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圚日米囜商工䌚議所 / www.accj.or.jp / www.ecentral.jp / www.livinginjapan.info
のリサむクル印刷甚玙
1
委員長
ニコラス E. ベネシュ
株匏䌚瀟ゞェむ・ティ・ピヌ
副委員長
デビッド L. シュヌラヌ
ゎヌルドマン・サックス蚌刞䌚瀟
ティ゚リヌ・ポルテ
モルガン・スタンレヌ蚌刞䌚瀟
コミュニケヌション戊略担圓 副委員長
䜐藀玖矎, 株匏䌚瀟コスモ・ピヌアヌル
察日盎接投資(FDI)タスクフォヌス
チヌムリヌダヌ
䞍良債暩
土屋泰昭、束䞋正
䌁業統治ず透明性
ディビッド・スナむダヌ、朝倉秀俊、ニコラス・ベネシュ
劎働力の流動性ず゜ヌシャルセヌフティヌネット
゚リック・セドラック、ロヌレンス・ベむツ
芏制緩和ず䌁業家粟神の促進
゚ドワヌド・ゞョン゜ン、牧野昭次郎
株匏亀換
ロバヌト・グロンディン、ゲヌリヌ・トヌマス、゚リック・ルヌス
珟金合䜵
ディビッド・スナむダヌ
察日盎接投資(FDI)タスクフォヌス
スポンサヌ
ゎヌルド・スポンサヌ
アメリカンファミリヌ生呜保険䌚瀟AFLAC)
AIG グルヌプ
ベヌカヌ&マッケンゞヌ倖囜法事務匁護士事務所
特定共同事業事務所 東京青山・青朚法埋事務所
シティバンク、゚ヌ・゚む
日本コカコヌラ株匏䌚瀟
日本むヌラむリリヌ株匏䌚瀟
フェデラル ゚クスプレス株匏䌚瀟
日本れネラルモヌタヌズ株匏䌚瀟
日本れネラル゚レクトリック株匏䌚瀟
ゎヌルドマン・サックス蚌刞䌚瀟
IBM ワヌルドトレヌド アゞアコヌポレヌション
日本貿易振興機構(ゞェトロ)
株匏䌚瀟ゞェむ・ティ・ピヌ
モルガンスタンレヌ蚌刞䌚瀟
ネスレ ゞャパン グルヌプ
ホワむト & ケヌス倖囜法事務匁護士事務所 
  神田橋法埋事務所特定共同事業事務所 
シルバヌ・スポンサヌ
日本 GMAC コマヌシャル モヌゲヌゞ株匏䌚瀟
KPMG ゞャパン
株匏䌚瀟 ミダス
ブロンズ・スポンサヌ
A.T. カヌ二ヌ株匏䌚瀟
株匏䌚瀟 カヌギル ゞャパン
デロむトトりシュトヌマツ
H&Rコンサルタンツ
兵庫県兵庫県ビゞネスサポヌトセンタヌ・東京
プラむスりオヌタヌハりスクヌパヌスゞャパン
シンプ゜ン・サッチャヌ・アンド・バヌトレット
  倖囜法事務匁護士事務所
ステヌトストリヌトゞャパン
テンプル倧孊ゞャパン
2
序文
小泉玔䞀郎銖盞は、2003幎1月31日の囜䌚での斜政方針挔
説においお、日本経枈の再生ず持続的成長の達成に寄䞎する
ものずしお、察日倖囜盎接投資FDIを歓迎するず明蚀した。
幎頭の斜政方針挔説で小泉銖盞は、歎代日本の銖盞ずしおは
初めお、察日FDIに぀いお次のように蚀及した
「海倖から日本ぞの盎接投資は、新しい技術や革新的な経営
手法をもたらし、雇甚機䌚の増倧にも぀ながりたす。日本を倖
囜䌁業にずっお魅力ある進出先ずするための斜策を講じ、幎
埌には日本ぞの投資残高の倍増を目指したす」
䞻芁経枈囜における察内FDIランキングでの日本の䜎さを考
慮するず、FDI総环積残高を2008幎たでに倍増するこずは、
倧胆な目暙である。2000幎の囜際通貚基金IMF統蚈に
よるず、察日FDI残高はGDPの1.1に過ぎず、ずりわけ英囜
の32.4、米囜の27.9、ドむツの22.4に倧きく遅れを
ずっおいる。UNCTADの統蚈によるず䞭囜の2002幎床FDI額
527億ドルは、単幎床ベヌスで日本の同時期FDI額(93億
ドル)の倍に達し、日本のFDI総环積残高に匹敵する。䞭囜の
FDI総环積残高は既に4,480億ドルにのがり、日本はその8分
の1の600億ドルにすぎなかった。
日本においおFDI残高が䞻芁経枈囜の䞭で唯䞀1桁台にある
のは、特定の産業構造目暙を達成するため、囜内䌁業や囜内
産業を助成・発展させようずした日本の戊埌囜内政策の結果
である。1980幎には「倖囜投資及び倖囜為替管理法」の倧幅
な自由化によっお、倖囜投資に察する圢匏䞊の障壁は、すでに
取り陀かれおいたにもかかわらず、実際、日本政府が初めお察
日FDIを明らかに歓迎する声明を出したのは1990幎になっお
からのこずである。
1990幎に始たったばかりの「FDI歓迎」政策は、銖盞を議長ず
する内閣諮問機関「察日投資䌚議JIC」が1994幎に蚭眮
されるず、幟分匟みが぀いた。JICは、島田晎雄慶応倧孊教授
を郚䌚長ずする専門郚䌚を抱え、内閣に察しお定期的に報告
及び提蚀を行っおいる。この報告・提蚀の内容は、察日FDIを
歓迎・促進する珟圚の政府政策のベヌスずなっおいる。
FDIの分野ではこの他にも公共、民間䞡郚門においおいく぀
かの前進が芋られた。䟋えば2002幎9月には、倖囜盎接投資
拡倧が経枈を掻性化させるずいう共通の考えを抱く財界人
や有識者などの有志によっお、「察日投資促進民間フォヌラム
IJF」が発足した。IJFではその埌、察日倖囜投資を促進
するため12項目の提蚀を行った。2003幎4月、経枈産業省
METIは、地方自治䜓による倖囜䌁業誘臎の取り組みを
支揎するプロゞェクトを発衚した。このプロゞェクトによっお
FDIを促進するナニヌクなプランを持぀5぀の地域が、モデル
自治䜓ずしお採択された。
2003幎5月には、察日盎接投資垌望者に情報や支揎を提䟛
する察日投資の情報ワンストップセンタヌ Invest Japan
が日本貿易振興䌚JETROに蚭立された。これもたた、察日
FDI分野でのもう䞀぀の前進である。このオヌプニングセレモ
ニヌには小泉銖盞自身が出垭し、同センタヌ蚭立の重芁性を
匷調した。さらに最近では2003幎7月、経枈産業省METIの
「通商癜曞」は、「日本経枈の再生にずっお有効な手段」ずしお
FDIの掻甚を提唱し、2003幎4月の「JIC専門郚䌚」による提
蚀を受け、次のように蚀及した。
「察内盎接投資は既存の組織や慣行にずらわれない新しい
資本、人的資源、経営ノりハりや技術をもたらすものである。
たた、倖囜䌁業ずの協力によっお、䌁業は補品開発における
グロヌバル競争のチャレンゞに察応するこずが可胜になる。
倖囜䌁業は囜内垂堎にはない新補品や新サヌビスを提䟛
するこずができるので、これによっお新たな垂堎が生み出され、
競争力が高たり、消費者利益も増倧するこずになる。さらに、
倖囜資本は適切なリスクを取るこずをおそれないリスクマネヌ
の提䟛者ずしお期埅できる。こうした新しい颚は『日本再生の
鍵』ずなり、経枈掻性化ず雇甚確保に぀ながる可胜性がある」
賛吊䞡論が枊巻く
圚日米囜商工䌚議所ACCJは、察日FDIを拡倧するために
近幎講じられたこれらの積極的な政策声明や具䜓的改革案
を歓迎する。たた、我々のFDI研究ず付隋するケヌススタディヌ
でも明らかなように、察日FDIは倖囜䌁業にずっお利益をもた
らすのみならず、日本の経枈や劎働者、消費者、地方自治䜓に
ずっおも利益をもたらすものず匷く確信する。
しかし、FDI拡倧を目指す小泉銖盞の斜政方針挔説や政策は、
同時に賛吊双方の反応を招いた。
䞀方で、倚くの垂長や知事が、FDIによる地方経枈の再掻性化
ず新芏雇甚の創出を目暙に、FDIを誘臎するためのプログラム
をスタヌトさせたり、あるいは既存の取り組みを匷化しおいる。
そしお盞圓数の囜䌚議員が、日本経枈をより倚くの競争にさら
し、生産性ず雇甚の向䞊に぀なげるために、小泉銖盞の目暙を
䞍可欠なものずしお支持しおいる。珟圚、囜䌚議員の䞀郚では
FDI促進議員連盟の蚭立を怜蚎しおいる。
デヌタや分析䞍足がもたらす誀解
このような取り組みにもかかわらず、信頌に足るデヌタや分
析がない状況では、FDIの増倧によっお雇甚は今埌増えるどこ
ろかむしろ枛少するず批刀する者もいる。圌らは、日本䌁業を
買収する倖囜䌁業が事業合理化によっお行う人員削枛は、雇
甚の自然枛や倒産による人員削枛、あるいは日本の買収偎䌁
3
業が行う人員削枛ず比范するず、もっず倚くなるに違いないず
䞍安を感じおいる。たた、グリヌンフィヌルド投資、぀たり珟圚
䜕も存圚しない所に新芏の補造蚭備を䜜り出すこずのみが、
メリットをもたらすずごく単玔に信じ蟌んでいる者もいる。こうし
た芋方だず、合䜵・買収M&Aずいうものは、远加的グリヌン
フィヌルド拡倧投資ずは無関係で、倧郚分が、苊境に立たされ
おいる䌁業を食い物にし、短期的に倧きな利益を䞊げようずす
る「ハゲタカ」ファンドず同類芖されるこずになる。
しかしこうした悲芳的結論はFDIフロヌに関する実蚌デヌタ
によっお裏付けられたものではない。その䞊、䞖論調査による
ず、10幎以䞊の景気䜎迷を経隓した日本囜民はもはや、珟
実ではなく感情に基づいた政策によっお、日本の成長や持続
可胜な繁栄の埩興は成し遂げられないず認識しおいる。だが
同時に、今埌、囜民䞀人ひずりがどのような圱響を受け、どの
皋床の倉化を珟実に求められ、倖囜投資がどのような圹割を
果たすべきなのか、倚くの日本人が憂慮しおいるこずももっず
もず思われる。これらの懞念は日本特有のものではない。同様
な䞍安は1980幎代に、圓時の日本による察米投資の高たり
を受けお米囜でも持ち䞊がった。米囜は日本や他の囜々から
のFDIを広く歓迎した結果、察内投資は米囜経枈の再掻性化
に寄䞎したのである。
䞊蚘のように察日FDIには倚様な反応があり、しかもFDIがこれ
たで日本にもたらした明確なメリットに぀いお分析がなされお
いない状況では、政府による2008幎のFDI目暙達成の取り組
みも萎瞮しおしたうのではないかずACCJでは懞念しおいる。
日本ではFDIが正しく知られおおらず、事実に反する間違った思
いこみがあたりにも倚い。FDIはどこで䌞びおいるのだろうか
そしおその理由は異なったタむプのFDIフロヌは、盞互にどの
ように関連するのか経枈や景気、雇甚ぞの圱響はどのような
ものかなど、政府の政策を奏功させるには、珟実的なデヌタ
によっお裏付けるこずが必芁である。そしお、こうした政策が
具䜓的な結果を出さない限り、日本が長幎にわたり倖資に察
しお事実䞊、閉鎖的な囜だったずいう、過去の評刀を芆すには
至らないだろう。
ACCJのFDIタスクフォヌスプロゞェクト
ACCJのFDIタスクフォヌスプロゞェクトは、二人の著名な
研究者、䞀橋倧孊の深尟京叞教授ず東掋倧孊の倩野倫文講
垫による経枈分析を柱ずする。「深尟レポヌト」ず題されたこ
のレポヌトは、察日FDIのフロヌ、ダむナミックス、むンパクトを
評䟡し、こうしたフロヌを珟実的に増倧させるこずができる政
策倉曎の類に焊点を圓おおいる。䞡研究者のレポヌトを補完
するのが、ACCJ䌚員䌁業の成功投資事䟋を説明したケヌス
スタディヌである。埌者は、暙準的なACCJ䌚員䌁業の実務経
隓ず長期にわたるコミットメントを背景に、FDIが実際たどった
プロセスの実䟋を説明したものである。
本プロゞェクトによっお我々は、デヌタの確かな分析や珟実の
ケヌススタディヌを基に、察日FDIに぀いお、真実か぀バランス
のずれた実態を描き出した。これによっお、䞍安ず誀解が取り
陀かれ、FDI増倧ず日本経枈や日本瀟䌚ぞの貢献を図る効果
的な政策を日本政府が立案できるよう、我々にその瀎が提䟛
できればず願っおいる。
本提蚀曞の焊点
本提蚀曞では、深尟レポヌトの結論に基づき、倖囜投資が囜
内経枈に䞎える圱響ず、珟圚たでの日本のFDI実瞟に぀いお調
査を行う。たた、日本でのFDIの話題を巡る俗説のいく぀かを
考察しおみたい。日本は倖資を頑なに受け入れようずしない囜
であるずいう歎史䞊の評刀があるが、この評刀を芆すような効
果的な政策を日本が講じれば、いかに投資の「奜埪環」が促進
されるかを我々は提蚀したい。
倖囜人投資家のみならず、囜内の日本人投資家にずっおも日本
垂堎の魅力を著しく向䞊させるこずになる政策優先分野ず政
策倉曎に関する個別提蚀が、匕き続き発衚される予定である。
垂堎䞻導型の競争の重芁性
既刊の「日米ビゞネス癜曞」、「改革ぞの長い道のり」で、
ACCJは、盞互䟝存性が高たるグロヌバルマヌケットの䞖界で、
投資に囜籍はないず䞻匵した。貧困の根絶ず生掻氎準の向䞊
をもたらす健党なグロヌバル経枈は、できるだけ倚くの垂堎参
加者を求めおおり、玄60億人の人口を抱える䞖界は䞀぀以䞊
の成長゚ンゞンを必芁ずしおいる。䞖界はこれたで䞀぀の囜の
経枈に䟝存を匷めすぎた。぀たり米囜経枈である。今埌も圓面
䞖界第2䜍の経枈力を維持しおゆくであろう日本経枈の掻力
ある成長なくしおは、米囜経枈が行き詰たった際、我々党おが
深刻な痛手を被るこずになる。
囜が採甚する経枈システムずは無関係に、投資は経枈成長
を促し、雇甚の量ず質を高める。だが、こうした䞀般的な理解
では、最高の利益を生み出すために投資がどこに行われるべ
きかたでは特定できない。たた、誰が関連政策や投資決定を
行い、どのようにこれらの決定が実行されるべきかずいった疑
問も解決されない。
ACCJではかねおから、「垂堎䞻導型」競争を促進するオヌプン
でグロヌバルな経枈の育成こそ、持続的か぀健党な経枈成
長を達成する最善の方法であるず䞻匵しおきた。぀たり、信頌
しうる情報ぞのアクセス、透明性、意思決定の説明責任が存
圚し、財政的、技術的、人的資源を最も生産性の高い甚途に
配眮するこずができる経枈の育成である。囜の経枈ず垂堎の
掻力は、その囜が囜民のために創出、維持する生産性の高い
職にある。究極の目的は、生産性や資本利益率を向䞊させ、
囜民の生掻氎準を高める付加䟡倀雇甚を創出するこずなの
である。
どのような経枈であれ、囜民の健康ず安党を保護するために、
政府による適床な芏制の監芖が必芁であるこずは蚀うたでも
ない。しかしより倧局的には、䞀般的原則の重点はオヌプンで
競争的な垂堎に眮かれるべきで、そうした垂堎の育成を図る
こずにある。
本研究のテヌマは、察日FDIが日本にどのようなメリットをもた
らすかずいうこずである。そこでFDIが囜民総生産の玄12を
占める米囜など他の先進囜の経隓を研究しおみるず参考にな
る。深尟レポヌトの結論で日本に぀いお述べられおいるように、
これらの囜々の䟋から、倖資にずっお魅力的な資本利益率
4
や生産性、利益、付加䟡倀雇甚数の増加を通じお、囜内投資
家や経枈にも寄䞎しおいるこずがわかる。結局のずころ、日本
や米囜のような経枈倧囜で䞻に成長の原動力ずなっおいるの
は、囜内投資家なのである。ただそうした過皋で、FDIから新た
な刺激をわずかに受けるこずで、景気察策ずしおの倖囜投資が
囜内経枈の枛退を和らげる䞀助ずなり、新たなノりハりや生
産性䞊昇ずいった付加的メリットももたらされるのである。
日本では、こうしたFDIに぀いおの基本的考え方を取り入れ
ようずする重倧なシフトが起きはじめおいる。金融「ビッグバン」
やここ数幎の他の芏制改革はその衚れである。以前よりオヌ
プンで透明性の高い日本のビゞネス環境は、すでに盞圓数の
投資を海倖から誘臎しおいる。その結果、倚くの日本䌁業は䌁
業戊略の再怜蚎を行い、グロヌバル化された垂堎や囜内の人
口構造の倉化ずいった課題に察凊するために新たな戊略を採
甚するに至っおいる。
肯定的倉化の極倧化
垂堎が適切に働けば、それは生産性や効率性、生掻氎準を向
䞊させるメカニズムずしお機胜する。぀たり、垂堎はよい方向ぞ
転換しうるものである。ずはいえ、垂堎が効率的であるために
は、互いに補い合う瀟䌚的、文化的、政治的むンフラが必芁ず
される。䟋えば、効率的な゜ヌシャルセヌフティヌネットの存圚
によっお、劎働者の保険や幎金ニヌズは保蚌され、垂堎の倉
化のために収入が䞋がった際、劎働者は䞀時的な経枈的揎
助を埗るこずができる。こうした金銭的な柔軟性はむろんの
こず、劎働者は新しい技術を修埗したり、倉化する消費者ニヌ
ズに察応できるよう新たなスキルを孊ぶ機䌚が䞎えられる必
芁がある。そうでなければ、劎働垂堎は、自ら「技術の再習埗
(retool)入れ替え」可胜な柔軟性は十分埗られず、新たな䌁
業が新芏参入したり、新芏投資で新しい人材を確保するこず
は䞍可胜になるだろう。同じような意味から、環境を保護し、
食料ず職堎の安党を確保し、公平な皎制ず利益配分を促進する
必芁がある。
同様に、倖囜人投資家は垞に、投資先の囜の瀟䌚的、法埋的、
文化的システムに敬意を払わねばならない。さもなくば倱敗を
芚悟の䞊で行うべきである。䟋えば、日本の察米投資家は米
囜の法埋的および瀟䌚的システムに順応しおきた。日本で事
業の成功を収めた倖囜䌁業は日本の雇甚慣行や総意に基づ
く意思決定ずいった事情をしっかりず身に぀けた䌁業なので
ある。実際、これらの䌁業の埓業員や経営者のほずんど党おは
日本囜籍を持った者である。察日投資を成功させたい将来の
投資家はこうした䟋にならう必芁があるだろう。
「倖囜盎接投資」ずは䜕か
FDIずは盎接投資であっおポヌトフォリオ投資ではない。深尟
レポヌトでも述べられおいるように、盎接投資に䌎い、それなり
の手腕ず意欲を持぀投資家から受け入れ囜䌁業に、ノりハり
や経営資源が移動する。たたFDIは、蚭備投資の芏暡が倧きく、
流動性が制玄されおいるこずから、ポヌトフォリオ投資よりは
るかに倚くのコミットメントが必芁ずされる長期資本ずなる傟
向がある。こうしたこずから盎接投資からの埌退や撀退はポヌ
トフォリオ投資ず比べお盞圓困難になる。
䞀般的にあらゆるタむプの投資は経枈に良い効果をもたらし、
盎接投資はより特別なメリットを提䟛する。盎接投資は新芏
雇甚を創出し、消費ず総需芁を増倧させるこずから、デフレ察
策にも寄䞎する。たた新たなビゞネスモデルやノりハり、補品、
経営手法ももたらす。このように盎接投資は生産性を抌し䞊げ、
䟡倀あるリスクキャピタルを垂堎に提䟛するのである。
投資䟡倀の序列
• 投資は経枈に良い効果をもたらす
• 盎接投資は雇甚を創出し、成長を促進し、デフレを抑制する
• 倖囜盎接投資はさらに倚くの雇甚を創出し、さらに高い成
長ず生産性を促進し、さらに効果的にデフレを抑制する
2002幎5月のJETROの調査によるず、倖囜䌁業ずその関連
䌚瀟は、100䞇人以䞊の正瀟員を雇甚しおおり、これは日本の
総劎働人口の玄2.3に圓たる。さらに、倖囜䌁業の雇甚ぞの
貢献床は急速に高たっおきおいる。深尟レポヌトによるず、察
日FDIによる雇甚は、1997幎から2001幎たでに50近く䌞
びた。こうした雇甚のうち、比范的高い割合を占めたのは高付
加䟡倀職業であった。
倖囜䌁業の特色は
倖囜䌁業の倚くはよく知られた名前である。日本における䞊䜍
倖囜䌁業は次の通りである。
番号 䌚瀟名芪䌚瀟
1 日産自動車ルノヌ
2 日本アむビヌ゚ム
3 マツダ フォヌド
4 䞉菱自動車工業 ダむムラヌクラむスラヌ
5 䞉菱ふそうトラック バスダむムラヌクラむスラヌ
6 スズキれネラルモヌタヌズ
7 いすず自動車 れネラルモヌタヌズ
8 アクサ生呜保険アクサグルヌプ
9 西友 ワォルマヌト ストアヌズ 
10 ボッシュ オヌトモヌティブ システム
11 日本ヒュヌレット パッカヌド
12 ゚ゞ゜ン生呜保険 グルヌプ
13 ゞャトコ
14 日本マクドナルド
15 アリコ ゞャパン グルヌプ
16 マニュラむフ生呜保険
17 ゚むアむゞヌ スタヌ生呜保険 グルヌプ
18 日本ナニシス
19 ズクセル り゛ァレオ クラむメヌト コントロ­ルボッシュ オヌトモヌティブ
20 新キャタピラヌ䞉菱 キャタピラヌ
出所東掋経枈新報瀟、倖資系総芧2003幎
5
出所UNCTAD, World Investment Directory 2003.
本曞では「倖囜䌁業」の定矩をJETROず深尟レポヌトで䜿っおいるものより狭矩的
に䜿甚しおおりたすが、瀺されおいる雇甚の䞊昇トレンドは䞀臎しおおりたす。
ケヌススタディヌでも蚌明されおいるように、倚くの倖囜䌁業は
数十幎にわたり日本垂堎ぞのコミットメントを維持しおいる。
察日FDIが近幎、日本にもたらしたもの
雇甚の増加ず生産性の改善
倚くの゚コノミストが指摘するように、生産性の䜎迷は、日本
産業の䞻芁問題点の䞀぀である。察日FDIフロヌを調査する
にあたっお、深尟レポヌトは、日本の雇甚創出ず生産性向䞊に
おけるFDIの倚くの貢献䟋を分析した。この経枈分析によるず、
FDIは雇甚ず経枈の成長を抌し䞊げおいるこずがわかる。その
理由は、FDIが経営資源やサポヌト、拡倧をもたらすだけでは
なく、より長期の生産性ず持続可胜な䌁業成長をも促進する
からである。
生産性ず雇甚は共に、倖囜䌁業が日本の垂堎に参入した埌に
増倧しおいる。倖囜䌁業は䞀床日本に拠点を築くず䞀貫しお、
埓業員䞀人圓たりに日本䌁業より高い報酬絊料などを支払
い、より倚額の蚭備投資を行い、より高い収益ず効率を䞊げお
いる。倖囜䌁業は新しいノりハり、ビゞネスモデル、異なった技
術ずいった盎接的か぀溢出的メリットをもたらす。これらは日
本経枈の党分野、特にサヌビス産業の分野における䜎生産性
の改善に寄䞎する可胜性がある。サヌビス産業分野は、今埌
日本で成長ず雇甚創出が倚く芋蟌たれる分野である。日本の
最も生産性の高い産業が、最も倧きく倖囜からの競争に曝さ
れおきた分野であるこずは偶然ではない。䞀般的に、芏制緩和
された産業分野は、倚くの芏制を受ける分野よりも高い氎準
の生産性、生産性改善率を瀺し、倖囜投資も倚くなる。
深尟レポヌトの指摘によるず、FDIの投資家は新芏䌁業を創
出・蚭立しおいる。JETROによるず、1995幎から2000幎盎
近のデヌタ入手可胜な幎たでに、599件の新芏䌁業が倖
囜䌁業によっお蚭立された。倖囜䌁業の売䞊高およびその
結果雇甚数の䌞び率は、平均するず囜内䌁業よりも高い。
䌚瀟名 日本ぞの初期投資
むンタナショナルバンキング株匏䌚瀟 
シティバンク ゚ヌ ゚む 1902
日本アむビヌ゚ム 1937
AIU保険䌚瀟AIグルヌプ 1946
日本コカコヌラ 1957
アメリカンファミリヌ生呜保険䌚瀟 1974
ルむ ノィトンゞャパン 1978
日本オラクル 1985
昭和シェル石油株匏䌚瀟 1985
倖囜䌁業は倚額の法人皎も支払っおいる。高額玍皎倖囜䌁業
は次の通りである。
申告所埗 (100䞇円)
䌚瀟名 2001幎 2000幎
日本アむビヌ゚ム 125,218 142,052
アメリカンファミリヌ生呜保険䌚瀟 110,651 95,385
日本コカコヌラ 86,789 66,200
アむク 67,696 33,792
日興シティグルヌプ株匏䌚瀟 52,164 59,572
昭和シェル石油株匏䌚瀟 50,352 18,715
ルむ ノィトンゞャパン 32,405 25,648
日本オラクル 30,958 18,751
出所東掋経枈新報瀟、倖資系総芧2003幎
出所各䌁業
深尟レポヌトの結論
深尟レポヌトの䞻な経枈孊的結論は意矩深いものであるず同
時に、憂慮に満ちたものである。
• 日本の政策ず慣行により察内FDIは100幎以䞊もの間阻
害されおきた。GDPに占める割合から芋るず、この囜の察内
FDI残高は珟圚、米囜の11分の1、英囜の28分の1である。
たたグロヌバル化は、日本の資本ず経営資源を盎接投資の
圢で海倖に急速に远い出した。䜎氎準にある察日FDIフロヌ
は、この囜の経枈のこうした「空掞化」を埋めるこずはない
であろう。
日本で蚭立された倖資系䌁業数1995ヌ2000
幎 1995 1996 1997 1998 1999 2000
䌁業数 116 116 92 73 95 107
合蚈: 599瀟
平均幎圓100瀟
出所:経枈産業省、第回倖資系䌁業動向調査、幎
6
• 日本の䜎成長率ずデフレの根本原因は民間投資の䜎迷だ
が、そもそもの原因は日本䌁業の生産性ず収益性の䜎さで
ある。日本はもはや、こうした危機の察凊法ずしお、これたで
自囜が積み䞊げた資本資源や経営資源にだけ頌っおいる
こずはできない。
• 経枈分析の結果によるず、M&Aによっお買収された日本
䌁業を含むほずんどの倖囜䌁業の埓業員䞀人あたりの生
産性、蚭備投資額は、同業の日本䌁業より玄10高く、収
益率もはるかに高い。もし倖囜䌁業の察日総投資額の察
GDPシェアが10ポむント䞊昇し、先進囜平均である11
になった堎合、日本の総資本残高ずGDP䌞び率は共に
1.5䌞びるであろう。
• 䞀般通念に反し、FDIの経枈的メリットは、東京集䞭ではな
く、日本党䜓に幅広く配分される。倖囜䌁業の87は本瀟
を東京、神奈川、倧阪に眮いおいるが、倖囜䌁業の斜蚭の
54、ならびに倖囜䌁業の埓業員の半数匱はそれ以倖の
地域に所圚しおいる。
• 倖囜䌁業による人員削枛数は日本䌁業による人員削枛数
より目立っお高いわけではない。倖囜䌁業が日本䌁業より
蚭備投資ず研究開発に泚力するのは事実である。だが、た
ずえ倖囜䌁業の圓初の雇甚が少なくおも、より安定した成
長ず収益性を享受するこずでこの圱響は盞殺される。倖囜
の経営戊略を採り入れるず、日本䌁業においおさえも雇甚
は枛少し、あるいは安定性を損なうずいった考え方は誀り
である。
• 日本の買収偎䌁業にずっおも倖囜の買収者にずっおも、人
員削枛は買収の短期的結果である堎合が倚い。被買収䌁
業は埀々にしお経営に行き詰たっおいたり投資䞍足状態に
あるこずから、最終的には砎綻し、党おの雇甚を倱うこずに
なっおいたはずである。
• 察内FDIの昚今の盛り䞊がりは終わった。1990幎代埌半
の察日FDIの殺到は、様々な芁因が重なっお匕き起こされた。
非補造分野の芏制緩和、䌁業砎綻の増加、株䟡の䞋萜、
株匏持ち合いの枛少、グロヌバルなM&Aブヌムずいった
それらの芁因は珟圚、勢いを倱い぀぀ある。
• あらゆる先進囜ず同様、M&Aは察日FDIの䞻芁手段で
ある。远加投資は事業を拡倧し、新しいノりハりをもたらす。
M&A取匕は、このような远加投資のタむミングず量を加速
させるこずから、FDIストックの増加はM&A取匕によっおも
たらされる。だからずいっお、M&A取匕すなわちFDIずいう
わけではない。他囜同様、日本でもM&A掻動の圧倒的倚
数は、囜内䌁業同士で行われおいる。
• M&Aず「グリヌンフィヌルド」投資は盞互に関連しおおり、
連携しお行われるケヌスが倚い。M&A取匕ず、それに付随
する拡匵投資は「グリヌンフィヌルド」投資が生み出すのず
党く同じFDIの経枈効果を生み出す。
• 日本が繁栄するためには、M&Aを含むFDIの誘臎を増や
す必芁がある。これは、倖囜盎接投資がポヌトフォリオ投
資ずは次の䞉点で党く異なった性質のものだからである。
䞀぀は、FDIが投資拡匵のための远加資本をもたらし、その
結果、雇甚を創出するこず、二぀目はFDIによっお、新しい経
営ノりハり、補品、ビゞネスモデルが日本垂堎に移転するこ
ず、䞉぀目はFDIが長期間にわたり投資を続ける点である。
• 日本の地䜍は倖囜䌁業の誘臎競争のみならず、日本䌁業
を囜内で投資させる競争においおも倱墜し぀぀ある。東
京ず倧阪は珟圚、䞊海、゜りルず競合しおいる。察日FDI
フロヌは2003幎䞊半期に42萜ち蟌んだ。このたたでは、
2008幎たでに日本が目暙ずする9兆4千億円の半分に
しか達しないであろう。
• FDI誘臎を成功させるには、FDIフロヌずFDIの機䌚に関し、
既存のものより信頌床の高い分析に基づいお、政府の政策
を打ち立おなければならない。本調査においお生み出され
たデヌタの分析は以䞋の点を指摘しおいる
a) 䞻芁産業の芏制緩和や民営化を行い、倖囜䌁業、日本
䌁業を問わず、あらゆる䌁業による垂堎参入の障壁を取
り陀かなければならない。こうした芏制緩和は、医療サ
ヌビスや教育、民営化に適した公共䌁業䜓などの「保護
された」分野を含たない限り、十分なむンパクトはもたな
いであろう。
b) 関連法によっお、地方自治䜓により倚くの自治暩ず資源
を䞎える必芁がある。そうすれば、地方自治䜓は投資家
に察しお、独自の意欲ずむンフラで自らの差別化を図る
こずが可胜になる。
c) 法的枠組みを改善し、倖囜䌁業がM&A取匕で株匏亀
換などを利甚できるようにする必芁がある。
FDIは日本経枈掻性化の重芁な鍵を握っおいる。日本の察内
FDI政策の成吊は、日本囜民の個人財産に重倧な圱響を䞎え
るであろう。
出所UNCTAD, World Investment Directory 2003
7
FDIに関する俗説ず䞍安の払拭
日本を倖囜人が投資をしたり、䜏んだり、働きたくなる堎所に
しようずいう小泉銖盞の呌びかけは、その姿勢自䜓、喜ばしい
倉化ず受け取れる。だが、䜎氎準にある日本のFDI环積残高を
増加させるためには、䟝然ずしお数々の珟実的障壁が存圚す
る。過剰な芏制、過床に䞭倮集暩化した囜家政策、限られた投
資機䌚、制玄的で䞍透明な資本垂堎、高コスト、䞍芪切な法
䜓制など党おが投資環境の他の偎面ずあいたっお、投資を時
間ばかりかかる、それずも過床に高く぀く、あるいは党く魅力な
いものにしおいるのである。
しかし、これらの芁因の䞭で最もダメヌゞの倧きいのは、倖囜
䌁業やFDIがどのような圱響を日本に䞎えるかずいったこずに
関する数々の誀解や䞍安である。日本がFDIの誘臎あるいは
維持を阻害する䞍完党な政策は、こうした誀った考え方ず、
倖囜投資のメカニズムやメリットに察する珟実の経隓䞍足が
原因である堎合が倚い。実際ACCJが深尟教授ず倩野講垫に
察日FDIフロヌの実蚌デヌタ分析を䟝頌したのは、こうした誀
解や䞍安を取り陀くこずに圹立おるためであった。
FDIに぀いお広く蚀われおいる俗説のいく぀かを䞋蚘に挙げた
䞊で、その誀りを立蚌する事実を述べる。
俗説倖囜䌁業は雇甚を枛らし拡倧を䌎わない
事実 JETROによるず倖囜䌁業やFDIは1993幎以降日本経
枈に64侇3千人の新芏雇甚をもたらした。さらに、深尟レポヌ
トによるず、時間の経過ず共に、倖囜䌁業は日本䌁業より速く
成長し、より倚くの新芏雇甚数を創出し、より速く雇甚増加を
もたらしおいる。時ずしお倖囜䌁業の生産性が囜内䌁業より高
いのは、前者がより少ない人材でより倚くの仕事を行うからず
いう理由もある。倖囜䌁業は、収益性を回埩するために雇甚を
枛らす堎合でさえ、通垞その埌数幎で持ち盎し、その結果収益
ず雇甚を増やしおいる。
俗説FDIは䞀過性の投資であり撀退は安易に行われる
事実このパタヌンは珟実のビゞネスではたれにしか発生しな
い。FDIタスクフォヌスのケヌススタディヌやその他数倚くの調
査䟋によるず、ほずんどのFDIは継続的でコミットメントが芁さ
れるプロセスである。そもそも長期的な専念力や持久力のな
い䌁業は投資を行わない。個人や機関投資家などの資産運甚
投資を含めたあらゆるタむプの投資の䞭で、盎接投資は最も
流動性が䜎く、最も撀退が困難な投資である。盎接投資はコミ
ットメントが芁される投資なのである。
俗説FDIの殆んどは関東、関西圏のみに利益をもたらす
だけで、他の地域や地方自治䜓には利益をもたらさない
事実これは党く真実ではない。倚くの䌁業の本瀟は事実
東京、神奈川、倧阪に所圚しおいるが、深尟レポヌトのデヌタ
ず分析によるず、FDIの雇甚ぞの圱響面では、そのメリットは、
日本の地方にも深くか぀比范的均等に行き枡っおいる。
出所産業研究所「察日盎接投資の量的倉化がわが囜経枈ず雇甚に䞎える圱響に
関する研究」、2000幎。原資料は「事業所䌁業統蚈調査1996幎」の個祚デヌタ
䌁業
俗説グリヌンフィヌルド投資はM&A投資より望たしい
事実我々のケヌススタディヌでは、実際にこの二぀は互いに
深い関連性があり、切り離しがたいこずが刀明しおいる。グリ
ヌンフィヌルド投資の成功はM&Aをもたらし、逆の堎合も同
じである。぀たり、双方ずも远加の拡匵投資をもたらし、それが
新たな成長ず雇甚を創出するのである。単にどちらかの圢態
の投資にこだわれば、結果ずしおあたり魅力のない投資環境ず
なり、党䜓的なFDIフロヌはかなり枛るこずになろう。䞡方の投
資を促進させるこずが最も賢明な戊略なのである。
発展途䞊囜においおは、人件費が安いこずから、投資のほずん
どは、先進囜向け茞出品を生産する補造蚭備に察しお行われ
る。それに察しお先進囜の倚くでは倖囜投資の80皋床が
M&A掻動を通しお行われおいる。日本もその䟋倖ではない。
1995幎以来、新芏投資の圧倒的倧倚数がM&Aによるも
ので、远加投資を考慮した堎合は特にそうである。こうした珟
状は䞖界的にはもちろんのこず日本においおも今埌続くであ
ろう。投資家は、より倧きな投資機䌚を生みだし、より速くより
効率的な投資拡倧が期埅できる、より倧きな「基盀」を買収し
たいのである。M&Aは、より機敏な投資拡倧ず資産の新たな
所有をもたらし、それが過剰債務の危機の解決をも促す可胜
性がある。
出所: UNCTAD, World Investment Report 2003
8
ただし䞊蚘で述べたような傟向にあるからずいっお、日本にお
けるグリヌンフィヌルド投資の機䌚は今埌増えないず蚀うこず
を意味しおいるわけではない。米囜では人件費が高いが、かな
りの金額のグリヌンフィヌルドFDIを受け入れおきた。䟋えば
むリノむ州では6,447瀟の倖囜䌁業を受け入れ、およそ34侇
人を雇甚しおいる。1990幎代にむンディアナ州は鉄鋌生産で
党米トップずなったが、これは䞻に、䞖界䞭から鉄鋌補造メヌ
カヌによる投資を受け入れたからである。むンディアナ州では
珟圚、4䞇人以䞊の䜏民が日系䌁業の補造プラントで働いお
いる。わずか7,千人匷しか働いおいなかった1990幎からすれ
ば倧幅な雇甚の䞊昇である。
俗説: 倖囜䌁業は、単に被買収䌁業の䟡倀を搟取するため
に買収を行う
事実 たずえ、ある投資家がそう考えおいたずしおも、こうした
理由で買収を正圓化するのは非垞に難しいだろう。倖囜䌁業
は、買収に支払った䟡栌を正圓化する収益芋通しが出せるよ
うに、ほずんど垞に被買収䌁業の成長戊略を念頭に入れおお
く必芁がある。倖囜䌁業による察日M&A取匕のほずんどは、
被買収䌁業の再建ずその埌の売䞊、利益、雇甚の高い成長を
もたらしおいる。こうしたこずを成し遂げるために、倖囜の買収
者は通垞、最初のM&A取匕埌も、さらに倚額の資金を投資す
る。むしろ、倚くの堎合、これは至極圓然なこずであった。ずいう
のも、倖囜䌁業によっお買収されたほずんどの䌁業は、平均す
るず、日本の買収者によっお買収された䌁業より砎綻の床合い
がかなり進んでいたからである。
俗説:FDIのほずんどは短期的なプラむベヌト・゚クむティヌ・
ファンドいわゆるハゲタカファンド、再建ファンドによる
事実たず第䞀に、ほずんどのFDIは戊略的投資家や事業䌚瀟
によっおもたらされる。プラむベヌト・゚クむティヌ・ファンド時
ずしお非難を蟌め芋境無く「ハゲタカファンド」ず称されるファ
ンドによる投資はFDI党䜓の5から10にも満たない。むし
ろこうしたファンドは、必芁の高いリスクキャピタルをもたらし、
他の支揎者を芋぀けられない䌁業に支揎ず成長機䌚を提䟛し
おくれるのである。実のずころ、こうしたファンド投資家の資金
の倧郚分は倖囜の資金などでは党くなく、むしろ囜内の機関
投資家の支揎を受けた日本のファンドによるプラむベヌト゚ク
むティヌ投資なのである。その䞊、投資された資金の䞀郚は最
終的に日本人の売り手たたは貞手に枡り、その埌、圌らがその
資金を他の堎所に再配分する堎合もある。
分析結果から、あらゆるタむプのFDIは生産性ず資産再配分
の効率を高めるこずがわかっおいる。FDIが、機関投資家によ
る数幎埌の転売を目的ずした、資産や債務の買収ずいう圢態
をずる堎合でさえ、こうした取匕は、資産を生産性の高い甚途
に再配眮し、経枈成長の劚げずなっおいるものを取り陀く働き
をする。むしろ日本は、囜内・囜倖資金を問わず、プラむベヌト・
゚クむティヌ・ファンドをもっず数倚く必芁ずしおおり、資本垂
堎の掻性化が必芁だずACCJでは考えおいる。
資料: 日本政策投資銀行
資料: 日本政策投資銀行
俗説M&A取匕のほずんどは倖囜䌁業によっお行われ、
日本䌁業は買収をしない
事実珟実には、日本のM&A取匕は、金額から芋おも件数か
ら芋おも倧郚分を囜内買収者が占めおいる。過去15幎間にわ
たり、囜内䌁業によるM&A取匕が急増したこずは前向きな進
展である。ずいうのも、生産性、競争力、株匏での利益、資産配
分・再配分効率の改善がもたらされるに違いないからである。
囜内倖を問わずあらゆるタむプのM&A取匕は、資産再配分取
匕、所有暩移転取匕は、日本経枈を向䞊させ、生産性、株匏垂
堎効率の改善に匟みを぀け、なおか぀䌁業統治慣行の倚様化
を図るものであるこずが、深尟教授・倩野講垫の分析で明らか
になっおいる。
9
䞊蚘メリットは、倖囜䌁業によるM&Aのケヌスでは、さら
に倧きくなるこずが、深尟レポヌトで蚌明されおいる。だが、
M&A機䌚は以前にも増しお倖囜䌁業に制限されたものずな
っおいる。これは、単に倖囜䌁業に察する誀解や株匏持ち合い
ずいったこずが原因ではない。日本の䌚瀟法、皎法によっお、
倖囜䌁業は未だにM&A取匕に非珟金取匕手法の䜿甚をほず
んど認められおいないからである。それに察し、日本䌁業は株
匏亀換ず合䜵などの様々な「ノンキャッシュ珟金を利甚しな
い」取匕手法を自由に駆䜿し、この特別な柔軟性を積極的に
掻甚しおいる。最近の囜内M&A取匕ブヌムの倧郚分の理由は
この点にある。
俗説貿易は投資の埌に発生する
事実貿易は確かに投資を远っお拡倧するものである。ただし、
この逆もたた真実である。投資、それも特に補造分野に察する
グリヌンフィヌルド投資は、䌁業がマヌケットプレれンスを確
立した埌で発生するのが䞀般的である。米囜は日本䌁業の察
内FDIによっお倧きなメリットを享受した。こうした䌁業も最初
は、貿易によっお米囜垂堎で経隓を積み、その埌、珟地で拠点
を築くこずによっお顧客にサヌビスを提䟛し、より満足を䞎え
るこずが必芁ずなったのである。したがっお、「貿易は投資の埌
に発生する」ずいう俗説は、誀解を招くスロヌガンである。なぜ
ならばa)最初に貿易を自由化するこずが、FDIを促進する最善
の方法の䞀぀であり、b)貿易の自由化を遅らす可胜性がある
からである。
投資の「奜埪環」の促進
魅力的な投資環境によっお、資産ず資源が最も生産性の高い
甚途に迅速に配分されやすくなり投資機䌚の促進が図られる。
こうした原則に基づいお囜家政策が打ち立おられれば、結果
ずしお、党䜓が郚分の総合蚈より倚くなるような効果を生み出
すこずができるだろう。日本自身がこの5幎間に経隓しおきたこ
ずが、こうした事実を蚌明しおいる。すなわち日本は、圓初の基
準が䜎かったにせよ察内FDIフロヌを倍増させた。これは囜内
初の芏制緩和の動きず、銀行による株匏持ち合いが郚分的に
緩和されたこずで、新たに投資機䌚が生たれたこずが䞻因であ
る。この最も重芁な教蚓は「投資がさらなる投資を生む」ずい
うこずだった。
日本の今埌の課題は、最近の察内FDI䜎迷や、日本の海倖投
資の加速にかかわらず、この5幎間の構造改革の経隓をもずに
前進するこずにある。深尟教授・倩野講垫が指摘しおいるよう
に、先の芏制緩和察策を远い颚ずした投資の「第䞀波」は明ら
かに終わっおしたった。倖囜M&A取匕は、1996幎の31件か
ら2000幎にはピヌクの175件たで急増したが、2001幎には
出所Morgan Stanley
資料Thomson SDC Database
資料:レコフ『M&Aデヌタブック1988∌2002』より集蚈
出所Morgan Stanley
資料Thomson Financial
10
165件、2002幎には129件たで萜ち蟌んでしたった。本提蚀
の最初でも述べたように、玔FDI残高は他の先進諞倖囜に比
べお、䟝然ずしお極めお䜎い氎準にある。
経枈成長の䜎迷あるいは停滞の継続、党䜓ずしお䞍掻発な投
資掻動、消極的な蚭備投資、日本の資本が囜内から撀退し海
倖に移転する「空掞化」珟象、長期化するデフレ、倱業率の増
加、こういったこずから、珟圚、投資家にずっお日本垂堎の魅力
はより薄れおいる。しかし投資家は、日本の他の分野でより高
いリタヌンを芋蟌んでいる。
倖囜人投資家にしおも、日本を真に「投資家にフレンドリヌな」
垂堎にするずいう目暙実行のために、日本政府がどの皋床、真
剣に取り組んでいるのか、あいたいな印象を受けおいる。政府
はあおぞら銀行の倖囜人投資家ぞの売华を蚱可した。これに
は最終的に前向きの印象を受けたものの、舞台裏での数ヶ月
間の努力ず、衚舞台での囜内「救䞖䞻」探しが行われた末のこ
ずである。ずはいえ、倖囜䌁業は、雪印のような䌁業ぞの投資
から閉め出しを食った。このこずから、「投資家にフレンドリヌ
な」政策目的が、日本の党省庁の官僚に完党に受け入れられ
おいるわけではないこずが明らかになった。
それでも、ACCJでは、日本政府の政策方針はよい方向ぞ向い
おおり、察日投資の機䌚は拡倧しおいるず確信しおいる。日本
の経枈成長の䜎迷によっお、䞀郚投資家は日本囜内の他の分
野でより高いリタヌンが埗られるこずに泚目しおいるが、日本
䌁業は䞍採算郚門を売华しお䞭栞事業に専念し、株匏持ち合
いを解消し、リストラを行っおいる。効率的資産配分ず戊略の
集䞭化が党䜓に新たな機䌚を䜜り出す可胜性がある。
ACCJは日本政府に察し、今日たでの進展を基に前進し、
FDIを促進するため囜家政策ずしお、早急に法埋・芏制䞊の倉
曎に協調しお取り組むこずを芁請する。たた垂堎芁因ず自由な
資本垂堎が極めお重倧なこずを匷調した䞊で、こうした垂堎芁
因がより効率的に機胜するよう支揎したい。
深尟レポヌトの結論に基づき、我々は、圓初のFDIむンフロヌ
が远加投資に぀ながる奜埪環が拡倧するよう、以䞋の幅広い
政策提蚀を行う。こうした奜埪環は、日本が投資家フレンドリ
ヌな垂堎であるずいう評刀を高め、今埌5幎間に次なるFDIの
倍増を実珟する刺激になるものず確信しおいる。
• 小泉銖盞、政府官僚、その他の政府高官は今埌も匕き続き、
囜内倖䞡方においおFDIを支揎する率盎な公匏声明を出
し、その埌、明確な政策ず具䜓的な行動でそれらをフォロ
ヌアップしおゆく必芁がある。公匏声明を頻繁に行い、珟圚
日本に行き枡っおいる数々の誀解を払拭するこずに力を泚
ぐべきである。
• 政府官僚はFDI倍増ずいう政策目的の掚進にもっず責任を
担わされるべきである。日本を倖囜人投資家にずっお魅力
的な垂堎に倉えるこずは、雇甚創出や持続可胜な成長に寄
䞎するだけでなく、日本の䌁業や日本の産業が生産性を高
め、経枈が回埩するこずにも぀ながるず日本囜民に察し啓
蒙掻動を行なうこずからはじめるこずも䞀案である。
• FDIずそのメリットに぀いお、䞀般瀟䌚においおの関心や受
容床、理解床を深め、誀解を払拭させ、さらに倖囜人投資
家ず身近に接觊しお、圌らが盎面する䞍安や障害に぀いお
理解できるような宣䌝やむベントのキャンペヌンを行うこず
を提案する。
• 自由な資本垂堎、明確か぀限られたごく少数の䟋倖しか認
めない原則ずした「自由な」取匕、健党な䌁業統治、透明性、
説明責任、簡玠な芏制ず行政ずいった、投資を促す垂堎原
理に信頌が高たるよう「パラダむムシフト」を起こすこず。閣
僚レベルの諮問委員䌚を蚭け、この委員䌚が健党で競争的
な垂堎原理の拡充に぀いお、的確な改革案の提蚀に取り組
むこずを提案する。
• 芏制緩和ず民営化を加速させるこず。医療、教育、小売業、
公共事業、蟲業、専門サヌビス分野、郵䟿・宅配サヌビス、
投資顧問・資産運甚業務分野、公益事業のアりト゜ヌシン
グなどの分野で、倖囜䌁業、日本䌁業を問わず双方に投資
機䌚を䞎えるこず。政府系機関を金融事業の䞻だった圹割
からはずすこずも、重芁な措眮ずなるであろう。
• 倖囜人投資家が所有暩移転ずM&A取匕を行い易くする。
法埋の改正によっお、「キャッシュ・マヌゞャヌ珟金合䜵」
や課皎猶予付クロスボヌダヌの株匏亀換等の手法を掻甚
可胜にする。時宜を埗たM&Aは、䌁業の存続ず雇甚維持
を支揎し、新たな資源ずノりハりの導入を通しお持続可胜
な長期成長をもたらす手法の1぀であるず、そのメリットに
぀いお囜民や䌁業経営者の理解を深めるこず。
• 劎働移動や新芏産業ぞの迅速な参入を促進し、非効率䌁
業による退出の圱響緩和を図る゜ヌシャルセヌフティヌネ
ットを敎備すべく倉革プログラムに着手するこず。離職者に
財政的支揎や、付加䟡倀技術を身に぀けるためのトレヌニ
ング、補助金を提䟛する。401K確定拠出型幎金の限床
額や利甚方法を改善し、珟圚の魅力だけでなく今埌の「ポ
ヌタビリティヌ幎金の通算制床」も高めるこず。
• 地方自治䜓の自治暩ず暩限を匷化、支揎し、皎法䞊やその
他のむンセンティブを䞎えお地方自治䜓が自ら差別化を
図り、FDIの誘臎を促進できるようにするこず。JETROや
METIのような有力省庁に、地方自治䜓の支揎業務を重点
的に取り組たせるこず。そうすれば地方自治䜓は自らの管蜄
内にある特定䌁業や個別の状況に適した投資家探しをよ
り積極的に行うこずができる。たた、特定䌁業をタヌゲット
に「構造改革特区」申請を芁請するこずもできる。
• 具䜓的実瞟を䌎う投資促進プログラムを地方自治䜓が立
案できるよう、奚励、支揎するこず。地方自治䜓にずっお特
に重芁な点は次の通りである。
a) 最初の立案段階で、代衚的な倖囜䌁業や団䜓ず意芋亀
換を行い、立案䞭の促進策に぀いお詳现なフィヌドバック
を埗るこず。
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b) 新芏投資をしない堎合でも、地方自治䜓の管蜄圏内に
ある既存䌁業に支揎や皎制䞊の優遇措眮や補助金を
出すようなプランよりその地域に新芏投資を行う投資
家をタヌゲットに、そうした䌁業が地域でプレれンスを
高めるこずに察しお報いるプランを立案するこず。
c) トレヌニング特に英語などにおいおを提䟛するこず
によっお流動性のある劎働垂堎を促進し、こうした人材
を雇甚する䌁業に察しおではなく、この個人に察し盎接、
補助金や皎制䞊の優遇措眮を䞎える。
• 必芁な政策の実斜や法的枠組みの倉曎は機敏に行うこず。
そうするこずにより、早い段階での実瞟䜜りや、投資「サクセ
スストヌリヌ」を䜜り出すこずができる。政策や法案改正は、
珟実のFDIのフロヌ、その動因、ダむナミックスをしっかり分
析した䞊で行うべきである。
ACCJは、以䞊を実珟させるための政策に぀いお、次の問題を
取り䞊げた具䜓的な提蚀曞を数ヵ月埌に発衚する予定である。
• 芏制緩和ず起業家粟神の促進
• 劎働流動性ず゜ヌシャルセヌフティヌネットの改善
• 䞍良債暩凊理の促進
• 株匏亀換ず䞉角合䜵
• 珟金合䜵
• 䌁業統治ず透明性
• 教育䞊びに医療サヌビスの匷化
結論
さらに倚くの、しかも早急な盎接投資を日本は必芁ずしおいる。
倖囜による盎接投資が、生産性、成長、雇甚の面で、日本に特
別なメリットをもたらすこずは、経枈デヌタから明らかである。
今回の分析によっおFDIこそ、日本経枈を再掻性化するために
重芁な鍵を握っおいるこずを明らかになった。
日本は倖囜投資を歓迎する第䞀歩を螏み出し、それに察す
る倖囜人投資家からの反応は非垞に奜意的なものだった。
しかし、FDIの昚今の盛り䞊がりを支えた芁因は消滅しおし
たった。今埌も日本が競争力の高いグロヌバルマヌケットから
FDIの適切なシェアを誘臎したいず望むならば、この囜は、さら
に改革ず芏制緩和を加速し、投資誘臎のための法改正を行い、
行政手続きを簡玠化するこずが必芁である。そしお、これたで
よりもっず積極的か぀迅速に、確固たる決意を持っお進めなけ
ればなるたい。

From Goals to Reality - J