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減塩のためのフレーバリング技術
- 2. 減塩の めの ーベリング技錨
久保村喜代子
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餅久
1国はじめに
減塩とは?レシビ開発をする前にまずその
意味を正しく理解することが基本である。そ
うすれば「減塩jは製品開発における戦略ツー
ルとなりうる。
食塩摂取を把握するにあたっては, 3つの
コンセプトを考慮しなければならない。第一
に「健康」。私たちが日々摂取する食塩量の
内12%は食原料に自然に含まれているものか
らの摂取であり,それは生命に必要な塩分と
も言える。次に「簡便J,摂取量の77%は加
工食品中に含まれる塩分からのものである。
これらの多くは加工食品の製造工程におい
て添加される。最後に「愉悦J,残りの11%
は家庭の調理やテーブル上での添加に出来す
る。こうした調査結果は数多く報告されてお
77%ofthesodiumweeat
comesfromprocessedfood
Sources:
'Purac
'Websteaeta12009;HealthCanada2004;FSA2003;
R口市1:2007;Nagasaketa12004)
囲1 ナトリウム量の77%は,加工食品由来
月刊フードケミカル 2014-4
り,加工食品が食塩摂取削減における最大の
機会となることは明らかである。
加工食品77%の内訳はラ穀物由来製品が
35%,調味・調理科であるソースやスープが
9%,畜肉加工食品が20%,その他13%となっ
ている。加工食品では塩味の付与のみならず,
保存性向上,テクスチャー改良,風味改良な
どの目的でナトリウムが添加される。減塩に
対してはさまざまな意見やアドバイスが氾濫
しているが,公衆衛生の側面も考えた目標を
設定し,それに向けてCulinology(調理科学)
的な発想、を応用した風味創り(フレーバリン
グ)を行い,減塩加工食品の製造レシピを開
発することが望ましい。
2園いかにして減塩のフレーパリング(属
喋創り)をするか?
減塩のプレーバリング技術の目標は, Iナ
トリウムを低減しながらも消費者の好む味を
作ること」もしくは「低減したことを感知で
きないようにすること jである。これは世界
中で言われて久しいが,なかなか実現できな
い現状にある。
0トータル減塩食の焦点は?
①1人前の食物量を軽量化
②料理の皿の半分を果物や野菜にする
*果物や野菜類は低ナトリウムでカリウムを
多く含有している。
③生鮮品を摂取する
29
- 7. Multi司 componentnatureoffood
requiresbalancingoftastesandtime
Salt&Bitter-mutuallysuppressing
Saltandumami-mutuallyenhancing
Sour司 additivewithsalt
Saltenhancessweetness
図7 風味バランス
でに上市されている。液体処方でのセイボ
リーなフレーバリングを行うにあたっては,
いわゆる舌による感覚メーターの感度を考慮
しなければならない。塩分0.8%前後の通常の
スープや汁物では総体的に3%(プラスマイ
ナス0.025%)の範囲での希釈は消費者が認知
しにくいことが知られており,これは処方習
慣値として製造ラインで考慮される。
人の感覚次第であるプレーパリングの魔法
は,加工食品製造のスケールアップにおいて
も影響を及ぼす。小さな鍋によるレシピ開発
から大量調理に移行する際には,塩分を減じ
函8 塩の溶解
34
なければ,同じ処方原
材料比であっても塩辛
く感じてしまう。これ
は未知のフレーバー科
学の作用の働きによる
もので,決して味の足
し算だけでは予測でき
ない。
おいしさを感じるセ
イボリーフレーバーの
開発には,保守的な食
に対してのプレーバー
図9 MmeFlavour
科学と調理科学の理解,そして風味のグロー
バル化のセンスが役に立つ。 減塩製品の開発
者にとってセイボリープロダクト(調味調理
食品)は偉大なるチャンスとなるであろう。
くぼむら・きよこ
専門は, SavoryFlavour特に反応系香料。
食品メーカーと新製品開発プロジェク
トを組み商品開発などを主な業務と
し,手がけた製品は1,000を超える。
一方,長くエディターとして執筆活動を継続中。海外では,
iFoodTechnology,PreparedFood,FoodEngineering,
International,CerealWorld,FoodManufacturingJ など
にレポーター,コントリピューテイングエディターと
して長く執筆。
この他, WHO 環太平洋地域の教育プログラム講師
(東海大学医学部非常勤講師),厚生省特保食品規制関
連の翻訳者, IUFOST(FoodProfessionalFormation)
のスピーカーヲ 1FT敦育プログラム講師, Wor1dFood
ScienceのEditorialBoardMember.IFf本部評議員(マ
ネージメント,国際評議員, US大学教育評議員,タ
スクフォース評議員), IFf]apanセクション評議員,
IFfeducationprogram講師, AmericanCereal評議員,
AmericanCerealChemistofficialConsultantなど活動中。
2008年, IFfフエロー受賞。
月干リフードケミカル 2014-4