環境経済論研究室2014年度研究内容（一部）

1. それでも僕らは肉を食べる
第20期廣政ゼミ 環境経済論研究室

2. ◇目次
1．テーマ設定の理由
2．食肉の現状
3．食肉の問題
4．食肉に関するアンケート
5．新しい食肉の形態
6．総括

3. 1．テーマ設定の理由
 私たちは肉が好きです。しかし、牛肉、豚肉、
鶏肉、どの肉を食べる時も動物としての牛、豚、
鶏の姿を想像することはありませんでした。
 肉に関してゼミ生で話し合いをすると、肉に対
してイメージするものは、焼肉、生姜焼き、牛
丼などの食べ物ばかりでした。
 牛、豚、鶏の動物としての姿は出てきませんで
した。私達にとって身近な肉はスーパーなどの
棚に陳列されている肉であったのです。

4. 2．食肉の現状
 ファストフード
→松屋、マクドナルドetc.
 焼肉(牛角、安楽亭)
→輸入肉

5. ◇主な肉の種類
牛肉 豚肉
鶏肉

6. ◇牛・豚・鶏肉の種類・銘柄
品種→黒毛和種、乳用種、交雑種
 牛肉
銘柄→但馬牛、神戸ビーフetc.
品種→デュロック、ランドレース、ヨークシャー、
バークシャー
 豚肉
銘柄→東京X、黒豚etc.
品種→ブロイラー、地鶏
 鶏肉
銘柄→比内地鶏、名古屋コーチンetc.

7. ◇生産量、消費量、輸入量（牛肉）
単位：千トン

8. ◇生産量、消費量、輸入量（豚肉）
単位：千トン

9. ◇消費量、生産量、輸入量（鶏肉）
単位：千トン

10. ◇価格（牛肉）

11. ◇価格（豚肉）
0
50
100
150
200
250
300
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26
豚ロース（ 円/100g）

12. ◇価格（鶏肉）
0
20
40
60
80
100
120
140
160
1年度
2年度
3年度
4年度
５年度
６年度
７年度
８年度
９年度
１０年度
１１年度
１２年度
１３年度
１４年度
１５年度
１６年度
１７年度
１８年度
１９年度
２０年度
２１年度
２２年度
２３年度
２４年度
２５年度
もも肉（円/100g）

13. ◇食料自給率
農林水産省HPより
65％
39％
26％

14. ◇食肉別の自給率
0
20
40
60
80
100
120
昭和４０ 50 60 平成7 17 18 19 20 21 22 23 24 25
牛肉
豚肉
鶏肉
41％
54％
66％

15. 3．食肉の問題
工業的 環境
輸入飼料

16. ◇工業的生産の問題点
 多頭飼育
 生産者と消費者の距離

17. ◇生産者と消費者の距離
 昔→肉屋
 現在→スーパーマーケット
→パッケージ化された肉

18. 距離が開く
お互いの顔が見えない
なぜか？

19.  大量生産・大量消費の時代
→安価、屠殺、工業的生産
 食文化・食生活の変化
→ファーストフード、中食、冷凍食品

20. ◇輸入飼料の問題
 飼料自給率 ２６％
大部分を輸入飼料に頼っている

21. ◇飼料自給率の現状と目標 (粗飼料）

22. ◇飼料自給率の現状と目標 (濃厚飼料）
濃厚飼料
○穀類
（とうもろこ
し、米等）
○糖類
（フスマ、米ヌ
カ、等）
○粕類
（大豆油粕、豆
腐粕等）
○動物質性飼料
（魚粉等） 国産12％
輸入
88％
（25年度概算）
国産19％
輸入
81％
（32年度概算）
飼料全体 74％ 62％

23. ◇環境への問題
 排泄物
→病原菌や有害物質による地下水・河川
の汚染
→餌に含まれるリンが河川を汚染
対
策
糞尿を肥料にする！

24. ◇環境への問題
 反芻動物のゲップ（主に牛、シカも）
→メタン CO2の20倍以上の温室効果
→家畜が世界の温室効果ガスの3分の1を
排出
対
策
飼料を変えることで軽減可能！

25. ◇アニマルウェルフェア

26. ◇主な食肉偽装事件
 雪印牛肉偽装事件
 日ハム偽装事件
 ミートホープ事件

27. ◇BSE問題(牛海綿状脳症)
 ・いわゆる狂牛病のこと
・初の発生報告 1986年
・欧州を中心に日本含め２４か国で発生
トレーサビリティ制度

28. ◇食肉に関するアンケート
 アンケート内訳
→予備調査としてアンケート調査を実施した。
アンケートでは、消費者の食肉に対する意識とシ
カ肉消費への意向について聞いている。アンケー
トは平成26年10月中旬に学生を通じて配布した。
回収は57枚である。
女性 男性 合計
10代 １ ２ ３
20代 ９ １０ １９
30代 ２ ５ ７
40代 ３ ３ ６
50代 １０ ５ １５
60代以上 ３ ４ ７
合計 ２８ ２９ ５７

29. ◇肉への嗜好
33%
37%
21%
9%
Q. 肉を好んで食べている
よく該当する
該当する
どちらとも言えない
あまり該当しない
該当しない

30. 23%
31%
23%
16%
7%
Q.あまり意識せずに肉を食べている
よく該当する
該当する
どちらとも言えない
あまり該当しない
該当しない

31. 30%
23%
25%
10%
12%
Q. 輸入か国産かを気にしている
よく該当する
該当する
どちらとも言えな
い
あまり該当しない
該当しない

32. ◇生産者と消費者の距離
10%
18%
16%
21%
35%
Q. トレーサビリティ（牛肉）がなんであるか知っている
よく該当する
該当する
どちらとも言えない
あまり該当しない
該当しない

33. 2%
21%
30%
31%
16%
Q. 飼育から食卓までの過程を知っている
よく該当する
該当する
どちらとも言えない
あまり該当しない
該当しない

34. 2%
17%
35%21%
25%
Q. 生産者の顔が分かるものを買うようにしてい
る
よく該当する
該当する
どちらとも言えない
あまり該当しない
該当しない

35. ◇クロス集計
 「肉を食べる頻度」と各項目との関係を
分析した。

36. 問6 あまり意識せず肉を食べていることが多い
問3 肉を食
べる頻度
よく該当す
る
該当する
どちらとも
言えない
あまり該当
しない
該当しない 総計
毎日 57% 29% 0% 0% 14% 100%
ほぼ毎日 22% 44% 11% 6% 17% 100%
1週間に2、3
回程度
19% 19% 35% 27% 0% 100%
1週間に1回
度
0% 60% 20% 20% 0% 100%
総計 23% 32% 23% 16% 7% 100%
→肉を毎日食べる人はあまり意識していない？
1週間に2,3回、1回は多少意識している

37. →毎日食べる人の方が安さを重視している
問10 肉の価格は安い方が良い
問3 肉を
食べる頻度
よく該当す
る
該当する
どちらとも
言えない
あまり該当
しない
該当しない 総計
毎日 14% 57% 14% 0% 14% 100%
ほぼ毎日 11% 39% 39% 11% 0% 100%
1週間に2、
3回程度
15% 23% 31% 19% 12% 100%
1週間に1回
度
20% 20% 20% 20% 20% 100%
総計 14% 33% 30% 14% 9% 100%

38. →肉を食べている人のほとんどがプロセス
を知らない
問15 飼育から食卓からの過程を知っている
問3 肉を
食べる頻度
よく該当す
る
該当する
どちらとも
言えない
あまり該当
しない
該当しない 総計
毎日 0% 14% 29% 43% 14% 100%
ほぼ毎日 6% 22% 28% 28% 17% 100%
1週間に2、
3回程度
0% 27% 27% 27% 19% 100%
1週間に1回
度
0% 0% 60% 40% 0% 100%
総計 2% 21% 30% 32% 16% 100%

39. →肉を毎日食べている人の方が気にしていない
問18 国産品（食料自給率の向上につながるもの）を買うようにしてい
る
問3 肉を
食べる頻度
よく該当す
る
該当する
どちらとも
言えない
あまり該当
しない
該当しない 総計
毎日 14% 14% 14% 29% 29% 100%
ほぼ毎日 17% 17% 22% 33% 11% 100%
1週間に2、
3回程度
23% 23% 27% 15% 12% 100%
1週間に1回
度
20% 0% 60% 0% 20% 100%
総計 19% 18% 26% 23% 14% 100%

40. ◇アンケートの考察
問３を軸にクロス集計を行った結果、肉
をよく食べる人ほど安い肉を好み、飼育
から食卓までの過程を知らず国産品のも
のを購入しないということがわかった。
→肉をよく食べる人ほど、安い肉を好
み、生産工程を知らず、意識して食べて
いないということがわかった。

41. 私たちが普段食べている食肉がどのように生産されて
いるか知っていますか？
たくさんの動物が肉になるためだけに工業的に育てら
れています。
食肉を生産するときには、飼料が必要ですが日本では
ほとんど飼料の生産ができないため、輸入の飼料に
頼っているのが現状です。
それは、食料自給率の低下の原因となっています。
また、家畜の糞尿は周辺の環境を悪くする場合があ
り、メタンガスや家畜のゲップが地球温暖化の１つの
原因になっているとも言われています。
私たちが、普段食べている食肉にはこのような背景が
潜んでいるのです。
◇Q30,31

42. →背景を知っていても知らなくても、私た
ちは肉を食べる
問31今後とも今と変わらずお肉を食べると思いますか
問30背景を知ってい
ましたか
よく該当す
る
該当する
どちらとも
言えない
あまり該当
しない
総計
よく該当する 71% 29% 0% 0% 100%
該当する 25% 70% 0% 0% 100%
どちらとも言えない 25% 63% 13% 0% 100%
あまり該当しない 8% 58% 25% 8% 100%
総計 30% 56% 9% 4% 100%

43. 4．新しい食肉の形態
 野生生物による農作物の被害が年間
 天然肉の価値
 ヘルシー
２００億円
 シカ肉

44.  こめ育ち豚
 山形県庄内平野
 生活クラブ生協との連携
 飼料用米で食料自給率の上昇
 糞尿の利用で環境問題に貢献

45. 13%
32%55%
問32-2 飼料米を食べさせた肉を
知っていますか
食べたことがある
聞いたことはある
が食べたことはな
い
知らない

46. Q37,38
山形県庄内平野で作られている。
同地域は水田が多く米どころとしても有名だ
が、近年は農家の高齢化や耕作放棄地の問題が心
配されていた。
輸入の飼料を少しでも減らし、日本の食料自給
率を高めるために、水田に飼料用米を作り、豚に
食べてもらおうと始まった。
豚の尿を肥料として飼料用米の生産に使うこと
で地域循環型の農業に近づくことができ、環境に
も良い。

47. こめ育ち豚を食べてみたいと思いますか
よく該当
する
該当する
どちらとも
言えない
あまり該当
しない
該当しない 総計
食べたことがある 29% 14% 43% 14% 0% 100%
聞いたことはあるが食
べたことはない
50% 44% 6% 0% 0% 100%
知らない 39% 45% 3% 13% 0% 100%
→コメ育ち豚を食べてみたい、知らないと
いう人もこめ育ち豚の情報を知ったことで
食べてみたいと回答している。

48. 14%
36%
19%
17%
7%
7%
問38-1 こめ育ち豚を食べてみたい
キーワードを教えてください
豚肉
米で育つ
輸入飼料の減少
地域循環型農業
尿の肥料化
その他

49. 5．総括
 生産者と消費者の距離を繋ぐことが大切
である
 消費者は生産過程を知るべきである
 こめ育ち豚のような肉は私たちにそのこ
とを考える機会を与えてくれる