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「科学技術と
 社会はさておき私の関係」
 レポート
フューチャーセッション
イイカゲンノツキ
日時:2015年6月14日(日)15:00∼17:00
場所:ルノアール新宿区役所横店
セッションの目的
科学技術と私について、考え、話し合い、
できれば何か始めるためのセッション。
セッションのプロセス
イントロ
1.ごあいさつ(1分)
2.プログラムの説明(3分)
3.セッションの趣旨説明(5分)
アイスブレイク
(10分)
4.いま関心がある科学の話題はなんですか?(問い1)
共有する
(10分)
5.個人的に科学に期待していることはなんですか?(問い2)
6.どんなときに科学へ不安・不満を感じますか?(問い3)
話し合う
(10分)
7.他の人の意見を聞いてどう思いましたか?
8.他に今気づいたものはありますか?
共有する
(10分)
9.日本で行われている科学コミュニケーションのうち、あなたが評価できるも
のはなんですか?(問い4)
10.日本で行われている科学コミュニケーションのうち、あなたが評価できな
いものはなんですか?(問い5)
話し合う
(10分)
11.他の人の意見を聞いてどう思いましたか?
12.他に今気づいたものはありますか?
意思表示をする
13. 明日から何を始められることがあれば、具体的に、何も始められることがな
い、始める気がないなら、その気持ちを高らかに、A4用紙に大きく書いてくだ
さい。
クロージング 10.おわりに(3分)
セッションの趣旨
フューチャーセッションとは
「未来に向けた問いかけがあり、それに呼
応して集まった多様な参加者が、対話を通
じて相互理解と信頼関係を築き、新たな関
係性と新たなアイデアを同時に生み出し、
強調してアクションを起こしていく場。」
出典:「イノベーション・ファシリテーターー3ヶ月で社会を変えるための思想と実践」
(野村恭彦)
セッションの趣旨
どんなときに、フューチャーセッションを
ひらくべきか
それは、「当事者自身も大きな変化を求め
ており、多くの人の共感を集めそうな公共
性の高い想いがある」とき
出典:「イノベーション・ファシリテーターー3ヶ月で社会を変えるための思想と実践」
(野村恭彦)
セッションの趣旨
科学と社会に関するなにかを仕事にしている
われわれが、たとえ仕事でなかったとしても
本当にやりたい、やらなくてはいけないこと
はなんだろうか。
明日からの仕事に生かせるかもしれないし、
個人な活動に役立つかもしれないし、
生活の糧を得るためのお仕事なんだからサクッ
とこなせばいいじゃん、ということになって
も、それはそれとして。
問い1 いま関心がある科学の話題はなんですか?
量子もつれ(カブリ・大栗)
カブリ大栗先生の発見
iPS 臓器の芽
オリンピックレガシー
気候変動とエネルギー
とりあえずエネルギーの選択
ネオニコチノイド系農薬の残留基準緩和について(ミツバチ)農家の伯父
マイクロバイオーム
腸神経系
レーウェンフック望遠鏡(とスマホ顕微鏡)
人工知能(IT全般含む)の社会導入
ゲノム編集(NBT、遺伝子治療)の社会導入
テクノロジーで本人が気付かないうちに行動変容を起こすことの是非
核燃料サイクル、効率化
SLIM UZUME 月
問い2 個人的に科学に期待していることはなんですか?
・専門家の自身の研究を伝えるアウトリーチよりもみんなの問題解決にむすび
つくように議論
・エネルギー問題の解決
・合理的かつ妥当な説明のスタイル
・自然との折り合い 幸せなくらし 新しい世界観 視野 科学技術による問
題解決
・神経科学、認知科学と人文・社会科学との接続による、教育、社会制度の
バージョンアップ
・望む望まないにかかわらず社会を変えること
問い2 個人的に科学に期待していることはなんですか?
・エネルギー問題の解決
「今解がないし解が出てくるかわからないが、科学しか解が出せない。冷静に考えると化石燃料も原
子力もある程度密集したエネルギーだが、再生可能エネルギーはその逆で、根本的に無理があるとい
う話もある。再生可能エネルギーも万能ではない。結局ベストミックスとなるが、全然解決の芽が見
えているわけではない」
・合理的かつ妥当な説明のスタイル
「問題の上限と下限を画するものであることを期待する。科学的に説明するものとして」
・神経科学、認知科学と人文・社会科学との接続による、教育、社会制度のバージョンアップ
「今まで経験的に言われていたことを、ビッグデータ解析などで行動経済学的に、科学的に予測でき
る範囲内での社会課題解決を期待する。個人レベルでは、神経科学、教育学、社会学の知見が接続さ
れると、バージョンアップされるのでは」
・専門家の自身の研究を伝えるアウトリーチよりもみんなの問題解決にむすびつくように議論
「専門家は自分の研究の話を伝えることを熱心にしているが、一般市民の中にある問題の解決につな
がる話をしてもらうことを期待する。」
・自然との折り合い 幸せなくらし 新しい世界観 視野 科学技術による問題解決
「自然との折り合いの先にある、幸せな暮らしのための解を出してくれるんじゃないかと期待してい
る」
・望む望まないにかかわらず社会を変えること
「良くも悪くも、社会も変わるし人間もあり方も変わること」
問い3 どんなときに科学へ不安・不満を感じますか?
・科学館、科学イベントで何を持ち帰っているか?何を持ち帰らせようと思っ
ているか?(科学を続けて考えられるものをもちかえらせる必要)
・誰のための科学かと思う。議論の中心が専門家だけに思えるが。
・何が行われるのか分からない、見えない
・エネルギーが自由に使えないと、科学もとまる
・科学的説明が科学以外の文脈で行われるとき
・科学をめぐる考え方の違いから人が分断すること
・新興国への科学技術輸出におけるリスコミが不足していること
・シンギュラリティ問題が、社会システムに与える影響
問い3 どんなときに科学へ不安・不満を感じますか?
・エネルギーが自由に使えないと、科学もとまる
「例えば、有機化学の実験では化石燃料を使っていた。化石燃料がなくなると有機化学はなくなるのか。その
前にエネルギー問題を解決して石油を他の用途に回るようにしないといけないとなる。」
・科学的説明が科学以外の文脈で行われるとき
「例えばネトウヨの議論。古代の朝鮮人、中国人と今の韓国人、中国人とは遺伝子が違うという。だから、我々
に古代文化を与えてくれた人たちとは違うので、今差別をしてもよいと言う。自分たちの言いたいことを言う
ために、積極的に科学を使っていこうとする」
・科学館、科学イベントで何を持ち帰っているか?何を持ち帰らせようと思っているか?(科学を続けて考え
られるものをもちかえらせる必要)
「今の科学館では、科学館を離れた日常でも科学を継続的に考えられることについて伝えられていないという
ことに不満を感じる。」
・何が行われるのか分からない、見えない。誰のための科学かと思う。議論の中心が専門家だけに思えるが。
「科学の世界で何が行われているか分からず、見えない時に不安を感じる。不透明だったり難しくて理解がで
きなかったり、全く知らなかった研究開発の成果や弊害がある日突然出てくると、驚き、怖くなる。」
・シンギュラリティ問題が、社会システムに与える影響
「人工知能が人間の判断を超える時代が来るというが、それをどう考えるべきか」
・新興国への科学技術輸出におけるリスコミが不足していること
「新興国へ原発やインフラを輸出すると、良いことばかりを言う。自分たちの技術が外へ出ていき役に立つこ
ともあるが、問題を起こす可能性もある。リスクコミュニケーションの技術や考えも一緒に出していくべきだ
が、現状は十分にできていないことが不満」
・科学をめぐる考え方の違いから人が分断すること
「科学や科学をめぐる考え方の違いで人同士が仲良く慣れないこと、会話が噛み合わないことが不満」
「科学への期待、不満・不安」の議論のまとめ
・期待について
科学技術が、社会の問題解決など役に立ってほしい
という期待がある。
・不満・不安について
理解できないことがもたらす不安が共通している。
何が起こるかわからない、どういう社会がもたらさ
れるかわからないということに対する不安がある。
日本で行われている科学コミュニケーションのうち、あなたが評価で
きるもの(問い4)、評価できないもの(問い5)はなんですか?
・山中さん
・サイエンスコミュニケーションツール研究会、
カルタなど
・WWV
・Dana Center、デモックス
・一般市民が多数参画する取組
・World Wide Views
・フューチャーセッション(当事者性が高い、
行動への接続がよい)
・ニコニコ学会β
・テレビ番組(Eテレの科学番組、Nスペ)
・新書(岩波、中公、ブルーバックス、ソフト
バンク・・・)
・天文とプラネタリウムの会(天プラ)
・うまくいっているときの保健医療
・リビングラボ、DMM.make AKIBA、todai
to texas(おもしろい、、マネタイズなど持続
可能性あり)
・戦争、公害、疑似科学をめぐる歴史の共有
・ニセ科学が絡むもの
・たとえば?日本のサイエンスカフェ
・サイエンスカフェ
・出生前診断をめぐるアウトリーチの不足
・パブリックコメント
・エネルギー政策をめぐるコミュニケーション
・エネ庁DP
・アゴラ
問い4 問い5
問い4 日本で行われている科学コミュニケーションのうち、あなた
が評価できるものはなんですか?
・リビングラボ、DMM.make AKIBA、todai to texas(おもしろい、、マネタイズなど持続可能性あり)
「うまくいっているものは、持続可能性があってマネタイズもできていろんな人達が集まってきて楽しいもの」 
・うまくいっているときの保健医療
「患者と医療関係者の間でうまくいって、みんな健康になったというゴールに到達したときはうまくいっていると思う」
・一般市民が多数参画する取組、World Wide Views、フューチャーセッション(当事者性が高い、行動への接続がよ
い)、ニコニコ学会β
・Dana Center、デモックス
「イギリスのDana Centerはかつて「解なきテーマ」に対して話し合いをして、選択を問いかけ投票結果をウェブにアッ
プするダナカフェをやっていた。あのような場が日本にもあると良い。」
・
「普遍的なコミュニケーションをやっている。現場主義」「現実的な時間の制約で何をやってどう答えをだすか。綺麗過
ぎる議論でよのか。そこから何も み取れなくてもよしとする。いかに重ねていくか。重ねていくことで合理性、コンセ
ンサスを生み出す」
・山中さん
「山中先生は自らのご研究内容のみならず、科学研究の世界とは何かを体を張ってコミュニケーションし、大きな影響を
与えていると思う。」
・サイエンスコミュニケーションツール研究会、カルタなど
・WWV
「WWVは世界共通のフォーマットに則って行われたが、拘束時間が長く、議論に不慣れな日本人にあのスタイルはどう
だろうかと思った。日本文化ならではのコミュニッケーションデザインとは何かを考えさせられる。」
・テレビ番組(Eテレの科学番組、Nスペ)、新書(岩波、中公、ブルーバックス、ソフトバンク・・・)
「科学コミュニケーションがうまくいっているところはあるが、科学コミュニケーションとは呼ばれていない」
・天文とプラネタリウムの会(天プラ)
問い5 日本で行われている科学コミュニケーションのうち、あなた
が評価できないものはなんですか?
・サイエンスカフェ
「日本的なサイエンスカフェは科学講演会になっている。基礎系の研究者はサイエンスカフェは開きやすくその場では盛り上げるが、社会の
中でのつながりがない」
「サイエンスカフェは本来、サイエンスショップとセットであるべきではないか?専門家が伝えたいことを伝えるだけでなく、対等のパート
ナーである市民が専門家に聞きたいこと、伝えたいことを交換する場所になっていない。」
「日本にはカフェ文化がそもそもない。カフェで何かについて話す文化がある中で科学について話しましょうというのが本来のサイエンス・
カフェ。カフェも対話も文化がないのにサイエンスカフェは無理がある」
・ニセ科学が絡むもの
「ニセ科学が嫌い」
・戦争、公害、疑似科学をめぐる歴史の共有
「水育とかいろいろなニセ科学があった。ああいう経験が引き継がれていない。公害問題で根深いところをやっていたのに、公害史とSTS
研究がつながらず切れている。そういうところが広い意味での科学コミュニケーションの不満」
・エネ庁DP
「ある種の科学コミュニケーションの到達点だったが、振り返りも総括もされていない。科学コミュニケーションの停滞の原因にもなって
いる」
・エネルギー政策をめぐるコミュニケーション、パブリックコメント
「ベストミックスを決めるときに、有識者の中に原子力関係者がいるのがデフォルトなら、ベストミックスの中に原子力が入ってくるのは
当たり前となる。そこからパブリックコメントと言っても意味が無い。もっと上流を議論しないといけないのに、形式的になっている」
・出生前診断をめぐるアウトリーチの不足
「同じことが出生前診断でも起きている。日産婦がガイドラインを出したが、何歳以上は受けてはいけないと、結論だけを押し付けられて
いる」
・サイエンスアゴラ
「何がやりたいのかわからない」
・その他
「100%満足できる科学コミュニケーションの形を、私はまだ日本で見つけることができないでいる。」
「予算がついて大きなイベントをやって報告書を書くことが目的になっているのが科学コミュニケーションの課題では」
「日本で行われている科学コミュニケーションで評価できるもの、
できないもの」の議論
・ものづくりや古典的な分野など一般市民が参加しやすい領域では、コミュニ
ケーションがうまく行っている
・問い2∼3で出てきたような社会問題、本当に知りたいこと、知るべきこと
はコミュニケーションがうまくいっていない。
・困って内側からニーズが出てくるとコミュニケーションをとろうとする
・コミュニケーションすべきところは、もっと困るべき
・いつも後手にまわって充分に議論がされずに、決まってから出てくる。市民
なのかメディアなのか先を読んで議論を芽を出す必要がある。
・対話をする場がない。ただし、場作りを国がお金をつけてやると、国がやり
たくない問題は議論できない。
意思表示をする
明日から何を始められることがあれば、具体的に、
何も始められることがない、始める気がないなら、
その気持ちを高らかに、A4用紙に大きく書いてく
ださい。
科学にも社会にも興味がなく、科学と社会の中心問題から
離れ、核心的なステークホルダーを遠ざけつつ、無難な話
題で論文を書き、資金を配り、ポストを獲得し、賃金を得
ることのむなしさ。
ではこうしましょう、とすぐに答えは出ませんが、それぞ
れの思いを大切にしつつ、いずれまたご一緒できるのを楽
しみに。
当方、いい加減につき、いつになるかは分かりませんが。
おわりに
イイカゲンノツキ

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