社内LT資料

1. 朝会資料
2015.01.21
右寺 隆信

2. 「快感」
今日のテーマはみんなが大好きな
についてのお話です

3. デザインをするときに、
ユーザの「快感」を考えることは重要です
触っているだけでも楽しい、とか
またこのアプリを立ち上げたくなる、とか
極論ですが、
ユーザが快感を感じられない限りは
そのプロダクトは使ってもらえず
どんなに素晴らしく見える
プロダクトでも意味は無いとも言えます

4. ユーザが「快感」を感じられるような
プロダクトを作れるようになるために
本日は「快感」について学びましょう

5. と言っても、本日の話のメインは
ほぼこちらの本の紹介と個人的な短評となります
『快感回路---なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか』
作者: デイヴィッド・Ｊ・リンデン,岩坂彰
出版社/メーカー: 河出書房新社
発売日: 2012/01/20

6. 第1章. 快感ボタンを押し続けるネズミ
第2章. やめられない薬
第3章. もっと食べたい
第4章. 性的な脳
第5章. ギャンブル依存症
第6章. 悪徳ばかりか快感ではない
第7章. 快感の未来
章構成

7. 第1章. 快感ボタンを押し続けるネズミ
飛ばしてもおｋ。
初っ端からめちゃくちゃ専門的な内容です。
たぶん大学で生物学とか生化学とか勉強してないと無理。
簡単に言うと、VTA(腹側被蓋野)のニューロンの活動が高
まる→人間は快感を感じる。このことを邦題にもなって
いる「快感回路」が活性化する、って言ってるっぽい

8. 第2章. やめられない薬
ドラッグの快感について。
各種ドラッグがいかに作用するかの話と、なぜ依存が起こ
るかという話。
なぜ依存が起こるのかという話については簡単に言うと
「脳の構造が変化するから（神経回路自体が構造的に実際
に変化してしまう）」。
脳には可塑性があり、行動経験で神経回路は変化する。
この「行動経験で神経回路は変化する」ってのは超重要。
「経験が人を作る」って言葉はマジらしい。

9. 第3章. もっと食べたい
食事に伴う快感について。
食べる行為でも快感回路は活性化。
胃腸が刺激されて発生する満腹感については知ってたけど、
脂肪細胞から分泌されるレプチンというホルモンがそも
そも長期的に体重管理していた話は初めて知った。
痩せる→脂肪減る→レプチン減る→ご飯食べたくなる、
太る→脂肪増える→レプチン増える→ご飯食べたくなく
なる。

10. 第3章. もっと食べたい
じゃあ太ってる人は、というと同じもの食べても快感回
路の活性レベルが有意に低いらしい。
あと面白いのは太っている人は食べてるときじゃなく食
べようとしているときに快感回路が比較的大きく活性化
するそうな。なんか残念。
空腹時ほど快感回路は大きく活性化し、食べているうち
に反応が小さくなる、というのも納得。
ちなみに満腹状態でもデザート（糖分・脂質が多いもの）
はしっかり快感回路が活性化されるらしい。ラットの実
験でも。いわゆる別腹。

11. 第4章. 性的な脳
本屋で目次見たときからここが個人的メインコンテンツ。
とりあえず「ドラッグや食事に関する快感は他の哺乳動物と
人間で似たり寄ったりだけど、生殖については全然違うよね」
という話。
ただ、「でも、おかしいって言っても実は動物たちもおかし
いんだけど」っていう流れから列挙されるまったく知らな
かった（知りたくなかった）動物たちの真実が衝撃的。

12. 第4章. 性的な脳
・イヌとかサルだけじゃなくモルモットもセルフフェラする
・メスのチンパンジーもシャワーオナニーする
・メスのオランウータンも木でディルド作る
・メスのヤマアラシもこすりつけオナニーする
・バンドウイルカは生きたウナギをペニスにまとわりつかせて快感をえる
・アマゾンカワイルカはオス同士で互いの噴気孔にペニスを挿入する
朝一なので読み上げるのはやめておきます

13. 第4章. 性的な脳
閑話休題、本題。
まずは恋愛と性欲の話。違いはあるのかと。
性的な画像を見ても恋愛中の恋人の写真を見ても快感回路は
活性化する。
ただし違いはあって恋愛中の恋人の写真を見た場合、判断中
枢や社会的認知中枢が低下し、性的な画像の場合にはそれは
起こらない。
逆に性的な画像の場合のみ視覚処理、注意、運動、体性感覚
機能を司る皮質が活性化。
つまりは恋愛と性欲は快感回路が活性化するという意味では
同じものだけど、中身はまったく別物でした、と。

14. 第4章. 性的な脳
あと、オーガズム後にはオキシトシンというホルモンが分泌
されてそれがエッチの後に余韻をもたらすというお話。
このオキシトシンを鼻からスプレーして摂取する実験もある
らしく、被験者は他人を信頼しやすくなるとのこと。
怖い怖い。
ただし、信頼に及ぼす影響はリスク全般ではなく、対人関係
に関わる社会的リスクのみらしい。不思議。
また、それだけじゃなくて「目の写真を見てその人の感情を
推測する」というテストの正解率もあがるそうな。
メンヘラにも効くってよ！

15. 第5章. ギャンブル依存症
この章では、まずはよく言う
・不確実性の快感
・当たり外れの過程に関われた方が快感が増す
・ニアミスでも快感を得てしまう
あたりの話を科学的に。
前職(ソシャゲ)ではかなり参考にさせていただきました。
まぁ、このあたりはまさに、ギャンブルだけではなくて
普通にゲームしてたりするときも一緒ですよね。
ここで、この本の個人的な本題。

16. 第5章. ギャンブル依存症
いま、ギャンブルやゲームの話をしたけれど、
「お金」という食べ物や水やエッチとは違った本来的で
はない報酬でも快感回路は活性化されるよね？
まぁでも「お金」自体は概念的なものにしろ、それらの
代替にはなるよね？
でもゲームなんて本来的な報酬が全くないものでも活性化
されちゃうじゃん。。
あれ？
もしかして人間ってどんなものでも報酬にできるんじゃね？
という流れで次の章。

17. 第6章. 悪徳ばかりか快感ではない
ランナーズ・ハイやら瞑想やら慈善活動やら社会的評価
やら、けっこうなんでも快感を得られますよ、と。
面白かったのは「情報」そのものでも快感を得られる話。
サルの実験でも、有用性が一切なくて、抽象的な、知識
のための知識でしかないようなものでも快感回路が活性
化されちゃうらしい。

18. 第6章. 悪徳ばかりか快感ではない
結局のところ、第2章での神経回路の可塑性の話と合わせて
要するに、人間の脳における快感と連合学習の相互作用は
諸刃の剣と言える。経験により快感回路を長期的に変化さ
せる能力のおかげで、人間はさまざまなものを自由に報酬
と感じることができ、抽象的観念さえも快いものにでき
る。突き詰めて言えば、人間の行動や文化の多くはこの現
象に依存している。しかし残念なことに、その同じプロセ
スが、快感を依存症まで変化させてしまうのである。
とまとめられてます。

19. 第7章. 快感の未来
別に無くても良かったんじゃね？と個人的に思う章。
科学技術さえ進歩すれば脳をいじくって自由に快感を得
ることは確実にできるだろうねー、と。
でも重要なのはそれ自体じゃなくてそのときの社会道徳
だよねー、と。
割愛。

20. 今日の話のまとめ
人間は快感を求める。
人間は快感を作り変えられる。
ユーザにあるアクションをしてもらいたいようにデザイン
したいのであれば、ユーザがそのアクションをすること
で快感を得られるようにする必要がある。
「このアプリを使ってもらいたい」「このボタンを押して
もらいたい」「このフォームに入力してほしい」「明日
もまたこのサイトに来てほしい」「友だちにも広めてほ
しい」、そういう意図をもってデザインをしているのであ
れば、ユーザがそのアクションで快感を感じられるよう
なデザインにすることを考えましょう

21. 以上、ありがとうございました。