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東の食の復興の進捗と
今後のチャレンジ
(抜粋版)


「食の産業サミット2011 ~東の食の福幸(復興)に向けて~」


2011年11月30日
東の食の復興に向けて



   Ⅰ.インフラ
     インフラ

   Ⅱ.安全安心
     安全安心

   Ⅲ.生産・加工
     生産・加工

   Ⅳ.販売
     販売

   Ⅴ.輸出
     輸出

             | 1
課題のまとめと解の方向性:インフラ
現状                              解の方向性
     ▪   地震・津波による直接被害は、宮城県の農
         業、水産業及び岩手県の水産業で大きく、
         営業再開も果たせていないケースが多い
     ▪   宮城県の水産業では、造船を中心に漁業の
         サポートが行われてきた
                                ▪   水産加工への予算の重点的配分
 課   ▪   一方、漁業の1.4倍の従事者のいる水産
         加工においては、冷凍倉庫の復旧の遅れな    ▪   民間の資金を利用した冷凍倉庫の
 題                                  供給
         どで操業再開が遅れている
     ▪   建築制限等に見られる行政の権限の縦割り    ▪   地域のサプライチェーンの関係者が
         や、わかりにくい補助金制度が迅速な復旧        集う場の設置
         のボトルネックになっているケースがある    ▪   復旧している施設を結ぶ「ツギハギ
                                    サプライチェーン」の構築、そのため
                                    のマッチング支援メカニズムの構築
                                ▪   政府の補助金要件の再考
 成   ▪   NPO「希望の烽火」は市町村ごとの水産加
 功
         工冷凍庫等のニーズを調査し、調達・提供
 事
 例   ▪   斉吉商店は、稼働している工場を借りたり、
         委託したりして、生産を再開
                                                   | 2
インフラの課題①
地震・津波による直接被害は、宮城の農業と宮城、岩手の水産業で
大きい
        農業直接被害額(億円) 水産業直接被害額(億円)

  北海道   0                         257


  青森県   15                        255

                                                             ▪   地震・津波による
  岩手県       591                              3,829               直接的な被害は
                                                                 宮城県が最大と
                                                                 なっている
  宮城県                     4,559
                                                     6,647
                                                             ▪   東北地方以外の
  福島県             2,436                829                       北海道・関東地
                                                                 方も直接被害を
                                                                 被っている
  茨城県       475                   60


  千葉県   170                       9


 出典:東日本大震災と農林水産業基礎統計データ(図説)-岩手・宮城・福島を中心に-、青森県災害情報(11/7)                 | 3
インフラの課題②
被害の大きい宮城の農業、宮城、岩手の水産業の営業再開が
遅れている
           流出冠水田畑面積(ha) 被害のあった経営体数
           流出冠水田畑面積                                    営業再開割合(7/11現在
                                                       営業再開割合     現在)
                                                                  現在

     青森県 227                    180                                   87%
                                               7,680
 農   岩手県 531                                                           95%
                    15,002
 業   宮城県                                                   34%
                                                                                  ▪   宮城県の農業
                                                                                      再開のみ大幅
                                               7,020                                  に遅れている
     茨城県    1,838                 1,430                                    100%

     千葉県 79                      870                                   91%
           被災漁港数
     北海道    13                         2,180                               97%

 水   青森県    16                  300
                                           5,100
                                                               49%
                                                                                  ▪   岩手県と宮城
 産   岩手県                  142                            16%                          県の漁業の再
 業   宮城県                                                 18%
                                                                                      開が大幅に遅
                    108                        3,990                                  れている
     茨城県    18                  210                                  74%

     千葉県   12                    660                             70%
    *福島県については、原発問題のため営業再開割合のデータがなく除外
 出典:東日本大震災による農業経営体の被災・経営再開状況(7/11現在)
    東日本大震災と農林水産業基礎統計データ(図説)                                                               | 4
インフラの課題③

水産業においては関連施設への補助金手当てが必要

            水産業の直接被害額(億円)                補助金支給額(億円)     被害額と補助金の比率

漁港施設
                                             373         5%
                                 8,230
漁船                   1,684                      1,262                     75%


共同利用施設                                   219                  18%
(市場・加工施設等)           1,228


               737                        267                       36%
養殖施設

               575                       0              0%
養殖物


                             ▪   漁港施設及び市場・加工施設等共同利用施設への
                                 復旧資金の手当てが最優先の課題

 出典:農林水産省 東日本大震災による農林水産業への影響と対応(11/9)、
    水産庁 平成23年東北地方太平洋沖地震の被害状況(10/17)、平成23年度第三次農林水産関連補正予算の概要(10月) | 5
インフラの課題④

宮城県には加工業の従事者が多いが、漁業に比べ補助金は少ない

  宮城県における漁業と水産加工業
           従事者数(人
           従事者数 人)                    11月補正予算額(億円
                                      11月補正予算額 億円)
                                               億円          予算額/従業者 万円
                                                           予算額 従業者(万円
                                                               従業者 万円)




    漁業               9,800                           960                 98.0




水産加工業                        14,015        413                 29.5




                       ▪   従事者は漁業より加工業に多いにも拘らず、当
                           てられている補助金予算額は漁業関連に多い


 出典:宮城県平成23年度11月補正予算等提出議案                                                  | 6
インフラの課題⑤

岩手、宮城、福島における水揚高減少はインフラ回復の遅れに起因
 被災3県の主な漁港の水揚高前年比率
 被災 県の主な漁港の水揚高前年比率                      生産者の声

 塩釜                              130%                被害が比較的小さく、近隣の漁港で水揚
 久慈                                                  げできない漁船が入港するケースが増加
                               116%                  した
 宮古                      66%
                                        塩釜市水産振興課
 大船渡               46%
                                                     冷凍倉庫がない。
 釜石               42%                                11月になってやっと冷凍倉庫の運営再開
 気仙沼                                                 が少しずつ始まったが、足りないので、冷
                 33%
                                                     凍倉庫のある大船渡で水揚げしている。
 女川                                      気仙沼漁業者
           13%
 石巻        12%                                       女川魚市場の岸壁整備が大変遅れてい
 小名浜                                                 るため、入船数が減り、収入も比例して減
           9%
                                                     少した。また、震災による被害で漁具等の
 9港計              41%                                流出があり、出漁までに時間を要した。
                                         女川漁業者



      ▪   岩手県・宮城県・福島県のほと                         ▪   インフラの復旧の遅れに起因し水
          んどで水揚高は大幅に減少                               揚高が回復していない
 出典:asahi.com「被災3県、漁獲額6割減 主要9港調査」(11/14)、
    SankeiBiz [「被災3県主要8漁港の水揚げ量、70%超減 設備流出や風評原因」(2011/10/8)
    食品生産者アンケート(2011/11.被災3県と茨城県を対象に実施)、産地訪問インタビュー(2011/11/16)          | 7
インフラの課題⑥

 冠水地域に関わる建築制限により再建の遅れ

                                   地元の意見
   宮城県石巻市の例
                                               すぐにでも改築したいが、市
        震
              建築制限内容                           の復興計画次第では立ち退
        災                                      きを求められ、改築にかけた
            •建築基準法に基づき、                        費用が補償されない可能性
        直   •2ヶ月の建築制限
        後                                      もある。リスクが大きすぎて
                                    石巻市店舗駐車場   着手できない
                                      賃貸業
    4       •特例法に基づき、
    月       •8ヶ月の建築制限
             62%                               働く場がなくては、立派な
                                               計画ができる前に気仙沼
            市の許可が必要
                                               から人が出て行ってしま
            •「被災市街地復興推進地域」に
            おいては建築には許可が必要             気仙沼市     う
    現                                水産加工業者
    在       許可の要件
            •2階以下、容易に移転除去可
            能、敷地面積300m2未満など
            2年間の不確定期間
            •復興計画の策定期限が                 ▪   建築制限の範囲が確定せず、工
            •2013年3月
                                            場等の建築ができないため、イン
                                            フラ復旧が進まない

 出典:石巻市、「焦点/建築制限 事業者焦り/復興計画遅れ足かせ」河北新報社(2011/7/18)              | 8
インフラの課題⑦

同地域の生産・加工業者間での連携が不足している

気仙沼の例                             石巻の例
                                                      震災による損失を少
                    加工場も冷凍設備                          しでも取り戻すため、
                    も被災してしまった                         スルメイカなどの水
                                                      揚げ量を増やしたい
              漁師                               漁師


                    取引先が被災した                          水揚げを増やされて
                    が、今まで野菜を                          も、冷凍設備が足り
                    取り扱っていたので、                        ない。
                    魚の排水処理がで
                                               加工業者
                    きない
             加工業者
                                                      魚の水揚げ量を増や
                                                      しても、誰が干物や
                                                      缶詰に加工するのか。
                                             市漁協組合長




               ▪   同じ市の生産・加工業者間でも連携が取れていない

 出典:産地訪問インタビュー(2011/11/16)、
    毎日新聞東京朝刊「大震災半年:水産業復興、漁港格差が拡大 水揚げ、石巻激減・塩釜15%増」(2011/9/2)    | 9
インフラの課題⑧

政府による補助金は、生産者側から見ると上手く活用できていない
                        政府による事業再建のための
    補助金申請制度             補助金について                  生産者の声
                                         n=38
         漁                                                 国庫補助事務は煩雑
         船
         や   漁業共同組合な          13%                          で申請期間も短い。
         定                           申請した
         置   どが共同計画を           8%                          簡素化して欲しい。
         網   つくり、                               岩手県漁協関係者
         の
         漁   漁船や定置網の                 資格はあるが
         具                    24%                          もう少しわかりやすい、
         導   漁具を導入する                 申請していない
         入   場合に支援                                         取り組みやすい助成
                                     資格がない                 金や補助金事業の創
     被                                                     出が今最も必要。
                                                  女川漁業者
     災       復旧作業を共同
     農                               資格があるか
     家
             で行う農業者に          55%
             対して、                    わからない                 生産者はそれぞれが
     経
     営       地域で組織する                                       ライバルであるため、
     再
             復興組合を通じ                                       グループ化は難しい。
     開                                           女川海鮮問屋
             て支援



▪   グループでの申請が要件           ▪   資格の有無を理解してい         ▪   政府による補助金は生産者の
    となっている場合が多い               ない人が60%近く存在             ニーズに応えきれていない
    出典:東日本食品生産者アンケート(2011年11月)、岩手日報社「再興への道(2011/8/11漁協インタビュー)」
       首相官邸「事業再建ハンドブックvol.3-事業再建」(2011/8/19)、産地訪問インタビュー             | 10
インフラの成功事例①

民間、NPOからのインフラ整備支援の事例:希望の烽火(のろし)
民間、   からのインフラ整備支援の事例:希望の烽火(のろし)


 希望の烽火プロジェクト                成果
  活動内容                      ▪   大企業20社からの協賛金によって
  ▪   現地でのヒアリングを通じて             資金を確保
      ニーズを把握し、冷凍コンテ         ▪   日本郵船から提供された冷凍コンテ
      ナなど実際に必要とされてい             ナ100本を各漁港へ配分(ダイキン・
      る設備を直接供給                  東洋製作所の協力で冷凍機能強化
  ▪   スピード感を重視                  改造を施行)
  ▪   漁港と魚市場の機能を一部だけでも回     ▪   その他車輛、事務用機器等を供与
      復させる(本格復旧までの橋) ことで、
      被災者のモチベーション維持を行う

  支援地域
  ▪   岩手10港、宮城4港、           ▪   気仙沼、女川の漁師が、冷凍コン
      福島1港を支援                   テナの搬入された大船渡で水揚
                            ▪   志津川漁港のサケ漁が再開




 出典:希望の烽火ウェブサイト                                   | 11
インフラの成功事例②
インフラの成功事例②

ツギハギ型サプライチェーンの事例:斉吉商店

 斉吉商店                        ツギハギ型サプライチェーンの構築
                                 漁業          加工            流通         販売
   事
   業    ▪   気仙沼の海鮮問屋         ▪   北海道   ▪   江刺のホテルで     ▪   中古ト    ▪   デパー
   内                             から原       空いている土日         ラックの       トの催
        ▪   気仙沼港水揚の魚介            料を仕       に操業(4-7月)       寄付         事に参
   容        類を使った水産加工品           入                                    加
                                       ▪   元々取引のあっ
            の製造・販売                         た内陸の工場を
                                           借りて操業(8月)
                                       ▪   下処理は被災し
   被                                       て別の工場で運
   災    ▪   工場全壊                           営していた会社
   状    ▪   直販店全壊                          に委託
   況    ▪   船全壊              現状
                             ▪   震災後は業務用をとりやめ、「金のさんま」に注力
                             ▪   販売先との関係を強化し販売促進
                             ▪   「金のさんま」については、震災後半年で震災前の
   課    ▪   新工場整備までの資            倍の売上を達成
   題        金調達と事業の継続                      たまたま工場の方の主要取引先が被
                                           災して再開の目処がたたない、という
                                           話になり、タイミングよく工場を借りるこ
                                           とができました。
                             斉吉商店専務
                              斉藤和枝氏
                                           人とのつながりが全てでした。

 出典:産地訪問インタビュー(2011/11/16)                                                  | 12
東の食の復興に向けて



   Ⅰ.インフラ
     インフラ

   Ⅱ.安全安心
     安全安心

   Ⅲ.生産・加工
     生産・加工

   Ⅳ.販売
     販売

   Ⅴ.輸出
     輸出

             | 13
課題のまとめと解の方向性:安全安心
現状                                 解の方向性
         ▪   80%の消費者がいまだに不安を覚え
             ており、4月の時点とほぼ変化なし
         ▪   消費者の不安は、政府の発表が信用で
             きず、本当の危険度がわからないことに
             起因している
         ▪   消費者は放射性物質の基準についてよ
 課           く理解できておらず、放射能について不    ▪   放射能に関する正しい科学的知識
 題           安に感じている人ほど、理解度が低い         をわかりやすく消費者、生産者、流
         ▪   仕入担当者は東日本産品を取扱いたい         通業者に対して普及させる
             気持はあるが、放射能問題により停滞     ▪   専門家の協力を得ながら検査の対
         ▪   安心感は放射能専門家が科学的に説          象をできる限り拡大する
             明することで高まる
                                   ▪   官民連携による販促キャンペーン
         ▪   外国政府や国際機関、放射能専門家の
             設定した検により消費者の安心感が高
             まる
     成
     功   ▪   シンガポールは、WHOによるSARS制
     事       圧宣言を機に官民連携して大規模キャ
     例       ンペーンを開始し、観光客を回復
                                                      | 14
安全安心の成功事例①
シンガポールは、WHOによる
シンガポールは、   によるSARS制圧宣言を機に、官民連携で大規
           による    制圧宣言を機に、官民連携で大規
模キャンペーンを開始し、観光客の回復に成功

     後の”Singapore Roars”キャンペーン
     後の
 SARS後の                 キャンペーン         年のシンガポールの観光客数
                                   2003年のシンガポールの観光客数
                                   Index, Q1=100
         ▪   シンガポールにSARS危機が発生               3/12     5/31
  WHEN       した2003年、WHOがSARS制圧宣            WHOが     WHOがシンガ
                                            SARSの緊   ポールでの
             言を出した直後の6月から開始                 急警報発令    SARS制圧宣言

         ▪   政府観光局(STB)と観光業界が協
  WHO        同して実施


         ▪   航空券、宿泊費、クーポン等が最大
  WHAT       50%オフとなる様々なパッケージを
             提供
         ▪   海外有名アーティストなどを招待し
             てイベントを開催
         ▪   海外主要メディアへの広告掲載



                                       ▪   第2四半期には観光客が大幅に落ち込ん
                                           だが、翌第3四半期には9割を回復、第4
                                           四半期にはSARS以前の水準に達した

                                                                | 15
東の食の復興に向けて



   Ⅰ.インフラ
     インフラ

   Ⅱ.安全安心
     安全安心

   Ⅲ.生産・加工
     生産・加工

   Ⅳ.販売
     販売

   Ⅴ.輸出
     輸出

             | 16
課題のまとめと解の方向性:生産・加工
現状                              解の方向性
     ▪   東日本の多くの生産者が、単価の下落、取
         引先の被災等により、出荷額の減少に直面
     ▪   生産を開始しても、従来の取引先が仕入先
         を変えてしまったために販路をみつけられ
 課
 題       ないでいる
                                ▪   単価の下落、取引先の喪失を補うため、
     ▪   生産者のうち、販路を失ったために、生産        付加価値の高い直販販路を確保
         再開のための再投資をためらっている方々
         もいる                    ▪   生産者と販売側企業とを直接結び付
                                    けるプラットフォームの構築
     ▪   6次産業化への関心が高まっているが、事
         業経営やマーケティングの知見が課題      ▪   マーケティングに知見をもつ販売企業
                                    が商品開発から入る形での6次産業化
                                    への取り組み
     ▪   農商工連携サポートセンターは、宮城県の
 成       塩害にあった土地に塩トマトを栽培を支援
 功   ▪   東北コットンプロジェクトは、津波被害に
 事       あった土地で「綿」への転作を行い、新事業
 例
         創出
     ▪   舞台ファームは、6次産業化に積極的に取
         り組み、販路を開拓
                                                  | 17
生産・加工の課題①

東日本の生産者の多くが出荷額の減少に直面

 震災前後の出荷額の変化          出荷額減少の理由               生産者の声
               n=38                  n=24     単価下落の理由

     増加した
             11%                                        お客様が放射能を気に
                                   25%
                                                        しており、インターネット
     変わらない                                              経由の直販が減少し、
             32%
                                             茨城県米農家     平均売価が下がった。
     減少した
                                   33%        出荷量減少の理由

                           単価下落
                                                        直売所に出荷していた
                                                        が、福島への観光客が
             58%                                        減り、ほとんど売れなく
                           出荷量減少
                                            福島県食品製造業者
                                                        なってしまった。
                                   42%
                           両方
                                                        取引先も被災してしま
                                                        い、売り先がなくなった。
                                             女川海鮮問屋




 ▪   6割近くの生産者にお       ▪   出荷額減少は出荷量・              ▪   生産者は販路の変更
     いて、出荷額が減少            単価の減少が共に原因                  を余儀なくされている

 出典:東日本食品生産者アンケート(2011年11月)                                        | 18
生産・加工の課題②

買取側企業が仕入先を変更したまま戻らないことにより販路を失う

 東日本の産品の仕入額が最も減少した品目
 について、仕入量の減少にどのように対応したか                      仕入担当者の声
                                 n=14

 仕入先を
 変更した                               79%                    仕入を海外産地に
                                                           変更した

                                               東北担当
  取引量を                                         仕入担当者

  減らした           21%
                                             生産者の声

                                                            生産を開始したが、大
                                                            口の顧客が数件単価
  取引をや        14%                                           の安い中国での生産
  めた                                           岩手県釜石市       にシフトしてしまった
                                               水産加工業者




      ▪   震災後で、東日本の産品について                              ▪   生産者は販路を失う
          多くの企業が仕入先を変更

 出典:食品仕入担当者アンケート(2011/11)、東日本食品生産者アンケート(2011/11)                       | 19
生産・加工の課題③

事業の再開をためらっている生産者も存在
 宮城県漁業協同組合による、組合員への
 アンケート“漁業継続の意思はあるか
         漁業継続の意思はあるか”
 アンケート 漁業継続の意思はあるか
 (2011年10月)
      年 月)                            生産者の声
                           n=8,615
                                                  経営の柱がなくなりつつあり、
                                                  品目の選択や経営規模を考
                                                  える上で放射能問題が大き
          72%                                     く不安でならない。
                継続したい                  福島県農家




          28%   やめたい                              風評被害の先が見えない。
                または
                わからない
                                       福島県米農家

                                                  高齢化が進み、半農半漁で
                                                  収入が少ない漁師は、借金
     ▪   約30%の生産者が漁業の                             してまで再開しようという意
         再開を見合わせている                               欲をそがれたのではないか
                                       岩手県漁協
                                       関係者

 出典:毎日新聞 2011/5/19 地方版、東日本食品生産者アンケート(2011年11月)、
    宮城県漁協アンケート(2011年10月)                                          | 20
生産・加工の課題④

震災を経て、6次産業化への関心が更に高まっている
震災を経て、 次産業化への関心が更に高まっている
 震災以前における
  次産業化への関心
 6次産業化への関心                        震災後6次産業への関心は高まったか
                                  震災後 次産業への関心は高まったか
                        n=1,627                               n=37

                                                   とても高まった
                                         18.9%
                 関心あり
                                                   どちらかといえば
                                                   高まった
       77.2%                             35.1%
                                                   変わらない

                 関心なし
                                                   低くなった

                                         45.9%
       22.8%                                     0.0%




   ▪   震災以前から80%近くの生産者               ▪   震災後、半数以上の生産者の間で6
       が6次産業化に興味を持っていた                   次産業化への関心が高まっている

 出典:農林水産省「食料、農業、農村及び水産資源の持続的利用に関する意識・意向調査」(2011年2月)、
   東日本食品生産者アンケート(2011年11月)                                           | 21
生産・加工の課題⑤

 次産業化実施の上では、経営やマーケティングの知識が課題
6次産業化実施の上では、経営やマーケティングの知識が課題

 次産業事業化への今後の課題
6次産業事業化への今後の課題                         生産者の声
                               n=18

事業経営                           38.1%            農家などが起業するに当たってのアド
                                                バイスやフォローアップが必要
販売・流通                 27.0%
                                        福島県6次産業関係者


生産・供給              20.6%
                                                首都圏への販路拡大など、売り先の
                                                確保が課題
地域協力        6.3%
                                        福島県6次産業関係者

商品開発        4.8%
                                                加工メーカーと生産者とが情報交換
                                                することにより、実儒者ニーズに対応
ノウハウ蓄積    3.2%                                  した品種改良をすることができる
                                        福島県6次産業関係者




                           ▪   経営の知識に加え、ニーズの把
                               握や販売先の確保が必要

 出典:中小企業診断協会鳥取県支部「鳥取県における6次産業化および農商工連携の実態と課題 調査報告書(2010/2) 」
 福島県「ふくしま地域産業6次化戦略(2010/3)」                                     | 22
生産・加工の成功事例①

事業化継続のための取り組み事例


 塩トマト                           コットンプロジェクト
  塩トマトとは                        取り組み内容
            ▪   塩害にあった土地で       1.   「綿」への転作
                も栽培可能                津波被害を受けた農地の再生
            ▪   糖度は通常のトマト
                の2倍
                                2.   新しい効用の創出と地域復興
                                     安定した農作業による雇用の確保
            ▪   高価格で取引      +   3.   アパレル事業の創出
                                     農業⇒紡績⇒商品化⇒販売を
                                     一貫する事業開発
  取り組み内容
  ▪   農商工連携サポートセンターが中心                    実績
      となり6月4日、宮城県石沼市に600                  ▪   40の企業団体が協力
      株苗付け                                ▪   仙台市荒浜圃場で
  ▪   今後名取市、亘理、山元町でも実施                        1.2ha、名取市圃場で
      予定                                      0.4haの作付を実施

                                                             | 23
生産・加工の成功事例②

 次産業化の事例:舞台ファーム
6次産業化の事例:舞台ファーム

 営業内容                              売上高の推移(百万
                                   売上高の推移 百万)
                                          百万
                                                   400
  生   ①農産物の生産
  産                                           ×6
      ▪ 野菜
       (電解水濃法)                         67
      ▪ お米(玄米、胚芽米、白米、無洗米)             法人設立時
                                       H16年        H22年


  加   ②農産物の加工                      成功のポイント
  工   ▪   カット工場の運営                  ▪ 区域を越えた生産者との
                                      ネットワーク構築
                                    ▪ カット野菜工場の活用による
                                      有利販売
      ③飲食店の運営        ④農産物の販売
  販                                 ▪ 積極的な販路開拓
  売   ▪   よりみち市場     ▪   マルシェ・ジャ
          運営・販売          ポン・仙台へ                大手コンビ二と取
                         の出荷                   引をすることがで
                                               き、取扱い量が安
                                   舞台ファーム社長
                                     針生氏
                                               定的に増加した。

 出典:農林水産省「6次産業化先進事例」(平成23年4月)                             | 24
東の食の復興に向けて



   Ⅰ.インフラ
     インフラ

   Ⅱ.安全安心
     安全安心

   Ⅲ.生産・加工
     生産・加工

   Ⅳ.販売
     販売

   Ⅴ.輸出
     輸出

             | 25
課題のまとめと解の方向性:販売
現状                              解の方向性
     ▪   東日本産品の価格が下落しており、今後、
         生産インフラが回復するにつれて、ますま
         す価格が下落することが懸念される       ▪   被災地支援セグメントに訴求し価値
                                    を提供すればビジネスとして成立す
     ▪   販売側は、安全を第一に考える顧客の声         るという理解を広める
         に敏感に反応し、東日本産品の取り扱いに
 課       慎重になっている               ▪   チェーン全体ではなく、地域レベル、
 題                                  店舗レベルで東日本産品を取扱う
     ▪   企業幹部に支援の意思があっても、現場
         に落ちるとチェーンオペレーションや、原価   ▪   個々の取引の採算のみではなく、
         管理の要求に合わず、取引が実現しない         宣伝効果、CSR効果も考慮に入れ
                                    たビジネス判断を行うべく、購買関
     ▪   市場には被災地を積極的に応援するセグ         連部門とマーケティング関連部門、
         メントが存在しており、このターゲット         CSR部門が協同する形で取り組む
         セグメントにきちんと訴求し価値を提供する
         ことが重要                  ▪   販売側のインセンティブを増すため
                                    の復興ポイントのような仕組みを
     ▪   復興枝豆は、ストーリーマーケティングによ
 成                                  行政が導入する
         り、完売
 功                              ▪   企業による特定の地域をテーマとし
 事   ▪   セブンアンドアイは、県レベルで実施した
                                    た支援も有効
 例       応援フェアを全国規模に拡大
     ▪   イオンは、岩手県久慈漁協など特定地域
         に絞った支援を展開                                 | 26
販売の課題①

東日本、とりわけ福島県の産品の卸単価が急激に下落
桃の市場卸売単価前年比増減率(7-9月)
桃の市場卸売単価前年比増減率    月                和牛の市場卸売単価前年比増減率(4-10月)
                                   和牛の市場卸売単価前年比増減率     月

全国                   -13%


福島県 -49%                           宮城県   -8%



山形県               -19%
                                   滋賀県                      14%

長野県                 -14%

                                   愛知県                 6%
山梨                            5%




              ▪   とりわけ福島県の産品について、単価が大幅に下
                  落している

 出典:農林水産省「品目別生産額統計」、JA全農みやぎ「子牛市場成績•種雄牛別成績」、滋賀県「県政eしんぶん」、
    愛知県「新城和牛子牛市場市況レポート」                                     | 27
販売の課題②
販売側は、安全を第一に考える顧客の声に敏感に反応し、東日本産品
の取り扱いに慎重になっている
 消費者の声                                仕入担当者の声


                                       風評被害と実際の健康被害
                                       について、明確な国の対応
                                       がなければ、営利を目的と
            福島産はちょっと…
                                       する民間企業として東北産
                                       の食品を使いたくてもリスク
                                       が高くて使えない。
 首都圏30代女性




            小さい子どもがいるので、将
            来の健康への影響がわから               積極的に東日本の食品を仕
            ない以上、できるだけ東日本              入れたいが、あくまで安全性
            産の食品は買わないように               が担保されるのが大前提。
            している。

 首都圏40代男性




 出典:消費者インタビュー(2011/11)、食品仕入担当インタビュー                    | 28
販売の課題③
企業幹部に支援の意思があっても、現場に落ちるとチェーンオペレー
ションや、原価管理の要求に合わず、取引が実現しない
     会員企業A
     会員企業                         会員企業B
                                  会員企業
 ト
 ッ
 プ           被災地の支援なのでど                   何でも提案してください
 幹           んな産品でも提案してく                  よ、どんどん入れますか
 部           ださい。                         ら

      社長                          専務取締役




 現
 場           当社に利益がないとな
                                          ロットが確保できるかわ
                                          からないならば仕入れ
             かなか仕入れるのは…
                                          はちょっと難しい

     仕入担当者                        営業課長




                   ▪   トップの意思が現場に伝達しておらず、なかなか
                       ビジネスが回らない
 出典:食品仕入担当インタビュー                                        | 29
販売の課題④
事業部だけで進めるのではなく、
   部も絡めた全社的な視点での施策が必要
CSR部も絡めた全社的な視点での施策が必要
     会員企業A
     会員企業                        会員企業B
                                 会員企業

C
S                                          やはり復興に向けて動
              被災地を支援は全社的
                                           かなければ企業として
R             に行うべき事項です
                                           問題ですよ。協力します
部    CSR部部長                      環境対策室室長




 事
 業            この商品、うちの持って                  こんな商品売れるわけ
 部            るものよりどこが優れて
              ますか?値引きしてくれ
                                           ないじゃないですか。う
                                           ちの棚取るってことわ
              ませんか?                        かってますか?
     営業部課長                       商品部担当者




                   ▪   実際の商品の良し悪しを判断する事業部の人間
                       はCSR的なメリット、観点を無視

 出典:食品仕入担当インタビュー                                         | 30
販売の成功事例①

ストーリーマーケティングにより、需要の掘り起しが可能


 サーベイ                    復興枝豆
 東日本の産品を仕入る上で            復興枝豆とは
 生産者の被災状況や
 復興ストーリーを重視するか
                                    ▪   宮城県産の枝豆を気
                                        仙沼の海水で茹で、
                                        販売
     非常に重視する
     どちらかといえば重視する                   ▪   Web上、恵比寿の
     どちらかといえば重視しない                      サッポロビール祭、
     重視しない                              恵比寿三越にて販売
                                                    Oisixにてストーリーを訴求し販売

     4%           n=24
                         売上状況
            25%           ▪   Oisixのネットスーパーで500個300,000円、
                              サッポロのビール祭で1,700個765,000円が完売
          71%
                         消費者の声                  生産者の声
                                    キャッチーな名                 東日本の農業
                                    前にひかれて                  再生に取り組
 ▪   ほぼ全ての仕入担当者                     思わず購入し                  みたい。
                                    ました。
     がストーリーを重視する         首都圏30代男性                舞台ファーム社員



                                                                         | 31
販売の成功事例②
まずは地域レベルで東日本の産品を取扱い、しだいに全国規模へ
拡大する
セブンアンドアイグループの取り組み




 福島におけるプロジェクト                全国規模でのプロジェクト
 ふくしま応援フェア
 ▪   福島県産23年度の米の販売を中心とした3日
                             東北かけはしプロジェクト
     間のフェア                   ▪   テーマ「東北の思いと全国の応援する
 ▪   福島県のヨークベニマル全63店舗で実施         思いをつなぐ」
 ▪   福島県全3店舗と首都圏10店舗のイトーヨー   ▪   東北被災企業が連携した合同企画
     カドーで実施                  ▪   岩手、宮城、福島の知事に加え、キリ
                                 ンビールなど大企業も協賛
 福島産品フェア                     ▪   全国のセブンアンドアイグループで販
 ▪   9月16−19日4日間                 売、キャンペーン、イベント
 ▪   ヨークベニマル福島県全店舗63店舗で実施    ▪   東北被災企業、農産物、海産物の販
 ▪   JAの協賛                       売、東北食材を活用したメニュー&ク
 ▪   「安全安心でおいしい福島県農産物」           ロスマーチャンダイズ

                                                     | 32
販売の成功事例③

イオンの取り組み事例


 岩手県久慈漁協との取り組み                       石巻市での取り組み
  久慈漁港とのパートナーシップ                     山田水産株式会社
                                     ▪   本社は大分県にあり、2年前に石巻
       買   ▪   久慈漁協が手配した漁船が              に進出
       い       北海道東方沖で水揚げした
       取                             ▪   イオンブランドにウナギを供給
       り       秋刀魚を、イオンが全て買
                                     ▪   東日本大震災により、工場の1階部
               い取り

           ▪   久慈漁港で水揚げ
                                 +       分が津波にのまれ、操業ができない
                                         状態になる
       水
       揚   ▪   秋刀魚約20トン(約15万尾)       ▪   地域復興のために再開を急ぎ、9月
       げ       を予定                       1日に石巻事務所が再スタート

           ▪   東北・関東エリアのイオンな
   販           ど最大約200店舗で販売予
   売           定                     「トップバリュ」水産加工品生産
                                     ▪   東北イオンブランド「トップバリュ
                                         さんま蒲焼」「トップバリュ さば照
                                         焼」を山田水産株式会社で製造

出典:復興ニッポン「『よそ者だからできることもある』宮城・石巻の工場復旧急ぐ九州の水産加工会社」2011/7/25
   イオン「イオン、東北太平洋沿岸部の漁業関係者と新たな取り組み開始」2011/9/9                 | 33
販売の成功事例③

家電エコポイントは販売促進に寄与
類似事例:家電エコポイント

 エコポイントの詳細                                           導入のインパクト
                                                     ①地球温暖化
       仕                         ポイント
                    家電購入                             ▪ 270万t/年のCO2削減
       組                          申請      原      原
       み                                  資      資
                                                     ②経済活性化
                                 商品発送
                           消費者                       ▪ 予算額の約7倍に及ぶ約
                                                       5兆円の経済波及効果
           主   ▪   電通、凸版印刷、JPメディアダイレクト、JP物
           体                                         ③地デジ対応テレビの普及
                   流パートナーズ、ベルシステム24、トランスコ            ▪ 地デジ対応テレビの国内
                   スモス(環境庁、経済産業省、総務省)                  出荷台数は2.2倍に増加
           目
           的   ▪   地球温暖化対策、経済の活性化、地デジ対応
                   テレビの普及
   予                                                 消費者の声
   算           ▪   約6,930億円
                                                            ポイントが実質換
       期       ▪   発行:2009/5/15 ~ 2011/3/31購入分              金できるので家電
       間       ▪   申請:2009/7/1 ~ 2011/5/31
                                                            を買う良いきっか
                                                            けになった。
               ▪   交換:2009/7/1 ~ 2012/3/31           首都圏20代男性


 出典:環境省HP「報道発表資料(2009/6/1)」、経済産業省HP                                    | 34
東の食の復興に向けて



   Ⅰ.インフラ
     インフラ

   Ⅱ.安全安心
     安全安心

   Ⅲ.生産・加工
     生産・加工

   Ⅳ.販売
     販売

   Ⅴ.輸出
     輸出

             | 35
課題のまとめと解の方向性:輸出
現状                               解の方向性
     ▪   3.11後、多くの国が県を単位として広範囲
         に輸出規制を導入したが、日本の食品輸
         出は9割まで回復
 課   ▪   中国は他国と比べとりわけ厳しい輸出規
 題
         制措置を導入した結果、日本からの食品
                                 ▪   輸出プロセスにおける公的資金に
         輸出が大幅に減少している
                                     よる放射能検査体制の整備
                                 ▪   政府レベルでの、各国への科学に
                                     基づく規制の働きかけ
                                 ▪   香港、シンガポール、ベトナム等、
     ▪   日本「愛」キャンペーンにより、香港では         日本産食品に対する忌避感がほ
 成       ムードが変化、日本食に対する忌避感払          ぼ払拭されている市場では、積極
 功       拭                           的に美味しさをマーケティングして
 事                                   販売攻勢
 例   ▪   シンガポールでは北海道の食が強いブラ
         ンド力を獲得




                                                   | 36
輸出の課題①

震災以前における食品の輸出状況

震災前の日本の食品輸出先(2010年)(億円
震災前の日本の食品輸出先     年 億円
                    億円)               震災前の日本の食品輸出品目と額(2010年)
                                      震災前の日本の食品輸出品目と額(    年)
                                      農産物輸出額(億円
                                      農産物輸出額 億円)
                                             億円            水産物輸出額(億円
                                                           水産物輸出額 億円)
                                                                  億円
                 農産物           水産物
                                                            さけ・ます
                                      たばこ               269 (生,冷蔵,冷凍)         180
    香港        568               638
                                      ソース混                 鰹・鮪
                                                    212                      136
  アメリカ      443          234          合調味料                 (生,冷蔵,冷凍)

                                      酒類           179     乾燥なまこ         128
    台湾       500                                           (加工品)
                         100
    中国 234                            粉乳          142      貝柱            124
                   292                                     (加工品)
                                      清涼飲料    119          ホタテ貝          103
    韓国     275 174                                         (生,冷蔵,冷凍,乾
                                      水
                                                           燥,塩漬け)
    タイ                                播種用                  さば
           129                                107                        101
                                      の種                   (生、冷凍)
          80
  ベトナム                                菓子      101          すけとうたら       77
          100 52                                           (生,冷蔵,冷凍)
シンガポール                                りんご    64            ぶり           66
          106 30                                           (生,冷蔵,冷凍)
 ※林業を除く
 出典:農林水産物輸出入統計                                                               | 37
輸出の課題②

震災後の各国の規制状況
        輸入停止                   証明書要求                            検査
        地域   品目                地域   品目               放射能   産地

 香港      ▪5県     ▪青果・牛乳        ▪5県以外 ▪肉類、卵、水産物

         ▪6県     ▪ほうれん草、カキナ、 ▪3県       ▪他青果、乳製品
 アメリカ            原乳、きのこ、イカナゴ
                 の稚魚等
         ▪5県        ▪全ての食品     ▪5県以外 ▪青果、乳製品、水産物
 台湾

         ▪10都県      ▪全ての食品     ▪10都県 ▪青果、農業加工品、乳製品
 中国                            以外    ▪水産品、水生動物
                                     ▪その他の食品・飼料
         ▪6県     ▪ほうれん草、カキナ、   ▪13都県 ▪全ての食品
 韓国              原乳、茶等         ▪13都県 ▪全ての食品
                               以外
         ▪n/a    ▪n/a          ▪9県     ▪全ての食品
  タイ                           ▪9県以外   ▪全ての食品
         ▪n/a    ▪n/a          ▪6県     ▪加工品
 ベトナム                          ▪6県以外   ▪生鮮食品
 シンガ     ▪8県     ▪青果、農業加工品、 ▪8県以外 ▪青果、農業加工品、乳製
 ポール             乳製品、牛肉、水産物            品、牛肉、水産物

 出典:農林水産物輸出入統計、東日本大震災の農林水産業への影響と対応、ジェトロ、農林水産省諸外国・地域の規制措置        | 38
輸出の課題③

厳しい制限により、中国に対する輸出が大幅に減少

  震災後4~ 月の食品輸出額前年同期比
  震災後 ~9月の食品輸出額前年同期比




                          ▪3.11後の規制に関
                          わらず、日本全体の
                          輸出額はさほど落ち
                          込んでいない
          中国              ▪広範な規制を導入し
               中国         た中国においては、
          韓国              大幅に日本からの食
                          品輸出額が減少
          タイ              ▪輸入停止のない国に
                          対しての輸出は完全
                          に回復




 ※林業を除く
 出典:農林水産省 農林水産物輸出入統計               | 39
輸出の成功事例①
香港では「愛・日本料理」キャンペーンにより日本食に対する忌避感を
払拭


                WHEN       ▪   2011年5月25日~6月15日


                WHO        ▪   香港日本料理店協会(フランキー・ウー
                               会長)が主催
                           ▪   香港の200以上の日本料理店が参加

                WHAT       ▪   毎週水曜日を日本料理「半額の日」とし、
                               「50%優恵、100%安心」をスローガンに
                               プロモーション
                           ▪   開幕パーティーには、香港行政長官をは
                               じめ政府高官や立法会議員、日本総領
                               事等が参加し、日本食の安全性をア
                               ピール


                      ▪   震災後倒産する日本食レストランも少な
                          くなかったが、7月には需要がおよそ
                          80%回復、震災前よりも売り上げが増え
                          たという店も出るようになった
                                                    | 40
輸出の成功事例②

シンガポールでは北海道の食が強いブランド力を確立
                          北海道産食品のアンテナショップ
 北海道フェア@伊勢丹(2011.7)
 北海道フェア@伊勢丹(      )       (2011.10.28オープン)
                                     オープン)




     ▪   大勢の客で賑わう北海道フェア


                           ▪   日系の明治屋スーパーマーケットに
                               北海道産食品を取り扱うアンテナ
                               ショップ「カムイン北海道」がオープン
                               (北海道貿易物産振興会設置)
                           ▪   スイーツ、菓子類、調味料、水産物な
                               ど約200品目を扱う

     ▪   「白い恋人」コーナーが大人気
                                                    | 41
まとめ

        復興の進捗                    今後のチャレンジ
        ▪   水産業、特に水産加工での遅れが目     ▪   水産業のサプライチェーンに死活的
インフラ        立つ                       に重要なのはインフラ復旧のスピー
        ▪   港や企業による差が大きい             ドアップ
                                 ▪   インフラが整備されるまでの事業再
                                     開支援
        ▪   80%の消費者が不安           ▪   安全と共に安心を担保する検査体
安全安心                                 制
        ▪   コミュニケーション上の課題が大きい
                                 ▪   コミュニケーションの改善
        ▪   生産再開と同時に販路の確保が大きな    ▪   販路確保の支援
生産・加工       課題                   ▪   6次産業化による付加価値向上
        ▪   付加価値を反映したプライシングも重
            要
        ▪   安心を求める消費者の声への懸念に     ▪   販売側企業の取り扱いインセンティ
販売          よる東の食取扱いのためらい            ブ
        ▪   既存のチェーンオペレーションとは異な   ▪   トップコミットメント
            るスキームの必要性
        ▪   国による差が大きく、特に中国の落ち    ▪   他国政府及び消費者が安心できる
輸出          込み大                      輸出体制
        ▪   一方、ほぼ回復している国も多い
                                                      |

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東の食の復興提言1130

  • 2. 東の食の復興に向けて Ⅰ.インフラ インフラ Ⅱ.安全安心 安全安心 Ⅲ.生産・加工 生産・加工 Ⅳ.販売 販売 Ⅴ.輸出 輸出 | 1
  • 3. 課題のまとめと解の方向性:インフラ 現状 解の方向性 ▪ 地震・津波による直接被害は、宮城県の農 業、水産業及び岩手県の水産業で大きく、 営業再開も果たせていないケースが多い ▪ 宮城県の水産業では、造船を中心に漁業の サポートが行われてきた ▪ 水産加工への予算の重点的配分 課 ▪ 一方、漁業の1.4倍の従事者のいる水産 加工においては、冷凍倉庫の復旧の遅れな ▪ 民間の資金を利用した冷凍倉庫の 題 供給 どで操業再開が遅れている ▪ 建築制限等に見られる行政の権限の縦割り ▪ 地域のサプライチェーンの関係者が や、わかりにくい補助金制度が迅速な復旧 集う場の設置 のボトルネックになっているケースがある ▪ 復旧している施設を結ぶ「ツギハギ サプライチェーン」の構築、そのため のマッチング支援メカニズムの構築 ▪ 政府の補助金要件の再考 成 ▪ NPO「希望の烽火」は市町村ごとの水産加 功 工冷凍庫等のニーズを調査し、調達・提供 事 例 ▪ 斉吉商店は、稼働している工場を借りたり、 委託したりして、生産を再開 | 2
  • 4. インフラの課題① 地震・津波による直接被害は、宮城の農業と宮城、岩手の水産業で 大きい 農業直接被害額(億円) 水産業直接被害額(億円) 北海道 0 257 青森県 15 255 ▪ 地震・津波による 岩手県 591 3,829 直接的な被害は 宮城県が最大と なっている 宮城県 4,559 6,647 ▪ 東北地方以外の 福島県 2,436 829 北海道・関東地 方も直接被害を 被っている 茨城県 475 60 千葉県 170 9 出典:東日本大震災と農林水産業基礎統計データ(図説)-岩手・宮城・福島を中心に-、青森県災害情報(11/7) | 3
  • 5. インフラの課題② 被害の大きい宮城の農業、宮城、岩手の水産業の営業再開が 遅れている 流出冠水田畑面積(ha) 被害のあった経営体数 流出冠水田畑面積 営業再開割合(7/11現在 営業再開割合 現在) 現在 青森県 227 180 87% 7,680 農 岩手県 531 95% 15,002 業 宮城県 34% ▪ 宮城県の農業 再開のみ大幅 7,020 に遅れている 茨城県 1,838 1,430 100% 千葉県 79 870 91% 被災漁港数 北海道 13 2,180 97% 水 青森県 16 300 5,100 49% ▪ 岩手県と宮城 産 岩手県 142 16% 県の漁業の再 業 宮城県 18% 開が大幅に遅 108 3,990 れている 茨城県 18 210 74% 千葉県 12 660 70% *福島県については、原発問題のため営業再開割合のデータがなく除外 出典:東日本大震災による農業経営体の被災・経営再開状況(7/11現在) 東日本大震災と農林水産業基礎統計データ(図説) | 4
  • 6. インフラの課題③ 水産業においては関連施設への補助金手当てが必要 水産業の直接被害額(億円) 補助金支給額(億円) 被害額と補助金の比率 漁港施設 373 5% 8,230 漁船 1,684 1,262 75% 共同利用施設 219 18% (市場・加工施設等) 1,228 737 267 36% 養殖施設 575 0 0% 養殖物 ▪ 漁港施設及び市場・加工施設等共同利用施設への 復旧資金の手当てが最優先の課題 出典:農林水産省 東日本大震災による農林水産業への影響と対応(11/9)、 水産庁 平成23年東北地方太平洋沖地震の被害状況(10/17)、平成23年度第三次農林水産関連補正予算の概要(10月) | 5
  • 7. インフラの課題④ 宮城県には加工業の従事者が多いが、漁業に比べ補助金は少ない 宮城県における漁業と水産加工業 従事者数(人 従事者数 人) 11月補正予算額(億円 11月補正予算額 億円) 億円 予算額/従業者 万円 予算額 従業者(万円 従業者 万円) 漁業 9,800 960 98.0 水産加工業 14,015 413 29.5 ▪ 従事者は漁業より加工業に多いにも拘らず、当 てられている補助金予算額は漁業関連に多い 出典:宮城県平成23年度11月補正予算等提出議案 | 6
  • 8. インフラの課題⑤ 岩手、宮城、福島における水揚高減少はインフラ回復の遅れに起因 被災3県の主な漁港の水揚高前年比率 被災 県の主な漁港の水揚高前年比率 生産者の声 塩釜 130% 被害が比較的小さく、近隣の漁港で水揚 久慈 げできない漁船が入港するケースが増加 116% した 宮古 66% 塩釜市水産振興課 大船渡 46% 冷凍倉庫がない。 釜石 42% 11月になってやっと冷凍倉庫の運営再開 気仙沼 が少しずつ始まったが、足りないので、冷 33% 凍倉庫のある大船渡で水揚げしている。 女川 気仙沼漁業者 13% 石巻 12% 女川魚市場の岸壁整備が大変遅れてい 小名浜 るため、入船数が減り、収入も比例して減 9% 少した。また、震災による被害で漁具等の 9港計 41% 流出があり、出漁までに時間を要した。 女川漁業者 ▪ 岩手県・宮城県・福島県のほと ▪ インフラの復旧の遅れに起因し水 んどで水揚高は大幅に減少 揚高が回復していない 出典:asahi.com「被災3県、漁獲額6割減 主要9港調査」(11/14)、 SankeiBiz [「被災3県主要8漁港の水揚げ量、70%超減 設備流出や風評原因」(2011/10/8) 食品生産者アンケート(2011/11.被災3県と茨城県を対象に実施)、産地訪問インタビュー(2011/11/16) | 7
  • 9. インフラの課題⑥ 冠水地域に関わる建築制限により再建の遅れ 地元の意見 宮城県石巻市の例 すぐにでも改築したいが、市 震 建築制限内容 の復興計画次第では立ち退 災 きを求められ、改築にかけた •建築基準法に基づき、 費用が補償されない可能性 直 •2ヶ月の建築制限 後 もある。リスクが大きすぎて 石巻市店舗駐車場 着手できない 賃貸業 4 •特例法に基づき、 月 •8ヶ月の建築制限 62% 働く場がなくては、立派な 計画ができる前に気仙沼 市の許可が必要 から人が出て行ってしま •「被災市街地復興推進地域」に おいては建築には許可が必要 気仙沼市 う 現 水産加工業者 在 許可の要件 •2階以下、容易に移転除去可 能、敷地面積300m2未満など 2年間の不確定期間 •復興計画の策定期限が ▪ 建築制限の範囲が確定せず、工 •2013年3月 場等の建築ができないため、イン フラ復旧が進まない 出典:石巻市、「焦点/建築制限 事業者焦り/復興計画遅れ足かせ」河北新報社(2011/7/18) | 8
  • 10. インフラの課題⑦ 同地域の生産・加工業者間での連携が不足している 気仙沼の例 石巻の例 震災による損失を少 加工場も冷凍設備 しでも取り戻すため、 も被災してしまった スルメイカなどの水 揚げ量を増やしたい 漁師 漁師 取引先が被災した 水揚げを増やされて が、今まで野菜を も、冷凍設備が足り 取り扱っていたので、 ない。 魚の排水処理がで 加工業者 きない 加工業者 魚の水揚げ量を増や しても、誰が干物や 缶詰に加工するのか。 市漁協組合長 ▪ 同じ市の生産・加工業者間でも連携が取れていない 出典:産地訪問インタビュー(2011/11/16)、 毎日新聞東京朝刊「大震災半年:水産業復興、漁港格差が拡大 水揚げ、石巻激減・塩釜15%増」(2011/9/2) | 9
  • 11. インフラの課題⑧ 政府による補助金は、生産者側から見ると上手く活用できていない 政府による事業再建のための 補助金申請制度 補助金について 生産者の声 n=38 漁 国庫補助事務は煩雑 船 や 漁業共同組合な 13% で申請期間も短い。 定 申請した 置 どが共同計画を 8% 簡素化して欲しい。 網 つくり、 岩手県漁協関係者 の 漁 漁船や定置網の 資格はあるが 具 24% もう少しわかりやすい、 導 漁具を導入する 申請していない 入 場合に支援 取り組みやすい助成 資格がない 金や補助金事業の創 被 出が今最も必要。 女川漁業者 災 復旧作業を共同 農 資格があるか 家 で行う農業者に 55% 対して、 わからない 生産者はそれぞれが 経 営 地域で組織する ライバルであるため、 再 復興組合を通じ グループ化は難しい。 開 女川海鮮問屋 て支援 ▪ グループでの申請が要件 ▪ 資格の有無を理解してい ▪ 政府による補助金は生産者の となっている場合が多い ない人が60%近く存在 ニーズに応えきれていない 出典:東日本食品生産者アンケート(2011年11月)、岩手日報社「再興への道(2011/8/11漁協インタビュー)」 首相官邸「事業再建ハンドブックvol.3-事業再建」(2011/8/19)、産地訪問インタビュー | 10
  • 12. インフラの成功事例① 民間、NPOからのインフラ整備支援の事例:希望の烽火(のろし) 民間、 からのインフラ整備支援の事例:希望の烽火(のろし) 希望の烽火プロジェクト 成果 活動内容 ▪ 大企業20社からの協賛金によって ▪ 現地でのヒアリングを通じて 資金を確保 ニーズを把握し、冷凍コンテ ▪ 日本郵船から提供された冷凍コンテ ナなど実際に必要とされてい ナ100本を各漁港へ配分(ダイキン・ る設備を直接供給 東洋製作所の協力で冷凍機能強化 ▪ スピード感を重視 改造を施行) ▪ 漁港と魚市場の機能を一部だけでも回 ▪ その他車輛、事務用機器等を供与 復させる(本格復旧までの橋) ことで、 被災者のモチベーション維持を行う 支援地域 ▪ 岩手10港、宮城4港、 ▪ 気仙沼、女川の漁師が、冷凍コン 福島1港を支援 テナの搬入された大船渡で水揚 ▪ 志津川漁港のサケ漁が再開 出典:希望の烽火ウェブサイト | 11
  • 13. インフラの成功事例② インフラの成功事例② ツギハギ型サプライチェーンの事例:斉吉商店 斉吉商店 ツギハギ型サプライチェーンの構築 漁業 加工 流通 販売 事 業 ▪ 気仙沼の海鮮問屋 ▪ 北海道 ▪ 江刺のホテルで ▪ 中古ト ▪ デパー 内 から原 空いている土日 ラックの トの催 ▪ 気仙沼港水揚の魚介 料を仕 に操業(4-7月) 寄付 事に参 容 類を使った水産加工品 入 加 ▪ 元々取引のあっ の製造・販売 た内陸の工場を 借りて操業(8月) ▪ 下処理は被災し 被 て別の工場で運 災 ▪ 工場全壊 営していた会社 状 ▪ 直販店全壊 に委託 況 ▪ 船全壊 現状 ▪ 震災後は業務用をとりやめ、「金のさんま」に注力 ▪ 販売先との関係を強化し販売促進 ▪ 「金のさんま」については、震災後半年で震災前の 課 ▪ 新工場整備までの資 倍の売上を達成 題 金調達と事業の継続 たまたま工場の方の主要取引先が被 災して再開の目処がたたない、という 話になり、タイミングよく工場を借りるこ とができました。 斉吉商店専務 斉藤和枝氏 人とのつながりが全てでした。 出典:産地訪問インタビュー(2011/11/16) | 12
  • 14. 東の食の復興に向けて Ⅰ.インフラ インフラ Ⅱ.安全安心 安全安心 Ⅲ.生産・加工 生産・加工 Ⅳ.販売 販売 Ⅴ.輸出 輸出 | 13
  • 15. 課題のまとめと解の方向性:安全安心 現状 解の方向性 ▪ 80%の消費者がいまだに不安を覚え ており、4月の時点とほぼ変化なし ▪ 消費者の不安は、政府の発表が信用で きず、本当の危険度がわからないことに 起因している ▪ 消費者は放射性物質の基準についてよ 課 く理解できておらず、放射能について不 ▪ 放射能に関する正しい科学的知識 題 安に感じている人ほど、理解度が低い をわかりやすく消費者、生産者、流 ▪ 仕入担当者は東日本産品を取扱いたい 通業者に対して普及させる 気持はあるが、放射能問題により停滞 ▪ 専門家の協力を得ながら検査の対 ▪ 安心感は放射能専門家が科学的に説 象をできる限り拡大する 明することで高まる ▪ 官民連携による販促キャンペーン ▪ 外国政府や国際機関、放射能専門家の 設定した検により消費者の安心感が高 まる 成 功 ▪ シンガポールは、WHOによるSARS制 事 圧宣言を機に官民連携して大規模キャ 例 ンペーンを開始し、観光客を回復 | 14
  • 16. 安全安心の成功事例① シンガポールは、WHOによる シンガポールは、 によるSARS制圧宣言を機に、官民連携で大規 による 制圧宣言を機に、官民連携で大規 模キャンペーンを開始し、観光客の回復に成功 後の”Singapore Roars”キャンペーン 後の SARS後の キャンペーン 年のシンガポールの観光客数 2003年のシンガポールの観光客数 Index, Q1=100 ▪ シンガポールにSARS危機が発生 3/12 5/31 WHEN した2003年、WHOがSARS制圧宣 WHOが WHOがシンガ SARSの緊 ポールでの 言を出した直後の6月から開始 急警報発令 SARS制圧宣言 ▪ 政府観光局(STB)と観光業界が協 WHO 同して実施 ▪ 航空券、宿泊費、クーポン等が最大 WHAT 50%オフとなる様々なパッケージを 提供 ▪ 海外有名アーティストなどを招待し てイベントを開催 ▪ 海外主要メディアへの広告掲載 ▪ 第2四半期には観光客が大幅に落ち込ん だが、翌第3四半期には9割を回復、第4 四半期にはSARS以前の水準に達した | 15
  • 17. 東の食の復興に向けて Ⅰ.インフラ インフラ Ⅱ.安全安心 安全安心 Ⅲ.生産・加工 生産・加工 Ⅳ.販売 販売 Ⅴ.輸出 輸出 | 16
  • 18. 課題のまとめと解の方向性:生産・加工 現状 解の方向性 ▪ 東日本の多くの生産者が、単価の下落、取 引先の被災等により、出荷額の減少に直面 ▪ 生産を開始しても、従来の取引先が仕入先 を変えてしまったために販路をみつけられ 課 題 ないでいる ▪ 単価の下落、取引先の喪失を補うため、 ▪ 生産者のうち、販路を失ったために、生産 付加価値の高い直販販路を確保 再開のための再投資をためらっている方々 もいる ▪ 生産者と販売側企業とを直接結び付 けるプラットフォームの構築 ▪ 6次産業化への関心が高まっているが、事 業経営やマーケティングの知見が課題 ▪ マーケティングに知見をもつ販売企業 が商品開発から入る形での6次産業化 への取り組み ▪ 農商工連携サポートセンターは、宮城県の 成 塩害にあった土地に塩トマトを栽培を支援 功 ▪ 東北コットンプロジェクトは、津波被害に 事 あった土地で「綿」への転作を行い、新事業 例 創出 ▪ 舞台ファームは、6次産業化に積極的に取 り組み、販路を開拓 | 17
  • 19. 生産・加工の課題① 東日本の生産者の多くが出荷額の減少に直面 震災前後の出荷額の変化 出荷額減少の理由 生産者の声 n=38 n=24 単価下落の理由 増加した 11% お客様が放射能を気に 25% しており、インターネット 変わらない 経由の直販が減少し、 32% 茨城県米農家 平均売価が下がった。 減少した 33% 出荷量減少の理由 単価下落 直売所に出荷していた が、福島への観光客が 58% 減り、ほとんど売れなく 出荷量減少 福島県食品製造業者 なってしまった。 42% 両方 取引先も被災してしま い、売り先がなくなった。 女川海鮮問屋 ▪ 6割近くの生産者にお ▪ 出荷額減少は出荷量・ ▪ 生産者は販路の変更 いて、出荷額が減少 単価の減少が共に原因 を余儀なくされている 出典:東日本食品生産者アンケート(2011年11月) | 18
  • 20. 生産・加工の課題② 買取側企業が仕入先を変更したまま戻らないことにより販路を失う 東日本の産品の仕入額が最も減少した品目 について、仕入量の減少にどのように対応したか 仕入担当者の声 n=14 仕入先を 変更した 79% 仕入を海外産地に 変更した 東北担当 取引量を 仕入担当者 減らした 21% 生産者の声 生産を開始したが、大 口の顧客が数件単価 取引をや 14% の安い中国での生産 めた 岩手県釜石市 にシフトしてしまった 水産加工業者 ▪ 震災後で、東日本の産品について ▪ 生産者は販路を失う 多くの企業が仕入先を変更 出典:食品仕入担当者アンケート(2011/11)、東日本食品生産者アンケート(2011/11) | 19
  • 21. 生産・加工の課題③ 事業の再開をためらっている生産者も存在 宮城県漁業協同組合による、組合員への アンケート“漁業継続の意思はあるか 漁業継続の意思はあるか” アンケート 漁業継続の意思はあるか (2011年10月) 年 月) 生産者の声 n=8,615 経営の柱がなくなりつつあり、 品目の選択や経営規模を考 える上で放射能問題が大き 72% く不安でならない。 継続したい 福島県農家 28% やめたい 風評被害の先が見えない。 または わからない 福島県米農家 高齢化が進み、半農半漁で 収入が少ない漁師は、借金 ▪ 約30%の生産者が漁業の してまで再開しようという意 再開を見合わせている 欲をそがれたのではないか 岩手県漁協 関係者 出典:毎日新聞 2011/5/19 地方版、東日本食品生産者アンケート(2011年11月)、 宮城県漁協アンケート(2011年10月) | 20
  • 22. 生産・加工の課題④ 震災を経て、6次産業化への関心が更に高まっている 震災を経て、 次産業化への関心が更に高まっている 震災以前における 次産業化への関心 6次産業化への関心 震災後6次産業への関心は高まったか 震災後 次産業への関心は高まったか n=1,627 n=37 とても高まった 18.9% 関心あり どちらかといえば 高まった 77.2% 35.1% 変わらない 関心なし 低くなった 45.9% 22.8% 0.0% ▪ 震災以前から80%近くの生産者 ▪ 震災後、半数以上の生産者の間で6 が6次産業化に興味を持っていた 次産業化への関心が高まっている 出典:農林水産省「食料、農業、農村及び水産資源の持続的利用に関する意識・意向調査」(2011年2月)、 東日本食品生産者アンケート(2011年11月) | 21
  • 23. 生産・加工の課題⑤ 次産業化実施の上では、経営やマーケティングの知識が課題 6次産業化実施の上では、経営やマーケティングの知識が課題 次産業事業化への今後の課題 6次産業事業化への今後の課題 生産者の声 n=18 事業経営 38.1% 農家などが起業するに当たってのアド バイスやフォローアップが必要 販売・流通 27.0% 福島県6次産業関係者 生産・供給 20.6% 首都圏への販路拡大など、売り先の 確保が課題 地域協力 6.3% 福島県6次産業関係者 商品開発 4.8% 加工メーカーと生産者とが情報交換 することにより、実儒者ニーズに対応 ノウハウ蓄積 3.2% した品種改良をすることができる 福島県6次産業関係者 ▪ 経営の知識に加え、ニーズの把 握や販売先の確保が必要 出典:中小企業診断協会鳥取県支部「鳥取県における6次産業化および農商工連携の実態と課題 調査報告書(2010/2) 」 福島県「ふくしま地域産業6次化戦略(2010/3)」 | 22
  • 24. 生産・加工の成功事例① 事業化継続のための取り組み事例 塩トマト コットンプロジェクト 塩トマトとは 取り組み内容 ▪ 塩害にあった土地で 1. 「綿」への転作 も栽培可能 津波被害を受けた農地の再生 ▪ 糖度は通常のトマト の2倍 2. 新しい効用の創出と地域復興 安定した農作業による雇用の確保 ▪ 高価格で取引 + 3. アパレル事業の創出 農業⇒紡績⇒商品化⇒販売を 一貫する事業開発 取り組み内容 ▪ 農商工連携サポートセンターが中心 実績 となり6月4日、宮城県石沼市に600 ▪ 40の企業団体が協力 株苗付け ▪ 仙台市荒浜圃場で ▪ 今後名取市、亘理、山元町でも実施 1.2ha、名取市圃場で 予定 0.4haの作付を実施 | 23
  • 25. 生産・加工の成功事例② 次産業化の事例:舞台ファーム 6次産業化の事例:舞台ファーム 営業内容 売上高の推移(百万 売上高の推移 百万) 百万 400 生 ①農産物の生産 産 ×6 ▪ 野菜 (電解水濃法) 67 ▪ お米(玄米、胚芽米、白米、無洗米) 法人設立時 H16年 H22年 加 ②農産物の加工 成功のポイント 工 ▪ カット工場の運営 ▪ 区域を越えた生産者との ネットワーク構築 ▪ カット野菜工場の活用による 有利販売 ③飲食店の運営 ④農産物の販売 販 ▪ 積極的な販路開拓 売 ▪ よりみち市場 ▪ マルシェ・ジャ 運営・販売 ポン・仙台へ 大手コンビ二と取 の出荷 引をすることがで き、取扱い量が安 舞台ファーム社長 針生氏 定的に増加した。 出典:農林水産省「6次産業化先進事例」(平成23年4月) | 24
  • 26. 東の食の復興に向けて Ⅰ.インフラ インフラ Ⅱ.安全安心 安全安心 Ⅲ.生産・加工 生産・加工 Ⅳ.販売 販売 Ⅴ.輸出 輸出 | 25
  • 27. 課題のまとめと解の方向性:販売 現状 解の方向性 ▪ 東日本産品の価格が下落しており、今後、 生産インフラが回復するにつれて、ますま す価格が下落することが懸念される ▪ 被災地支援セグメントに訴求し価値 を提供すればビジネスとして成立す ▪ 販売側は、安全を第一に考える顧客の声 るという理解を広める に敏感に反応し、東日本産品の取り扱いに 課 慎重になっている ▪ チェーン全体ではなく、地域レベル、 題 店舗レベルで東日本産品を取扱う ▪ 企業幹部に支援の意思があっても、現場 に落ちるとチェーンオペレーションや、原価 ▪ 個々の取引の採算のみではなく、 管理の要求に合わず、取引が実現しない 宣伝効果、CSR効果も考慮に入れ たビジネス判断を行うべく、購買関 ▪ 市場には被災地を積極的に応援するセグ 連部門とマーケティング関連部門、 メントが存在しており、このターゲット CSR部門が協同する形で取り組む セグメントにきちんと訴求し価値を提供する ことが重要 ▪ 販売側のインセンティブを増すため の復興ポイントのような仕組みを ▪ 復興枝豆は、ストーリーマーケティングによ 成 行政が導入する り、完売 功 ▪ 企業による特定の地域をテーマとし 事 ▪ セブンアンドアイは、県レベルで実施した た支援も有効 例 応援フェアを全国規模に拡大 ▪ イオンは、岩手県久慈漁協など特定地域 に絞った支援を展開 | 26
  • 28. 販売の課題① 東日本、とりわけ福島県の産品の卸単価が急激に下落 桃の市場卸売単価前年比増減率(7-9月) 桃の市場卸売単価前年比増減率 月 和牛の市場卸売単価前年比増減率(4-10月) 和牛の市場卸売単価前年比増減率 月 全国 -13% 福島県 -49% 宮城県 -8% 山形県 -19% 滋賀県 14% 長野県 -14% 愛知県 6% 山梨 5% ▪ とりわけ福島県の産品について、単価が大幅に下 落している 出典:農林水産省「品目別生産額統計」、JA全農みやぎ「子牛市場成績•種雄牛別成績」、滋賀県「県政eしんぶん」、 愛知県「新城和牛子牛市場市況レポート」 | 27
  • 29. 販売の課題② 販売側は、安全を第一に考える顧客の声に敏感に反応し、東日本産品 の取り扱いに慎重になっている 消費者の声 仕入担当者の声 風評被害と実際の健康被害 について、明確な国の対応 がなければ、営利を目的と 福島産はちょっと… する民間企業として東北産 の食品を使いたくてもリスク が高くて使えない。 首都圏30代女性 小さい子どもがいるので、将 来の健康への影響がわから 積極的に東日本の食品を仕 ない以上、できるだけ東日本 入れたいが、あくまで安全性 産の食品は買わないように が担保されるのが大前提。 している。 首都圏40代男性 出典:消費者インタビュー(2011/11)、食品仕入担当インタビュー | 28
  • 30. 販売の課題③ 企業幹部に支援の意思があっても、現場に落ちるとチェーンオペレー ションや、原価管理の要求に合わず、取引が実現しない 会員企業A 会員企業 会員企業B 会員企業 ト ッ プ 被災地の支援なのでど 何でも提案してください 幹 んな産品でも提案してく よ、どんどん入れますか 部 ださい。 ら 社長 専務取締役 現 場 当社に利益がないとな ロットが確保できるかわ からないならば仕入れ かなか仕入れるのは… はちょっと難しい 仕入担当者 営業課長 ▪ トップの意思が現場に伝達しておらず、なかなか ビジネスが回らない 出典:食品仕入担当インタビュー | 29
  • 31. 販売の課題④ 事業部だけで進めるのではなく、 部も絡めた全社的な視点での施策が必要 CSR部も絡めた全社的な視点での施策が必要 会員企業A 会員企業 会員企業B 会員企業 C S やはり復興に向けて動 被災地を支援は全社的 かなければ企業として R に行うべき事項です 問題ですよ。協力します 部 CSR部部長 環境対策室室長 事 業 この商品、うちの持って こんな商品売れるわけ 部 るものよりどこが優れて ますか?値引きしてくれ ないじゃないですか。う ちの棚取るってことわ ませんか? かってますか? 営業部課長 商品部担当者 ▪ 実際の商品の良し悪しを判断する事業部の人間 はCSR的なメリット、観点を無視 出典:食品仕入担当インタビュー | 30
  • 32. 販売の成功事例① ストーリーマーケティングにより、需要の掘り起しが可能 サーベイ 復興枝豆 東日本の産品を仕入る上で 復興枝豆とは 生産者の被災状況や 復興ストーリーを重視するか ▪ 宮城県産の枝豆を気 仙沼の海水で茹で、 販売 非常に重視する どちらかといえば重視する ▪ Web上、恵比寿の どちらかといえば重視しない サッポロビール祭、 重視しない 恵比寿三越にて販売 Oisixにてストーリーを訴求し販売 4% n=24 売上状況 25% ▪ Oisixのネットスーパーで500個300,000円、 サッポロのビール祭で1,700個765,000円が完売 71% 消費者の声 生産者の声 キャッチーな名 東日本の農業 前にひかれて 再生に取り組 ▪ ほぼ全ての仕入担当者 思わず購入し みたい。 ました。 がストーリーを重視する 首都圏30代男性 舞台ファーム社員 | 31
  • 33. 販売の成功事例② まずは地域レベルで東日本の産品を取扱い、しだいに全国規模へ 拡大する セブンアンドアイグループの取り組み 福島におけるプロジェクト 全国規模でのプロジェクト ふくしま応援フェア ▪ 福島県産23年度の米の販売を中心とした3日 東北かけはしプロジェクト 間のフェア ▪ テーマ「東北の思いと全国の応援する ▪ 福島県のヨークベニマル全63店舗で実施 思いをつなぐ」 ▪ 福島県全3店舗と首都圏10店舗のイトーヨー ▪ 東北被災企業が連携した合同企画 カドーで実施 ▪ 岩手、宮城、福島の知事に加え、キリ ンビールなど大企業も協賛 福島産品フェア ▪ 全国のセブンアンドアイグループで販 ▪ 9月16−19日4日間 売、キャンペーン、イベント ▪ ヨークベニマル福島県全店舗63店舗で実施 ▪ 東北被災企業、農産物、海産物の販 ▪ JAの協賛 売、東北食材を活用したメニュー&ク ▪ 「安全安心でおいしい福島県農産物」 ロスマーチャンダイズ | 32
  • 34. 販売の成功事例③ イオンの取り組み事例 岩手県久慈漁協との取り組み 石巻市での取り組み 久慈漁港とのパートナーシップ 山田水産株式会社 ▪ 本社は大分県にあり、2年前に石巻 買 ▪ 久慈漁協が手配した漁船が に進出 い 北海道東方沖で水揚げした 取 ▪ イオンブランドにウナギを供給 り 秋刀魚を、イオンが全て買 ▪ 東日本大震災により、工場の1階部 い取り ▪ 久慈漁港で水揚げ + 分が津波にのまれ、操業ができない 状態になる 水 揚 ▪ 秋刀魚約20トン(約15万尾) ▪ 地域復興のために再開を急ぎ、9月 げ を予定 1日に石巻事務所が再スタート ▪ 東北・関東エリアのイオンな 販 ど最大約200店舗で販売予 売 定 「トップバリュ」水産加工品生産 ▪ 東北イオンブランド「トップバリュ さんま蒲焼」「トップバリュ さば照 焼」を山田水産株式会社で製造 出典:復興ニッポン「『よそ者だからできることもある』宮城・石巻の工場復旧急ぐ九州の水産加工会社」2011/7/25 イオン「イオン、東北太平洋沿岸部の漁業関係者と新たな取り組み開始」2011/9/9 | 33
  • 35. 販売の成功事例③ 家電エコポイントは販売促進に寄与 類似事例:家電エコポイント エコポイントの詳細 導入のインパクト ①地球温暖化 仕 ポイント 家電購入 ▪ 270万t/年のCO2削減 組 申請 原 原 み 資 資 ②経済活性化 商品発送 消費者 ▪ 予算額の約7倍に及ぶ約 5兆円の経済波及効果 主 ▪ 電通、凸版印刷、JPメディアダイレクト、JP物 体 ③地デジ対応テレビの普及 流パートナーズ、ベルシステム24、トランスコ ▪ 地デジ対応テレビの国内 スモス(環境庁、経済産業省、総務省) 出荷台数は2.2倍に増加 目 的 ▪ 地球温暖化対策、経済の活性化、地デジ対応 テレビの普及 予 消費者の声 算 ▪ 約6,930億円 ポイントが実質換 期 ▪ 発行:2009/5/15 ~ 2011/3/31購入分 金できるので家電 間 ▪ 申請:2009/7/1 ~ 2011/5/31 を買う良いきっか けになった。 ▪ 交換:2009/7/1 ~ 2012/3/31 首都圏20代男性 出典:環境省HP「報道発表資料(2009/6/1)」、経済産業省HP | 34
  • 36. 東の食の復興に向けて Ⅰ.インフラ インフラ Ⅱ.安全安心 安全安心 Ⅲ.生産・加工 生産・加工 Ⅳ.販売 販売 Ⅴ.輸出 輸出 | 35
  • 37. 課題のまとめと解の方向性:輸出 現状 解の方向性 ▪ 3.11後、多くの国が県を単位として広範囲 に輸出規制を導入したが、日本の食品輸 出は9割まで回復 課 ▪ 中国は他国と比べとりわけ厳しい輸出規 題 制措置を導入した結果、日本からの食品 ▪ 輸出プロセスにおける公的資金に 輸出が大幅に減少している よる放射能検査体制の整備 ▪ 政府レベルでの、各国への科学に 基づく規制の働きかけ ▪ 香港、シンガポール、ベトナム等、 ▪ 日本「愛」キャンペーンにより、香港では 日本産食品に対する忌避感がほ 成 ムードが変化、日本食に対する忌避感払 ぼ払拭されている市場では、積極 功 拭 的に美味しさをマーケティングして 事 販売攻勢 例 ▪ シンガポールでは北海道の食が強いブラ ンド力を獲得 | 36
  • 38. 輸出の課題① 震災以前における食品の輸出状況 震災前の日本の食品輸出先(2010年)(億円 震災前の日本の食品輸出先 年 億円 億円) 震災前の日本の食品輸出品目と額(2010年) 震災前の日本の食品輸出品目と額( 年) 農産物輸出額(億円 農産物輸出額 億円) 億円 水産物輸出額(億円 水産物輸出額 億円) 億円 農産物 水産物 さけ・ます たばこ 269 (生,冷蔵,冷凍) 180 香港 568 638 ソース混 鰹・鮪 212 136 アメリカ 443 234 合調味料 (生,冷蔵,冷凍) 酒類 179 乾燥なまこ 128 台湾 500 (加工品) 100 中国 234 粉乳 142 貝柱 124 292 (加工品) 清涼飲料 119 ホタテ貝 103 韓国 275 174 (生,冷蔵,冷凍,乾 水 燥,塩漬け) タイ 播種用 さば 129 107 101 の種 (生、冷凍) 80 ベトナム 菓子 101 すけとうたら 77 100 52 (生,冷蔵,冷凍) シンガポール りんご 64 ぶり 66 106 30 (生,冷蔵,冷凍) ※林業を除く 出典:農林水産物輸出入統計 | 37
  • 39. 輸出の課題② 震災後の各国の規制状況 輸入停止 証明書要求 検査 地域 品目 地域 品目 放射能 産地 香港 ▪5県 ▪青果・牛乳 ▪5県以外 ▪肉類、卵、水産物 ▪6県 ▪ほうれん草、カキナ、 ▪3県 ▪他青果、乳製品 アメリカ 原乳、きのこ、イカナゴ の稚魚等 ▪5県 ▪全ての食品 ▪5県以外 ▪青果、乳製品、水産物 台湾 ▪10都県 ▪全ての食品 ▪10都県 ▪青果、農業加工品、乳製品 中国 以外 ▪水産品、水生動物 ▪その他の食品・飼料 ▪6県 ▪ほうれん草、カキナ、 ▪13都県 ▪全ての食品 韓国 原乳、茶等 ▪13都県 ▪全ての食品 以外 ▪n/a ▪n/a ▪9県 ▪全ての食品 タイ ▪9県以外 ▪全ての食品 ▪n/a ▪n/a ▪6県 ▪加工品 ベトナム ▪6県以外 ▪生鮮食品 シンガ ▪8県 ▪青果、農業加工品、 ▪8県以外 ▪青果、農業加工品、乳製 ポール 乳製品、牛肉、水産物 品、牛肉、水産物 出典:農林水産物輸出入統計、東日本大震災の農林水産業への影響と対応、ジェトロ、農林水産省諸外国・地域の規制措置 | 38
  • 40. 輸出の課題③ 厳しい制限により、中国に対する輸出が大幅に減少 震災後4~ 月の食品輸出額前年同期比 震災後 ~9月の食品輸出額前年同期比 ▪3.11後の規制に関 わらず、日本全体の 輸出額はさほど落ち 込んでいない 中国 ▪広範な規制を導入し 中国 た中国においては、 韓国 大幅に日本からの食 品輸出額が減少 タイ ▪輸入停止のない国に 対しての輸出は完全 に回復 ※林業を除く 出典:農林水産省 農林水産物輸出入統計 | 39
  • 41. 輸出の成功事例① 香港では「愛・日本料理」キャンペーンにより日本食に対する忌避感を 払拭 WHEN ▪ 2011年5月25日~6月15日 WHO ▪ 香港日本料理店協会(フランキー・ウー 会長)が主催 ▪ 香港の200以上の日本料理店が参加 WHAT ▪ 毎週水曜日を日本料理「半額の日」とし、 「50%優恵、100%安心」をスローガンに プロモーション ▪ 開幕パーティーには、香港行政長官をは じめ政府高官や立法会議員、日本総領 事等が参加し、日本食の安全性をア ピール ▪ 震災後倒産する日本食レストランも少な くなかったが、7月には需要がおよそ 80%回復、震災前よりも売り上げが増え たという店も出るようになった | 40
  • 42. 輸出の成功事例② シンガポールでは北海道の食が強いブランド力を確立 北海道産食品のアンテナショップ 北海道フェア@伊勢丹(2011.7) 北海道フェア@伊勢丹( ) (2011.10.28オープン) オープン) ▪ 大勢の客で賑わう北海道フェア ▪ 日系の明治屋スーパーマーケットに 北海道産食品を取り扱うアンテナ ショップ「カムイン北海道」がオープン (北海道貿易物産振興会設置) ▪ スイーツ、菓子類、調味料、水産物な ど約200品目を扱う ▪ 「白い恋人」コーナーが大人気 | 41
  • 43. まとめ 復興の進捗 今後のチャレンジ ▪ 水産業、特に水産加工での遅れが目 ▪ 水産業のサプライチェーンに死活的 インフラ 立つ に重要なのはインフラ復旧のスピー ▪ 港や企業による差が大きい ドアップ ▪ インフラが整備されるまでの事業再 開支援 ▪ 80%の消費者が不安 ▪ 安全と共に安心を担保する検査体 安全安心 制 ▪ コミュニケーション上の課題が大きい ▪ コミュニケーションの改善 ▪ 生産再開と同時に販路の確保が大きな ▪ 販路確保の支援 生産・加工 課題 ▪ 6次産業化による付加価値向上 ▪ 付加価値を反映したプライシングも重 要 ▪ 安心を求める消費者の声への懸念に ▪ 販売側企業の取り扱いインセンティ 販売 よる東の食取扱いのためらい ブ ▪ 既存のチェーンオペレーションとは異な ▪ トップコミットメント るスキームの必要性 ▪ 国による差が大きく、特に中国の落ち ▪ 他国政府及び消費者が安心できる 輸出 込み大 輸出体制 ▪ 一方、ほぼ回復している国も多い |