図書館ガイダンスの刷新による利用状況への影響の検証
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INFOPRO2017 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム（2017年11月30日）
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図書館ガイダンスの刷新による利用状況への影響の検証
- 1. 図書館ガイダンスの刷新によ る利用状況への影響の検証 吉野知義（神田外語大学） 菊地高志、白幡恵子（富士通株式会社） INFOPRO2017 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム 30 Nov. 2017
- 2. 発表概要と目的 • 図書館の利用状況は年間の入館者数、貸出冊数 で測られる – 文部科学省「学術情報基盤実態調査」 – 日本図書館協会「日本の図書館」 • 年間の数値では、個々の、短期間における活動 の効果は測れない • 様々な活動を行っているので（ガイダンスの内 容を刷新したので）その効果を測りたい（見え るとうれしい） • ガイダンスの内容を刷新は利用状況に影響する のかどうかを検証
- 3. 発表の内容 • 神田外語大学（図書館）について • ガイダンスについて • ガイダンスの内容の刷新と対象について • 検証の方法 • 検証の結果 – それぞれの資料種別と貸出冊数、入館者数 • まとめ（分析面・運営面） • 今後の課題
- 4. 神田外語大学について Kanda University of International Studies 4 在籍者数（2017年度） 3,949名 男（1,095名） 女（2,854名） 入学者数（2017年度） 952名 英米語学科（413名） アジア言語学科（180名） イベロアメリカ言語学科（138名） 国際コミュニケーション学科（221名） 在籍者数（2017年度） 42名 修士：英語学専攻（32名） 修士：日本語学専攻（9名） 博士：言語科学専攻（1名） 入学者数（2017年度） 10名 修士：英語学専攻（4名） 修士：日本語学専攻（6名） 博士：言語科学専攻（0名） 1957年 セントラル英会話学校開設（東京・神田） 1964年 神田外語学院へ名称変更 1987年 神田外語大学開学（千葉・幕張） 2008年 7号館（新図書館）完成 大学 外国語学部 大学院 言語科学研究科 沿革 千葉県千葉市美浜区 （幕張） 所在地 外国語学部のみの 単科大学
- 5. 神田外語大学図書館について 基本データ（2016年度） 蔵書数 貸出冊数 入館者数 179,189冊 和（116,509冊） 洋（62,680冊） 23,531冊 162,812人
- 6. ガイダンスについて • 学部１年生（前期）必修科目「基礎演習」 – 大学で学び、研究していくための基礎を身につける ことを目的 – テーマの探し方、文献・情報の検索の仕方、テキス トの読み方、データの処理法、プレゼンテーション の方法、レポート・論文作成の方法等の基礎を、実 践的に学ぶ – 2,400文字のレポート課題 • 授業１回のなかで約60分 – 図書館職員（3～4名）が交替で担当 • 実施期間 – 4月下旬～5月中旬（授業第2週～第4週）
- 7. ガイダンス内容の刷新について 《見直し前（～2015年度）》 《見直し後（2016年度～）》 目的 時間 構成 （分） 図書館の利用方法の説明・周知 論文を書くための、確実な情報の 探し方の習得 約60分 約60分（変更なし） ①OPAC説明・検索実習（40） ②電子資料の紹介（10） ③図書館サービス紹介（10） ◯確実な情報源について（10） ①新聞・DBの活用方法（12） ②辞書・DBの活用方法（12） ③論文・DBの活用方法（12） ④図書・OPACの活用方法（12） 手段（図書館サービス・ツール）の 説明 目的（論文作成）の達成支援主旨 見直しのきっかけは、2015年に開始した富士通㈱とのFI（Field Innovation）活動 あるべき姿の再認識、課題の抽出や施策立案、改善活動と見える化など
- 9. 検証の方法について • 検証データ – 電子資料利用統計（各システムから取得） • ①辞書・事典、②新聞、③論文 – OPAC検索回数（図書館システムから取得） • ④図書 – 貸出冊数（図書館システムから取得） • ④図書 – 入館者数（入退館ゲートの記録から取得） • 2015年⇔2016年を比較検証 – ガイダンス実施前後を含む、4月～7月 – 月ごとの合計数と4月～7月の合計数で比較
- 10. 辞書・事典 本文表示回数 • ブリタニカ・オンライン • Britannica Academic • ジャパンナレッジ ガイダンス実施直後の5月に利用が増加した
- 11. 新聞 本文表示回数 • ヨミダス文書館（読売新聞） • 聞蔵Ⅱビジュアル（朝日新聞） ガイダンス実施直後の5月に利用が増加た
- 12. 論文 本文の表示・ダウンロード数 • EBSCO Academic Search Elite • CiNii Articles CiNiiは全体的に増加し、6月の増加が顕著であった 一方、英語論文のEBSCO Academic Search Eliteに伸びは見られなかった
- 17. まとめ（分析面） • 全体として、利用状況には増加が見られた • ガイダンスの内容の刷新は、図書館の利用状況 によい影響があったと考えられる • 資料の種類によっては、減少している期間があ るが、レポートのテーマ設定から詳細な資料の 読み込みを経たフローに準じているとも考えら れる（あるいはこれが明確化したか） 4月 5月 6月 7月 辞書・事典 新聞 論文図書 執筆？
- 18. まとめ（運営面） • 大学図書館でのガイダンスは学習支援の一環と して大きな位置付け • ガイダンスの目的や主旨からの見直しは大規模 であり、結果的によい内容となった – 教員からの評価も良好であった • このような改善を、その実施期間を特定した検 証を行うことで数値的に確認することができた それによって、 改善や相違・工夫が利用状況に影響し、図書館利用を 活性化させることをスタッフや関係者が改めて認識で きたことに意義があると考えられる
- 19. 今後の課題 • 個人の属性を判別できると細かい分析が可能 – 電子資料の利用統計はIPアドレス認証のため、全学単 位での数値となる – 入退館ゲートで個人認証 • このような検証（分析）をより容易にできる仕 組みづくり – 電子資料の利用統計の定期的な取得・管理の体制 – 図書館システムからの抽出 – 分析のパターン化
- 20. 最後に • 大学図書館における利用実態の検証において、 利用状況に変化を及ぼす要因が図書館内外に多 い – 図書館内施設の改修（ラーニングコモンズ） – 定員の増減 – カリキュラムの改変 – 学部・学科再編 – 学内施設の新設（新図書館建築） – キャンパス移転・統廃合 本学において2015年・2016年は、このような要因が発生し なかったため、ガイダンスの刷新とあわせた検証が可能とな り、貴重なデータと結果が得られたと考えている。