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1
プレゼンテーションを考える
長田@悠雀堂
初版 2005年
二版 2014.11.02
2005 C.Nagata
2
プレゼンテーションとは?
 Presentationの語源はPresent
 「プレゼンテーションはギフトである」
• DHBR 2004 Oct. 岡田恵子
 聞いている人に
• 何をお持ち帰りして頂くか?
• いかにお持ち帰りして頂くか?
2005 C.Nagata
3
目次
 準備
 スライドの作成
 練習
 発表
 まとめ
2005 C.Nagata
4
準備
準備
ハンズアウト(配布資料)
スライドの構成
2005 C.Nagata
5
準備
 コンテンツ
• やっぱりこれが大事
 構想
• もらった時間
• 聴衆はどのような人々?
• 聴衆はどれくらい?
• 会場の広さは、レイアウトは?
 スライドの作成
2005 C.Nagata
6
ハンズアウトの形式
 ハンズアウト-実際にお持ち帰りするもの
• 論文・予稿形式
• スライドと別途作成。スライドに説明は書かず、図
表中心。
• パワーポイントのノート形式
• ノートに詳しい説明を書く。これもスライドは図表中
心
• スライドの縮小配布
• スライドに説明を記述し、ハンズアウトとして活用
可能なものにする
2005 C.Nagata
7
ノートを利用したハンズアウトの例
事前配布すると聴衆
が下を向いてここを読
んでしまうという危険
もある
2005 C.Nagata
8
スライドをハンズアウトにする場合
 配布用のスライドと発表用のスライドは異
なっても良い
• 配布用はまとまりを考慮する
• 発表用はインパクトを考慮する
 発表用には配布用にはない、イラスト主体
のスライドが入る
• ツカミ
• オチ
• 問題提示・転換など、
2005 C.Nagata
9
スライドの構成
 コンテントはおおよそツリー型の構造に
なっている
 ツリー各要素には、直列、並列の関係があ
る
 スライドの順番はシーケンシャルにするし
かない。プレゼンがストーリーになるように
各要素の順番を考える
2005 C.Nagata
10
スライドの構造
 要素が並列要素
の場合は、ストー
リーになりやすい
順番を考える
 見出しも並列要素
かもしれない
見出し スライド要素
2005 C.Nagata
テーマ
はじめに
導入
概要
問題定義
現状説明
課題
事例
事例1
事例2
提言
問題の整理
提言
方法
効果
コスト
まとめ
まとめ
謝辞
11
構成のTips
 ミラーの法則
• “Magic number 7±2”
• 人間が覚えられるチャンク(塊)の数
• 例えば電話番号
 スライドの構造にミラーの法則を用いる
• 大見出しの下の小見出しの数
• 小見出しの下の要素数
• 以上を、多くても5つにする
• 少ないほうが望ましい
2005 C.Nagata
12
スライドの作成
どこからつくる?
目次を作る
スライドのデザイン
クリップアートについて
2005 C.Nagata
13
どこからつくる?
 スライドごと、
つくる
 デザインから
つくる
 アウトラインで
つくる
• →こんな感じ
2005 C.Nagata
14
目次を作る
 目次は必要?
• 聞いている人の「頭の中の整理だな」を作るた
めに
• 今どの辺りか、分かってもらうために
2005 C.Nagata
15
スライドデザイン
 スライドの背景は白
• コントラストが強く、見やすくなる
• 暗い会場では照明の代わりになる
 文字は黒かそれに近い色
• 多少見難いほうが注目する、という意見も・・・
 強調文字は何がいい?
• ボールド
• 色づけ
• 青地に赤は止めたほうがよい(色盲)
• 明度で違いがわかるようにする
2005 C.Nagata
16
文字
 文字は小さくなりすぎないようにする
• 小さいと手元のハンズアウトしか見ない
 見やすいフォント
• ゴチック、丸ゴチ
• よくポップを使う人がいますが、見やすいので
しょうか?
 以上を踏まえて、デザインを自作しましょ
う!
2005 C.Nagata
17
デザイン
 黒一色だと、チープなイメージになる
• デザイン感も説得力
 かといって、うるさくなりすぎないように
 背景にイメージを入れる場合
• 文字が被っても見やすいようにする
• 凝ったイメージは、PDFにしたときに重くなる
• ハンズアウトでは、背景は印刷しない
2005 C.Nagata
18
デザインテンプレートの例
2005 C.Nagata
19
クリップアート
 クリップアートはあったほうが良い?
• フレンドリーな感じ
• 動くイラストは、ついついそこに目が行ってし
まうので注意
2005 C.Nagata
20
練習
練習・練習・練習
ストーリーを語るために
2005 C.Nagata
21
練習・練習・練習
 練習の効果
• 発表時間を守ることができる
• 当日落ち着いて話すことができる
• アクシデントがあっても対応可能
• スライドが映らなくても話続ける
• 時間調整が可能。とくに切り上げなければならないとき
 原稿を作っておく
• 話す項目の整理
• 当日読むわけではない
2005 C.Nagata
22
練習のTips:ノートを活用
 ノートに話す内容を書く
 私の場合、24ポイントで
書くとゆっくり読んで30秒
になる
 これで練習すると、大体
時間通りに終えられるよ
うになる
2005 C.Nagata
23
ストーリーを語るために
 スライドとスライドの間の接続詞にあたる
言葉を考える
• スライドの転換が自然になる
• ストーリーが聴衆の頭に入りやすくなる
• 例:「次にもう一つのXXXについて考えます」
• 「以上をまとめると、この様になります」
• 接続詞はスライドを切り替える前にしゃべり始
め、しゃべりながらスライドを替える
• スライドの中に、接続詞を思い出すためのヒントを
忍ばせておく
2005 C.Nagata
24
Suggestion
 英語のときは、原稿を作らないほうが良
い?
• たどたどしいほうが、好感が持てる
• 一生懸命さが伝わる
• 時間がシビアなときは例外
 ストーリーの山場をつくるには?
• ポイントとなるデータがあればそこ
• 商品のプレゼンの場合は、商品を出すところ
2005 C.Nagata
25
発表
ツカミ
聴衆とのコミュニケーション
話し方
動き
オチ
2005 C.Nagata
26
ツカミ
 なぜ手を上げさせるのでしょうか?
2005 C.Nagata
27
ツカミ
 なぜ手を上げさせるのでしょうか?
 聴衆のコミットメントを引き出す
• 全ての人に手を上げさせる
• 手を上げさせた人ごとに、「お持ち帰り
ポイント」を告げる
 脳の活性化
2005 C.Nagata
28
ツカミ
 失敗しそうなことはしない
• ジョーク、小話
 それよりは至誠を示す
• 自分としては何を一番聞いてほしいか
• 自分はどんな問題を解決しようと思ったか
 礼に始まり、礼に終わる
2005 C.Nagata
29
Suggestion
 アメリカナイズされたプレゼン
• 演台にひじをつく
• 一番前の机に腰掛ける
 日本では場にそぐわない場合があるので
危険
• あるアメリカ帰りのドクターが「無礼」といわれ
た
2005 C.Nagata
30
聴衆とのコミュニケーション
 会話をするというわけではなく・・・
 コミュニケーションをとろうとする姿勢
• アイコンタクト
• 動き
• 話し方
• 笑いのポイント
• 眠らせない
2005 C.Nagata
31
アイコンタクトのTips
 最初は、一番遠くの人
を見る
• その人に届く声を出す
• 特にマイクがない場合
 あとは順に視線を移動
• 会場が大きい場合はざっくり
と
スクリーン
座
席
座
席
2005 C.Nagata
32
話し方
 語尾を曖昧にしない
• 練習しておくと、なくなる
 説得したいときは、半音低い声でゆっくりと
• 医師が患者に説明するときのテクニック
 3秒以上沈黙しない
• 放送業界と、児童総会のおきて
• 放送業界-放送事故
• 児童総会-子供が集中しなくなる
• 発表者自身が舞い上がってしまう
• 意図的に黙ることもあります
• 聞いている人を不安にさせ、考えさせる
2005 C.Nagata
33
動き
 動いているものを見てしまう、という習性がある
 演台に立たない
• 無礼な態度になってしまうことがある
• 礼がきれいでない、足が遊ぶ、手元のPCしか見ない
• さらに会場が暗いと、PCの照り返しで不気味な顔に・・・
• コミュニケーションする、という態度がとりにくい
 例外もあります
• 若手のエンジニアが、演台から前のめりになってプレ
ゼンした。不慣れではあったが熱意が感じられた。
2005 C.Nagata
34
動き
 ジェスチャー(手振り)を入れる
• 手をおへその辺りに組むと手を上げやすくな
る
 立っているより、多少歩いたほうが良い
• 外人のプレゼンテーターは大抵歩く
 かといって不自然にウロウロするのも。。。
2005 C.Nagata
35
動きのTips
 座席と演台の間に、
ちょうど良いポイン
トを設定する
 そこを中心に、必要
なだけ移動する
• スライド切替のとき
はノートPCに
• 指し示すときはスク
リーンの方に
演台
スクリーン
座
席
座
席
2005 C.Nagata
36
聴衆からのフィードバック
 ポジティブアクション
• 視線
• 反応
• 笑顔
• うなずき
 ネガティブアクション
• 手、足を組み続けるのはクローズドと言われるが?
• 寝る
 反応が薄いからと言って、悲観しない
• アクションは小さいです
• 特にジョークに対しては
2005 C.Nagata
37
オチ
 最後にまとめのスライドを入れる
• お持ち帰りポイントを再提示
 一番最後はオチのスライド
• 「ご清聴ありがとうございました」
 おじぎでしめる
2005 C.Nagata
38
質疑
 聞かれたくないことを防げる?
• 落とし穴には落ちてくれない、の法則
• 質疑用の予備のスライドを用意しておく
 いっぱい聞かれたら
• 質問を忘れるので、一つづつ答える
 わからないことを聞かれたら
• 素直に、「わからない」という
• 会場に聞く
• 質問者が単に主張したい場合もあるので、そのときは
逆質問して、言いたいだけ言わせることも
2005 C.Nagata
39
まとめ
2005 C.Nagata
40
まとめ
 プレゼンテーションはプレゼント
 お持ち帰りしてもらうために
• スライド
• ストーリーを大切に
• デザインを考える
• コミュニケーション
• コミットメントを引き出す
• 奇をてらうより至誠を示す
2005 C.Nagata
41
参考文献
 藤沢晃治,”「分かりやすい説明」の技術”, 講談社ブルー
バックス,2002
 藤沢晃治,“「分かりやすい表現」の技術”,講談社ブルー
バックス,1999
 “SEを極める最強仕事術—図解・文章・タイムマネジメン
ト・コーチング・会計・法律”, 日経BPムック, 2004
2005 C.Nagata

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