) ▲2017年連邦議会選挙の Wahl-O-Mat のページ(⽇本語訳) ボートマッチ(Wahl-O-Mat) ▲アプリ版Wahl-O-Mat 50
  51. 51. 各学校に無料配布する政治教育の教材を開発・ 普及する。 bpbの取り組みその2: 政治教育教材開発 【例1】「授業における決断」 (DVDに出てくる)主⼈公が⾝ 近な社会問題に直⾯し、どう対 処するべきかの決断考える。 例えば、極右思想。 【例2】「⽣徒⼿帳」 政治的に重要なイベントが記載 されたカレンダーや、宥免⼈イ ンタビューなどが載っている。 毎年数万部の発⾏部数を誇る。 ▲bpbの教材例のひとつ51
  52. 52. ベルリン州政治教育センター •  州レベルの政治教育センターで、1956年に設⽴。 –  州レベルの政治教育センターは州ごとに成り⽴ちが 異なる。(トップダウンでつくられていない) •  政治教育センターの5領域 ①  様々なイベントの開催 ②  出版物 ③  NGOとの協⼒ ④  様々な広報活動 ⑤  貧困層や移⺠への政治教育 52
  53. 53. (参考)学校における政治科教育の ナショナル・スタンダード 【政治教育に養うことを期待される3つの能⼒】 ⒈政治的判断能⼒ ⒉政治的⾏為能⼒ ⒊⽅法的能⼒ 【政治教育の⽬標】 ⺠主主義における教育機関は、全ての⼈間に公共⽣活への参 加の能⼒を⾝につけさせるという課題を持つ。学校は⻘少年 に対し、政治教育を通して今⽇の経済と社会における⽅向付 けを与え、政治的な問題について⺠主主義的に判断し、公的 な事柄に参加する能⼒を促進する。こうして学校は、⻘少年 の⺠主主義の能⼒を常に更新するという重要な役割を果たす のである。政治教育の⽬標は政治的成熟である。それは、個 ⼈の視点からは参加の能⼒であり、社会全体から⾒れば、⺠ 主的な政治⽂化と政治システムの維持にとって⽋かせない学 校教育の⽬標そのものである。 出典:「学校における政治科教育のナショナル・スタンダード」ヴァイセノら 53
  54. 54. ブレンビー上級学校の政治科 テーマ 具体的な内容 ⺠主主義 ⺠主主義の歴史(古代ギリシアから)、⺠主主義の理論 (代表的な思想家)、⺠主主義を特徴付けるもの(制度)、 ⺠主主義の敵(極右・極左)など ドイツ連邦共和国におけ る政治システム 統治機構(連邦議会・連邦参議院・⾏政と省庁・連邦最⾼ 裁判所)の機能、基本法の構成と内容(個々⼈が持つ権 利)、経済秩序(社会的⾃由市場経済、政治と経済の関わ りについて) 欧州連合 欧州連合に関わる様々な機関、欧州議会、欧州連合の歴史 など 21世紀における様々な 国際的現象 国際紛争(テロリズム)、様々な国際機関(UNO、NATO など)、グローバル化(マイナス⾯にも触れる)など 政治科は後期中期教育の2年間(4学期)で学ぶ。 政治科には基礎コース(週3時間)と上級コース(週5時間) 1学期ごとにテーマを決めている。 学習指導要領に定められている必修テーマは必ずやる。 この他に選択テーマがあり、それは教師の判断で決めることができる。 ※しかし、教育は州の権限のため、学習指導要領も州ごとに定められている。 54
  55. 55. 政治科教育の評価と注意点 •  政治科の⽬標と評価⽅法 ※ブレンビー上級学校でのヒアリング –  ⽬標:様々な政治的な事象を分析し、判断できる⼒ (「分析⼒」と「判断⼒」) •  ⽬指したいのは、それぞれの意⾒を聞いて、好き・嫌いとい うレベルではなく、「なぜ⾃分がそう思うのか?」を説得⼒ のあるレベルで表現できること。 –  評価⽅法:⽣徒たちの議論の様⼦と筆記試験。筆記試 験では、ある政治的な現象について⽣徒が⾃分の意⾒ で判断を⾏う。しかし、評価の主は議論で、⽣徒の話 し⽅を⾒れば⼤体がわかる。 【注意点】 •  退屈な座学にしないこと。⽣き⽣きした科 ⽬に。 •  ⽣徒が⾃由に意⾒を⾔えることを重視。 •  しかし、ナショナリズム的な発⾔を除く。 55
  56. 56. 政治科教育における教師の役割 (レオナルド・ダ・ビンチ総合学校、ポツダムでの⾒解) •  学校としては政治的中⽴性を担保しなければいけない。 •  ある政治的事象に関する意⾒の多様性(賛成・反対の両⾯ について)を教えることが⼤事。 •  教師が⾃分の意⾒を⾔わないというわけでない。むしろ 社会的な意識が⾼い教師は⾃分の意⾒を持っている。 ▲クリッケル先⽣(政治科の担当教員) •  教師の意⾒に⽣徒が合わせること がいけない。(同じ考え⽅にすること) •  意⾒を持たない先⽣よりも、主 義・主張がしっかりしている教師 の⽅が⽣徒のロールモデルになる。 •  また、あらゆる授業が政治的な テーマに含まれる(例えば、エネル ギー) 56
  57. 57. レオナルド・ダ・ビンチ総合学校 でのヒアリング ブランデンブルグ州ポツダムの学 校。ギムナジウム上級段階も持つ。 7年⽣から13年⽣まで。 (⽣徒が答えた政治的中⽴の実現) 学校内で政治的中⽴をどのように実現している? 【⽣徒のひとりが回答】 「仮に⾃分の意⾒を押し付ける教師がいたら、 『先⽣、ちょっと待ってください。あなたは今私たちをひとつ の⽅向に説得しようとしていますよね。なぜそうなんですか? それは間違っていると思います。』と伝えます。」 ➡︎政治的中⽴性の実現は教師だけでなく、⽣徒もその主体。57
  58. 58. 学校における政治教育の実践① (ブレンビー上級学校、ベルリン) スピードデイティング –  選挙時に候補者に来てもらい、政策の説明をしてもら う。(AfDを除く全政党が参加した) –  約2,3ヶ⽉前から授業で質問リストをつくるなどの準備。 【⽣徒たちの感想】 •  嘘を⾔う⼈はいなかったが、本 質に触れない印象だった。 •  ⼤きな政党の候補者は、「⾃分 たちの政策は知っているだ ろ?」という態度だった。 •  ⾮現実的な回答が多い。 •  ちゃんと本質を捉える質問をす れば、それが私たちの果たせる 役割。 ▲⽣徒たちとの意⾒交換の様⼦58
  59. 59. 学校における政治教育の実践② (レオナルド・ダ・ビンチ総合学校、ポツダム) ジュニア選挙 –  実際の連邦議会選挙に合わせて模擬選挙を⾏う。 –  「政治科」を履修している⽣徒が選挙管理委員を務め、 7年⽣〜12年⽣が参加。 –  政党の政策が書かれたレジュメを配る他、時間に余⼒ にある先⽣の授業で各政党について⽣徒がプレゼン。 ▲実際の投票箱▲ジュニア選挙を説明する⽣徒 59
  60. 60. •  実際の「政治科」の授業参観 – 各国(アメリカ、フランス、スイスなど)の統治 システムの違いをグループごとに調べて、発表。 – このあとドイツの統治システムを学ぶ。 学校における政治教育の実践③ (レオナルド・ダ・ビンチ総合学校、ポツダム) ▲発表の様⼦▲グループ学習(スイスのグループ) 60
  61. 61. (参考)「政治科」の教科書 ※「政治科」の全過程の教科書(ブランデンブルグ州ポツダム) 61
  62. 62. 【政治教科書”Politik”の章⽴て(中学)】 第1章:政治には若すぎる?ー⻘少年と政治 第2章:家族は何のためにある?ー家族の課題と家族から社会への移⾏ 第3章:全⾯禁煙?ー薬物使⽤の危険 第4章:早く18歳になりたかったードイツにおける⻘少年と⽅ 第5章:情報か操作か?ードイツの新聞 第6章:美しく新しきメディアの世界?ーチャンス、それとも脅威 第7章:気候変動はまだ⽌められるか?ー21世紀初頭の教育政策 第8章:将来の仕事はどう変わる?ー変容する世界における仕事と職業 第9章:消費への熱狂?ー経済ファクターとしての⻘少年 第10章:お客様は神様?ー消費者の権利と保護 第11章:なにもかも⾼すぎる?ー市場と価格 第12章:市町村はなにをしているのか? 第13章:⺠主主義とはなにか?ードイツの政治秩序 第14章:我々の⺠主主義はどう機能しているか?ー選挙から国家機関の仕 事まで 第15章:なんのためにヨーロッパは必要なのか?ーEUの⽬的、政策、諸 問題 62 出典:近藤孝弘 講演資料
  63. 63. 学校外の政治教育の実践 連邦議会における取り組み •  “Kids Day” –  14歳くらいまでの⼦どもの  議会案内 •  「⻘少年と議会」 –  年に1回、4⽇間。 –  350の若者が代議⼠として参加(連邦議会の議員 の半数が若者を招待する) •  連邦議会として取り組むプロジェクトにする。 •  地域性を出す。 –  今年のテーマは「移⺠の包摂」 63
  64. 64. ⽇本への⽰唆(いくつかのアイデア) 1.  全体 ①  若者政策の定義化と各機関の役割の明⽂化 ②  ⼈⼝政策としての若者の位置付け 2.  政治参画分野 ①  学校(⽣徒会)、地域(⾃治体)、国への連続的な参 画と利益実現の枠組みづくり ②  学校外模擬選挙の普及(選挙はもともと政治参画) ③  政治家との交流から利益実現のための対話へ 3.  政治教育分野 ①  政治教育を担う主体としての⽣徒像の捉え ②  ⽣き⽣きした学問としての「政治科」 ③  学校外の政治教育を担うあらゆる主体の可能性 64

×