More Related Content
Similar to 白石 修論発表会資料 (20)
白石 修論発表会資料
- 3. 研究の背景と目的
■限界化する社会 ■無縁社会
中山間地域 家族(イエ)のバラバラ化
こ
れ 労働力の供給源 コミュニティのバラバラ化
ま
で 農林水産物の生産
現 ■目的 ソーシャル・
在 人口減少 高齢化 「共食」をキーワードに キャピタル
の視点から
地域社会の現状について確認
今
後 問題の複雑化
Ⅰ 家庭内共食→幸福感・誇り
担い手不足 Ⅱ 共食を加えた分析モデルの提示
2
- 5. 研究の背景と目的
■分析モデル
社会関係資本
(Social Capital)
信頼 公式的参加 ネットワーク 互酬性の規範
共食(非公式的参加)
5つの指標を得点化→評価モデルへの組み込み
4
- 6. なぜ共食か?
■共食とは
従来:地域としての「共食」
「神事の儀礼的な意味であった『共食』」(表、2010)
「年一度の氏神祭りに同じ火で炊いた食物を分け合って食べる
神と村民と、そして村民相互の共食の形」(瀬川、1976)
昨今:家族の「共食」
子どもの個食/孤食
高齢者の個食/孤食
5
- 7. なぜ共食か?
行政の視点:
「元気で活発な集落」
具体的・直接的に観察
ギャップ
可能な「共食」を指標化
することで集落の現状を
把握したい
実態:
○共同体としての機能低下
○恒例の共食イベントも
開催頻度が低下
6
- 10. 先行研究の整理
■関連諸分野の現状
ソーシャル・
共食 幸福感
キャピタル
現状 応用分野の広がり 研究の隆盛 ブータン王国に
↓ よる「幸福感」の
↓ 集落としての共食 政策目標化
○経済活動領域 ↓ ↓
家族内共食 ○荒川区民総
○ガバナンス領域 ↓ 幸福度(GAH)
○健全性の領域 ○共食がもたらす ○「県民幸福度
母親のネットワー の最大化」の議
○健康・福祉領域 ク研究(松島) 論(静岡県)
○幸福度調査
(鳩山政権) 9
- 13. 弥栄らぼ(浜田市)
■結合型SCの減少と橋渡し型SCの醸成
集落 Iターン者コミュニティ
結合型SCの減少 Iターン者コミュニティ内
集落の食事会の減少 受け皿企業等における凝集性:高
集落内部の凝集性:小(筆者主観) Iターン者の集団の結合型SC醸成
橋渡し型SCの醸成
地域としてIターン者の受け入れ推進
よそ者への抵抗:小(筆者主観)
12
- 15. @歩夢(隠岐の島町)
■結合型/橋渡し型の同時醸成
@歩夢が取り組む「ふるさと小包便」の枠組み
隠岐ケース 地 域 住 民
活動を通じて住民の「参加」促進 商
還 @歩夢 品
元
・ 提
島外住民との「つながり」再構築 対 地域サービス 小包便 供
価
防災マップやイベ 島の物産や情報、
ント、講座など地 思い出をお届けす
地域内外での「信頼」構築・向上 域に役だつ事業 る交流事業
活用
支 相
援 談
・ 対 商
等 連 価 品
「支え合い」の仕組みづくり 携
行政
都市等
(隠岐の島町・島根県)
14
- 18. インタビュー調査
参加 誇り 責任
・祭りに参加するという極 ・粛々と繋げていってるこ 祭りもしんどいし止めっかあ
めて濃い地域民族として とが地区の誇り 、っていうことに簡単にならな
の活動 い
いろんな人がエネルギー やっぱり地元のプライドづ (地域よりも)隠岐全体を考
を持っていろんな活動が くり えてやらないとだめじゃない
生まれてくるかなってこと か
を期待してた
お客さんが楽しんでもらえ 地区総出でやらないとできな
る環境を隠岐につくりたい い(伝統行事)
と思ってるんです
ふるさとというものはこう
いうもんだったということ
をしっかりと認識して島か
ら離れてちょうだい
17
- 19. 2009アンケート調査
■家族・地域社会と公共意識
【概要】
・時 期 :2009年12月に実施
・対 象 :隠岐の島町の30~40歳代の男女600名
神戸市東灘区の30~40歳代の男女1,000名
・配布・回収法 :郵送法
・回収率 :隠岐の島町 275(45.8%)
神戸市東灘区 405票(40.5%)
・分 析 :ソーシャル・キャピタルに関わる項目を
因子分析にかけ、因子を抽出
18
- 20. 2009アンケート調査
回転後の因子行列
因子 共通性
参加
1 信頼
2 3 4 5 因子抽出後
1.地域活動の頻度:自治会・町内会の活動 0.755 0.066 0.020 0.007 0.043 0.577
2.地域活動の頻度:祭・伝統行事に関する活動 0.689 0.054 0.071 0.016 0.149 0.505
3.地域活動の頻度:防犯・防災,まちづくりなどの活動 0.557 0.092 0.039 0.024 0.197 0.360
4.地域活動の頻度:地域の美化に関する活動 0.547 0.124 -0.012 0.052 0.043 0.320
5.集団・組織への信頼度:自治会・町内会など,寄合い組織 0.132 0.779 0.112 0.338 -0.003 0.752
6.集団・組織への信頼度:有志で地域活動に取り組むNPOなどの団体 0.080 0.734 0.052 0.137 0.075 0.573
7.集団・組織への信頼度:近隣の人 0.146 0.566 0.149 0.121 -0.015 0.379
8.地域生活に関する考え:今住んでいる地域に,誇りを持っている 0.053 0.185 0.872 0.034 0.076 0.804
9.地域生活に関する考え:今住んでいる地域に,ずっと暮らしたい 0.035 0.085 0.807 0.113 -0.015 0.672
10.集団・組織への信頼度:住んでいる地域の役場・役所 0.000 0.207 0.091 0.768 -0.016 0.641
11.集団・組織への信頼度:地域の公立学校 0.096 0.392 0.069 0.652 -0.003 0.592
12.地域活動の頻度:生涯学習,スポーツ教室などの活動 0.148 -0.015 0.004 0.040 0.725 0.549
13.地域活動の頻度:趣味などのサークル活動 0.131 0.041 0.032 -0.044 0.521 0.293
回転後の負荷量平方和
合計 1.8 1.7 1.5 1.2 0.9
分散の % 13.5 13.4 11.3 9.1 6.7
累積 % 13.5 26.9 38.2 47.3 54.0
因子抽出法: 主因子法
回転法: Kaiser の正規化を伴わないバリマックス法
a 5 回の反復で回転が収束しました。
19
- 21. 2009アンケート調査
■家族・地域社会と公共意識
信頼
1.000
高 ・隠岐の島と神戸との比較では
「信頼」の差は大きくない
・地域活動への参加に地域の間の
0.500 差が見られる
未婚
30代 50代 男性 地
域
40代 離/死別 40代 隠岐の島のSCは「参加」に特徴
0.000 男性 女性
既婚 活 づけられている、と考えられる
低 女性
既婚
高 動
未婚 30代 参
離/死別
加
-0.500
隠岐・性別 隠岐・年齢
隠岐・婚姻関係 神戸・性別
神戸・年齢 神戸・婚姻関係
-1.000
-1.000 -0.500 0.000 0.500 1.000 20
- 22. 2009アンケート調査
■家族・地域社会と公共意識
1.000
信頼
・隠岐と神戸では「地域活動参加」
に大きな差がある
・隠岐では家族の絆、共食の頻度
0.500 が高いほど参加と信頼が高い、
絆:家族なし という傾向があると思われる
絆:5
地
共食:1 絆:4
共食:5
絆:2
域 ・しかしその程度は小さい
共食:3 共食:2
0.000 共食:1
絆:5
共食:4
共食:4 活
絆:1
絆:4
共食:2
絆:3
絆:3
動
共食:家族なし
共食:5
共食:3 参
絆:家族なし
共食:家族なし 加 隠岐の島で詳細に把握するために
絆:1 絆:2 2010年に追加調査を実施した
-0.500
隠岐・夕食はそろって食べる 神戸・夕食はそろって食べる
隠岐・強いきずなで結びついている 神戸・強いきずなで結びついている
-1.000
-1.000 -0.500 0.000 0.500 1.000 21
- 23. 2010アンケート調査
■共食関係から見た地域力
【概要】
・時 期 :2010年12月に実施
・対 象 :島根県隠岐郡隠岐の島町の布施地区3区と
武良地区3区に住む18歳以上の男女421人。
・配布・回収法:区長・隣保長による訪問留置
・回収率 :228票(54.2%)
ソーシャル・キャピタルに関わる項目を因子分析にかけたところ
5つの因子が抽出された
22
- 24. 2010アンケート調査
回転後の因子行列
因子 共通性
公式的参加
参加 信頼
信頼 ネットワーク
ネットワーク 互酬性 共食
共食 因子抽出後
1.まちづくりに関する活動への参加 0.850 0.223 0.148 0.219 -0.007 0.843
2.地域の美化に関する活動 0.829 0.143 0.276 0.166 -0.049 0.813
3.趣味などのサークル活動 0.826 0.220 0.096 0.137 0.001 0.759
4.食事の用意や介護など生活支援活動 0.797 0.315 0.052 0.001 0.074 0.742
5.自治会・区などの活動 0.790 0.175 0.267 0.162 -0.053 0.755
6.子育て支援活動 0.779 0.370 0.025 0.008 0.059 0.748
7.祭り・伝統行事に関する活動 0.762 0.187 0.206 0.287 -0.017 0.741
8.有志で地域活動に取り組むNPOなどへの信頼 0.253 0.785 0.153 0.071 0.067 0.713
9.よそから地域を訪れた人への信頼 0.222 0.783 0.152 0.270 0.075 0.764
10.自治会や区など寄合組織への信頼 0.313 0.743 0.212 0.299 0.025 0.785
11.地域の学校への信頼 0.233 0.675 0.129 0.116 0.045 0.542
12.住んでいる地域の役場への信頼 0.259 0.674 0.203 0.287 0.079 0.651
13.近隣の人への信頼 0.253 0.600 0.308 0.273 0.119 0.607
14.地区全体で集まる機会への出席 0.246 0.094 0.710 0.127 0.012 0.590
15.地区の意思決定機会への出席 0.149 0.156 0.683 0.026 0.064 0.518
16.地区で集まる年間頻度 0.019 0.176 0.624 0.221 -0.058 0.473
17.普段の近隣の人付き合い 0.181 0.265 0.608 0.222 0.032 0.523
18.自治会や区などの自治組織は重要だ 0.283 0.418 0.376 0.656 0.069 0.832
19.非常時には、近隣同士で団結して助けあうことができる 0.227 0.455 0.320 0.610 0.036 0.734
20.まちづくりに取り組む新しい種類の組織は重要だ 0.192 0.451 0.212 0.594 0.121 0.653
21.たまには近隣の人と買い物や食事に出かけた方が良い 0.287 0.396 0.237 0.537 0.101 0.594
22.共食機会への参加 0.001 0.083 0.019 0.041 0.928 0.871
23.共食機会の年間頻度 -0.027 0.115 0.017 0.084 0.902 0.836
回転後の負荷量平方和
合計 5.3 4.4 2.5 2.1 1.8
分散の % 23.1 19.0 11.1 9.2 7.7
累積 % 23.1 42.0 53.1 62.3 69.9
因子抽出法: 主因子法
回転法: Kaiser の正規化を伴わないバリマックス法
23
a 7 回の反復で回転が収束しました。
- 25. 2010アンケート調査
■地域における「共食」とSC指標との関係
信頼 ネットワーク 互酬性の規範
1.000 1.000 1.000
0.500 0.500 0.500
毎回参加
毎回欠席
2
公 毎回参加
R = 0.7969
公 R2 = 0.9314 式
参加が多い 参加が多い R2 = 0.7166 公
0.000 式 0.000 的 0.000 式
参加が多い
-1.000 -0.500 0.000 0.500 1.000 -1.000 -0.500 0.000 0.500 1.000参 -1.000 -0.500 0.000 0.500 1.000
欠席が多い 的 的
参 加 毎回欠席 欠席が多い
毎回参加 欠席が多い 参
加 加
-0.500 -0.500 -0.500
毎回欠席
-1.000 -1.000 -1.000
地区共食参加頻度 地区共食参加頻度 地区共食参加頻度
線形 (地区共食参加頻度) 線形 (地区共食参加頻度) 線形 (地区共食参加頻度)
逆相関
相関
信頼との関係において逆相関となっている
→「信頼」との関係に留意することが必要
24
- 29. 2010アンケート調査
■共食を含めてみたSCの賦存状況(年齢別)
10代・・・「参加」と「ネット
参加
1.000 ワーク」得点が低い。「共
食」得点は高い
0.500
60・70代・・・0点付近
0.000
共食 信頼
-0.500
80歳以上・・・「参加」と「信
頼」「共食」得点が高い
10代
-1.000
20代
30代
40代
50代
60代
70代
80歳以上
互酬性 ネットワーク
28
- 30. 2010アンケート調査
■共食を含めてみたSCの賦存状況(地区別)
地区別(布施/武良)
参加
1.000
○差は相対的
0.500
武良は「参加」と「信頼」
がやや高い得点
0.000
共食 信頼
-0.500
布施は「ネットワーク」と
「互酬性」がやや高い
-1.000
両地区とも「共食」得点
は同程度
布施
武良
互酬性 ネットワーク
29