日本音声学会第26回大会の口頭発表で使用したスライド

1. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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有声阻害重子音の音声実現における
地域差に関する予備的分析
松浦 年男
yearman@kyudai.jp
北星学園大学
2012 年 9 月 29 日
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

2. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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発表の流れ
はじめに
天草本渡方言
長崎方言
佐賀東部方言
考察と今後の課題
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

3. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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はじめに
無声阻害音と有声阻害音の非対称性
本研究の目的
天草本渡方言
方法
結果
長崎方言
方法
結果
佐賀東部方言
方法
結果
考察と今後の課題
考察
今後の課題
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

4. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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無声阻害音と有声阻害音の非対称性
有声阻害音と無声阻害音
日本語では有声音と無声音の対立がある。
和語：書く/k/−嗅ぐ/g/，炊く/t/−抱く/d/，課す/s/−
数/z/
漢語：決/k/−月/g/，特/t/−独/d/，層/s/−像/z/
外来語：パン/p/−バン/b/，タンク/t/−ダンク/d/，
セット/s/−ゼット/z/
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

5. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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無声阻害音と有声阻害音の非対称性
有声阻害重子音の忌避
過去形（タ形）における dd の忌避
取る/tor-/→取った (tt)，買う/kaw-/→買った (tt)
呼ぶ/yob-/→呼んだ (nd, *dd)，叫ぶ/sakeb-/→叫んだ
(nd, *dd)
強調形
すごい (sugoi) →すっごい (suggoi)，
しょぼい (syoboi) →しょっぼい (syobboi）
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

6. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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無声阻害音と有声阻害音の非対称性
漢語の重子音
漢語でも有声阻害音は忌避される。
日 [nitCi] →日直 [nittCoku]，日光 [nikko:]，日豪
[nitCigo:]，*[niggo:]
実 [dýitsu] →実費 [dýippi]，実地 [dýittCi]，実技
[dýitsugi]，*[dýiggi]
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有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

7. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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無声阻害音と有声阻害音の非対称性
外来語の重子音
有声阻害重子音が見られる。
キッド (dd)，フラッグ (gg)，ジャッジ (ddý)
ただし，本来有声で現れるはずの重子音が無声音として現れ
ることがある。
ホットドッグ (gg)∼ホットドック (kk)
バッジ (ddý)∼バッチ (ttC)
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有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

8. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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無声阻害音と有声阻害音の非対称性
重子音無声化の環境
Nishimura (2006) による観察
有声阻害重子音の無声化は重子音の直前が有声阻害音の
ときに起こる。
ビッグ∼ビック，ピッグ∼*ピック
ベッド∼ベット，レッド∼*レット
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

9. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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無声阻害音と有声阻害音の非対称性
重子音無声化の理論的形式化
Nishimura (2006) や Kawahara (2006)：最適性理論の枠
組みにおいて形式化
Kawahara (2006)：制約の背後には音響・聴覚的な要因が
ある。
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

10. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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無声阻害音と有声阻害音の非対称性
有声阻害重子音の音響的実現
Kawahara (2006) による観察
有声阻害重子音では声帯振動は閉鎖部分の前半のみで
ある。
東京方言の「傷」/kizu/（左）と「キッズ」/kizzu/（右）
5000 5000
0 0
k i z u k i <cl> ddz u
0 0.4 0 0.4
Time (s) Time (s)
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有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

11. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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無声阻害音と有声阻害音の非対称性
重子音に見られる聴覚的混同
Kawahara (2006) による観察
有声阻害重子音 (VDDV) では声帯振動は閉鎖部分の前半
のみである。
無声阻害重子音 (VTTV) と有声阻害重子音の弁別は（単
子音に比べて）困難になる。
VDDV を VTTV と判断した割合（71.3%) ＞ VTTV を
VDDV と判断した割合（12.3%)
重子音の無声化は，弁別困難性が背景にあるのだ。
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有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

12. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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本研究の目的
有声阻害重子音と地域変種
地域変種（方言）を見ると，外来語以外にも有声阻害重
子音は見られる。
鹿児島方言など：鉄道 [teddo:]，国語 [koggo]
福井県三国町安島方言：油 [abba]，色白 [iroddzo]
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

13. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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本研究の目的
有声阻害重子音の地域分布
/bb/（左） /gg/（右）の分布（高山 2012 より）
，
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

14. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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本研究の目的
問題設定
分布の違いは音韻的なものだけだろうか？
音声実現の違いが音韻的な分布に反映している可能性も
ある。
有声阻害重子音の音声実現に関する報告は（おそらく）
ない。
九州地方の 3 つの方言を対象に，音響分析を行った結果
を報告
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

15. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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本研究の目的
対象方言
天草本渡方言：
アッデ（あるから）
，ウタルッゾ（打つぞ）
長崎方言：
イェッバ（エビを），テッドー（鉄道），
アッジャロー（あるだろう）
佐賀方言：
スッギー（すれば），フッバイ（降るよ），
クッゾコ（クチゾコ＜魚の名＞）
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

16. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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本研究の目的
音響特徴
重子音区間において声帯振動はどの程度見られるのか。
単子音と重子音の持続時間の比率はどの程度あるのか。
5000 5000
0 0
a b a a bb a
0 0.5 0 0.5
Time (s) Time (s)
/aba/（左）と/abba/（右）
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

17. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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はじめに
無声阻害音と有声阻害音の非対称性
本研究の目的
天草本渡方言
方法
結果
長崎方言
方法
結果
佐賀東部方言
方法
結果
考察と今後の課題
考察
今後の課題
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

18. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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方法
録音の手続き
話者：1941 年生まれの男性 1 名
調査資料：鶴田 (2011) から抜粋した単語・句 9 つ
機材：TASCAM 製 PCM レコーダー DR-100MKII
（44.1kHz，16bit）にヘッドセットマイク AKG 製 C520 を
接続
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

19. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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方法
調査語
/b/：こっば（これを） ，
/d/：いうたっどが (言っただろう)，いっどき（一時），
くっどだ（来るだろうよ），なっだけなろば（できること
なら），もどっど（もどるでしょう）
/g/：いっがけ（行きがけ），
/z/：くっぞ（来るぞ），ひっじぶん（昼頃，昼時分）
，
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

20. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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方法
分析方法
録音した音声データは praat を用いて分節音のラベル
付け
単子音，重子音の閉鎖区間の持続時間を発表者作成の
praat スクリプトを用いて計測
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

21. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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結果
声帯振動
いずれの録音でも閉鎖区間全体にわたってボイスバーが存在。
5000 5000
0 0
k u <cl> zz o k o <cl> bb a
0 0.6 0 0.6
Time (s) Time (s)
「くっぞ」（左）と「こっば」（右）
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

22. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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結果
時間長
/b/と/bb/の比率＝ 1:2.62
5000 5000
0 0
a k e n a r o <cl> b a k o <cl> bb a
0 0.6 0 0.6
Time (s) Time (s)
「（なっだけ）なろば」（左）と「こっば」
（右）
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

23. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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結果
時間長
/d/と/dd/の比率＝ 1:3.97
5000
0
m o <cl>d o <cl> dd o
0 0.8
Time (s)
「もどっど？」（戻るの？）
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

24. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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はじめに
無声阻害音と有声阻害音の非対称性
本研究の目的
天草本渡方言
方法
結果
長崎方言
方法
結果
佐賀東部方言
方法
結果
考察と今後の課題
考察
今後の課題
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

25. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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方法
手続き
話者 1：1953 年生（女性），話者 2：1947 年生（女性），
話者 3：1940 年生（男性），話者 4：1945 年生（女性）
調査資料：「ピラミッド」と「タブロイド」の録音資料を
比較（アクセント調査のために収集した録音資料）
機材：Roland 製 R-09 内蔵マイク（320kbps の MP3 形式）
分析手法は天草本渡方言と同じ。
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

26. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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結果
声帯振動
話者によって閉鎖区間全体が振動するかどうかが異
なった。
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

27. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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結果
声帯振動
話者 1：1 回は閉鎖区間全体でボイスバーが観察されたが，1
回は観察されず。
5000 5000
0 0
pi ra mi dd o pi ra mi dd o
0 0.9 1.23 2.13
Time (s) Time (s)
話者 1 による「ピラミッド」
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

28. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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結果
声帯振動
話者 2 と 4：2 回とも閉鎖区間全体にわたってボイスバーが
観察。
5000 5000
0 0
pi ra mi dd o pi ra mi dd o
0 0.9 0 0.9
Time (s) Time (s)
話者 2（左）と話者 4（右）による「ピラミッド」
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

29. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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結果
声帯振動
話者 3：ボイスバーは観察されず。
5000 5000
0 0
pi ra mi dd o pi ra mi dd o
0 0.9 1.5 2.4
Time (s) Time (s)
話者 3 による「ピラミッド」
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

30. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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結果
時間長
/d/と/dd/の比率=1:2:39-3.17
5000 5000
0 0
t a b u r oi <cl>d o pi ra mi dd o
0 0.9 0 0.9
Time (s) Time (s)
話者４による「タブロイド」（左）と「ピラミッド」（右）
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

31. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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はじめに
無声阻害音と有声阻害音の非対称性
本研究の目的
天草本渡方言
方法
結果
長崎方言
方法
結果
佐賀東部方言
方法
結果
考察と今後の課題
考察
今後の課題
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

32. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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方法
手続き
話者：1969 年生まれの男性 1 名
調査資料：和語，外来語
機材：TASCAM 製 PCM レコーダー DR-100MKII
（44.1kHz，16bit）にヘッドセットマイク AKG 製 C520 を
接続
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

33. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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方法
調査語
/z/：傷ん治っとらんと？（傷が治らなかったの？）
/zz/：キッズルームなかと？（キッズルームがないの？）
/d/：そこの角ば曲がると？（そこの角を曲がるの？）
/dd/：iPad 買うたと？（iPad を買ったの？）
/bb/：あっらあ雨の降いよっばい（あら，雨が降って
るよ）
/bb/：はよせんぎ先生の来っばい（早くしないと先生が
来るよ）
/zz/：はよせんぎ先生の来っぞ（早くしないと先生が来
るぞ）
/zz/：3 人だけですっぞ（3 人だけでするぞ）
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

34. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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結果
声帯振動
どの発話においても声帯振動は観察されなかった。
5000 5000
0 0
n o <cl> k u <cl> bb ai n o <cl> k u <cl> zz o
1.34 1.94 1.56 2.16
Time (s) Time (s)
佐賀東部方言の「くっばい」（左）と「くっぞ」（右）
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

35. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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結果
時間長
/d/と/dd/の比率＝ 1:1.94
5000 5000
0 0
k a <cl> d o ai <cl> p a <cl> dd o
0.95 1.45 0.48 0.98
Time (s) Time (s)
佐賀東部方言の「かど」（左）と「iPad」（右）
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

36. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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はじめに
無声阻害音と有声阻害音の非対称性
本研究の目的
天草本渡方言
方法
結果
長崎方言
方法
結果
佐賀東部方言
方法
結果
考察と今後の課題
考察
今後の課題
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

37. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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考察
重子音の声帯振動
天草本渡方言，長崎方言：声帯振動あり
東京方言，佐賀東部方言：声帯振動なし
有声阻害重子音の閉鎖区間での声帯振動には地域差が
ある。
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

38. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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考察
持続時間（時間長）
どの方言も単子音と重子音の持続時間の比率はおおよそ
1:2∼4 程度
重子音における声帯振動の有無は声帯の時間制御とは別
の問題であることを示唆（時間制御に関しては音節方言
である鹿児島方言の調査が重要）
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

39. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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今後の課題
音声資料の課題
話者数，語数の点で十分ではない。
音声資料は朗読によるものであるため，促音＋濁音をな
るべくそのまま読もうとしたのかもしれない。自発音声
を用いた検討が必要。
有声阻害重子音は今回報告した 3 つの方言以外にも広範
囲に観察されるので，それらの方言も調査を行うことが
必要である。
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析

40. 目次 はじめに 天草本渡方言 長崎方言 佐賀東部方言 考察と今後の課題
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今後の課題
他の現象とのつながり
促音化における調音位置による非対称性（dd > gg >
bb） Hirayama 2008）
（
VOT の地域差（高田 2011）
松浦 年男 北星学園大学
有声阻害重子音の音声実現における地域差に関する予備的分析