1. _rtld()
ソースコードリーディング
@kusabanachi
#start_printf

2. このスライドの概要
● NetBSD の動的リンカ、 ld.elf_so の
動的リンク処理のソースコードを調べました
● 対象は NetBSD-6.0.1
● ソースコードはスライドに貼れなかったので
別窓で表示します

3. では、ソースコードを読んでいきます
/src/libexec/ld.elf_so/rtld.c

4. スタート (rtld.c 366 ～ )
Elf_Addr
_rtld(Elf_Addr *sp, Elf_Addr relocbase)
● 引数はスタックポインタと
ld.elf_so の配置アドレス
● スタックに環境変数と補助ベクタが
積まれている状態
● この時点でメインプログラムと、 ld.elf_so が
メモリにマップされている

5. スタックから情報の取得 (rtld.c 413 ～ 477)
● 上位 2 ワードは戻り値を格納する
● argc 、 argv
● 環境変数 (env)
● 補助ベクタ (pAUX_xxxx)

6. 動的リンカ自身の初期化 (rtld.c 479 ～ )
_rtld_init(
(caddr_t)pAUX_base->a_v,
(caddr_t)relocbase, execname);
● 私の環境では、第一と第二引数は同じ値
● rtld.c line275 へ

7. 動的リンカ自身の初期化 (rtld.c 275 ～ )
● _rtld_objself に ld.elf_so の情報を格納する
● &_DYNAMIC は ld.elf_so の
.dynamic セクションのアドレスになっている
（どういう仕組みか不明）
● 297 行
_rtld_digest_dynamic(_rtld_path,
&_rtld_objself);
で .dynamic セクションを元に情報を取得していく

8. .dynamic からの情報取得 (headers.c 67 ～ )
● 固定長の情報が並んでいるので、
NULL までループして tag 毎の情報を
Obj_Entry 構造体に格納する
● 主に各セクションの相対アドレスや、
そのセクションのエントリ総数 (DT_xxSZ)
● .hash セクションは buckets と chains のアドレス
を格納しておく
● NEEDED は名前番号を取得。
リスト構造で格納

9. 環境変数の適用 (rtld.c 491 ～ 558)
● _rtld_trust = 実 ID と実効 ID が一致
● ”LD_xxxx" と一致すれば後の処理に適用
( 一部 _rtld_trust が必要 )
●

10. hints ファイルの適用 (rtld.c 559 ～ )
● 559 行
_rtld_process_hints(execname,
&_rtld_paths, &_rtld_xforms,
_PATH_LD_HINTS);
● #define _PATH_LD_HINTS "/etc/ld.so.conf"
● ファイルが無いと何もしない

11. メインプログラムの初期化 (rtld.c 568 ～ )
● まだロードされていない場合
● この分岐を通る場合は未確認
● メインプログラムのファイルを mmap して、
先頭のプログラムヘッダから情報を
取得しているようだ

12. メインプログラムの初期化 (rtld.c 576 ～ )
● ロード済みの場合
● _rtld_objmain =
_rtld_digest_phdr(phdr, phnum, entry);
● phdr はプログラムヘッダのアドレス
プログラムヘッダから情報を取得する

13. プログラムヘッダからの情報取得
(headers.c 338 ～ )
● 対象オブジェクトの情報を格納する構造体を生成
● ヘッダ自身を指すエントリのアドレスと
プログラムヘッダのアドレスの差分が
obj->relocbase ( 私の環境では 0)
● .interp や .dynamic セクションのアドレスを得る

14. メインプログラム初期化続き (rtld.c 604 ～ )
● 動的リンカのパス名は
メインプログラムのインタプリタ名に変える
● メインプログラムも .dynamic から
他セクションの位置などの情報を取得する

15. NEEDED オブジェクトのロード
(load.c 292)
● .dynamic から得た NEEDED オブジェクトを
順にロードする
● const char *name =
obj->strtab + needed->name;
● 候補のパスから対象ファイルを探す
● 見つかったら mmap して、
.dynamic セクションから情報を得て、
_rtld_obj_tail につなげる
● libc.so.12 がロードされる

16. オブジェクトの再配置 (reloc.c 148)
Int
_rtld_relocate_objects(
Obj_Entry *first, bool bind_now)
● first から順に全オブジェクトについて処理する
● 185 行
_rtld_relocate_nonplt_objects(obj)
plt ではない object の再配置
● 196 行
_rtld_relocate_plt_lazy(obj)
plt の lazy な再配置

17. nonplt の再配置
(arch/i386/mdreloc.c 52)
● オブジェクトの rel を順に処理する
● タイプ（ ELF_R_TYPE(rel->r_info) ）毎に
処理が異なる
● R_TYPE(GLOB_DAT) は
rtld_find_symdef() でシンボルを探して
見つけたアドレスを指せるようにする
● R_TYPE(RELATIVE) は
別のオブジェクトを探す必要はなく、
相対アドレスに relocbase を加算した値を使う

19. plt の遅延配置のための準備
(arch/i386/mdreloc.c 180)
● pltrel が指した先のアドレスに relocbase を
加算しておく

21. init function の呼出し
(rtld.c 209)
● _rtld_initlist_tsort(&initlist, 0);
で各オブジェクトと NEEDED を全て
initlist につなげている
● initlist にあるオブジェクトについて、
obj->init があれば、コールする

22. おわり
(rtld.c 713)
● 元のスタックの先頭箇所に、
exit 関数のポインタと
メインプログラムの構造体のポインタを入れる
● obj->entry （ .text の開始位置）
を返して終わる