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伝統に関する調査
2017/6/17
第三回祭り検討会
yuchi
もくじ
• はじめに
• 最初に結論
• 読んだ本
• 伝統事例
• おわりに
はじめに
前回の問題整理(https://www.slideshare.net/
yukihirosakai/ss-73631918)より、祭りの分類と伝
統に関しての調査をすべきと考えたが、直近で関心高
いのは「伝統」の方だったので、「伝統」について調
べてみた。とりあえず今回は調べただけ。調べたって
いうか本読んだだけ。読んだ本をわかる範囲でまとめ
たり、面白かった所をかいつまんでみたりする。なん
か、文字ばっかでkeynoteでつくる意味あんのかって感
じ。pagesでよかったんじゃないかと自問自答してる。
最初に結論
本読んだだけなので先に(俺が感じた)結論を書
く。近年創られた伝統にはトップダウン型とボトム
アップ型があって、各々、
 トップダウン型:統治にかかる合理性
 ボトムアップ型:経済合理性
によって生まれている気がする。それらが受け入れ
られる根底にはナショナリズムが見え隠れする。
読んだ本
とにかく難しい。イギリスの文化・歴史・地理がわかってないと理解で
きない。
なんとかがんばって全部読んだけども8割以上理解できてない。
理解するためにイギリスについてかなり勉強しないと無理。
事例紹介にこの本の内容を書いてるけども理解があれだし、
簡単に解説してるネット上の記事とかも参考にしてるからあってるかど
うかわかんない。だからこの資料に書いてる事は「俺はこう理解した」
というところで留めておいてほしい。
間違いがあったら教えてくれると嬉しい。
創られた伝統
エリック ホブズボウム(編)ほか
1992年
紀伊国屋書店
すごい簡単。薄い。楽に読める。
良い事だらけっぽいけども、著者たちが随所に垂れ流す濃厚なイデオロ
ギーが鬱陶しい。本だから書きたいこと書けばいいと思うけども読む方
はイデオロギーあるとげんなりする。
逆に、イデオロギーありきな感じがするので内容の信ぴょう性も、少し
どうなのかなってところもあったりでなかなか難しい。
政府が教育にイデオロギー忍ばせて戦争がうんちゃらって感じの批判し
つつ、自分たちもこういう本にイデオロギー忍ばせてるのは実は質の高
い自虐的なブラックユーモアか何かなんじゃないかと思えるレベル。
「伝統・文化」のタネあかし
千本 秀樹ほか
2008年
アドバンテージサーバー
これも結構重たい。重たいけども日本のこと書いてあるからなんとなく
わかる。何となくわかるけども、細かいところわかんない。何とか藩と
か仏教の何とか宗とか言われても頭に思い浮かばないのでやっぱりつら
い。そして江戸とか明治の文献引用が結構あるんだけども、現代語訳が
ないからすごいつらい。
明確に伝統の話は書いてないけども、興味ある領域なので読んでみた。
実はまだ読みかけ。これはまた別の機会に引用する機会出てきそう。
明治政府も色々大変だったんやなって思えたり思えなかったりする。
神々の明治維新-神仏分離と廃仏毀釈
安丸 良夫
1979年
岩波書店
全然関係ないんだけども、太田好信の「文化の客体化」って考え
方がすごい面白そう。
さらっとしか読んでないから深くはわかってないけど、客体とし
て認識される事を通して文化的な価値を再発明するみたいな感じ
なんじゃないかなってフワッと思ってる。主体だけだとよくわか
んないけど客体として認識されることにより、その認識された都
合のいい客体として主体を再構築するみたいな?量子の世界っぽ
い?よくわかんないのにまた専門用語使って失敗したら恥ずかし
いからこの辺にしておく。
客体としてっていうか、他者から区別を明確にされて発生する差
別とか民族衝突みたいなものもなんかこのあたりなのかなと思っ
たり。
このあたりもなんか興味わいたので詳しい人いたら教えてくださ
い。
伝統事例
スコットランドの伝統
スコットランドのキルトも氏族毎に異なる模様の
チェックがあるとかないとか、結構最近発明された
もの。
スコットランドはアイルランドからの流入が多い。
でもどっかのタイミングでスコットランドとしてのナショナル
アイデンティティの確立が必要になる。
文化的にも民族的にもアイルランドなのに、スコットランドと
してのアイデンティティを確立するために意図してか意図しな
いでかはわからないが、所謂スコティッシュネス、スコットラ
ンドらしさを発明してしまう。
スコットランドはアイルランドからの流入民なのに、元々ス
コットランドにいた人がつくりあげた国で、アイルランドが自
分たちの文化を奪ったという歴史的ねつ造までしてしまう。
キルトの発明はイングランドとスコットランドが合
同(1707年)した後にイギリス人が発明。更に氏
族毎に異なる柄っていう設定は更に後になって発明
される。近年に発明された物なのにずっと昔からあっ
たってねつ造をしてかなり喧伝してしまう。
キルト発明の時系列を示したいのだけども、用語の
意味とか歴史的背景がわからないのでここからはホ
ントイメージで考えるのではなく、感じ取ってほし
い。
十七世紀
 スコットランドでは肩掛けをかぶり腰でベルトみたいな服装だった。
十八世紀
 イギリス人経営者が工場つくってたくさんのスコットランド人雇うんだけど、スコットラン
ド風の服装だとペラッペラして作業やりにくい事この上ない。そこでこのイギリス人経営者が
作業者がもっと動きやすい様にフィリベグ(小キルト)を発明。するとむっちゃ便利やし動き
やすいので大流行しちゃう。
〜1745年 スコットランドで大反乱が起きてスコットランドっぽい衣装とか文化的な物が全面
的に規制される。そんで一回このあたりの文化は一回消滅する。
抑圧されて一回消滅してしまったが故にロマンになって、懐古的になってフィベリグとかキル
トみたいな元々は高山地方の低所得者しか着なかったものを貴族階級のスコットランド人が着
始める。普段着としてでなく社交場に着ちゃうからなんかすごいあつらえになる。
別のルートとして高地地方の軍隊は何故か文化規制が当てはまらなくって、フィベリグとかキ
ルトっぽいものを軍服として採用し続けている。んで、軍隊なもんだから連隊毎にタータンの
柄を変えちゃったりしてる。
まだ先はあるんだけど時間ないし面倒だから、ふわっとまとめる。
フィリベグとかキルト衣装が実はごく最近に発明されてたって話なん
だけど、抑圧されて禁止されちゃったもんだから俺たちの誇りを取り
戻せ的な感じになって伝統的な衣装を着て「ウォー!スコティッ
シュ!スコティッシュ!」みたいな動きあって、そこに繊維業界が
「これ色んな柄にしたらおしゃれで売れるんじゃね。氏族毎の伝統の
柄って事にしていっぱい柄つくるお。。。」ってマーケティングが大
成功して、今に至る。
氏族はなんか伝統と誇りを手に入れるし、繊維業界は儲かって儲かっ
てウハウハだしみんな幸せ。スコットランドの誇りはスコットランド
で工場経営したイギリス人が考案したものという事実はどっかいって
しまったけども。たぶんこれもイギリス流のブラックジョーク。
※内容がすごい難しいのでかなり俺の独断と偏見と空想入ってるから鵜呑みにすんなよ。 
でもだいたいあってるとおもう。
アフリカの部族は宗主国が創った
イギリス人は統治しているアフリカの国で、「部族があって、
人々はその部族に属している」と誤った理解を示した。実は
人々は「部族に属している」のではなく、「植民地的枠組みの
中で活動するために部族を創造した」のである。らしい。
要するに統治者は統治するためにある程度まとまりあった方が
楽、統治される者は統治者からの指示をこなす単位(ある程度
のまとまり)があった方が楽っていう双方合理的な状況があっ
て、それが相思相愛的に絡み合って部族が既成事実化しちゃう
みたいなそんな悲しい話。
イギリスは間接統治が好きだったので、現地の偉い奴選んでそいつら
にイギリスの良い様に統治させるって手法を好んで使う。アフリカで
もそうした。現地の偉い奴ってのが部族の首長。
でも、当時のアフリカでは別に部族というのは縦割りじゃなかったっ
ぽい。割と流動的で、こういうときはあっちの集まりに混ざって活動
して、ああいう時はまたこっちの集まりで活動してみたいな緩いつな
がりあいだったみたい。でも、前述の様な間接統治の要請により徐々
にコミュニティ間の縦割りを深めて行き部族を創り出して行く。
それは宗主国からの強い要請で強制的に行われて行ったという話だけ
ではなく、むしろ首長の権力を揺るぎなくするために都合がいいとい
う現地権力者の都合も大きいっぽい。そしてその権力拡大と保持のた
めに「伝統」をねつ造し「伝統」を楯にし始める。
※もうここまでで限界。具体例出したいけども今日はここら辺で。
日本の国教
今の日本に国教はない。なんかふわっと神道っぽく感じる人もい
るかもしれないけども、日本に国教は無い。「日本は天皇を中心
とした神の国」的世界観は昔もあった様だが、仏教と神道の神仏
習合でそのあたり有耶無耶になって、明治の頃に「やっぱ天皇は
神っすわ」って宣言出て国家神道により日本を統一しようとした
のが効いてる。幕藩体制下だと藩が一つのクニみたいなものだっ
たので、欧米に対抗するために日本という国家を造り上げて国に
一体感をもたらすために神道と天皇を利用しようとしたのではな
いかと推測する。
祖霊信仰アニミズム 氏神信仰 その他なんか色々
なんかどっかの
タイミングで神道になる
というか後世の人が神道って
一括りにしたのかな
古事記、日本書紀は8世紀
仏教
6世紀に仏教伝来
はじめは仏教も神道も別物
というか神道という概念ない?
どっかで仏教が権力と結びつく
そして習合が起こり仏教の勢力が強くなる
たぶん平安あたり
江戸中期後期くらいに
藩に依っては神仏分離が起きて
少し神道盛り返す
明治の神仏分離で廃仏毀釈で寺あぼーん
国家神道でうまく行かなかったから
寺に助け求めて仏教少し回復
敗戦によりGHQに怒られる
現代:どっちがどうだろうと割とどうでもいい
神前結婚式
庶民の結婚式自体が近現代のものなのであれなのだけど
も、日本式の結婚式というと神社でやる神前結婚式が伝
統みたいな格好になってる。しかし、神前結婚式の儀式
が創られたのは1899年。実施は1900年の大正天皇の結
婚式が初めて。その後、東京の神宮奉賛会(現在の東京
大神宮)が皇室の婚儀を参考にして民間での「神前結婚
式」の様式を定めて、改良を重ねて今に至る。まあ、俺
には関係ない話だな。
標準語と鶏の鳴き声
明治になって国を統一せないかんという事で、現在「日本語」と呼
ばれてる「標準語」を造った。明治維新に失敗して西洋諸国のどっ
かの植民地になってたら、白人様の調査により、「日本は地域によ
り10の言葉を話す」的な感じで今の方言が日本語とは別の言語とし
て確立していた可能性はすごいあると思う。現状にしたって琉球沖
縄やアイヌもあるしな。大阪語もあるし。
日本には方言はあれど、インドなんかの様に国の
中に複数の言語はないとされている。日本で公用
語を法律で定めてないけども、日本語が事実上公
用語。とは言え、沖縄の言葉だって青森あたりの
浜言葉だってアイヌ語だってもう聞いててわから
ん。あ、道産子だけども俺アイヌ語で話してると
ころを聞いた事は無いわ。
鶏が「コケコッコー」と鳴くのは明治に決まった。
尋常小学校の教科書で鶏が「コケコッコー」って鳴
いた(らしい)。それまでは時代と地方により鳴き
方は異なっていた。明治政府は日本の鶏の鳴き声を
統一したのである。
室町以前:カケ、カケロ
室町あたり:コウコウコウ
江戸:トーテンコー
明治以降:コケコッコー
青森:ケッケロ
山形:コケコオエエ
石川:ケッケリダンベ
奈良:コカコッコオ
山口:カケロオ
鹿児島:カッカコバナ
沖縄:コウコゴッコオ
国民的古典歌集?
万葉集
 7世紀後半から8世紀後半にかけて編まれた日本に現存する最古の和歌集である。天皇、貴族から下級官
人、防人などさまざまな身分の人間が詠んだ歌を4500首以上も集めたもので、成立は759年(天平宝字3年)
以後とみられる。
(wikipediaより抜粋)
俺はそんな実感ないんだが、国民的古典歌集と言われて
るらしい。万葉集が注目されたのが実は明治。正岡子規
によって再評価された説がある。正岡子規はアンチ古今
和歌集のノリで万葉集マジぱないっすの精神で紹介した
らしい。アンチ古今和歌集であれば何でもよかったっぽ
くって、正岡子規は実は万葉集ちゃんと読んでない説と
かあって、正岡子規もやっぱ明治の雑な時代に雑に生き
てたんだなって思うと色々親近感湧く。
福沢諭吉が言っていた「日本には政府ありて国民なし」を改善しようと奮
闘した明治政府って言うシナリオを信じるなら興味深い話だと思う。
全然関係ないんだけども「学問のすすめ」は一回読んでおいた方が良い。
それでその万葉集なんだけども、天皇から庶民ま
で様々な人が詠んだ句が掲載されているというふ
れ込みが曲者で、当時読み書きできる庶民なんて
いないじゃんという話。
日本は古来より「天皇から庶民まで文化を共有し
ていた」という事実を造りたくて、明治政府がこ
れを利用した説がある。
喪服の色
喪服は明治中期あたりまで白が主流だった。
諸説あるが伝統を創ったという観点での説でいくなら、西洋の文
化が流れ込んできて白人様は喪に服すときは黒!白は喪に適さな
い!っていう事がわかって白人様に白い葬式見られたら恥ずかし
いから黒にした説。1912年の明治天皇崩御の際に黒の喪章着用が
決められてそのあたりから葬式に黒が定着した説。
戦争の影響で葬式が多くなっちゃって白い喪服だと汚れが目立つ
説とか色々あったりするけども、外国の目を気にして日本の伝統
は恥ずべき物みたいな考えで西洋式にしちゃう説の方が明治政府
かわいくて好き。
おまけ
神社DBつくりたい。茨城県神社庁がつくってる神
羅という神社DBがものすごくよくって、祀ってい
る祭神もまたDBになってるし見た目もなかなか良
い。惜しむらくは茨城県の神社庁がつくってるから
茨城県の神社しか載ってない。これを全国規模で勝
手にやって最終的に日本で唯一にして最大の神社
DBっていう既成事実つくって神社庁から管理費か
すめ取るみたいな事やりたい。
おわりに
結局ただの読書感想文的な感じなのだけども、本誌
か読んでないので仕方ない。祭り云々もあるけど
も、伝統に関する平田仮説を裏付ける証拠や否定す
る現象なんてものを探したかったんだけども、そう
いったものは今回読んだ物の中には含まれていな
かった。
個人的に面白いと思う分野なのでもう少し調査を続
けてみたいと思う。

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