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太田尚志

INVITATION TO WIKIMANIA
Wikimaniaとは

 Wikimedia Foundationのプロジェクト参
  加者の集まり
 毎年7~8月ごろに行われます
 プロジェクト以外のWikiの発表もあり
 だけど,Foundationとしては,プロジェ
  クト参加者に来てほしい
  申し込みも,プロジェクトアカウントがあれ
  ば安くなる
Wikimaniaまでの道(現行)
2年前の
年末(今
        • 評価委員会(Jury)募集
ごろ)
       •2月ごろ公募締め切り→Juryによる評価(3~4月)

開催都市   •会場の使用料,不便なところをどう克服するか

       •前年5月ごろに決定
 公募


        • 前年のWikimaniaでプロモビデオ公開,が近年の主流
宣伝
       •当年5月ごろからCall for Participation

募集開    •オンライン申し込みは今年は8月初旬締め切り
       •オンサイト登録もあるよ
 始


引き継ぎ
        • アンケートとか
Wikimania 2005
Wikimania 2006
 レッシグ先生 on stage

 1906 年,「talking
  machine」ができたが,
  スーザは「これで音楽文化
  が廃れる」と言った
 19世紀までは,culture は
  read-only ではなかった
 20世紀,地球は著作権の荒
  らしに包まれた!
     著作権は read-only culture
      と非常に相性が良かった
 21世紀,read-write
  cultureが復活する!
Wikimania 2007
Wikimania 2008
さーて、今回のWikimaniaは?

 アルゼンチン・ブエノスアイレス
  サン・マルティン将軍文化センター
 2009年8月26日~28日
 飛行機の乗り継ぎがあるのでやっぱり行
 くのは2日ぐらい
  日本出発23日,現地24日着
  現地29日夜発,日本31日15時ごろ着orz
ぶっちゃけ,いくらかかるの?

 ホテル+学会参加費:$170
 飛行機:151520円(保険・税込)
  ヒューストン経由Contonental航空
 お盆を外したので意外に安い
Wikipedia 1.0
Martin A. Walker
Department of Chemistry
SUNY College at Potsdam
Wikipedia 1.0とは

 紙の百科事典に近いフォーマット
 内容が正しい版が選ばれて収録
 offline release とか呼ばれていたもの
  インターネットがない環境でも使えるように
   飛行機とか,発展途上国
  信頼できる版を
  学校でも安心して使える,荒らされてない版
   特に途上国向けのOne Laptop Per Child
    (OLPC)に同梱して
Wikipedia 1.0に至る歴史

 2003: Jimmyが「紙になじむフォーマッ
    トで」と提案
   2004: 独でCD,DVD(限定された)紙の版
   2006: 学校向けに英語版charity release
   2006: ドイツ語版が毎年のoffline
    release
   2007: ポーランド語版DVDリリース
   2008: 英語版の記事自動選定開始
ドイツ語版1.0

 現在のリリースでは DirectMedia社が組
  織しており,コミュニティの関わりはな
  い
 現在では:
  2007年8月に62万記事のDVD版: 圧縮した画
   像の1枚版と,大きな画像の5枚版
  2008年4月に,Bertelsmannから紙版リリー
   ス.よく検索される語に基づいて50000記事
   のサマリ
Das WIKIPEDIA Lexilon in einem Band
WIKIPEDIA – dictionary in one volume -
プロセスとサブプロジェクト
いかにしてオフライン版をつくるか
作業の主な流れ




           記事の選定          選別した記事の
 記事の改善
            (各分野の            出版
(中核となる記
          WikiProjectと共   (学校向けWP,
   事)
                同)        WP 0.x releases)
中核記事

 中核となるトピック(上位150)を選定,さら
  に補完的な150トピック
  人文科学:哲学,宗教…
  歴史:
  自然科学:…
 重要な記事(上位1000)
 簡潔なリスト15000
 主な作業は,中核となるトピックの記事で中
  身の薄いがものの改善
 2007年に$100賞金付きでCore Contestを
  やった
WikiProjectとの協力

 アプローチ:
  各WikiProjectには,その分野における専門性
   のある知識がある
  質が高くて重要だと思う記事を選んでもらう
  それらをまとめて全体のリリースとする
 全体を貫く評価の枠組みが必要
 WP1.0 botを使いWikiProjectから情報を
 集めた
出版までの道程




記事   記事   版
               出版
評価   選定   選定
オフラインリリースに向けて

1. 質と重要性を評価する
    すべての個別記事について評価をtrack
2. 記事を選ぶ
    リリースのサイズとねらいによって,記事に
     求められる質と重要性はかわってくる
3. 選ばれた記事の版を選ぶ
    荒らしは除去されている必要はあるが,新し
     くないと.
    編集者が校正,内容をきれいにする
    手作業は相当たいへん……
アプローチ

 ゼロからはじめて,よいものを加える
 コミュニティに選定を任せる
  自律分散的,WikiProjectとbotを同時に使う
 選定に当たっては質と重要性を同時に使
う
botによる選定のための情報

        • 「ノート」ページに,botが読める書式のテン
 記事       プレートでWikiProjectで評価を書いてもらう


        • botがそれを収集して,何をすべきかのリスト
プロジェク     を作り,ログと統計を残す
  ト



        • すべてのWikiProjectからメタデータを集めるこ
 全体       とで,初めて「全体像」が浮かび上がる
質の評価例
レベル    基準   ……   ……   ……   記事の例


秀逸な記   ~
事

A


B


C


スタブ
重要性の例


        最高
        高い
        低い
全体
botによる記事選定

 この行列から,記事を選び出す
  秀逸な記事,よい(good)記事であれば残す
  これまでの特定のリリースで収録された記事
  も残す
版選定も

 Flagged (“フラグの立った”)revesion
  “Sighted versions” とりあえず荒らされてな
   いことが確認できる
  “Quality versions” すべての事実が信頼でき
   る,引用された情報源に基づいている
いよいよリリースに向けて
リリース準備

 記事のダンプはリリース直前に行う
 言葉遣いや著作権の問題がないかスクリ
    プトで確認する
   オフライン利用のために,赤リンク(未作
    成記事)は除去する
   オフライン用検索エンジン
   索引やナビゲーションも
   CD/DVD/USBメモリに
将来は

 もっと多くのフォーマットで
  BitTorrent,DAや,目の見えない人にも
 選定のバリエーションを豊かに
  巨大な電子版,もっと小さな書籍版,個別の
  WikiProjectごと
 選定botの重み付けカスタマイズ
 Flagged revesionとWikiTrustを活用した
 適切なバージョン選定,定期的アップ
 デート
以上,駆け足で紹介しました

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