2016年10月14日診療録管理学会での発表演題

1. 平成28年熊本地震における
災害診療記録精度調査について
宮崎善仁会病院
救急総合診療部
牧原 真治

2. 第42回日本診療情報管理学会学術大会
COI開示
演題名： 平成28年熊本地震における災害
診療記録精度調査について
筆頭演者名：牧原真治
私の今回の演題に関して開示すべきCOIは
ありません。

4. 災害診療録の歴史
• 2011年の東日本大震災に至るまで、
災害時の標準診療録は作成されな
かった。
• 阪神淡路大震災・新潟県中越沖地
震の後などに標準診療録の提案が
あったが、形にならなかった。

5. これまでの災害現場のカルテ
• カルテの質の問題
– 患者の氏名・住所が不明確
– 診療した医師のサインが無い
– 診療した日時が記載されていない
• 様式の問題
– 避難所が統合されると、様々な形式で書か
れたカルテが混在して整理できない！

6. その後の経緯
• 日本集団災害医学会
• 日本診療情報管理学会・日本病院会
• 日本救急医学会
– 三学会が合同で災害時の診療録のあり方に
関する合同委員会（2012年4月）発足
• その後，国際緊急援助隊も加わった．
2015年2月報告書発表
＝災害診療記録標準フォーマット発表

7. 内容が充実した診療録
• 記載項目を記述する欄がきちんとして
いる診療録用紙には、充実した記載が
される！
• 必要な記載事項を検討し、煩雑でなく、
後利用できる、保健衛生的な問題点を
抽出できるフォーマットを作る！

8. 災害診療記録

9. 災害診療記録

10. 災害診療記録の調査
• 災害診療記録は、管轄の保健所に保管
された。
• 宇城市、熊本市保健所に災害診療記録
の閲覧を求めた。
– 宇城市保健所では、個人情報保護を盾に閲
覧を断られた。
– 熊本保健所では、調査の意義を理解し、快
く協力いただいた。

11. 熊本市の状況
• 熊本市では、中央区、北区、西区、南
区、東区の5箇所に保健所があり、それ
ぞれ活動拠点本部が置かれた。
• 熊本保健所に収集された災害診療記録
は、984件であった。

12. 標準災害診療記録の使われ方
• 救護チームの活動初期のみ標準フォー
マットが使われなかった時期があった。
– 標準フォーマット使用率883/984（89.7%）
• 日赤フォーマット:42
• 北九州市医師会フォーマット:36
• 不詳フォーマット:19
– なお、健康相談票は診療記録としてカウン
トしていない。

13. 標準災害診療記録の使われ方
• 標準災害診療記録用紙の一部を端折っ
て使用していた地区があった。
– 東区：災害診療記録用紙１＋２（34件）
– 南区：災害診療記録用紙１＋４（433件）

14. 災害診療記録１＋２

15. 災害診療記録１＋４

16. 必須項目記載率
• 氏名 97.0%
• 生年月日 85.3%
• 住所 31.7%
• 診断名 63.6%

17. 結語
• 標準フォーマットの使用確率は、救護活動開
始直後を除けば、ほぼ100%であった。
• ただし、活動拠点本部単位で、4枚綴りの
フォーマットを端折って2枚として使用され
る例が見られた。
• 標準フォーマットの使用法について、さらに
広報する必要性を感じた。