Perceived and PredictedBleeding Risk
【背景】
AFに対して抗凝固薬を内服している患者が、想定された出血リスク
と比較しどれほどリスクを認知しているのかについて検討した研究は
少ない。
出血リスクを過小評価する患者の特性について調べた。
4.
Perceived and PredictedBleeding Risk
【方法】
SAGE-AF(Systematic Assessment of Geriatric Elements in Atrial
Fibrillation) studyにおける、AFでCHA2DS2‐VASc risk score ≥2、抗凝固
薬を内服している65歳以上の754人の患者を調査
(年齢中央値 74.8 , 女性が48.3%)
5.
Perceived and PredictedBleeding Risk
【結果】
68%の患者が出血リスクを過小評価していた。
アジア人・太平洋諸島民・黒人・ネイティブアメリカ・、アラスカ先住民・混血人・ヒスパニック(つまり非白人)
(adjusted OR [AOR], 0.45; 95% CI, 0.24–0.82) は過小評価のリスクは低い。
女性(AOR, 0.62; 95% CI, 0.40–0.95)は過小評価のリスクは低い。
出血イベントが過去にあった患者(AOR, 3.07; 95% CI, 1.73–5.44) 、高血圧既往の患者(AOR, 4.33; 95% CI, 2.43–7.72)、
脳出血既往の患者(AOR, 5.18; 95% CI, 1.87–14.40)、腎臓病の患者(AOR, 5.05; 95% CI, 2.98–8.57) は過小評価のリスクが高い。
【結論】
医師は出血リスクについて患者へ理解させることを徹底すべきである
【jwatchのコメント】
多くの患者が、リスクについて正しくない理解をしている。
【私のコメント】
白人の方が過小評価しているのは意外。受けてきた教育レベルがものを言う気はするが。
Bamgbade BA et al. Differences in perceived and predicted bleeding risk in older adults with atrial fibrillation: The SAGE-AF study. J
Am Heart Assoc 2021 Aug 16; [e-pub].
6.
For Anticoagulated Patientswith Blunt Trauma,
Repeat Head CTs Aren't Necessary
【背景】
高血栓薬を服用している患者が鈍的頭部外傷を負った際、遅発生
の頭蓋内出血を生じる可能性がある。
臨床的に重大な遅発性の頭蓋内出血を起こす率ははどれほどなの
だろうか。
ルーチンとしての繰り返されるCT検査は、遅発性頭蓋内出血をモニ
タリングする術としては費用対効果が悪いのではないか。
7.
For Anticoagulated Patientswith Blunt Trauma,
Repeat Head CTs Aren't Necessary
【方法】
P:2014年1月から2019年3月までにおいて、鈍的頭部外傷で頭部CTを
施行した、抗血栓薬(高血小板/高凝固)を内服していた患者
I/C:はじめのCTで有意所見がない患者に対し、6時間後にCT再検査
を行った
O:患者背景、再検査時に有意所見が生じた率等
8.
For Anticoagulated Patientswith Blunt Trauma,
Repeat Head CTs Aren't Necessary
【結果】
抗血栓薬服用中で鈍的頭部外傷を生じた1676人の患者のうち、当初のCTで所見がなかったのは1377人(82.0%)であった。
そのうち12人(0.9%)が2回目のCTで頭蓋内出血を新たに生じた。6人は脳室内出血、3人は硬膜下血腫、2人はクモ膜下出血、1人は脳実質内出血。
遅発性頭蓋内出血を生じた患者は、誰も神経学的所見の変化なく、頭蓋内圧モニターや外科的介入を必要としなかった。
CTによる直接的なコストは合計約926,247ドルであった。
【結論】
抗血栓薬投与中の患者であっても最初の頭部CTで所見がなければ、重大な遅発性頭蓋内出血を生じるケースは稀である。
ルーチンとしての繰り返し頭部CTは費用対効果が悪い。
【jwatchのコメント】
抗血栓薬投与中の患者に対しルーチンで繰り返しCTを施行することについて再考させられる論文である。
【私のコメント】
たとえば、夜中0時に来た頭部外傷で、頭蓋内出血はないが脳震盪で入院となった-そのような患者のCT再検査は、急がずに朝でも良いかも。
Repeat head computed tomography for anticoagulated patients with an initial negative scan is not cost-effective. Surgery 2021 Aug; 170:623.
9.
Protocolized Care DoesNot Prevent Reintubation
【背景】
抜管時の呼吸サポート(NIV、HFNC)は再挿管率を低下させると言わ
れてきた。
ICUにおける抜管後のすべての患者に呼吸サポートをすることで再
挿管率が減るかどうかを調べた。
Protocolized Care DoesNot Prevent Reintubation
【結果】
751例組み入れ。プロトコル359例(331例呼吸サポート)、通常管理392例。
再挿管率は、プロトコルに組み込まれた患者15.9%、通常管理の患者の13.3%。(オッズ比0.82-1.84(95%CI)、p=0.32)
【結論】
プロトコル化された抜管後呼吸サポートは、再挿管を率を低下させない。
【jwatchコメント】
一概に抜管後プロトコルが無益なのではない。プロトコルをどのような患者に適応させるかが重要であろう。
【私のコメント】
再挿管になった原因はアブストラクトレベルではわからないが、
再挿管が必要になる原因で多く経験するのは、痰詰まりや上気道狭窄。
NHFやNIVでしのげるものではないので、「差が出ないのは意外」とは感じない。
Protocolized postextubation respiratory support to prevent reintubation. Am J Respir Crit Care Med 2021 Aug 1; 204:294.
12.
Further Evidence forSafety of Preoperative
Cefazolin in Reported Penicillin-Allergic Patients
ペニシリンアレルギーはセファゾリン過敏性へのリスクファクターで
はない、というエビデンスが増えている。
アメリカでは10%の患者がペニシリンアレルギーと言われている。
(もっとも、皮膚試験や経口テストにより、そのうち10%に満たない患
者が本物のペニシリンアレルギー患者であることが報告されている。)
ペニシリンアレルギーと言われている患者に対しては、周術期に
種々の代替抗生剤を投与されている。
結果、入院費はかさみ、創感染や院内感染が増加する。
13.
Further Evidence forSafety of Preoperative
Cefazolin in Reported Penicillin-Allergic Patients
【方法】
P:California academic medical centerで手術を受けたペニシリンアレル
ギーと言われている8770人の患者の経過を後方視的にレビュー。
E/C(なし)
O:過敏症の発症率、症状
14.
Further Evidence forSafety of Preoperative
Cefazolin in Reported Penicillin-Allergic Patients
【結果】
80%以上はCEZまたは他のセファロスポリン系。残りはベータラクタム系以外の抗生剤。
過去にハイリスクな反応(蕁麻疹、血管浮腫、血圧低下、喘息等)が起きた場合は、セファロスポリン系が投与されている割合は低い。
ベータラクタム系を投与された6935人のうち、2人に過敏症が生じた。
1人はCEZアナフィラキシーと診断された(この患者のペニシリン系への反応は低リスクとみなされていた)。もう一人は中等度の過敏反応が出現した。
1845人のうち7人がCLDM、ドキシサイクリン、AZTへの過敏反応が出現した。(相対リスクは8-73倍高かった。)
【結論・jwatchコメント】
「ペニシリンアレルギーはCEZ禁」という考えを改めるべき。
CEZはペニシリンと交差反応しない。CEZは他のセファロスポリン系と交差反応しうるR側鎖を共有していない。
代替抗生剤を使用することで、むしろ患者に悪影響を与えている。
【私のコメント】
当院としては、「ペニシリンアレルギーだけどCEZ投与してよい」はあり?
Anstey KM et al. Perioperative use and safety of cephalosporin antibiotics in patients with documented penicillin allergy. J Allergy Clin Immunol
Pract 2021 Aug; 9:3203.
15.
Early Feeding ShortensHospital Stay in Patients
with Mild or Moderate Pancreatitis
【背景】
軽症から中等症の急性膵炎に対し、早期の経腸栄養が良いと言わ
れているが、「早期」がいつなのかについてはcontrovertialである。
経腸栄養の適切な開始時期について検討した。
16.
Early Feeding ShortensHospital Stay in Patients
with Mild or Moderate Pancreatitis
【方法】
デザイン:多施設RCT
P:2017〜2019年 スペイン4施設に軽症or中等症の急性膵炎と診断さ
れ入院した患者
I:早期(immediately after hospital admission)経腸開始(低脂質の固形)
C:従来の経腸開始(臨床症状や採血データが改善したら始める)
O:入院期間、疼痛再発、食事不耐、合併症、入院コスト
17.
Early Feeding ShortensHospital Stay in Patients
with Mild or Moderate Pancreatitis
【結果】
131人組み入れ。
入院期間は早期開始群VS従来群で3.4日vs8.8日(P<0.001)。
合併症(8% vs 26%) 。早期開始群のコストは1/2、1325€/人減。食事に耐えられたのは99% vs. 79%。オピオイドが必要になった率
は0% vs. 8.3%) 。重症化率は(0% vs. 10%)
【結論】
軽症〜中等症の急性膵炎に対し、入院後早期に経腸栄養を開始することで、合併症を起こすことなく入院期間を短縮しコストも
下げられる。
【jwatchコメント】
従来群の栄養開始基準は厳格であり必要以上に栄養の開始が遅れ、差が大きく出たかもしれない。蘇生に必要な輸液量の検討
がない。輸液量が結果に影響しうる調整がされていない。
しかしこの報告は、経腸栄養開始の遅れが疼痛と関連している可能性を示しており、また昨今の推奨を裏付けるものである。
【私のコメント】
重症膵炎も早期経腸栄養開始が良いと言われている。経腸栄養を早く開始した方が、痛くないとは驚き。
Ramírez-Maldonado E et al. Immediate oral refeeding in patients with mild and moderate acute pancreatitis: A multicenter,
randomized controlled trial (PADI trial). Ann Surg 2021 Aug; 274:255.
Long QT Syndromeand Competitive Sports
【方法】
デザイン:電子カルテ後方視レビュー
P:2000年7月1日から2020年7月31日の間にMayo Clinic’s Windland
Smith Rice Genetic Heart Rhythm Clinic の循環器内科医師によりQT延
長症候群の評価、リスク層別化、治療が行われた、全てのアスリート
の電子カルテ記録
20.
Long QT Syndromeand Competitive Sports
【結果】
672人の遺伝性心疾患をもつアスリートが組み入れ。
そのうち494人はQT延長症候群で、競技再開を許可された。231人は女性。年齢は14.8± 10.5歳。フォローアップ期間は4.2 ± 4.8年。
494人のうち79人は診断前に症状を有していた。58人はICDを植え込まれていた。
遺伝性心疾患とスポーツが関連する死亡はなかった。
29人は致死的ではないがQT延長と関連する心イベントが1回以上発生した。このうち、15人は現役アスリートであった。3人はスポーツと関連する心
イベントが発生した。12人はスポーツと関連しない心イベントが発生した。
アスリート100人あたり・1年あたり、1.16回の非致死的イベントが発生したことになる。
【結論】
QT延長症候群のアスリートは、心イベントは滅多に起きない。
【jwatchコメント】
単施設の後方視研究で、心イベントが見過ごされていた可能性があったりするが、高いレベルのスポーツはQT延長症候群のアスリートの心イベント
発生とは関係性が低いかもしれない。
【私のコメント】
QT延長している患者を、ICUで「不整脈が起きないように、興奮させないように深鎮静に」とする必要はない、という理論は極解すぎるか。
Tobert KE et al. Return-to-play for athletes with long QT syndrome or genetic heart diseases predisposing to sudden death. J Am Coll Cardiol 2021 Aug 10;
78:594.