古沢広祐先生の資料です。

1. 生物多様性の危機と
食・農・環境の微妙な関係
～～ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ～～
古沢広祐
國學院大學 経済学部 （経済ﾈｯﾄﾜｰｷﾝｸﾞ学科）
(NPO)「環境・持続社会」研究センター（JACSES）

2. 人類の発展史：人口・エネルギー・交通・情報

3. 人類を支える食物連鎖の生態的ピラミッド
１家族（5人）が、1haの耕地、2.6haの牧草地、牛・羊
が1頭、豚が3/4頭、鶏が14羽ほどで養われている。
（全陸地面積の３分の１強が農業用地）

4. 生物多様性は、人を含む全ての存在の根底を支えている
今後30年で、生物種の10から15％が絶滅していく・・・

5. （環境白書H.22年版）

6. 文明発展の３つの特徴と持続可能な発展
"
●はてしない拡大と成長（膨張）
●単一価値のモノカルチャー的展開（多様性の破壊）
●格差の拡大（豊かさと貧困）
☆「持続可能な発展」：環境・経済・社会の３つのバランスの
調整、＜環境的適正＞と＜社会的公正＞をふまえた経済発展

7. 7
気候変動枠組み条約、生物多様性条約、
リオ宣言、 アジェンダ２１、 森林原則声明など
国際環境レジーム（体制）を形成
★ 従来の発展様式（化石燃料型文明）が、気候条約
によって終止符、転換を迫られている。
★ 人間中心（単線系モノカルチャー型文明）から、
多様性と循環に基づく生命文明の再構築へ。
双子の条約
の意義
地球サミット（1992）

8. バイオテクノロジー（遺伝子操作）,
ジオ・エンジニアリングﾞ（地球・気候工学）
合成生物学 ･･･
生物多様性条約会議
（COP10,2010)in名古屋
自然生態系から文化多様性
先住民の伝統文化の尊重
無価値・遅れたものを再評価

9. 食と環境の安全に
新たな脅威：GMO
人類は環境と安全性を犠牲にし
ないで、地球上で調和的に暮ら
すことができるのだろうか？

10. モノカルチャー型文明
＜価値の画一化・標準化・序列化＞
による自然支配・管理の拡大・膨張
劣ったもの・後れたもの・捨て去るべき無価値な存在
（ ＝ 絶滅危惧種 ）
追いやられてきた存在に、新たな価値の光があたる
先住民の権利、小農民の権利の復権、伝統・文化の再発見
生物多様性条約に内在する潜在的可能性
文化多様性というもう一つ
の領域との融合
文化多様性条約
（UNESCO, 2007~）

11. オーストラリア、アボリジニの知恵
約５億５千万年前に孤立したオーストラリ
ア大陸は、稀少な動植物の宝庫である。
生息する動植物の８割はここにしか存在し
ない。
約４万年より以前にアボリジニと呼
ばれる先住民が移住したが、独特の
狩猟採取社会が、永続的に１８世紀
まで持続してきた。
そこでは、農耕社会とは異なる自然
共存の知恵が育まれてきたことから
近年その知恵や知識などに注目が
集まりつつある。
とくにアボリジニの薬草利用の知恵
は宝の宝庫であり、利用可能な生物
資源を求めて研究者や企業による
調査が続いている。

15. 流通・消費における２つの展開
（ファストフード 対 スローフード）
Fast Food Nation
by Eric Schlosser
Slow Food movement
Fast Food
スロー・フード運動は、１９８６年にイタリアで、ファスト・フードに
象徴される効率至上主義の食品産業や食文化に対抗して、伝
統的な食品製造技術とその食品をゆっくりと味わう喜びを守る
運動として出発した。運動のシンボル、”かたつむり”がよくその
性格を表している。

16. 食と農における２つの展開方向
「生物・生態系」→「人間生態系」→「農業生態系」の形成
★ 単一・極大化の展開指向：（新大陸・自然征服：排除・支配型）
☆ 複合・バランス調整の展開指向：（旧大陸・アジア：共生･共存型）
･・・・・・・・・・・・・・・・・・・･・・・・・・・・・・・・・・・
新大陸・自然征服（アメリカ）型の優位・拡大 →それらの世界的展開
近代化の流れ →●単一価値のモノカルチャー的展開（多様性の破壊）

18. 出典：古沢『環境と共生する農』ミネルバ書房2015

19. Source: ETC
Group

20. Source: ETC
Group

21. 人為と自然との攻め合いと共存
（半自然領域の編成の重要性：里山の意義）
人工環境
（都市的領域）
半自然（２次的自然）
原生的自然

22. http://www.fao.org/family-farming-2014/en/

23. 中南米に広がるアグロフォレストリー（農林複合）
世界的に見ると、日本を含めて多くの地域では、農耕と森林とは昔から密接なつながり
をもってきた。 今、とくに途上国を中心にアグロフォレストリーが再評価されだしており、
アグロエコロジー（農業生態学）や有機農業運動との結びつきを強めつつある。
＜下図は、メキシコの有機コーヒーの生産農業協同組合のパンフレットより引用＞

29. 出典：GDB（生物多様性概況）3

30. 出典：GDB（生物多様性概況）3

31. 出典：GDB（生物多様性概況）3

33. 食と農の多様性：自然生態系と文化生態系の織りなす世界
ミラノからアドリア海を結ぶエミリア「美食街道」：パルマ・モデナ・ボローニャ

35. 出典：「日本の里山・里海評価」2010
４つの未来シナリオ
←技術志向 自然志向→
自然循環の共生社会