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平成23年 2月22日(火)

農林生産科学専攻 農林経済学分野 地域産業人育成コース
         A099708 白石絢也
 研究の背景と目的
 研究の方法




             1
研究の背景と目的
■限界化する社会         ■無縁社会

      中山間地域        家族(イエ)のバラバラ化
こ
れ    労働力の供給源       コミュニティのバラバラ化
ま
で    農林水産物の生産

現                ■目的           ソーシャル・
在   人口減少   高齢化   「共食」をキーワードに   キャピタル
                               の視点から
                 地域社会の現状について確認
今
後     問題の複雑化
                 Ⅰ 家庭内共食→幸福感・誇り

      担い手不足      Ⅱ 共食を加えた分析モデルの提示
                                        2
研究の背景と目的
■ソーシャル・キャピタル(以下「SC」と省略)とは
協調的行動を容易にすることにより社会の効率を改善しうる信頼、規範、ネッ
トワークのような社会的組織の特徴
(Putnam)

一般化された互酬関係の規範と市民的活動参加のネットワークは、離反しよ
うというインセンティブを低め、不確実性を削減し、そして将来へ向けての協
力のモデルを提供することによって社会的信頼と協力とを促進する
(Putnam)



■SCの類型
     結合型(ボンディング)SC   橋渡し型(ブリッジング)SC
    特定集団内における仲間的     集団外の異質な人びととの結
    結びつき             びつき              3
研究の背景と目的
■分析モデル
                社会関係資本
               (Social Capital)




  信頼       公式的参加           ネットワーク   互酬性の規範




              共食(非公式的参加)
         5つの指標を得点化→評価モデルへの組み込み




                                             4
なぜ共食か?
■共食とは

            従来:地域としての「共食」

「神事の儀礼的な意味であった『共食』」(表、2010)
「年一度の氏神祭りに同じ火で炊いた食物を分け合って食べる
神と村民と、そして村民相互の共食の形」(瀬川、1976)


             昨今:家族の「共食」

子どもの個食/孤食
高齢者の個食/孤食


                               5
なぜ共食か?



    行政の視点:
  「元気で活発な集落」
                具体的・直接的に観察
         ギャップ
                可能な「共食」を指標化
                することで集落の現状を
                把握したい
     実態:
○共同体としての機能低下
○恒例の共食イベントも
 開催頻度が低下

                              6
1.序論 研究の背景と目的、方法


2.先行研究 ソーシャル・キャピタル、共食、幸福感


3.参与観察 新たなタイプの地域自治組織への参与観察


4.隠岐の島におけるSCの賦存状況調査


5.結論 家庭内共食の効果/地域内共食の効果


6.考察 公民館を中心とした共食機会の創出
 研究領域の関連情報
 先行研究の整理




              8
先行研究の整理
■関連諸分野の現状
      ソーシャル・
                 共食        幸福感
      キャピタル
現状   応用分野の広がり 研究の隆盛      ブータン王国に
                  ↓      よる「幸福感」の
         ↓    集落としての共食   政策目標化
     ○経済活動領域      ↓          ↓
              家族内共食      ○荒川区民総
     ○ガバナンス領域     ↓      幸福度(GAH)
     ○健全性の領域  ○共食がもたらす   ○「県民幸福度
              母親のネットワー   の最大化」の議
     ○健康・福祉領域 ク研究(松島)    論(静岡県)
                         ○幸福度調査
                         (鳩山政権)     9
 弥栄らぼ(浜田市)
 @歩夢(隠岐の島町)




               10
弥栄らぼ(浜田市)
■弥栄らぼ概要

設立時期:2007(平成19)年度設立
契機:国の調査事業のモデル地区に指定されたことを受け、
  地域内で活動する組織が必要となったため
構成:地元住民、中山間地域研究C研究員他 約10名
趣旨・目的:
 ①持続的な生活スタイルの追求
 ②地域資源の活用・開発・流通
 ③エリア外との連携・交流の促進を実践
その他特徴:地域外から2名の若者が住み込み、住民と協働で
       活動に取り組む(集落支援員等の先駆け)     11
弥栄らぼ(浜田市)
■結合型SCの減少と橋渡し型SCの醸成
       集落               Iターン者コミュニティ
結合型SCの減少            Iターン者コミュニティ内
   集落の食事会の減少        受け皿企業等における凝集性:高


集落内部の凝集性:小(筆者主観)    Iターン者の集団の結合型SC醸成


橋渡し型SCの醸成
地域としてIターン者の受け入れ推進


 よそ者への抵抗:小(筆者主観)
                                       12
@歩夢(隠岐の島町)
■@歩夢(あっとふーむ)概要

設立時期:2008(平成20)年度設立
契機:弥栄らぼの成果等を受け、島根県内5市町をモデル地区とし、
  同様の地域自治組織として設立
  (県中山間地域コミュニティ再生重点プロジェクト事業)
構成:地元住民約30名
趣旨・目的:
 ①新たな地域運営の仕組みを提示する
 ②住民の自治意識高揚
その他特徴:地域マネージャーと呼ばれる人材を投入、地域内外を
       “繋ぐ”役割が期待される           13
@歩夢(隠岐の島町)
■結合型/橋渡し型の同時醸成
                  @歩夢が取り組む「ふるさと小包便」の枠組み

    隠岐ケース                      地 域 住 民


活動を通じて住民の「参加」促進                                   商
                   還            @歩夢               品
                   元
                   ・                              提
島外住民との「つながり」再構築    対   地域サービス           小包便       供
                   価
                       防災マップやイベ        島の物産や情報、
                       ント、講座など地        思い出をお届けす
地域内外での「信頼」構築・向上         域に役だつ事業          る交流事業

                                  活用
                       支   相
                       援   談
                           ・                対 商
                       等   連                価 品
 「支え合い」の仕組みづくり             携


                      行政
                                           都市等
                  (隠岐の島町・島根県)
                                                      14
弥栄らぼと@歩夢の活動から見えてくるもの
■従来とは異なる組織の必要性の高まり


  住民間で自発的、自然発生的に結合型SCが醸成

   過疎高齢化により自発的醸成が期待できない

       新たな組織の必要性が高まる

 新たな組織のもと従来とは異なる形での結合型SCを志向


                              15
 インタビュー調査
 2009年アンケート調査
 2010年アンケート調査


             16
インタビュー調査
    参加             誇り              責任
・祭りに参加するという極   ・粛々と繋げていってるこ   祭りもしんどいし止めっかあ
めて濃い地域民族として    とが地区の誇り        、っていうことに簡単にならな
の活動                           い
いろんな人がエネルギー    やっぱり地元のプライドづ (地域よりも)隠岐全体を考
を持っていろんな活動が    くり           えてやらないとだめじゃない
生まれてくるかなってこと                か
を期待してた
               お客さんが楽しんでもらえ 地区総出でやらないとできな
               る環境を隠岐につくりたい い(伝統行事)
               と思ってるんです
               ふるさとというものはこう
               いうもんだったということ
               をしっかりと認識して島か
               ら離れてちょうだい


                                               17
2009アンケート調査
■家族・地域社会と公共意識
 【概要】
  ・時 期   :2009年12月に実施
  ・対 象   :隠岐の島町の30~40歳代の男女600名
         神戸市東灘区の30~40歳代の男女1,000名
 ・配布・回収法 :郵送法
 ・回収率     :隠岐の島町 275(45.8%)
           神戸市東灘区 405票(40.5%)
 ・分 析    :ソーシャル・キャピタルに関わる項目を
         因子分析にかけ、因子を抽出

                                   18
2009アンケート調査
回転後の因子行列
                                                               因子                                 共通性
                                              参加
                                               1      信頼
                                                       2       3          4           5           因子抽出後
1.地域活動の頻度:自治会・町内会の活動                          0.755    0.066    0.020         0.007       0.043     0.577
2.地域活動の頻度:祭・伝統行事に関する活動                        0.689    0.054    0.071         0.016       0.149     0.505
3.地域活動の頻度:防犯・防災,まちづくりなどの活動                    0.557    0.092    0.039         0.024       0.197     0.360
4.地域活動の頻度:地域の美化に関する活動                         0.547    0.124   -0.012         0.052       0.043     0.320
5.集団・組織への信頼度:自治会・町内会など,寄合い組織                  0.132    0.779    0.112         0.338   -0.003        0.752
6.集団・組織への信頼度:有志で地域活動に取り組むNPOなどの団体             0.080    0.734    0.052         0.137       0.075     0.573
7.集団・組織への信頼度:近隣の人                             0.146    0.566    0.149         0.121   -0.015        0.379
8.地域生活に関する考え:今住んでいる地域に,誇りを持っている               0.053    0.185    0.872         0.034       0.076     0.804
9.地域生活に関する考え:今住んでいる地域に,ずっと暮らしたい               0.035    0.085    0.807         0.113   -0.015        0.672
10.集団・組織への信頼度:住んでいる地域の役場・役所                   0.000    0.207    0.091         0.768   -0.016        0.641
11.集団・組織への信頼度:地域の公立学校                         0.096    0.392    0.069         0.652   -0.003        0.592
12.地域活動の頻度:生涯学習,スポーツ教室などの活動                   0.148   -0.015    0.004         0.040       0.725     0.549
13.地域活動の頻度:趣味などのサークル活動                        0.131    0.041    0.032     -0.044          0.521     0.293

回転後の負荷量平方和
合計                                              1.8      1.7        1.5         1.2         0.9
分散の %                                          13.5     13.4       11.3         9.1         6.7
累積 %                                           13.5     26.9       38.2        47.3        54.0
因子抽出法: 主因子法 
 回転法: Kaiser の正規化を伴わないバリマックス法
a 5 回の反復で回転が収束しました。


                                                                                                            19
2009アンケート調査
■家族・地域社会と公共意識
                            信頼
 1.000
                        高                                         ・隠岐の島と神戸との比較では
                                                                   「信頼」の差は大きくない

                                                                  ・地域活動への参加に地域の間の
 0.500                                                             差が見られる
                                      未婚

                                      30代     50代    男性         地
                                                                域
                    40代 離/死別                      40代             隠岐の島のSCは「参加」に特徴
 0.000        男性                     女性
                                           既婚                   活 づけられている、と考えられる
         低             女性
                      既婚
                                                        高       動
              未婚   30代                                          参
                                              離/死別
                                                                加
-0.500

                   隠岐・性別            隠岐・年齢
                   隠岐・婚姻関係          神戸・性別
                   神戸・年齢            神戸・婚姻関係
-1.000
     -1.000    -0.500       0.000         0.500         1.000                       20
2009アンケート調査
■家族・地域社会と公共意識
 1.000
                                     信頼
                                                                          ・隠岐と神戸では「地域活動参加」
                                                                           に大きな差がある

                                                                          ・隠岐では家族の絆、共食の頻度
 0.500                                                                     が高いほど参加と信頼が高い、
                            絆:家族なし                                         という傾向があると思われる
                                                            絆:5
                                                                      地
                                                共食:1    絆:4
                                                           共食:5
                                                                絆:2
                                                                      域 ・しかしその程度は小さい
                     共食:3                                   共食:2
 0.000     共食:1
                      絆:5
                      共食:4
                                                        共食:4          活
          絆:1
                絆:4
                     共食:2
                          絆:3
                                                        絆:3
                                                                      動
     共食:家族なし
                    共食:5
                                                       共食:3           参
              絆:家族なし
                      共食:家族なし                                         加 隠岐の島で詳細に把握するために
               絆:1       絆:2                                              2010年に追加調査を実施した
-0.500


              隠岐・夕食はそろって食べる                  神戸・夕食はそろって食べる
              隠岐・強いきずなで結びついている               神戸・強いきずなで結びついている

-1.000
     -1.000          -0.500          0.000         0.500          1.000                     21
2010アンケート調査
■共食関係から見た地域力
【概要】
 ・時 期   :2010年12月に実施
 ・対 象   :島根県隠岐郡隠岐の島町の布施地区3区と
        武良地区3区に住む18歳以上の男女421人。
 ・配布・回収法:区長・隣保長による訪問留置
 ・回収率    :228票(54.2%)



ソーシャル・キャピタルに関わる項目を因子分析にかけたところ
5つの因子が抽出された
                                 22
2010アンケート調査
回転後の因子行列
                                                           因子                        共通性
                                     公式的参加
                                       参加        信頼
                                                 信頼      ネットワーク
                                                          ネットワーク   互酬性     共食
                                                                           共食       因子抽出後
1.まちづくりに関する活動への参加                        0.850   0.223     0.148   0.219   -0.007     0.843
2.地域の美化に関する活動                            0.829   0.143     0.276   0.166   -0.049     0.813
3.趣味などのサークル活動                            0.826   0.220     0.096   0.137    0.001     0.759
4.食事の用意や介護など生活支援活動                       0.797   0.315     0.052   0.001    0.074     0.742
5.自治会・区などの活動                             0.790   0.175     0.267   0.162   -0.053     0.755
6.子育て支援活動                                0.779   0.370     0.025   0.008    0.059     0.748
7.祭り・伝統行事に関する活動                          0.762   0.187     0.206   0.287   -0.017     0.741
8.有志で地域活動に取り組むNPOなどへの信頼                  0.253   0.785     0.153   0.071    0.067     0.713
9.よそから地域を訪れた人への信頼                        0.222   0.783     0.152   0.270    0.075     0.764
10.自治会や区など寄合組織への信頼                       0.313   0.743     0.212   0.299    0.025     0.785
11.地域の学校への信頼                             0.233   0.675     0.129   0.116    0.045     0.542
12.住んでいる地域の役場への信頼                        0.259   0.674     0.203   0.287    0.079     0.651
13.近隣の人への信頼                              0.253   0.600     0.308   0.273    0.119     0.607
14.地区全体で集まる機会への出席                        0.246   0.094     0.710   0.127    0.012     0.590
15.地区の意思決定機会への出席                         0.149   0.156     0.683   0.026    0.064     0.518
16.地区で集まる年間頻度                            0.019   0.176     0.624   0.221   -0.058     0.473
17.普段の近隣の人付き合い                           0.181   0.265     0.608   0.222    0.032     0.523
18.自治会や区などの自治組織は重要だ                      0.283   0.418     0.376   0.656    0.069     0.832
19.非常時には、近隣同士で団結して助けあうことができる             0.227   0.455     0.320   0.610    0.036     0.734
20.まちづくりに取り組む新しい種類の組織は重要だ                0.192   0.451     0.212   0.594    0.121     0.653
21.たまには近隣の人と買い物や食事に出かけた方が良い              0.287   0.396     0.237   0.537    0.101     0.594
22.共食機会への参加                              0.001   0.083     0.019   0.041    0.928     0.871
23.共食機会の年間頻度                            -0.027   0.115     0.017   0.084    0.902     0.836

回転後の負荷量平方和
合計                                         5.3     4.4       2.5     2.1      1.8
分散の %                                     23.1    19.0      11.1     9.2      7.7
累積 %                                      23.1    42.0      53.1    62.3     69.9
因子抽出法: 主因子法 
 回転法: Kaiser の正規化を伴わないバリマックス法
                                                                                              23
a 7 回の反復で回転が収束しました。
2010アンケート調査
■地域における「共食」とSC指標との関係
                            信頼                                           ネットワーク                                               互酬性の規範
                    1.000                                                 1.000                                              1.000




                    0.500                                                 0.500                                              0.500
                                                                                       毎回参加
           毎回欠席
                    2
                                                                                                       公                               毎回参加
                   R = 0.7969
                                                  公                     R2 = 0.9314                    式
                                参加が多い                                                  参加が多い                               R2 = 0.7166                   公
                   0.000                          式                       0.000                        的                    0.000                        式
                                                                                                                                       参加が多い
-1.000   -0.500         0.000       0.500   1.000     -1.000   -0.500          0.000      0.500   1.000参   -1.000   -0.500       0.000     0.500   1.000
                欠席が多い                             的                                                                                                      的
                                                  参                                                    加               毎回欠席  欠席が多い
                                 毎回参加                                     欠席が多い                                                                          参
                                                  加                                                                                                      加
                   -0.500                                               -0.500                                              -0.500
                                                                  毎回欠席




                   -1.000                                               -1.000                                              -1.000
                 地区共食参加頻度                                               地区共食参加頻度                                           地区共食参加頻度
                 線形 (地区共食参加頻度)                                          線形 (地区共食参加頻度)                                      線形 (地区共食参加頻度)



                 逆相関
                                                                                                     相関

信頼との関係において逆相関となっている
→「信頼」との関係に留意することが必要
                                                                                                                                                             24
2010アンケート調査
■家族における共食

共食頻度が低いグループは幸福感の評価が低い
共食頻度が高いグループでは幸福感の評価が高い傾向にある




                   夕食の共食状況と幸福感

                           共食頻度:低            共食頻度:高
                        いつも1人で食 たまに1人で食 家族で食べる 毎日、家族と
          夕食                                                   合計
                        べる        べる     ことが多い     食べている
         幸福感をほとんど感じない        16.7    0.0       0.0      1.7         4.2
あなたは、現在の 幸福感をあまり感じない         21.4     38.5     16.7      7.6     13.9
暮らしについてど
う思いますか   幸福感を多少感じる           50.0     46.2     54.8     51.3     51.4
         幸福感を強く感じる           11.9     15.4     28.6     39.5     30.6
          合計                100.0    100.0    100.0    100.0    100.0

                                                                     25
2010アンケート調査
■家族における共食

共食頻度が高い場合、いずれのタイミングでも大きな差はない
共食頻度が低い場合、朝食・昼食に比べて、夕食時は「どちらともいえない」
 と回答する人の割合が高い



           食事のタイミング別・共食頻度別にみた誇り・愛着(%)
                共食頻度                        共食頻度
      朝食                             夕食
               低       高                   低       高
感じない            11.1     9.7   感じない          9.1    10.4
どちらともいえない       27.2    19.4   どちらともいえない    34.5    17.7
感じる             61.7    70.9   感じる          56.4    72.0
       計       100.0   100.0          計    100.0   100.0   26
2010アンケート調査
■幸福感・地域への誇りと、地域のまとまりの評価
「幸福感」の強度と地域としての「まとまり」には相関が見られる
地域への「誇り・愛着」の強度と地域としての「まとまり」には相関が見られる


幸福感と地域のまとまり クロス(%)
            幸福感:弱           幸福感:強
まとまり:弱              21.1             9.7
どちらともいえない           39.5            24.4
まとまり:強              39.5            65.9


地域への誇りと地域のまとまり クロス(%)
            誇り:弱           どちらともいえない       誇り:強
まとまり:弱             59.1           12.5             6.1
どちらともいえない          22.7           52.1            19.0
まとまり:強             18.2           35.4            74.8   27
2010アンケート調査
■共食を含めてみたSCの賦存状況(年齢別)
                                      10代・・・「参加」と「ネット
                参加
            1.000                     ワーク」得点が低い。「共
                                      食」得点は高い
            0.500

                                      60・70代・・・0点付近
            0.000

共食                       信頼
           -0.500
                                      80歳以上・・・「参加」と「信
                                      頼」「共食」得点が高い
                              10代
           -1.000
                              20代
                              30代
                              40代
                              50代
                              60代
                              70代
                              80歳以上
     互酬性             ネットワーク
                                                        28
2010アンケート調査
■共食を含めてみたSCの賦存状況(地区別)
                                   地区別(布施/武良)
                参加
            1.000

                                   ○差は相対的
            0.500
                                   武良は「参加」と「信頼」
                                   がやや高い得点
            0.000

共食                       信頼
           -0.500
                                   布施は「ネットワーク」と
                                   「互酬性」がやや高い
           -1.000

                                   両地区とも「共食」得点
                                   は同程度

                              布施
                              武良


     互酬性             ネットワーク
                                                 29
 結論




       30
家庭内共食の効果
■「共食」と「幸福感」「誇り・愛着」
• 家庭内における「共食」と「幸福感」との間には相関が認められた

• 家庭内における「共食」と「誇り・愛着」との間には相関が認められた

  •中でも「夕食」が与える影響は「朝食」「昼食」よりも大きい

• 「幸福感」、地域への「誇り」と地域としての「まとまり」の間には関連性が
  認められた

 →家庭の安定と地域の安定は関連性があるといえる

                   幸福感
 家庭内共食                            地域のまとまり
                  誇り・愛着
夕食の影響:大                                     31
地域内共食の効果
■地域内共食とSCの関係

 • 「なおらい」が主要な共食機会である
 • 地域内共食への参加強度と信頼とは逆相関であった
 • その他のSC指標とは正の相関関係にある
 →注意は必要であるが、地域内共食を評価モデルに組み込むことは可能

        相関     公式的参加

               ネットワーク
地域内共食                        SCの測定
               互酬性の規範
       逆相関       信頼                  32
 ソーシャル・キャピタル
  醸成のために(提案)




            33
提案
■具体的な共食機会の創出
宮崎県えびの市の「モエ」
 同窓生で気の合うもの同士、職場の仲間、スポ少のお母さんなど様々な形の
 「モエ」が存在
特徴
 会食の存在:1ヶ月~2ヶ月に1回のペース
効果
 様々な悩みや生活課題の相談による安心感
 「モエ」の人たちが一番信頼できる

徳野貞雄(2010)


                                      34
提案
■公民館を中心とした共食機会の創出


       空間の提供/機会の提供


          公民館

       空間の提供/機会の提供



     行政によるバックアップ/サポート   35

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