GIS-based Intelligent Assistant Agent for Supporting Decisions of Incident Commander in Disaster Response

1. Title
GIS-based Intelligent Assistant Agent for Supporting Decisions
of Incident Commander in Disaster Response( Abstract_要旨 )
Author(s) Nourjou, Reza
Citation Kyoto University (京都大学)
Issue Date 2014-03-24
URL http://hdl.handle.net/2433/188867
Right 許諾条件により本文は2014-10-30に公開
Type Thesis or Dissertation
Textversion ETD
KURENAI : Kyoto University Research Information Repository
Kyoto University

2. （ 続紙 １ ）
京都大学 博士（情報学） 氏名 Reza Nourjou
論文題目
GIS-based Intelligent Assistant Agent for Supporting Decisions of
Incident Commander in Disaster Response
（論文内容の要旨）
災害直後の緊急対応、特に都市での捜索・救助活動においては、災害現場で活動す
る複数のチームの効率的な連携が必要となる。複雑化する危機対応の現場においては
行動計画、作業割り当てとスケジューリング、意思決定において現場指揮官を支援す
る情報システムの開発が求められる。本研究では、このような目的を達するため、被
災地の地理空間情報を取り扱うGISを基盤とし，災害現場からの要求作業項目に対し
て現場に派遣する活動チームの割り当てやスケジューリングを行う現場指揮官支援ツ
ールGICoordinator (Gis-based Intelligent Coordinator)の設計と開発を行ってい
る。GICoordinatorでは、現場活動チームはソフトウェアエージェントとしてモデル
化されており、実際の現場活動チームからの情報提供により変化する状況に対応して
運用することを想定している。提案システムの実現可能性については、テヘラン（イ
ラン）の１地区を対象としたシミュレーションによる検証により考察を試みている。
第1章は、序論であり本研究で対象とする問題の設定を行い、制約条件について明
らかにしている。
第2章では、GICoordinatorの要求機能を整理し、これを実現するためのソフトウェ
アエージェントに求められる属性と振る舞いについて示している。
第3章では、GICoordinatorにおいて最も重要な機能となる戦略的な活動計画とスケ
ジューリング問題を実装するために必要なデータモデルについて考察している。ソフ
トウェアエージェントとしてモデル化される現場活動チームは、状況確認、人命探
索、救助（内容により3つのレベルに区分）、搬送といった災害現場で必要とされる
作業を遂行する能力を属性として持つ形で定義される。災害現場は、航空写真などか
ら概略を把握できることを想定し、被害の面的な広がりを考慮した区画に分割され
る。これらの区画に対して、行うべき作業群（複数の作業の組み合わせ）と割り当て
る現場活動チームを対にし、優先順位付けが可能な処理単位（「Thread」と呼ばれ
る）の考え方を提案・導入している。これにより、現場からの作業要求に対して、現
場指揮官が、適切に作業を集約し、現場活動チームを割り当てるといった対応戦略を
記述できるようなる。
第4章では、現場活動チームの作業割り当てを効率化するアルゴリズムについて考
察している。優先順位付けされた処理単位に対して実現可能な活動計画案を自動生成
し、活動戦略を洗練させるために開放すべき活動チームを自律的に同定する作業を、
決定木を拡張させたアルゴリズムを提案・開発することで実現している。
第5章では、異なる場所・時間に発生する作業群に対して、必要となる現場作業チ
ームの持つ能力と移動時間を考慮した資源制約付きスケジューリングを実現するため
のアルゴリズムを提案・実装している。想定している地区を対象として，災害のシナ
リオを設定し、提案したアルゴリズムを適応することで，実現可能なスケジュールが
得られることを示している。
第6章では、現場作業チームの能力に応じた作業とそれを必要とする作業現場への

3. 移動に焦点を当て、この問題に特化したA*アルゴリズムをベースとした経路探索アル
ゴリズムの提案を行っている。経路の重みを局所的に最小化するアルゴリズムである
が、応答速度を考慮した実践的な手法として実現を試みたものである。
第7章では、これまで提案したアルゴリズムを統合し、対象とする作業割り当てや
スケジューリングを評価するためのシミュレーターの開発を行っている。
第8章では、これまでの提案したシステムを災害現場で実際に利用するために、現
場作業チーム間の情報共有を目的としたタブレットPCでの実装イメージを作成し、実
用可能性についての検討を行っている。
第9章は結論であり、本論文で得られた主要な成果についてとりまとめるととも
に、今後の研究の方向性を示している。
注)論文内容の要旨と論文審査の結果の要旨は１頁を３８字×３６行で作成し、合わせ
て、３,０００字を標準とすること。
論文内容の要旨を英語で記入する場合は、４００～１,１００wordsで作成し
審査結果の要旨は日本語５００～２,０００字程度で作成すること。

4. （続紙 ２ ）
（論文審査の結果の要旨）
本論文は、災害直後の都市での探索・救助を想定し、複数の現場活動チームを効
率的に連携させるための現場指揮官支援システム（GICoordinator）の設計と開発に
必要な技術課題に関する考察を行ったものである。本論文では、以下のような主要
な結論を導いている。
１）想定する災害現場では、異なる場所で発生する、異なる作業（作業間の連鎖関
係があるものも含む）を、能力の異なる限定的な数（時間により増減する）の現場
活動チームに効果的に割り当て、自動的なスケジューリングを行うことが求められ
ることを示し、この課題を実装するために、場の設定となる地理空間情報と現場活
動チームを仮想化したソフトウェアエージェントの持つべき属性と振る舞いについ
て整理がなされている。いくつかの被災した建物や道路が含まれる領域として定義
される作業区画（航空写真などから判断して特定される）とそこでの要求作業群に
対して、対応する現場活動チームと優先度の組み合わせである処理単位を定義する
ことで戦略的な作業割り当てを行う方式を提案し、その有効性を示している。
２）技術的な要求機能である作業割り当てに関して、決定木を拡張したアルゴリズ
ムを提案・実装し、従来の類似研究で提案されているアルゴリズムに比べて高速に
計算結果を得られることを確認している。
３）異なる場所・時間に発生する異なる内容の作業群に対して、能力に違いがあり
限定的な数のチーム（時間による増減は可能）を効率的に配置する課題を、空間移
動を含めた資源制約付きスケジューリング問題に帰着させ、これを解くためのスケ
ジューリングアルゴリズムを提案した。本手法を、災害想定したテヘラン（イラ
ン）の対象地区に適応し、実現可能なスケジューリング解を示すことで，その有効
性を検証した。これにより、必要な時に必要とされる作業（位置情報を含む）と活
動可能なチームに関する情報を入手できれば、その時点での各チームの作業スケジ
ュールを作成することが可能となることが示されている。
４）現地活動チームの移動を考慮したスケジューリング問題において、時間効率を
上げるため必要な移動時間の短縮について、A*アルゴリズムをベースとしたアルゴ
リズムを提案、実装することで可能とした。３つの戦略、3つのチーム構成数に対し
て３つのアルゴリズム（breadth-first 探索アルゴリズムと提案するアルゴリズム
でパラメータが違うもの）を適応し、提案するアルゴリズムの有効性を検証した。
以上、本論文は災害時の都市における探索・救助活動における支援システムを技
術面から総合的に考察し、重要な項目に関して新たなアルゴリズムを提案するもの
となっている。本システムが現実の災害現場で実装されるためには、通信を含む情
報環境に関して満たさなければならない課題があるが、近年のICTの発達によりその
実現性も視野に入ってきていることを鑑みると、危機対応分野の発展に資するとこ
ろが少なくない。この点で、本論文は情報学研究科博士学位論文審査規程第2条第2
項に照らし、博士（情報学）の学位論文として価値あるものと認める。

5. また、平成２６年２月２０日、論文内容とそれに関連した口頭試問を行った結果、
合格と認めた。
注)論文審査の結果の要旨の結句には、学位論文の審査についての認定を明記すること。
更に、試問の結果の要旨（例えば「平成 年 月 日論文内容とそれに関連した
口頭試問を行った結果合格と認めた。」）を付け加えること。
Webでの即日公開を希望しない場合は、以下に公開可能とする日付を記入すること。
要旨公開可能日： 年 月 日以降