コルヒチン中毒
〜ギョウジャニンニクとイヌサフラン〜
2019 年 4 月 23 日
背景
• 救急外来を受診する患者には、自然毒による中毒が一定数含まれる。
• 早期診断と治療がなされない場合、致死的な転帰となる例も多い。
• イヌサフランの誤食によるコルヒチン中毒は日本各地で報告があり、
当院でも備えが必要である。
😋ギョウジャニンニク😋
• 近畿から北海道に自生するユリ科ネギ属の多年草。
• ほとんどは国立公園などの自然保護区で繁殖。
• 食用となるまでには 5 年以上かかるとされる。 4 月から 6 月が旬。
• ニンニクの臭いがする。炒め物にすると美味(らしい)。
https://www.amazon.co.jp/北海道産-山菜-天然-行者にんにく-1kg入り/dp/B01AXPVP4Q
https://www.sansaiya.com/sansai/gyouja.html
https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/vegitable/Gyoujyaninnniku.htm
👿イヌサフラン👿
• ユリ目イヌサフラン科イヌサフラン属。
• コルヒチンを含み、葉、花、球根いずれも食べられない。
• 厚生労働省 自然毒のリスクプロファイルでは「強毒」。
• 誤食により嘔吐、下痢、知覚麻痺を呈し、死に至ることもある。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/poison/higher_02.html
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症例① 80 代 男性
【 主訴】 嘔吐、下痢
【現病歴】 イヌサフランの球根 2 個を摂取した翌日から嘔吐、下痢を来して受診。
【現症】 血圧 : 109/71 mmhg、脈拍 : 86 bpm、呼吸数 : 18 /min、体温 : 38.8 度
【検査】 WBC 12700 /μL , LDH 1844 U/L , BUN 33 mg/dL , Cre 1.95 mg/dL
FDP 166 μg/mL , D-dimer 87.7 μg/mL , Lac 5.5 mmol/L
【経過】 嘔吐、下痢による血管内容量低下として輸液のみで入院加療を開始。
第 2 病日に汎血球減少、酸素化不良と血圧低下をきたした。
敗血症性ショックと判断して気管挿管、昇圧剤、広域抗生剤を開始した。
G-CSF も使用し、第 10 病日からは血球増加もみられたが敗血症による
多臓器不全で第 34 病日に死亡退院された。
日集中医誌 2018 ; 25 : 47-8
症例② 25 歳 女性
【主訴】 コルヒチン過量内服
【現病歴】 双極性障害で治療中。 Behcet 病疑いでコルヒチンを処方されていた。
自殺目的でコルヒチンを過量内服したが思い直して服用 4 時間後に受診。
【現症】 血圧 : 176/100 mmhg、脈拍 : 72 bpm、呼吸数 : 18 /min、体温 : 37.4 度
【経過】 胃洗浄、活性炭投与後に集中治療室管理を開始。服用 7 時間後から
嘔吐、水様下痢と発熱を来した。その後、乏尿と酸素化不良が出現したため
服用 32 時間後から気管挿管・人工呼吸管理を開始。しかし 臓器障害が進行し、
服用 60 時間後に多臓器不全で死亡した。
中毒研究 28 : 371-373, 2015
コルヒチン中毒
• コルヒチンは細胞内で tubulin に結合して細胞分裂や移動を阻害する。
• 白血球の活動を阻害し、痛風や家族性地中海熱の発作抑制や
Behcet 病の治療に利用される。
• 中毒域では粘膜障害や骨髄抑制をきたす。
• 最小致死量は体重 50 kg 成人で 4.3 mg 。イヌサフランの球根 2/3 個分。
• 治療の中心は全身管理と感染制御であり、回復期に入るのを期待する。
https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/sh-helth-k/inusahuran.html
コルヒチン中毒の全身管理
• 初期症状に騙されない!
• 積極的な胃洗浄・活性炭投与!
• 骨髄抑制への対応!
 免疫不全・臓器不全は必発。十分な輸液と予防的抗生剤投与を。
 腎機能障害には持続透析を考慮。
 積極的な広域抗生剤投与
 陰圧管理
 コルヒチンは腸肝循環する。暴露後 24 時間以上でも胃洗浄・活性炭投与。
 透析や血液吸着では除去できない。

colchicine poisoning