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学術コンペ スライド 中央大学 大西 誓
- 1. 政策学科3年 大西 誓 ゼミ名：外交・安全保障問題の理論的研究 担当教員：泉川泰博 教授 北方領土問題解決を阻んでいる 要因は何か？ ～歴史的検証と北海道でのインタビュー調査から見えてくる要因 外 交 交 渉 史 元島民 後継者 研究者 地方公共 団体 ジャーナリ スト 返還運動 団体
- 2. ■目次 1 先行研究～歴史的検証 2 問題意識～リサーチクエッションの設定 3 インタビュー調査 4 結論 2
- 5. ■1945年日本の敗戦 北方４島｜択捉・国後・色丹・歯舞をソ連が占拠 ■1951年サンフランシスコ講和条約 ソ連と日本は国交を結べず、領土問題解決できず ■1955年～1956年日ソ国交回復交渉 北方領土問題の発生経緯～こうして北方領土問題は生まれた 先行研究 → 問題意識・RQ → 調査 → 結論 国交は回復するものの 領土問題について日本・ソ連の折り合いがつかず 北方領土問題の発生 5
- 6. １９５５年～５６年 日ソ国交回復交渉の経緯 先行研究 → 問題意識・RQ → 調査 → 結論 日 本 ソ 連 折 り 合 い つ か ず 6
- 7. 訓 令 16 号 （１ ９ ５ ５ 年 ５ 月 24 日 ) ( 一 、 二 は 略 ） 三 、 諸 懸 案 の 解 決 左 記 諸 懸 案 の 解 決 に つ き 折 衝 に は い ら れ た い イ 、 わ が 国 の 国 連 加 入 に 対 す る 拒 否 権 不 行 使 ロ 、 戦 犯 を ふ く む 抑 留 邦 人 全 般 の 釈 放 ・送 還 ハ 、 領 土 問 題 （一 ）ハ ボ マ イ 、 シ コ タ ン 返 還 （二 ）千 島 、 南 樺 太 の 返 還 ( 二 、 ホ は 略 ） 四 、 交 渉 の 重 点 問 題 前 項 の 問 題 に つ い て は 、 わ が 方 主 張 の 貫 徹 に 努 力 さ れ た く 、 と く に 抑 留 邦 人 の 釈 放 送 還 お よ び ハ ボ マ イ 、 シ コ タ ン の 返 還 に つ い て は あ く ま で そ の 貫 徹 を 期 せ ら れ た い （五 は 略 ） （久 保 田 正 明 著 「ク レ ム リ ン へ の 使 節 」よ り 発 表 者 作 成 ） 日 本 の 方 針 は ？ ？ 先行研究 → 問題意識・RQ → 調査 → 結論 １９５５～５６年 日ソ国交回復交渉の経緯 日本政府は歯舞群島・色丹島の ２島返還で平和条約を結ぶ方針であっ た 日 本 ソ 連 7
- 9. 日本 ソ連 2島（歯 舞・色 丹）返還 を提案 1955年8月9日 1955年8月30日 日本 ソ連 4島（歯舞・色 丹・択捉・国 後）返還要求 交 渉 が 中 断 折り合える かと 思いきや・・・ 2 島 の み の 返 還 が 交 渉 の 前 提 条 件 交渉前 先行研究 → 問題意識・RQ → 調査 → 結論 １９５５～５６年 日ソ国交回復交渉の経緯 この第一次ロンドン交渉で 日本側の返還方針が 2島から4島に変 わった ・日ソの和解を阻止したいアメリカ の思惑 ・日本国内の反共主義者の存在 9
- 12. 「（Ｃ）日本国は、千島列島並びに日本国が1959年9月5日の ポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部及 びこれに近接する諸島に対するすべての権利、権原及び請 求権を放棄する」 千島南部の2島、択捉、国後両島が日本領 であることについては、帝政ロシアもなんら の異議もはさまなかった」 吉田茂首相のサンフランシスコ 講和会議での演説（1951年9月7日） 西村外務省条約局長の衆議院会議での 国会答弁（1951年10月19日） 「條約にある千島列島の範囲について は、北千島と南千島の両者を含むと考 えております。しかし南千島と北千島は、 歴史的に見てまつたくその立場が違う ことは、すでに全権がサンフランシスコ 会議の演説において明らかにされた通 りでございます。」 サンフランシスコ条約第二条Ｃ項 ■サンフランシスコ条約で 日本は千島列島と南樺太を放棄した 千島列島の定義｜１９５１年サンフランシスコ講和条約時 先行研究 → 問題意識・RQ → 調査 → 結論 放棄した千島列島の範囲についての日本側の見 解 国後島・択捉島も含まれる 12
- 13. 国後島 択捉島 歯舞群島 色丹島 放棄した 千島列島 占守島 千島列島の定義｜変わる政府見解 先行研究 → 問題意識・RQ → 調査 → 結論 千島列島の中にも両島（国後・択捉）は 含まれていないというのが政府の見解 ■森下國雄外務省政務事務官の 衆議院外務委員会での発言（1956年2月11日） 13
- 14. 日本政府は4島返還要求の筋が通るように 放棄した千島列島の定義を変えた 千島列島の定義｜変わる政府見解 先行研究 → 問題意識・RQ → 調査 → 結論 4島返還要求 １９５５ 年 交渉途中 返還要求 ２→４ 14
- 15. 先行研究 → 問題意識・RQ → 調査 → 結論 北方領土問題解決を阻む要因 そもそも北方四島は 千島列島の中に含まれません（外務省ＨＰより） ４ ■国後島・択捉島を放棄したという事実を隠して、４島をロシア に要求 ■過去交渉で４島の日本の主張がロシアに受け入れられたことは ない 15
- 16. 先行研究 → 問題意識・RQ → 調査 → 結論 問題意識・RQ RQ ■なぜ組織は4島返還にこだわるのか？ ■組織に所属する元島民の方は 4島返還にこだわっているのか？ ■問題意識 HPや資料を見る限り 返還運動団体は政府の4島返還要求を支持して返還運動を進めてい る 16
- 17. 札幌 釧路 根室 インタビュー調査～返還運動の実態は？ 返還運動団体 3団体 （1団体は東京） 後継者 2世の方2名（釧 路・根室） ジャーナリスト 3名（札幌・釧 路・根室） 研究者 北大岩下教授 （札幌） 地方公共団体 職員4名 （札幌・根室） 元島民 4名（札幌・釧路・ 根室） 先行研究 → 問題意識・RQ → 調査 → 結論 17
- 19. 択捉島 国後島 歯舞群島（多楽島出身） 色丹島 2名 1名 1名 元島民の方へのインタビュー 島の暮らし ソ連占領時の話 ソ連兵との島での共同生活時の話 強制送還時の話 早期脱出の話 現在のロシア人との交流の話 墓参の話 先行研究 → 問題意識・RQ → 調査 → 結論 19
- 20. 元島民の方へのインタビュー 先行研究 → 問題意識・RQ → 調査 → 結論 国後島 択捉島 歯舞群島 色丹島 共感 現在住んでいるロシア人に出て行けと言うことなんてで きない 嘆き 島に行っても、自分の家の近くにも行けない現状 本音 4島全部が返ってくるのもなかなか難しい ■島の現状に対する思い 20
- 21. 先行研究 → 問題意識・RQ → 調査 → 結論 国後島 色丹島 歯舞群島 色丹島 出身Aさん 「生きている内に、色丹島・歯舞群島の 2島だけでも返ってこればいいという気持 ちはある」 国後島 出身Bさん 「島は返らなくてもいいから、好きなときに行ければい い」 元島民の方へのインタビュー 21 ■返還方針について 必ずしも４島返還にこだわってい ない声
- 22. 元島民団体｜公益社団法人 千島歯舞諸島居住者連盟とは？ 先行研究 → 問題意識・RQ → 調査 → 結論 富 山 関 東 羅 臼 標 津 中 標 津 別 海 町 根 室 浜 中 厚 岸 釧 路 十 勝 オ ホ ー ツ ク 道 北 函 館 道 央 十 五 支 部 理事長-------副理事長--------専務理事--------事務局長---------千島会館（根室市） （２名） （本部勤務役職員15名） （会館勤務職員4名） 理事 （２０名） 監事 （２名） 本 部 札 幌 元島民とその後継者により組織されている 会員 4025人（平成26年3月31日現在）→住んでいる地域により所属部が決まる ■メインの活動 ①啓発活動の推進 ②元島民の財産権などの援護 ③後継者の育成 ④北方四島への自由訪問の実施・墓参事業の実施 22
- 23. 元島民団体｜公益社団法人 千島歯舞諸島居住者連盟とは？ 先行研究 → 問題意識・RQ → 調査 → 結論 ■4島一括返還 ■後継者対策員 後継者2世濱谷さん（根室在住） 「返還方法に関していろいろな声はあるが、このスロー ガンを降ろせば、組織に大きな影響がある」 ■NHK釧路ディレクター 石垣さん 「4島一括のスローガンは降ろせない。 千島連盟が ばらばらになる」 23
- 24. 元島民団体｜公益社団法人 千島歯舞諸島居住者連盟とは？ 組織 千島連盟 先行研究 → 問題意識・RQ → 調査 → 結論 組織 千島連盟 4島の元島民及びその関係者からなる組織 24
- 25. 先行研究 → 問題意識・RQ → 調査 → 結論 1世・2世共に、個人としての本音は4島返還に こだわらなくてもいいという声が ある一方・・・ ■千島連盟とは？ 25 組織の看板として４島返還は降ろせ ない
- 26. 先行研究 → 問題意識・RQ → 調査 → 結論 千島連盟の現状 24% 6% 10% 26
- 27. 千島連盟の現状 先行研究 → 問題意識・RQ → 調査 → 結論 ２世後継者 濱屋さん・堀江さん 仕事・プライベートが優先 時間を割いて、返還運動にかかわろうという人 はわずか 国後島出身 元島民2名 ・娘はまったく関与したがらない ・兄弟のうち長男をなんとか説得して会員にした 毎日新聞社 北海道報道部根室 本間さん 「千島連盟の役員の方々は、熱心に4島返還というスローガンで運動をやっている。 けれどもそれ以外の人は 返還運動はほとんど頭にない。興味がない。これが 現実」 27 組織がほんのわずかの元島民・後継者から成り立って おり 組織維持になんとか努めている現状がわかった
- 28. 28
- 29. 補助金によって成り立つ 返還運動 先行研究 → 問題意識・RQ → 調査 → 結論 29
- 30. （『平成26年度版 組織と事業の概要 公益社団法人居住者連盟』より発表者作成） 先行研究 → 問題意識・RQ → 調査 → 結論 千島連盟の予算 30 千島連盟の財源の 約8割が国からの補助金 残りも道からの補助金が大半
- 31. （『平成25年度 財務諸表及び財産目録 公益社団法人復帰形成同盟』より発表者作成） 北体協補助金は国費 ↓ 財源の内訳はほぼ国と道によるもの 返還運動団体｜公益社団法人 北方領土復帰形成同盟の予算 先行研究 → 問題意識・RQ → 調査 → 結論 31
- 32. 返還運動の実態～納沙布岬を歩いていて・・・ 現在1年間で数百万円の維持費 →募金と行政からの 補助金 （東京全国地域婦人連絡協議会 事務局長 夏目さんのインタビューより） （納沙布岬にて発表者撮影） 四島のかけはし（しまのかけはし） 北方領土問題啓発モニュメント（1981年9月民間の募金基に竣 工） 注目は「祈りの火」という○で囲っているところ 先行研究 → 問題意識・RQ → 調査 → 結論 32
- 33. 啓発活動として市内バスをラッピングバスに →内閣府から北体協を通じて 千島連盟に１０００万円の補助金。各支部１００万円。 （千島連盟釧路支部 副支部長（青年部部長） 堀江さんのインタビューより） 返還運動の実態～釧路駅前を歩いていて・・・ 先行研究 → 問題意識・RQ → 調査 → 結論 33
- 34. 返還運動 国 ４島返還要求 世論結集 １９６５年設立 北方領土復帰形成同盟１９５８年設立 千島歯舞諸島居住者連盟 公益法人 補助金 北方領土問題解決を阻んでいる要因 先行研究 → 問題意識・RQ → 調査 → 結論 34
- 37. 参考文献 泉川泰博 「日ソ国交回復交渉をめぐる日本の自主外交模索とアメリカの対日戦略」、日本国際政治学 会編、国際政治第144号「国際政治研究の先端３」、2006年2月 岩下明裕 2005年7月根室市民アンケート、2005年7月 岩下明裕 『北方領土問題ー4でも0でも、2でもなく』 中公新書、2005年 岩下明裕 『北方領土・竹島・尖閣、これが解決策』 朝日新書、2013年 久保田正明 『クレムリンへの使節ー北方領土交渉1955ー1983』 文藝春秋、1983年 黒岩幸子 「日本北辺国境地帯としての千島・根室の視座から検証する」岩手県立大学共通教育セン ター『リベラル・アーツ』編集委員会、2010 東郷和彦『北方領土交渉秘録ー失われた5度の機会』 新潮社、2007年 保阪正康、東郷和彦 『日本の領土問題ー北方4島、竹島、尖閣諸島』 角川書店、2012年 本田良一 『日ロ現場史ー北方領土ー終わらない戦後』 北海道新聞社、2013年 孫崎亨 『日本の国境問題ー尖閣・竹島・北方領土』 ちくま新書、2011年 松本俊一 『モスクワにかける虹ー日ソ国交回復秘録』 朝日新聞社、2012年 和田春樹 『北方領土問題を考える』 岩波書店、1990年 和田春樹 『北方領土問題ー歴史と未来』 朝日選書、1999年 和田春樹 『領土問題をどう解決するかー対立から対話へ』 平凡社新書、2012年 公益社団法人 北方領土復帰形成同盟 ‘13~14年度版 組織と事業の概要 公益社団法人 千島歯舞諸島居住者連盟 平成26年度版 組織と事業の概要 北海道新聞, 2014年7月27日朝刊, 「地元目線で解決探って」 北海道新聞, 2014年3月29日夕刊,「根室 発展から停滞の象徴に」 北海道新聞, 2014年8月15日朝刊, 「2島先行など柔軟派50％」 北海道総務部北方領土対策本部 北方領土への北海道の取組み 平成26年3月末日現在 日本経済新聞,2014年5月4日朝刊,「ウクライナ危機 日ロ関係は」 外務省HP（http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/hoppo/index.html） 千島連盟HP（http://www.chishima.or.jp/） 政策学科3年 大西 誓 ゼミ名：外交・安全保障問題の理論 的研究
Editor's Notes
- テーマは北方領土問題解決を阻んでいる要因は何か？ 要因を探るため先行研究として歴史的な検証、先行研究を踏まえた問題意識をもとに北海道でインタビュー調査を行った。
- 以下このアウトラインに沿って説明していきます。
- 興味喚起→北方領土問題が日本とソ連・ロシアの間で長い間解決していませんが、なんでなんですかね？どうして北方4島をめぐって何十年も解決できないんですかね？ 実はそれを考える上で、北方領土問題がどうして起こったのかという経緯を見ることが重要です。この発生経緯の中に解決を阻む大きな要因があります。
- こちらが北方領土問題発生につながる重要な3つの出来事です。 1日本の敗戦 1945年8月14日日本はポツダム宣言を受諾し、降伏しました。つまり領土問題については、本州・北海道・九州・四国に日本の主権が限られることを受け入れ、それ以外の小島が日本に残されるかは連合国の決定に従うという態度を表明した。そして8月28日から9月5日にかけて、ソ連は連合軍の取り決めによる占領で北方4島を占領しました。（歯舞についてはソ連に問題ありだが） 2サンフランシスコ講和条約 日本はアメリカ・英国などと平和条約を結び独立を回復しました。しかしソ連がこの条約に署名しなかったため（中国の不参加などを理由）、平和条約を結べなかった。つまり領土問題を解決できなかった。ですから改めて日ソ二国間で平和条約を結び、領土問題を解決する必要がうまれました 3日ソ国交回復交渉 二国間で国交回復のための交渉が行われました。しかし交渉プロセスの中、双方の主権が折り合うことができず、ここで、国交を回復したものの平和条約は結べず、領土問題は平和条約締結のあとに歯舞・色丹 が解決できませんでした。が日本は1941年宣戦布告し米英と戦争を行ってきた。なんでソ連は参戦した？占領した？「ソ連を含めた連合国との戦争が終わったあとに、ソ連が侵攻して北方領土が不法占拠された」のか？ たしかに8月8日日本に対し宣戦布告し、有効であった日ソ中立条約に反していたことは間違いない。けれども8月14日ボツダム宣言を受諾し、日本本土以外の諸小島の帰属については連合国の決定を受け入れるとした。 以上が北方領土の発生経緯ですが、この経緯を詳細に見ていく中で北方領土問題解決を阻んでいるといえる要因が見えてきます。
- 54年12月10日に自由党の鳩山一郎政権が発足し、ソ連を平和条約と交渉しようという雰囲気がでてきます。 シベリアに残された抑留者の早期帰還・ソ連が常任理事国としてもつ国連への加盟実現。いずれもソ連との国交正常化が不可欠でした。 そして1956。 いつ変わったか？それは日ソ国交回復交渉を見ていくとわかります。
- 日本の交渉に臨むにあたっての方針を示す重要な資料があります。これは外務省の訓令16号という日ソ交渉の方針を示したもので、当時の産経新聞記者である久保田という人が明らかにしたものです。ここで何が書かれているか？いろいろ書いていますが、重要なことは日本政府が2島返還で平和条約を結ぶ方針であったということ。つまり絶対条件として日本がいま要求する国後・択捉は入っていないのです。 想定質問：①この訓令16号自体に信憑性はあるか？→防衛庁長官元外務相条約局長杉原荒太 1954年2月12日「対ソ交渉基本方針」と内容が一致している。ここには2島返還は絶対。千島・南樺太は放棄してもいいと書いており、91年3月北海道新聞がスクープしている。 外務省は訓令を公開していないが、鳩山・松本と親しかった産経新聞記者の久保田正明は自著『クレムリンへの使節』の中で外務省作成の訓令16号として紹介している。それによると千島・南樺太の返還を求めるが、不可欠な条件ではなく、歯舞、色丹の2島返還が実現すれば平和条約締結を容認していた。
- つまり地図でお見せすると、歯舞と色丹が不可欠の交渉方針であるということです。
- 交渉がいざはじまると、ソ連は日本が不可欠の交渉方針である歯舞・色丹返還の提案をしてきます。このままいけば日ソは折り合いがつくはずでした。ところが、その後、日本の交渉方針が変わってしまっています。つまりソ連から提案を受けたあと、なぜか日本は強行な姿勢に変わっています。この原因について、真実はわかりませんが、研究者の間でアメリカの介入そして日本側の反共主義者らなんらかの影響があったことが推測されていますが、いずれにせよ、重要なことはこの交渉で日本の2が4に変わってしまったということです。そしてソ連はこの提案を受け入れず、交渉は中断します。この方針転換は、日本国内の政治家にも大きな影響を与え、4ですすめるべきだという声が強まっています。 つ2島想定質問②ソ連はなぜ2島返還を提案してきた？→①交渉で日本側が歯舞と色丹の返還を特に強調したことから、ソ連側は「日本側は歯舞と色丹を除いて国後・択捉両島の返還はあきらめているとの認識を持つに至ったこと。（1996年産経新聞『旧ソ連対日交渉秘密文書を入手「二島返還論」の真相 国後・択捉継続協議覆す』 ②1953年3月5日ソ連共産党書記長スターリンが死去し、共産党第１書記フルシチョフになっていたことが大きい。彼は資本主義国とのの平和共存路線を提案していた。7月27日朝鮮戦争で休戦協定が成立。1955年7月米英仏ソの4巨頭会談が開催。1955年5月15日米英仏ソ4カ国が分割統治していたオーストリアと中立を骨子とする国家条約を締結する。平和共存路線の流れができていた。その一環として目指したのが西ドイツと日本との関係正常化。 彼の回想録では、日本への2島引き渡しの譲歩は小さな意義しかなかったと感じている としており、日本との友好関係促進・対ソ柔軟路線をとっていた首相鳩山の支援などを目的としていた。
- そもそもの論拠はどのようなものでどれがどのような論拠に変わったのでしょうか
- 千島列島の定義つまり千島列島とはどこからどこまでを言うのか？
- 日本は、1951年に結ばれたサンフランシスコ条約で、千島列島を放棄(ほうき)しました。「千島列島は日本のものではありません」と世界に向かって約束(やくそく)しました ではこの放棄した千島列島ってどこを指すんですかね？それを示す発言が2つあります。1つ当時の首相吉田茂のサンフランシスコ講和会議での演説。2つ当時の外務省の西村条約局長の発言。吉田は択捉と国後が千島南部といっている。つまり放棄した千島列島の南部の2島としている。そして外務省西村も放棄した千島列島に南千島が含まれるとしている。 つまり当時の日本の見解は放棄した千島列島の範囲に関して国後・択捉も含まれるとしていました。
- つまり国はこうして1951年の見解を変えてしまったのです。そして以後この新しい見解を根拠に、4島の返還の主張を続けていく。
- 以上のように北方領土問題の発生経緯を見ていく中で、
- いつでも行けるわけではないが、枠組みがある 1964年元島民の方々の墓参り 1992年ロシア人・日本人の相互理解のための交流事業 1999年から元島民とその家族が故郷を訪れる北方4島への自由訪問
- 個人としては、インタビュー調査で明らかになったように、サンプルは少ないものの元島民・2世のうち、6人中3人が柔軟な解決策を望むという意見であった。内一人は、島が返らなくても、墓参などで行きたいときに行きたいところへ行ければいいという意見。 一方組織として千島連盟の立場は、「北方4島の帰属問題を解決して、平和条約を締結する」という「合意」が1日も早く「実現」という形で実を結ぶことを強く期待（千島連盟 組織と事業の概要より）＝政府の主張と同じ 理由：千島連盟が4島の元島民からなる組織であることから、主張を4からおろすことはできな い。 戦後、北方4島から強制退去した人々が、返還運動の先頭にたってやってきた。その旗 をいまさら下ろすとなると、組織としての一貫性がなくなる
- 北海道でのインタビューまた北海道の釧路・根室等を歩いて、返還運動は補助金によって成り立っているという現実を目の当たりにしました。 そしてこの返還運動にかかわる人が減っているという現状。
- 北対協のHPによると、「モニュメントの中央には「祈りの火」が、’北方領土返還運動の火を絶やすな’を合言葉に、返還実現のその日まで、北方領土に向 かって灯し続けられている」そうだけれど、早朝に行ってみたら、火が消えていた。朝8時に、急に「ボッ」と火がついたので、驚いた。自動点火になっている のだろうか。 こういう、でっかいモニュメントを、人口が少ない日本国内に作ると、領土問題の解決に、何か役に立つのだろうか。いくら、大きなモニュメントを作っても、モスクワからは見えない。
- 先行研究、インタビュー調査踏まえ結論にうつります。 構図を言えば、返還運動というのは政府が全国的な運動にしようとする以前から行われていました。 国が全国的な4島返還要求運動を行う以前から、北海道・根室を中心として、返還運動団体もできていました。 国が返還運動に力を入れ始めるのは50年代後半～60年代といえるでしょう。 政府は4島の世論結集のため、体制づくりを始めるわけです。その核としたのが、元島民でした。 1958年私がインタビューした千島連盟は、首相の認可が与えられた社団法人となるわけです。 つまり国はこの頃から公的に利益がある活動として、公益法人として返還運動団体を認め、多くの補助金を 下ろします。そして政府とともに4島返還要求をしましょう。65年外務大臣認可の北方領土復帰形成同盟となるわけです。