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フクシマ県民不在の復興事業展覧会 
環境放射能対策・廃棄物処理国際展 
RADIEX2014(3回目) 
サブタイトル「復興事業と連携した放射能対策へ!」 
↓ 
2014年9月23日~25日 
主催:環境新聞社 
於:科学技術館 
参加企業127社
欠落した被災者の視点 見えない「地元と一体」の施策 
“環境放射能対策に特化した国内唯一 
の展示会” 7,633人が来場 
1.放射能対策 
2.放射性物質汚染廃棄物処理 
3.総合 
4.パブリック(環境省など) 
のスペースに分かれて企業ブースが 
置かれたほか、環境省や国立環境研 
などのフォーラムや企業のプレゼン 
テーションも行われた。 
来場者は企業、関係省庁、報道陣 
と見られるスーツ姿ばかりで、福島 
県民らしき姿は殆ど見られなかっ 
た。復興の主役であるはずの福島県 
民は本来優先的に招待されなけれ 
ばならないのではないだろうか?この 
展示を見てフクシマの人はどう思うの 
か非常に気になるところだ。 
①基調講演「除染事業の総括とそれら事業 
に関係する今後の展開」 
元環境省事務次官 谷津龍太郎氏(現顧 
問)狭い会場は立ち見が出た。 
原発事故が起きた際、それまでどの部署 
が除染を担うのか全く構想もなかったが、 
一元管理を必要として環境省が担うことに 
なった。 
環境省は「環境回復」を目的に除染と廃棄 
物処理を進めることになった。 
放射能は原子力基本法を主体として行うこ 
と、環境法は放射能は除くことになってい 
たので、放射性物質汚染対処特措法を改 
正し、これに除染等について定めた。 
「地元の皆様と一体となって進める」と説 
いたが、現実には全く姿形が見えない。 
地元とはもはやフクシマではなく避難区 
域あるいは一定以上の汚染地域のみを 
指すということか。
かえる変えられるフクシマ 被害者置き去り 
シンポジウム 
「復興事業と連携した環境放射能対策へ」 
環境省福島環境再生事務所長関谷毅史氏/国立 
環境研究所フェロー大原利真氏/川内村村長遠藤 
雄幸氏/大林組工事事務所長松谷英之氏 
コーディネーター 環境省大村卓氏 
◆国環研大原氏は環境回復事業による「環 
境創造」「環境成長」などを語った。 
それならなぜ環境影響評価(アセスメント)を 
軒並み除外するのか? 
さらに「環境産業」拠点とすることで2050年 
には9千人の雇用を回復、「知の世界発信」 
など体の良い言葉が続く。 
◆遠藤村長は全村帰還を目指して除染の 
必要性を強調。フレコンバックは20万袋、か 
かった費用は230億円。今後森林やため池 
除染など行うと1千億円かかる見通しで、ど 
こまでできるのか、費用対効果は、除染後 
農地は誰が耕すか等の課題を突き付けられ 
ているとのこと。 
◆大林組所長は「かえるかわうち 
JV」という名称で除染事業を実施、 
餅つきイベントを行うなどして積極的 
に住民の中に入り込み住民と一体 
になって復興を進めていることを強 
調。 
国の責任とは「環境の回復(除染)」 
であることが特措法に規定されている。 
これを都合よく拡大解釈し、除染= 
安全安心=住民帰還=心の回復 
とこじつけることにそもそもの無理が生 
じている。避難住民はこれを分かって 
いるからこそ、将来に希望を持てず自 
殺にすら追い込まれるのだ。 
住民に最も近い自治体の長は、こう 
した被害弱者の声に真摯に耳を傾け 
なければならないはずである。国の施 
策に乗せられるだけでは自殺者の増 
加に歯止めをかけることはできないだ 
ろう。
食い違う説明 
フォーラム 内閣府原子力災害対策本部 竹田憲氏 
福島・国際研究産業都市イノベーションコース 
ト構想~世界が注目する浜通りの再生~ 
◆廃炉へのチャレンジ:国際研究拠点、ロボット開発 
◆産業基盤:国際産学官、スマートエコパーク※1、 
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を利用したバイオマス発電 
ここでも「住民との連携」や「国の関与の在り方」などが 
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A.その場合でも放射性物質特措法 
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れまで再生事務所からは特措法は 
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本における今後の展開 
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務所所長 榎戸裕二氏 
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ただし福島の環境汚染から出たものは上限なしで 
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富岡町エコテック(産廃処分場)は10万㏃以下の 
「放射性物質として扱う必要のない廃棄物」を処分 
する。 
現在各国でも、極低レベルは(簡易埋設可)とある 
ように、産廃処分場への処分を検討しているとの 
こと。100万㏃/㎏もの廃棄物が生活圏のあちこち 
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復興ビジネス
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まるでお祭り 
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絶望的な乖離 
飯舘村、南相馬市、川俣町な 
どで除染を大展開する大成建 
設。のぼり旗に住民の帰還へ 
の思いを掲げ「思いの共有」、 
「コミュニケーションによる安全 
安心」を謳っている。
日立造船のブースで質問してみた。 
「全国でも実績の乏しい奇妙な焼却炉を鮫川 
村に持って来たのはなぜですか。」 
一人は「技術者だから分からない」と言って逃 
げ、もう一人の事業部の人はシドロモドロ。 
「通常手がけているのは大型の焼却炉でして… 
小型のものはああいったものしかないんです」 
・・・・・『世界最先端の技術』なのに・・・ 
郡山市下水処 
理場における 
115億円もの仮 
設焼却炉ほか 
多くを受注した 
神戸製鋼。 
日立造船は鮫 
川村、川内村、 
浪江町で受注。
行政・企業・研究者そして市民の責任 
原子力研究開発機構(JAEA)のブースで質問 
した。 
Q.焼却処理の安全性を説いているが、処理 
の過程のみで解体やその先についての説明 
はない。鮫川村においてもJAEAが焼却の有 
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実証事業に使われた焼却炉はどのように解 
体し処理されたのか。粉じん飛散対策や処分 
先などはどうなっているのか。 
驚いたことにそこにいた4~5人の技術者は 
福島での実証事業について何も知らず、答え 
られなかった。福島の復興事業に携わってい 
るにも関わらずである。 
現場を知らない技術者たち。研究室に閉じこ 
もる人たちにフクシマ県民の苦しみが伝わる 
はずもない。 
■その他■(主催環境新聞社「環境新聞」より) 
8月6日自民・公明両党の「復興加速化第4次提言」 
「福島復興は原発事故の克服 
~中間貯蔵施設の早期整備を」 
除染・廃棄物技術協議会事務局 三菱総研 佐藤 
理氏は同新聞でこのように言う。 
「放射能汚染という未曽有の国難に対する企業の社 
会的責任を果たす」 
税金使って果たす企業の責任とは何なのか。 
原発で利益を享受してきたのなら、自前で行うのが 
筋ではないか?そこに真の責任意識はまるで見え 
ない。 
未曾有の国難を引き起こしたのは誰なのか。 
誰にも責任を取らせず、臭いモノにふたをして再稼 
働に突き進む。核のゴミと借金のツケを次世代に押 
し付けて。 
そして何よりそれを許す私たち市民の責任もまた忘 
れてはならないと思う。 
すべてのフォーラムを聞きたかったが叶わず残念で 
ある。10月末に郡山市でサテライト版が開催される 
ので多くの県民参加を呼びかけたい。 
2014年10月30日(木)~31日(金)2日間 
「RADIEX in Fukushima」 
http://www.radiex.jp 
入場申込 
https://www.radiex.jp/entry_f/index.html 
シンポジウム申込 
http://tacrwm.jp/04_symposium/04_03_symposium. 
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フクシマ県民不在の復興事業展覧会 RADIEX2014 参加レポート

  • 1. フクシマ県民不在の復興事業展覧会 環境放射能対策・廃棄物処理国際展 RADIEX2014(3回目) サブタイトル「復興事業と連携した放射能対策へ!」 ↓ 2014年9月23日~25日 主催:環境新聞社 於:科学技術館 参加企業127社
  • 2. 欠落した被災者の視点 見えない「地元と一体」の施策 “環境放射能対策に特化した国内唯一 の展示会” 7,633人が来場 1.放射能対策 2.放射性物質汚染廃棄物処理 3.総合 4.パブリック(環境省など) のスペースに分かれて企業ブースが 置かれたほか、環境省や国立環境研 などのフォーラムや企業のプレゼン テーションも行われた。 来場者は企業、関係省庁、報道陣 と見られるスーツ姿ばかりで、福島 県民らしき姿は殆ど見られなかっ た。復興の主役であるはずの福島県 民は本来優先的に招待されなけれ ばならないのではないだろうか?この 展示を見てフクシマの人はどう思うの か非常に気になるところだ。 ①基調講演「除染事業の総括とそれら事業 に関係する今後の展開」 元環境省事務次官 谷津龍太郎氏(現顧 問)狭い会場は立ち見が出た。 原発事故が起きた際、それまでどの部署 が除染を担うのか全く構想もなかったが、 一元管理を必要として環境省が担うことに なった。 環境省は「環境回復」を目的に除染と廃棄 物処理を進めることになった。 放射能は原子力基本法を主体として行うこ と、環境法は放射能は除くことになってい たので、放射性物質汚染対処特措法を改 正し、これに除染等について定めた。 「地元の皆様と一体となって進める」と説 いたが、現実には全く姿形が見えない。 地元とはもはやフクシマではなく避難区 域あるいは一定以上の汚染地域のみを 指すということか。
  • 3. かえる変えられるフクシマ 被害者置き去り シンポジウム 「復興事業と連携した環境放射能対策へ」 環境省福島環境再生事務所長関谷毅史氏/国立 環境研究所フェロー大原利真氏/川内村村長遠藤 雄幸氏/大林組工事事務所長松谷英之氏 コーディネーター 環境省大村卓氏 ◆国環研大原氏は環境回復事業による「環 境創造」「環境成長」などを語った。 それならなぜ環境影響評価(アセスメント)を 軒並み除外するのか? さらに「環境産業」拠点とすることで2050年 には9千人の雇用を回復、「知の世界発信」 など体の良い言葉が続く。 ◆遠藤村長は全村帰還を目指して除染の 必要性を強調。フレコンバックは20万袋、か かった費用は230億円。今後森林やため池 除染など行うと1千億円かかる見通しで、ど こまでできるのか、費用対効果は、除染後 農地は誰が耕すか等の課題を突き付けられ ているとのこと。 ◆大林組所長は「かえるかわうち JV」という名称で除染事業を実施、 餅つきイベントを行うなどして積極的 に住民の中に入り込み住民と一体 になって復興を進めていることを強 調。 国の責任とは「環境の回復(除染)」 であることが特措法に規定されている。 これを都合よく拡大解釈し、除染= 安全安心=住民帰還=心の回復 とこじつけることにそもそもの無理が生 じている。避難住民はこれを分かって いるからこそ、将来に希望を持てず自 殺にすら追い込まれるのだ。 住民に最も近い自治体の長は、こう した被害弱者の声に真摯に耳を傾け なければならないはずである。国の施 策に乗せられるだけでは自殺者の増 加に歯止めをかけることはできないだ ろう。
  • 4. 食い違う説明 フォーラム 内閣府原子力災害対策本部 竹田憲氏 福島・国際研究産業都市イノベーションコース ト構想~世界が注目する浜通りの再生~ ◆廃炉へのチャレンジ:国際研究拠点、ロボット開発 ◆産業基盤:国際産学官、スマートエコパーク※1、 エネルギー関連産業集積※2、農林水産業再生※3 ※1:廃棄物をセメント・砕石に再生するリサイクルパーク ※2:相馬市・広野町を核とした新たなエネビジネス ※3:ロボットスマート農業、水産研究拠点、間伐材 を利用したバイオマス発電 ここでも「住民との連携」や「国の関与の在り方」などが 謳われたが、何をかいわんやである。 会場から質問してみた。 Q.廃棄物処理について 対策地域(避難区域)外では指定廃 棄物のみ国が処理することになって いるが、市町村が設置する仮設焼却 炉において指定廃棄物を処理する場 合の法律はどうなっているのか、また 同様に既存の一般廃棄物施設にお いて指定廃棄物を処理する場合はど うか。 再生事務所長関谷氏 A.その場合でも放射性物質特措法 に基づく施行規則における処理にな る「と思う」。 蚊の鳴くような声で自信なさげだ。こ れまで再生事務所からは特措法は かからない、廃棄物処理法によると の説明であったが、どういうことなの か。環境省自身もうまく辻褄が合わ せられないのだろうか? まるでSF フクシマはどこへ行く
  • 5. 課題は低レベル以上 それ以下は問題なし? 26日フォーラム 低レベル廃棄物の処分-各国の取り組みと日 本における今後の展開 原子力バックエンド推進センター(RANDEC)東海事 務所所長 榎戸裕二氏 低レベル廃棄物とは、高レベル以下でクリアラン スレベル(10万㏃/㎏)超の廃棄物。MOX燃料へ 再利用されたり、場合によっては使用済み燃料 も含まれる。管理型処分場では300年の管理期 間。六ヶ所村60万㎥保管 最終的にドラム缶300 万本分になる見込み。 大熊・双葉町の中間貯蔵施設は10万㏃/㎏超100 万㏃/㎏以下の極低レベル廃棄物の扱いである。 ただし福島の環境汚染から出たものは上限なしで 中間貯蔵に処分される。 富岡町エコテック(産廃処分場)は10万㏃以下の 「放射性物質として扱う必要のない廃棄物」を処分 する。 現在各国でも、極低レベルは(簡易埋設可)とある ように、産廃処分場への処分を検討しているとの こと。100万㏃/㎏もの廃棄物が生活圏のあちこち に埋立てられる日がくるかも知れない。
  • 8. まるでお祭り 被害者との 絶望的な乖離 飯舘村、南相馬市、川俣町な どで除染を大展開する大成建 設。のぼり旗に住民の帰還へ の思いを掲げ「思いの共有」、 「コミュニケーションによる安全 安心」を謳っている。
  • 9. 日立造船のブースで質問してみた。 「全国でも実績の乏しい奇妙な焼却炉を鮫川 村に持って来たのはなぜですか。」 一人は「技術者だから分からない」と言って逃 げ、もう一人の事業部の人はシドロモドロ。 「通常手がけているのは大型の焼却炉でして… 小型のものはああいったものしかないんです」 ・・・・・『世界最先端の技術』なのに・・・ 郡山市下水処 理場における 115億円もの仮 設焼却炉ほか 多くを受注した 神戸製鋼。 日立造船は鮫 川村、川内村、 浪江町で受注。
  • 10. 行政・企業・研究者そして市民の責任 原子力研究開発機構(JAEA)のブースで質問 した。 Q.焼却処理の安全性を説いているが、処理 の過程のみで解体やその先についての説明 はない。鮫川村においてもJAEAが焼却の有 効性を説いたが、例えば飯舘村や大熊町の 実証事業に使われた焼却炉はどのように解 体し処理されたのか。粉じん飛散対策や処分 先などはどうなっているのか。 驚いたことにそこにいた4~5人の技術者は 福島での実証事業について何も知らず、答え られなかった。福島の復興事業に携わってい るにも関わらずである。 現場を知らない技術者たち。研究室に閉じこ もる人たちにフクシマ県民の苦しみが伝わる はずもない。 ■その他■(主催環境新聞社「環境新聞」より) 8月6日自民・公明両党の「復興加速化第4次提言」 「福島復興は原発事故の克服 ~中間貯蔵施設の早期整備を」 除染・廃棄物技術協議会事務局 三菱総研 佐藤 理氏は同新聞でこのように言う。 「放射能汚染という未曽有の国難に対する企業の社 会的責任を果たす」 税金使って果たす企業の責任とは何なのか。 原発で利益を享受してきたのなら、自前で行うのが 筋ではないか?そこに真の責任意識はまるで見え ない。 未曾有の国難を引き起こしたのは誰なのか。 誰にも責任を取らせず、臭いモノにふたをして再稼 働に突き進む。核のゴミと借金のツケを次世代に押 し付けて。 そして何よりそれを許す私たち市民の責任もまた忘 れてはならないと思う。 すべてのフォーラムを聞きたかったが叶わず残念で ある。10月末に郡山市でサテライト版が開催される ので多くの県民参加を呼びかけたい。 2014年10月30日(木)~31日(金)2日間 「RADIEX in Fukushima」 http://www.radiex.jp 入場申込 https://www.radiex.jp/entry_f/index.html シンポジウム申込 http://tacrwm.jp/04_symposium/04_03_symposium. html