小惑星資源探査を取り巻く状況 ~海外の宇宙資源プロジェクト~
- 7. ARMの候補天体
• 2008 EV5
• 1999 RQ36 (Bennu)
– OSIRIS-RExミッションのターゲット
• 1999 JU3
– はやぶさ2ミッションのターゲット
• 1998 SF36 (Itokawa)
– はやぶさミッションのターゲット
現在の検討は2008 EV5を軸に進められている模様。候補天体の
理由としては、遠地点が比較的近い(1.04AU)こと、C型小惑星で
あること、V∞が4.41km/sで探査機としてアプローチしやすいことな
どがある。
- 8. 打ち上げ時期など
• 打ち上げ時期は2020年12月。
– 2023年にOrionによる有人探査を実施する。
– これは、本来であればOrionが実施する3回目の有人探査となるは
ずであった。しかし、この9月にOrionの計画が変更され、有人
初飛行が2020年となるため、本格的な有人ミッションはもしこ
のままなら「ぶっつけ本番」となる。
• コストは最大125億ドル
– 日本円では1兆5000億円
• ミッションとしては、まず現地に行き、小惑星の観測(72
日)、サンプル取得(69日)、そして将来の軌道変換技術を
テストする試験(150日)が行われる予定。その後、無人探
査機は小惑星の軌道を離れ、地球・月遷移軌道へと向か
う。
- 9. 小惑星グランドチャレンジ
• 教育系のプロジェクトが先行している。
• SpaceGAMBITという団体と組み、教育ツールとして
Asteroid Response Centerというウェブを立ち上げている。
– 現在のところは、教育などに使える(もしくは自習ツールとして
も利用できる)小惑星についての動画が数本掲載されている。
– 小惑星のことを子供たちに知ってもらうことが目的であり、さ
らには将来的には小惑星の観測・データ解析なども(オンライン
で?)実施する可能性がある。
• Open Space Agency及び南アフリカの高校生と共同で、3D
プリンタで製作できる300ドルほどの望遠鏡を開発。
現時点では学生や一般市民の普及啓発という側面が大きい。
ただ、これらのプロジェクトのシステム開発の委託先は、後
述するPlanetary Resourcesなど、小惑星資源採掘会社という
ケースが多い。
- 13. Planetary Resources社の
候補天体
• 2014 EK14
• 2014 SC324
• 1999 JU3
• 2002 TC70
• 2001 CG2
• 2001 QC34
• 2013 PA7
• 2008 HU4
Planetary Resources社は、すでに小惑星資源採掘の候補とし
ていくつかの小惑星を検討しており、今後の探査などの結
果を踏まえ、この中からの絞り込みを行う予定である。
これらの選定については、以下の点
が考慮されている。
• 大きさ
• 打ち上げタイミング(2016~2020年
を想定)を踏まえた上での地球から
の到達可能性
• 小惑星のタイプ
• 他のミッションによる観測
• 到達にかかる時間
今後、Arkyd望遠鏡での観測結果や他
のミッションの成果などを踏まえ、
ターゲットを絞り込む予定。
- 14. Asterank
• Planetary Resources社が立ち上げた、小惑星のデータ
ベース。
– なお、小惑星のデータ自体はJPLのものを使っているようだ。
• 資源という観点からみた小惑星のランク付けを行ってい
る。
– コストパフォーマンス(cost effective)
– 価値がある (valuable)
– 行きやすい (accessible)
– 近いうちに地球近傍を通過する (upcoming passes)
– 大きさ (largest, smallest)
• 例えば、cost effectiveで1位になっているのは1999 JU3で、
その価値は950.2億ドルとのこと(11.7兆円)。
- 16. 民間の小惑星資源採掘
~Deep Space Industries社~
• Mothershipという宇宙船の構想を打ち出している。
– 小惑星資源探査を行う探査機(おそらく超小型衛星)の通信中継用
の宇宙船。
• Mothership自体も大きさは36kgと小型。
• 2018年第1四半期打ち上げ予定。
Mothershipの構想図 (© Deep Space Industries)