東京工業大学 元素戦略研究センターの細野秀雄栄誉教授、金正煥助教らは、現在ディスプレイに使われている有機ELの課題を克服する新たな発光素材として、ペロブスカイトLEDを開発しています。低電圧で高い輝度が得られ、色の再現性にも優れた性質を示し、次世代のLEDとしての実用化が期待されます。 低電圧高輝度ペロブスカイトLEDを実現 記者説明会を開催 https://www.titech.ac.jp/news/2019/044770.html

1. 元素戦略研究センター長
＆ MEXT 元素戦略（電子材料領域）拠点長
細 野 秀 雄
東工大 元素戦略研究センター

3. 電子鉄
料
透明アモルファス
酸化物半導体
の物質設計
IGZOで透明で曲がる
高性能薄膜トランジスタを実現
鉄の化合物は超電導に
ならないという常識を覆す
次世代ディスプレイを駆動に実用化
透明金属
高温超電導物質の新大陸
石灰とアルミナから
なる12CaO∙7Al2O3
N
-
Ru
H
H
HH
H-H-
e−
e−
e−
e−
e−
e−
e−
e−
e−
e−e−
Ru
ケージ中の酸素イオンを電子に置換
（初めての安定な電子化物）
高性能アンモニア合成触媒
鉄
ガラス
セメント

4. aIGZO薄膜トランジスタ（TFT）
+-
+-
アモルファスSiよりも1桁高い

5. 2012
iPad 3Smart phone
2004
a-IGZO-TFT
(Nature)
iMac (27’, 5K)
2014
2015
Surface Pro4
1995
物質群の提示
萌芽期
(科研費）
展開期
（JST戦略創造研究）
実装
55’ OLED (4k)-TV
2017
65’ OLED TV
IGZO薄膜トランジスタの展開

6. 2017.2 LG Display President visited to donate 65’ OLED-TV

7. 低電圧高輝度ペロブスカイトLEDの実現
細野 秀雄、 金 正煥
元素戦略研究センター,
東京工業大学
令和1年7月17日 記者説明会

8. 背景：ペロブスカイトLEDの特徴
Perovskite LED
OLED
有機EL
溶液塗布法
ペロブスカイトLEDの利点
連続的発光波長の調整可能 高い色純度

9. 近年のペロブスカイトLED研究
現在は、容易に高い蛍光量子効率（PLQY）が得られることから低次元性ペロブスカイト
が注目されている。

10. 低次元性ペロブスカイト構造
２次元材料３次元材料
低次元材料は励起子を閉じ込められるような電子構造を有する。
しかし、このような局在性の高い電子構造により外部からの電子と正
孔の注入や電荷移動が難しい。
電流注入による発光（Electro Luminescence)では、
駆動電圧を大きくする根本的な要因

11. ELの低電圧駆動のためのアプローチ
３次元材料
ア. ３次元の発光材料の持つ優れた電気特性を利用。
e-
h+
イ. 隣接する電子輸送層と正孔輸送層を用いて電子と正孔を発光層内に閉じ込める。
条件（イ）を満たす電子輸送層はこれまでになかったため新たに開発。

12. 安価な元素で優れた電子輸送材料を作る
ZnOとSiO2を混合させたアモルファス半導体 ZSO
●高い電子移動度：約１cm2/Vs
●キャリア制御による電導度の微調整も可能
（電子と正孔の電荷バランスに有利）
●伝導帯の底の位置が浅い（電子の閉じ込めに必要）

13. ZSO電子輸送層による閉じ込め効果
CsPbBr3
e-
h+
e-
ZnO
CsPbBr3
e-
h+
ZnSiO
隣接する層とのエネルギーアライメント
およびペロブスカイト層の励起子消光現象
Si/(Si+Zn)比が20％を超える
80ZSOから閉じ込め効果が現れる。

14. ペロブスカイトLEDの作製手順

15. ZSO電子輸送層を用いた緑色PeLED
2.9 V@10,000 cd/m2
5 V@500,000 cd/m2
*現在使われているディスプレイの
最高輝度は約400cd/m2

16. ZSO電子輸送層を用いた緑色PeLED
低電圧駆動や高輝度の実現。
最高輝度 電流効率 電力効率駆動電圧

17. 赤色、青色PeLED
ZSO電子輸送層を用いた赤色、青色のPeLEDからも良好なEL特性が得られた。

18. ZSOを用いた電荷バランスの調整
発光素子において電荷バランスは非常に重要な因子。
*電荷バランス：発光層に注入される電子と正孔に比。理想は電子/正孔＝１
ZSOの電導度を調整することで様々な発光材料や正孔輸送層に対応することが可能。

19. まとめ
3次元ペロブスカイト + ZSO ＞＞ 低次元性ペロブスカイト + 従来の電子輸送層
フレキシブル素子動画
高性能ペロブスカイトLEDに向けての新たなコンセプトを提案