南海トラフ地震に向けた宮崎歴史資料ネットワークの活動

南海トラフ地震に向けた
宮崎歴史資料ネットワークの活動
宮崎歴史資料ネットワーク
山内利秋

1:「ポスト3.11」段階から、
熊本地震を経て。

3.11以降の危機管理は、宮崎県ではなかな
か進まなかった。
我々を含め「過去の災害の記憶・記録」の
収集や周知化を実施、ただし伝え方に課題。
⇒市民の肌感覚との乖離。
「過去の記憶」を最も理解しているはずの
文化財・博物館分野でさえ防災意識が希薄
化。

熊本地震、2回目直後(4/16昼前)
にあった、日向灘の「誤報」。
宮崎県内が一時パニック、数日間
続く。
ここへ来て、「忘れられていた大
災害」に対する宮崎県民の警戒観。

宮崎県博物館等協
議会の災害時対応
5/27の同協議会
にて災害時の連携
について合意。
宮崎歴史資料ネッ
トワークとの連携
に一歩前進。
図書館分野でも。

課題
• 「官高・民(学)低？」
• 官主導は「おんぶに抱っこ」になりがち。
• 市民の視点の確保をどうするか。

史料ネッ
トの役割
地域課題の解決に
積極的に関与。
市民と行政との間に
立って調整する役割。
過去の災害時での研
究者・博物館等の関
わり方等を再確認。
資料をまもる事
が何につながっ
ているのか？

2:大規模災害に向けての課題、
特に専門家の減少と保管場所。

プロパー人材減少の恐れ
• 昭和50年代後半に採用されたプロパー人材
が定年期。
• 埋蔵文化財調査が削減。県本庁・埋文は最
盛期の半分以下(H22年度65⇒27年度31,
有期職員は2⇒8)。
• 小規模自治体プロパー人材は補充が減少傾
向(元々少ない)。

• 県職の博物館(及び図書館)・埋文セン
ター・文化財保護担当は教員採用。
• 少子化の影響により人材確保も困難に。
⇒児童・生徒数及び学校数の激減は教職
員採用の削減に反映。
• 大学における文化財系の専門家も少なく、
考古学を専門とする有力な教員がいなく
なった。

資料保管場所の困難
• 自治体博物館はどこも一杯。大学での保
管も現状では見込めない。
• 「土地の資料はその土地で保管」という
原則を考えるならば、市民が管理・活用
出来る方法を。⇒問題は理解しているが..。

3:連携・地域コミュニティとの関係。
～「次」が来るまでにやっておく事～

気仙沼リアスアーク美術館
山内宏泰さん
「災害が発生してから行動するのではダメ、
先に様々なルールを設定しておく。」
※「日向灘誤報」の直後(4/16の美術史学会シンポ
「境界/ボーダーを越えて」)に、この話をうかがう。

空家問題の増大が深刻化。
・税収の減少。
・県内3箇所の重伝建地区内でも解体され、
指定解除になった建造物が出てきている。
・「特定空家」(空家対策法)の問題。
⇒特に重伝建地区をとりかこむ
「バッファゾーン」の地区が最も危機。

鹿児島県地域との連携
鹿児島歴史資料防災ネットワーク(準備会)
との情報交換・活動への参加。
専門家間での対話が可能となる。
大規模災害時での支援・協力関係が視野へ。

地域コミュニティとの関係構築強化。
地元建築士会との連携。
⇒個人住宅等の建物の情報を把握。
ボランティアとして、資料保全活動にも。
建物図面の作成や建物そのものの保存・
部材の活用等を行う。
⇒リノベーションという考え方の普及。
ヘリテージマネージャーの養成。
+熊本地震対応への参加。

近世以来の商家がのこる、宮崎市旧城ケ崎での家屋解体
に伴う資料保全活動。
・西南戦争後の明治16年に建てられた建物の解体。
・同市地区住民・宮崎県建築士会と協力して資料保全。
・多数の貴重な歴史資料等を確認。
⇒長崎の上野写真館にて撮影さ
れた、家屋当主の先祖の写真

宮崎市、恒久町(旧城ケ崎地区)で確認された
安政南海地震の記録

『フスマから歴史をみつけ
ようワークショップ』
2016年7/17・11/20
みやざきアートセンター
(年度内にもう一度開催予定)

デイサービスの外出で会場に来られた方々が作業に参加。
回想法的な効果がある可能性を確認。

キーワードは「てげてげ」
南九州の方言
適当・大概・ほどほど。
あまりタイトにしない事。冗長性の重要さ。
⇒「宮崎方式？」

学芸員有資格者など
ヘリテージマネージャー
文化活動系NPO
図書館職員など
(特に指定管理館)
その他関心の高い方
地
域
コ
ミ
ュ
ニ
テ
ィ
に
お
け
る
専
門
家
の
育
成
学
習
プ
ロ
グ
ラ
ム
の
提
供

終
ご清聴
ありがとうございます。

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