1. 筋肉の運動制限変位
筋肉の運動制限変位回復法

2. 筋肉の運動が制限され連動性が
失われると発生する
 骨格の運動制限変位同様、筋肉の運動制限変位も身体
の動作中に発生する。
 繰り返しの間違った動作による脳の学習によるものか、
恒常性を壊したための防衛反応と考えられる。
 骨格の可動部分に付着している筋肉は互いに連動しな
がら様々な動作をスムーズに行えるようにできている。
 何らかの原因でその連動性が失われた時、筋繊維や神
経に問題が発生する。
 関節の運動制限変位同様、筋繊維に剥離が起こること
により痛みや違和感を感じることになる。
 こうした筋肉の連動性を解消する方法である。

3. 筋肉の運動制限変位第二の原因
 通常筋肉は重力に逆らうための動きしかしない。
 具体的には何らかの物体を持ち上げたり、おろしたり、ある
いは押したりするための動作でのみ使われる。しかし、脳の
誤作動により上記の条件がなくとも筋肉が緊張状態を保って
しまう働きがある。
 負荷が何もかかっていない関節を屈曲しただけで筋肉が緊張
し、その状態を維持してしまうことがある。例えば、大腿二
頭筋は正座の姿勢の際には使われない（緊張の必要がない）
筋肉である。

4. 筋肉の運動制限変位第二の原因
 しかし、正座をすると筋肉に緊張がはいってしまい、自らの
意思では緊張を解消することができなくなる。通常は物体を
持ち上げれば、それを下ろせば筋の緊張は必要ないはずであ
る。
 それにもかかわらず緊張が発生するのは脳が誤作動を起こし
て不必要な動きを再現しているということである。これは不
調のある人間がよく訴える症状の一つである。
 よくある例として、痛みがある部位をかばうことが原因で骨
格の重心がかたより、一部の筋肉を酷使している場合である。
脳がその姿勢や動作を学習し、その動作を再現することで対
象の筋肉に緊張が入って剥離痛や緊張痛が発生すると考えら
れる。

5. 筋肉の運動制限変位第二の原因
 例えば、上腕二頭筋は物体を持ち上げるために屈曲するが、
物体を持ちあげなくても力こぶを作ることが可能である。
 「力こぶ」・・・ようするに上腕二頭筋が緊張させることは
本人の意思でどのような体勢でも可能となる。寝ていても、
起きていても力こぶは作れるからである。物体を持ちあげな
くても力を入れることが可能ということである。
 通常では意識しなければ、この状態「力こぶ」は発生しい。
 しかし、何らかの原因で体力が消耗していたり、疲労の極限
にあったり、不意の衝撃から身を守るため、極限の力を使っ
てしまったような場合、脳の誤作動が発生することがある。

6. 筋肉の運動制限変位第二の原因
 こうした誤作動が起こった時、関節をほんの少し屈曲しただ
けで、筋肉の緊張が発生してしまうのである。これが、先の
正座の姿勢で起これば膝裏や大腿二頭筋の緊張につながり、
そこに剥離痛や緊張痛が起こり痛みが発生する理由である。
 この他にも、通常は力を入れて屈曲する方向に動作をした場
合、実際には全く力を入れる場合ではないのに、身体の脳が
誤動作を起こし、筋肉を異常に収縮させる事がある。この場
合は剥離痛や緊張痛を引き起こし、激痛が走る。

7. 筋肉の運動制限変位第二の原因
 もう一つ例をあげると、立った状態から膝を屈曲する時に大
腿後方の筋肉に痛みが発生する場合。これも剥離痛や緊張痛
が脳の誤作動で発生している。膝の屈曲の際に筋肉が連動し
動くのは大腿前面と下腿の腓腹筋であるにもかかわらず、大
腿後方の筋肉は動作しないにも関わらず、緊張し痛みが発生
する。これが筋肉の運動制限変位である。このときの痛みは
剥離痛か又は緊張痛である。

8. 筋肉の運動制限変位第二の原因
 重力に応じて収縮するための筋肉であるが、脳が危険を感じ
た時も交感神経の働きにより無意識に骨格筋は緊張する。
 例えばストレスである。ストレスは肉体的なものもあれば、
精神的なものもある。悩み事などがあれば、微妙に骨格に緊
張がはいることになる。
 こうしたストレスが継続的に発生していると、脳の学習効果
によって先に挙げた例と同じように筋肉の運動制限変位は発
生することになる。
 これも重力に逆らうための働きとは関係ない骨格筋の緊張で
ある。すなわち、悩み事の多くは未来を予測したり、過去を
思い出すことによって内的イメージからも影響を受けるとい
うことである。

9. 痛みの原因は２つ
1. 人間のあらゆる動作において、制限
がかかっていると思われるケースに
有効。例えば、首や手足を動かそう
とした時、関節に制限がかかってい
る場合など。
2. 力を入れずに関節を屈曲した際に、
勝手に筋肉が緊張して痛みが発生す
る場合。これは疲労が原因で脳が不
必要な動きを学習したことによるも
の。（例：水泳の際にふくらはぎが
つる、正座の際にももの裏側がつる
等）

10. 筋肉の運動制限変位による剥離痛と緊張痛
 剥離痛は筋繊維が外に向かって引き伸
ばされることによって剥離が起こるこ
とで発生する痛み。
 緊張痛は剥離痛の一つであるが、筋繊
維が乱れる方向が違う。筋肉が中心に
向かって剥離が発生するのが緊張痛で
ある。

11. 運動制限変位（関節・筋肉とも）の種類
 恒常性が破壊された場合による脳の防
衛反応
（不意の衝撃なども含む）
 繰り返しの動作による脳の学習による
もの
（疲労や足の関節の不具合から特定の
姿勢や動作を栗化したりを維持するこ
とで発生するもの）

12. 筋肉の運動制限変位の技法
 筋肉の運動制限変位を解消する技法は
以下の３種だけである。
 指腹圧法（微圧又は軽圧）
 筋動作牽引法
 筋・ウエーブ法
＊この３つの内、今回の指導は筋・ウエーブ法以外の２つ

13. 指腹圧法
 脳が危険を感じて防衛反応を示してい
る場合は指腹圧法を使う。
 この場合、動作中に制限を受けている
筋肉に対して制限を与えないように相
手の動きに合わせて対象部位に触れな
がら行う。

14. 筋動作牽引法
 脳の誤動作により関節が通常の動作を
阻害されている場合に活用する
 相手の各関節の連動性を見極めて行う。
 各関節の動作の先を予測して指先や掌、
掌底を利用して筋肉を軽く保持し、相
手の動作に合わせて正しい動作になる
ように誘導する方法。