2008 年聯合号事件における日本の態度の変化-戦略的三角関係理論の視点から   荘 文一 東京大学 大学院 総合文化研究科  国際社会専攻
はじめに -- なぜ、尖閣諸島が日台間の領土問題になるのか?   現状において、日本が領土として実効支配しているが、中国と台湾も 1971 年から「本来は中国領土」と主張している。 理由:大量な石油が埋蔵。 台湾が共同開発を望む。
2008 年の聯合号事件について   経緯 : 2008 年 6 月 10 日、台湾の漁船「聯合号」に海上保安庁の巡視船「こしき」が衝突し、聯合号が沈没。   台湾政府の反応 :非常に強硬。   日本政府の対応 :謝罪&賠償->従来と異なって、善意および柔軟性がある。   研究関心:なぜ、一貫して強硬な態度と違い、著しく柔軟性があると思われる姿勢で和解に辿りついたのか?
戦略的三角関係理論   について 理論への基本認識 1970 年代のアメリカで始まった。 国益を維持するため、当時相対的に衰退していたアメリカが米、中、ソ 3 が国関係の中でどんな戦略をすべきなのかというのは理論の問題意識。 三つの独立したアクターが必要。 関係にはプラスとマイナスがある。 敵の友は敵か友か、相手の実力によりけり。
四つのパターンと六つの地位   パターン 日本の地位 地位による点数 ロマンチックな形( romantic ) 中軸 ( pivot ) 3 =【 1+1- ( -1 )】 家族 形 (family) 友人 ( friend ) 1 = 1+1-1 婚姻 形 (marriage) パートナー( partner ) 1 =【 1+ ( -1 ) - ( -1 )】 ロマンチック な形 (romantic) ウイング( wing ) -1 =【 1+ ( -1 ) -1 】 単位拒否型 (unit veto) 敵 人 ( foe ) -1 =【 -1+ ( -1 ) - ( -1 )】 婚姻 形 (marriage) のけ者( outcast ) -3 =【 -1+ ( -1 ) -1 】 家族 形     友人 ロマンチック な形 中軸 婚姻 形 のけ者 単位拒否形 敵人 友人 友人 ウイング ウイング Partner Partner 敵人 敵人 + + + + + - - + - - - -
聯合号事件に対し、日本政府の態度が変化した   理由 :日本、中国、台湾 3 が国関係のパターンは「家族形」になったため、台湾の地位が 2008 年以前より高くなった所以である。 06 - 08 前半の三角関係の構造 :ロマンチックな形。 日本(中軸、 3 点)>台湾= 中国(ウイング、-1点)。 08 後半以来の三角関係の構造 :「ロマンチックな形」->「家族形」。日本=中国=台湾(友人、+ 1 点)。
おわりに 「反日親中」(日本嫌悪、中国寄り)と思われている馬政権は、険しい状況を乗り越え、日本とより安定、緊密な関係を築いてきた。 06 - 08 前半におけるの日本の態度に比べると、現在の両国関係の強化を目指す意欲が以前よりはるかに積極的だと思われている。 聯合号事件の対応をはじめ、この一年の日本の態度の変化を考えると、日本政府が素早く三が国関係の変化に応じ、最適戦略選択をしたのは確かである。
ご清聴有難うございました。 厳しいご指導のほどよろしくお願いいたします。

尖閣諸島100321

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    2008 年聯合号事件における日本の態度の変化-戦略的三角関係理論の視点から 荘 文一 東京大学 大学院 総合文化研究科  国際社会専攻
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    はじめに -- なぜ、尖閣諸島が日台間の領土問題になるのか? 現状において、日本が領土として実効支配しているが、中国と台湾も 1971 年から「本来は中国領土」と主張している。 理由:大量な石油が埋蔵。 台湾が共同開発を望む。
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    2008 年の聯合号事件について 経緯 : 2008 年 6 月 10 日、台湾の漁船「聯合号」に海上保安庁の巡視船「こしき」が衝突し、聯合号が沈没。 台湾政府の反応 :非常に強硬。 日本政府の対応 :謝罪&賠償->従来と異なって、善意および柔軟性がある。 研究関心:なぜ、一貫して強硬な態度と違い、著しく柔軟性があると思われる姿勢で和解に辿りついたのか?
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    戦略的三角関係理論 について 理論への基本認識 1970 年代のアメリカで始まった。 国益を維持するため、当時相対的に衰退していたアメリカが米、中、ソ 3 が国関係の中でどんな戦略をすべきなのかというのは理論の問題意識。 三つの独立したアクターが必要。 関係にはプラスとマイナスがある。 敵の友は敵か友か、相手の実力によりけり。
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    四つのパターンと六つの地位 パターン 日本の地位 地位による点数 ロマンチックな形( romantic ) 中軸 ( pivot ) 3 =【 1+1- ( -1 )】 家族 形 (family) 友人 ( friend ) 1 = 1+1-1 婚姻 形 (marriage) パートナー( partner ) 1 =【 1+ ( -1 ) - ( -1 )】 ロマンチック な形 (romantic) ウイング( wing ) -1 =【 1+ ( -1 ) -1 】 単位拒否型 (unit veto) 敵 人 ( foe ) -1 =【 -1+ ( -1 ) - ( -1 )】 婚姻 形 (marriage) のけ者( outcast ) -3 =【 -1+ ( -1 ) -1 】 家族 形   友人 ロマンチック な形 中軸 婚姻 形 のけ者 単位拒否形 敵人 友人 友人 ウイング ウイング Partner Partner 敵人 敵人 + + + + + - - + - - - -
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    聯合号事件に対し、日本政府の態度が変化した 理由 :日本、中国、台湾 3 が国関係のパターンは「家族形」になったため、台湾の地位が 2008 年以前より高くなった所以である。 06 - 08 前半の三角関係の構造 :ロマンチックな形。 日本(中軸、 3 点)>台湾= 中国(ウイング、-1点)。 08 後半以来の三角関係の構造 :「ロマンチックな形」->「家族形」。日本=中国=台湾(友人、+ 1 点)。
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    おわりに 「反日親中」(日本嫌悪、中国寄り)と思われている馬政権は、険しい状況を乗り越え、日本とより安定、緊密な関係を築いてきた。 06- 08 前半におけるの日本の態度に比べると、現在の両国関係の強化を目指す意欲が以前よりはるかに積極的だと思われている。 聯合号事件の対応をはじめ、この一年の日本の態度の変化を考えると、日本政府が素早く三が国関係の変化に応じ、最適戦略選択をしたのは確かである。
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