電子コミックの表現を豊かにする
手書き文字アニメーション生成手法
佐藤 剣太,中村 聡史,鈴木 正明
(明治大学 総合数理学部)
背景
コミックに書かれている文字は、フォントを変え
ることで印象が変化する
背景
セリフやオノマトペの中には、手書きで表現され
ているものも
背景
電子書籍の普及
•紙媒体と電子媒体の両方で発売されることもあるが
書籍をスキャンしただけの作品がほとんど
•電子媒体においてオノマトペやセリフが変化する
作品はまだ少数
背景
関連研究
•ディジタルコミック制作のための動的な音喩表現生成
システム[松下 11]
- コミックのオノマトペに対して手軽
に動きを付与可能
- オノマトペおよびアニメーションの
種類はあらかじめ用意されたカテゴ
リから選択
背景
関連研究
•オノマトペン[神原 10]
• ユーザの発声するオノマトペに対応した質感を手書き
ストロークに付与
• 表現可能な質感は一定
https://www.youtube.com/watch?v=sV75QjBrso0
問題点
• 現在の電子書籍において、セリフやコマを動かすと
いったディジタル端末ならではの表現を活かしきれ
ていないものが多い
• 手書き文字に対してアニメーション表現を行う環境
が普及していない
手書き文字に対してアニメーション表現を行うと
より豊かなコミックの表現が可能になる?
目的
• 手書き文字を数式として表現し、別の数式を付与
• 評価実験を行い、フォントの文章と提案手法によ
る文章で伝えやすくなる印象について検証
電子コミック作成時に手書き文字に対して
手軽にアニメーションを付与する手法を提案
提案手法
• 手書き文字を数式へと変換
➡
• 上の数式と、アニメーションの数式を利用して文
字アニメーションを表現
➕ ➡
提案手法
フーリエ級数入力データ
法線ベクトル
X座標
Y座標
X座標
微分値
Y座標
微分値
➡
微分
=
=
➡
提案手法
波形 文字アニメーション
➕ ➡
法線ベクトル
実験
以下の2つの仮説を検証する
•コミックを用いると印象に影響する要素が多いと考えたため
、文章のみで実験
手書きで作成した文章は、コンピュータ上の
フォントで作成した文章よりも意図を伝えやすい
手書きにアニメーションを付与した文章は、
手書きで作成した文章よりも意図を伝えやすい
文章データセット構築
プルチックの感情の輪の印象を
利用して文章を選定
喜び
信頼
心配
驚き
悲しみ
嫌悪感
怒り
予測
文章データセット構築
文章の作成手法:3通り
•PowerPointで作成
•提案システム上での手書き
•提案システム上での手書き
+アニメーション付与
文章データセット構築
✖️ ✖️
5(人)3(手法)8(文章)
• 協力者:20~22歳の学生 5名
=120(種類)
喜び
信頼
心配
驚き
悲しみ
嫌悪感
怒り
予測
印象評価実験
• 協力者
- データセット構築を行っていない20~22歳の学生5名
• 評価システム
- データセットからランダムに提示
- 8つの印象がそれぞれ感じられた度合い
- 5段階のリッカート尺度
実験結果
喜び・心配・怒りの印象はいずれの手法でも意
図が伝わる傾向あり
実験結果
信頼・嫌悪感・予測の印象はいずれの手法でも
意図が伝わる傾向にない
実験結果
心配・驚き・悲しみ・怒りの印象はフォントより
も手書きによって作成したほうが伝わりやすい
実験結果
喜び・心配・悲しみの印象は手書きよりも提案手
法によって作成したほうが伝わりやすい
実験結果
喜び・心配・悲しみの印象はフォントよりも提案
手法によって作成したほうが伝わりやすい
考察
• 信頼・嫌悪感・予測といった印象語はイメージ
として捉えるのが困難
• 心配・悲しみは似たパラメータが設定されやすく
互いに間違えて受け取られる傾向あり
• 手書き文字の鋭さ・大きさが印象の強さに影響
使用例
• 自分で撮影した写真をよりコミカルに
• 電子コミックのコマに書いた文字をアニメーション
させることで印象を操作
• コマやオノマトペに応じたアニメーション自動生成
の可能性
まとめ
•電子コミックでの表現を豊かにするために、手書き文
字を数式化し、別の数式を付与することでアニメーシ
ョン表現を行う手法を提案
•8つの印象に関する文章データセットを構築し、評価
実験において提案手法の有用性を検証
[今後の課題]
- 複数ユーザから得たパラメータの平均値を求めることで
、より適切なアニメーション表現を目指す
- より正確な分散値を得るため、評価者の人数を増やす
URL: http://satoken.nkmr.io/MojiAnimation/

電子コミックの表現を豊かにする手書き文字アニメーション生成手法