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研究概要 イントロダクション
- 2. • 幹細胞概要 • ラマン分光法概要 • 今後の展望
- 3. 再生医療での幹細胞の応用 再生医療とは・・・損傷を受けた生体機能を幹細胞などを用いて復元させる医療 • 臓器移植とは異なりドナー不足などの問題を克服でき る． • 従来法では治療困難である疾患や障害（脊髄損傷， パーキンソン病etc.）に対応可能 • 神経幹細胞 • 造血幹細胞 • 肝幹細胞 • 皮膚幹細胞 • 生殖幹細胞 体性幹細胞 多能性幹細胞 • iPS細胞 • ES細胞 幹細胞 体性幹細胞とは異なり、三胚 葉（内胚葉、中胚葉、外胚葉） に属する細胞系列すべてへと 分化し得る幹細胞．
- 4. 多能性幹細胞 ES細胞 iPS 細胞 • 本人由来の多能性幹細胞の獲得により 免疫拒絶の起きない臓器作成可能 • 生命倫理上の問題を回避 • 受精卵から作製するため，受精卵に 非常に近い能力を備えている • 適切な培養環境を整えれば半永久 的に分化多能性を維持できる 再生医療に多能性幹細胞を応用するため， 分化の過程にある細胞がどのような継時的 変化をしているのかといった，発生分化のメ カニズムを解明することが重要である．
- 7. ラマン分光法 ラマン散乱 （アンチストークス） レイリー散乱 ラマン散乱 （ストークス）分子 A レーザー (入射光） ラマン分光法とは・・・サンプルにレーザーを照射した際に生じる散乱光を測定すること で、 サンプル内の分子組成を解析する方法． • サンプルとしてもちいる細胞に，破砕 や固定，ラベリングは一切不要 • 測定時に照射するレーザーは細胞に 対して光毒性の少ないものを使用で きる． 細胞を生きた状態で測定できるため， 分化の過程を解析する手法として有 能である可能性があるといえる
- 8. 実験装置 ( 顕微ラマンシステム ) 共焦点顕微ラマンシステム レーザー波長：785. nm 測定点でのレーザーパワー： 50mW 露光時間：30秒×3回 対物レンズ：60倍(水浸), 測定時には小型CO2インキュベー ター内(CO2濃度 5%,37 ℃) で測定 →培養時と同条件で測定可能
- 9. ラマン分光法の生体物質への応用 • 生体を構成する主な物質は，ほぼ水と有機化合物で ある． （タンパク質，脂質，糖質，核酸，その他無機イオンな ど）細胞内の様々な情報をラマン分光法で取得することが 可能 • 測定に用いるレーザー光線の一般的な大きさは， 焦点を絞った状態で直径0.005 cm 細胞内の核などを選択的に測定可能 • 水のラマンスペクトルは弱く溶質のスペクトルをほとん ど妨害しない 血液や細胞内の水溶液中の物質に関しても測定可能 長所 短所 • 分子間の振動をみているため，測定したデータ同士 を比較して得られた変化がどの分子で起きたものか わからない． • 装置が高額であり，測定は暗室で行う必要がある．
- 10. タンパク質の測定 10001200140016001800 800 Rel.Int. Raman shift (cm-1) コンカナバリン A BSA • 似たような箇所にバン ドを確認できるものも あれば出方が異なる 箇所も存在する． • 1003 cm-1 付近にあら われている強いバンド はフェニルアラニン • 1650, 1260 cm-1 はβ シート構造が観測さ れる領域として知られ ている．
- 11. Cnt . ( n = 15 ) BPA 25 µM ( n = 18) BPA 50 µM ( n = 15 ) BPA 100 µM ( n =15) ( 計 n = 60 )1800 8001000120014001600 Rel.Int. Raman shift (cm-1) 1003 Phenylalanine1245 1321 Amide Ⅲ 1450 CH def. 1662 • AmideⅠ • C=C str. 神経分化誘導開始 5 日目 BPA無添加の細胞と濃度別に添加した細胞のラマンスペクトル 細胞の測定 スペクトルを見比べるだけでは詳細な解析を行うことはできない．
- 12. ラマン測定データを用いたケモメトリクス 取得したスペクトルデータをケモメトリクスを用いて解析をすることにより，細胞間で あらわれた分子組成変化を追及でき，より詳細なスペクトル解析を行うことができる -4 -2 0 2 4 -4 -2 0 2 4 6 cnt 50 µM PC2 PC 1 Cnt BPA50 µM ラマン分光法の測定を行って一つのサンプ ルから得られる情報は1024の変数である． 主成分分析（Principal component analysis) は ，解析に用いたサンプル間で最も大きな 分散が見られた成分を主成分（principal component：PC）1とし，その次に大きい分散 を示す成分をPC2，3番目に大きい分散を示 す成分をPC3としてデータ群の中に2本の直 交した軸をひくことでデータの低次元化し， 視覚化する方法． スペクトルを見比べるだけでは見分けることができなかったサンプル間の違いが PCAを行うことにより確認できた． しかし，PC1として現れたBPA添加の有無で生まれた細胞内の最大の変化が何の 分子で起きたのかをラマンスペクトルでは同定することまではできない．