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「農業生産物の選択の
幅を広げるノーバ(農場)エピソード2」
~日本の農業を魅力あるものにするITの利活用~
特にIoT(Internet 0f Tomato)に注目
2016.1
スマートプラットフォームフォーラム
デジタルコンテンツ分科会
アジェンダ
1. エピソード1から
2.マッチングへの高い関心
3.データベース上の実態は
3.1 生産者サイド
(1)品種データ
(2)青果ネットカタログ
3.2 消費者サイド
(1)品種名の活用状況(Webサイト)
(2)品種名の活用状況(日常生活)
3.3 トマトの流通過程における生産物情報消滅の実態
4.Noberの具体化
4.1 各プレーヤのメリット
4.2 関連データとNoberの概要
4.3 Noberのデモサイト概要
5.成果と課題 2
生産者の期待
・消費者ニーズが見えることに
よるマーケティング力の向上と
品種改良(付加価値増)
・販売機会の拡大による安定
供給と収益増
・消費者レスポンスによるブランド
力・差別化の強化
・評価によるやりがいの向上
加工・外食の期待
・安心・安全
・専門性のある食材の選択確保
・消費者への付加価値の提供
消費者の期待
・安心・安全
・生産物の情報比較の充
実(調理向け、味、)
・ブランド店使用と同じ作
物の選択可能
・農家からの情報提供によ
る消費価値の高まり
ノーバ
・感想を伝えたい。(SNS)
流通業者
・消費者ニーズと生産者の選択
・安定供給
(卸業者・小売業者)
トレーサビリティとの整合
登録
検索
収集
検索 収集
収集
3
1.エピソード1から (1/2)
Noberで提供する各ステークホルダへの効用
4
青果標準商品コード
(ベジフルコード)
× × × × ×
品種登録番号
× × × x ×
+
生
産
段
階
品種登録番号
は表には出さない
(現在の表示から
変更しない)がデー
タベース上に所持
する
流
通
段
階
生鮮共通商品コード体系(食品流通情報化基盤開発事業より)
野菜 4922 3XXXX P 00 C/D
果実 4922 4XXXX P 00 C/D
4922という生鮮フラグから始まる13桁のコード体系.
流通で進んでいるEDIコードと生産
者が意識する品種との間に関連が
ない。
生鮮フラグ 標準品名コード P:栽培方法
区分等
生産・流通を含め品種名で紐付けした番号体系を提案していく。
1.エピソード1から(2/2)
生産物情報の提案
2.マッチングへの高い関心(1/2)
国の
政策
地理的表示法(H27.6 施行)
機能性表示食品制度(H27.4施行)
農林水産省知的財産戦略策(H27.5)
オンデマンド品種情報提供事業(H26-H28)
第2回品種マッチングミーティングに参加(2015.12.10)
自治体
ふるさと納税謝礼品
兵庫県豊岡市 30,000円
S001 TOYOOKA
FRESH TOMATO【35p の例
トマトハッカソン(高知県と富士通)
メンバは料理部門グランプリ受賞作品の
グループに参加
トマトサミットin大阪 (2016.2予定)
・農業振興から政府は農業製品の付加価値をアピールする政策の推進。
・自治体も地方創成策のもと地産品の拡販のため、情報発信に注力。
・消費者も食材に関する情報をサイトを通じて収集。
相談内容 当該品種名のある回答
昔のトマトくさい
トマトはありませ
んか
最近の品種は、青臭さをなくした桃太郎シリーズに代表される品種
です。
家庭菜園用に販売されている「強力米寿」「サターン」などの品種を
種もしくは苗で購入して作ってみてください。
ちなみに今は、麗夏、麗容といった別の会社の品種も桃太郎に対
抗して入っています。
トマトカレーでト
マトの色を出す
には
品種が選べるなら完熟の麗夏、シシリアンルージュ、なつのこまが良
いかと
トマトの種につ
いて…海外の
友人から送って
欲しいと頼まれ
ました
国内では生産用の種はサカタのタネとタキイ種苗の2社で占められて
います。サカタではサンロード、マイロック、麗夏などがあります。タキ
イでは桃太郎シリーズで桃太郎、桃太郎エイト、ハウス桃太郎等が
ありますが一般的にサカタの品種は樹勢が強く作りやすいです。タキ
イの品種は樹勢はあまり強くありませんが高糖度です。私は作りやす
さではマイロックか、麗夏、味では桃太郎が良いと思います。
教えて!Goo のAPIを活用したトマトの品種への質問検索例
6
消費者
2.マッチングへの高い関心(2/2)
(※品種数は2013年度ベース)
日本種苗協会野菜品種名鑑に登録されている品種名(556種)
桃太郎
CF桃太郎ファイト
CF桃太郎ヨーク
ハウス桃太郎
ホーム桃太郎
強力米寿
クックゴールド
サターン
グリーンガード
シャンデリア 他
CF桃太郎はるか
CFハウス桃太郎
CF桃太郎J
桃太郎あきな
桃太郎グランデ
桃太郎ゴールド
桃太郎サニー
桃太郎セレクト
桃太郎なつみ
桃太郎ピース
おどりこ
りんか
ルネッサン
ス
サンロード
レジナ イエローキャロル
チェルシーミニ レジナイエロー
キャロル7 VTM215
マイロック
ろくさんまる
麗容
ごほうび
秀麗
他8種 他3種
レットカゴメ
KGM021
KGM022
等
他29種 他22種
サキコマ トヨコマ
ニタキコ 華クイーン
リコポール
東京NFVR
ろじゆたか 等
428種
トキタ
朝日工業
ヤマト 他
タキイ サカタ 王様系
桃太郎8
桃太郎ギフト
桃太郎コルト
他
豊福
瑞栄
パルテノン
ファーストアップ
ワンピース 他
桃太郎系
タキイ サカタ
3.1 生産者サイド
(1) 品種データ
3. データベース上の現状
トマトの品種は、農水省品種データベースだけではなかった!!
農水省品種登録制度による品種名(190種)
7
民間による日本種苗協会管理の野菜品種名鑑と国の登録管理による品種登録データベースが存在。
6種 78種
他計62種
10種 34種 計128種
2015.11までに登録されたトマト生産農家の農家名(生産法人名)、品種名、出荷者、をデータセットとしたものを
LODチャレンジ2015年に登録しております。
http://idea.linkdata.org/idea/idea1s1339i
http://linkdata.org/work/rdf1s3600i
農水省が食品流通情報化基盤開発事業として2002年から運用。
インターネットを利用して、青果物の生産に関する様々な情報を登録・閲覧できる公開システム。
⇒生産者は品種名を記入する。
8
3. データベース上の現状
3.1 生産者サイド
(2) 青果 ネットカタログ(SEICA)
品種名を紐付けとして、
- 生産者
- 出荷者
- 生産トマトの情報
が得られる。
B-12 トマト(ごほうび) 減
農薬 期間限定品・数量限定品
材料
・トマト
・木綿豆腐
・豚挽き肉
・ニンニク
熊本県産トマト 濃厚仕上げ
レシピデータは膨大にある
品種記載の割合は小ない
「桃太郎」 「アイコ」が一部
記載。 データは未オープン
各社競っている
品種は記載されていない
データは未オープン
トマト掲載件数
ふるほ 17件
ふるさとチョイス 133件
品種名記載「ごほうび」1件
3. データベース上の現状
3.2 消費者サイド
(1) 品種名の活用状況(Webサイトでの表示例)
料理レシピ
(クックパッドより)
ネット通販
(Oisixより)
材料名:トマト
ふるさと納税謝礼品
(三重県紀宝町より)
△ × ×
消費者に食材情報を提供するWEBサイトは種々存在し、情報も豊富。 しかし、マッチングとして
の情報の扱い(品種名の記載、データのオープン性)が共に不十分。 評価はその意味で考えた。
八百屋、スーパでの店頭では
産地名の記載はあるが、
トマト、ミニトマトと表示。
マルエツ、東急ストアなど一部品
種名で表示。
レストランの食材はこだわると
ころもある。
モスバーガ、ピザハットの「みそ
ら」セレブデドマトの「桃太郎
各種」。メニューには示さない。
レシピでは売っている材料を選ぶ。
品種名での材料選択は通常の
料理授業の一段上の位置づけと
いう考え。
3. データベース上の現状
3.2 消費者サイド
(2) 品種名の活用状況(日常的な生活の場での接触)
八百屋・スーパー 料理教室レストラン
△ × ×
事業者は品種への意識はあるが、最終的には消費者と鶏と卵の関係で様子待ち。
前項のWEBプレーヤの消費者への発信・伝達が優先実施事項。
品種A
品種C
品種E
消費
Yさんは今日はトマトパスタ
を作ることにした。が、
店先では最適な品種を
確認することは出来ず、
トマトとして選ぶことになる。
生産
品種D
品種B
品種D
品種Z
流通
トマト全体
生産者は品種に
基づいて生産して
いるが
品種B
流通段階では品種を表す
情報コードがなくトマトという
野菜名で扱われる。
パスタに適した品種
品種
A
品種
A
3.データベース上の現状
どんなに特徴あるトマトを作っても、消費者に品種情報は届かない
11
3.3 エピソード1の実態はどの過程でも見られる。
トマト
タネ会社
の開発
農研機
構の開発
加工食
品会社に
よる開発
県指導に
よる開発
・日本種苗協会
・品種登録コード
農家
農業法人
農業組合
地域農協
カゴメ
デルモンテ 等
たねの生産 農業生産者 流通業者
消費者
卸売り 小売
スーパ等大手
流通
加工業者
外食業者
レストラン
標準流通コード
消費者
品種名
標準流通コード
タネ
販売
会社
出
荷
会
社
連携を
トマトの種
ネット通販
品種名消滅
ゾーン
機能されているか?
品種名
流通コード
3.データベース上の現状
品種の情報は流通の過程で消えてしまう
トマト
12
生産者から消費者までの情報流通過程から見ると品種名消滅ゾーンが存在している。
13
• 消費者情報が見えることによるマーケットの拡大
• 消費者評価によるやりがいの向上
生産者
サイド
• 少量多品種多方面流通ネットワークの誕生
• 付加価値サービスのビジネス提供機会の増加
• 材料の選択の幅が広がる事と代替選択の可能
流通・外食
サイド
• 自らの嗜好に合った質の高い選択と入手が可能
• 品種名により生産農家を選択でき、直接購入につなげられる
• 同じ質の料理がバラツクことなく繰り返し作れる
• 代替品の選択が可能
• レストランを選択する楽しみと料理の食後感の造詣が増える。
• 消費者相互の食材に関する情報交換に具体性が伴い質が高まる。
消費者
サイド
4. Noberの具体化
4.1 各プレーヤのメリット
現状、品種への関心は偏っているが、品種名を紐付けしてマッチングが取れると、各ステークホルダ
にメリットが生じる。 今使えるデータを活用し双方向の流通基盤となるNoberの実現性を提案する
生
産
者
加工・外食事業
消
費
者
評価
流通業者・
登録
検索
収集
検索 収集
収集
・評価
SEICA
品種登録
データベース
野菜品種名鑑
クックパッド
レシピデータ
品種名で
紐づけ
生産者情報
LOD化
ロジスティックシステムへの情報提供
レシピ情報
レストラン情報
ぐるなび
レストラン
データ
品種情報
LOD化
品種に関する
ユーザ FAQ
小売・スーパ・
ネット通販情報
教えてgoo
API
消費者検索
ログ・評価
データ
4. Noberの具体化
4.2 関連データとNoberの機能概要
LOD化による異種データのリンク付
14
Noberを実現するデータが明確になってきた。生産側にオープン化の理解が進みLOD化が可能。
品種名は紐付けに有効。消費・流通サイドとのデータ連携が課題。
生
産
者
加工・外食事業
消
費
者評価
流通業者・
検索
収集
収集
SEICA
品種登録
データベース
野菜品種名鑑
手入力
品種名で紐づけ
(LODのリンクによる
対応づけ)
生産者情報
LOD化
レシピ情報
レストラン情報
品種情報
LOD化
品種に
関する
ユーザ
FAQ
各プレーヤ向け総合ポータル
品種名(入力)
▼
作っています。
出荷しています
種・苗売っています。
使っています。(レストラン)
小売店等
売っています
探しいています
手入力
教えて
goo
API
登録
4. Noberの具体化
4.3 Noberのデモサイト概要
15
デモサイト公開:アプリ部門に応募中
http://210.140.170.130:8080/Tomato/
4. Noberの具体化
LODデータ公開:データ部門に応募中
・とまと生産農家と品種名および出荷者
http://idea.linkdata.org/idea/idea1s1503i (http://linkdata.org/work/rdf1s3600i)
- トマト生産者と法人番号 http://linkdata.org/work/rdf1s4104i
- トマト出荷者と法人番号 http://linkdata.org/work/rdf1s4105i
- とまと品種名のID化 http://linkdata.org/work/rdf1s3988i
- 生産農家のID化 http://linkdata.org/work/rdf1s3989i
- トマト出荷者のID化 http://linkdata.org/work/rdf1s3990i
・ トマト生産農家と品種名 (ID化をしていないデータセット)
http://idea.linkdata.org/idea/idea1s1339i (http://linkdata.org/work/rdf1s3600i) 16
成果
1.品種名でのデータの紐付けは消費者、生産者、流通事業者に対し有効である。
2.品種名を紐付けとしてデータベース間の連携であるNoberの機能をデモ機により
確認することができた。
3.消費者サイドの各部門にデータはあるが品種名記載が少ないことが確認できた。
4. 品種データベースの2系統の存在が確認できた
課題
1.ネット系流通部門(野菜ネット通販会社、ふるさと納税謝礼品)のデータに品種名
記載を盛り込むための啓発活動
2. クックパット等レシピデータへの品種名の記載勧奨
3. 野菜品種名鑑の品種データの利用可能化
4.SEICAネットへの生産者登録増加奨励
将来
1.野菜全般にわたるデモサイトを作成。
2.Noberの全自動化
17
成果と課題
消費者
小売
卸
物流
加工メーカ
農林水産業
Nober
マッチィング
プラットフォーム
食・農業の分野を俯瞰したIT利活用のゴールは、
食のバリューチェーンに関わるすべてのプレイヤーが
共通のデータベースにアクセスし、それぞれが必要な情報を
タイムリーに利活用出来るシーンの実現である。
目指すゴール
18

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Noberエピソード2

Editor's Notes

  1. 生産物に品種情報が加味された情報コードが付くことにより、生産者、消費者、加工/外食事業者間で、生産物情報が直接コネクトすることが可能となる。 農業生産消費マッチングシステムを名づける。 生産者は自分の作物の情報をマッチングシステムに登録する。 消費者・加工/外食事業者は食材の検索としてマッチングシステムを活用する 消費者は感想、口コミを直接生産者へ返すことも可能とする。 生産者の期待  システムを通して  ・消費者ニーズが見えることによるマーケティング力の向上が図れること  ・販売機会の拡大による安定供給と収益増  ・消費者レスポンスによるブランド力・差別化の強化  ・評価によるやりがいの向上 消費者の期待 ・安心・安全 ・生産物の情報比較の充実(調理向け、味、) ・ブランド店使用と同じ作物の選択可能性 ・農家からの情報提供による消費価値の高まり 加工の期待 ・安心・安全 ・専門性のある食材の選択確保 ・消費者への付加価値の提供 が想定されます。
  2. 生産物に品種情報が加味された情報コードが付くことにより、生産者、消費者、加工/外食事業者間で、生産物情報が直接コネクトすることが可能となる。 農業生産消費マッチングシステムを名づける。 生産者は自分の作物の情報をマッチングシステムに登録する。 消費者・加工/外食事業者は食材の検索としてマッチングシステムを活用する 消費者は感想、口コミを直接生産者へ返すことも可能とする。 生産者の期待  システムを通して  ・消費者ニーズが見えることによるマーケティング力の向上が図れること  ・販売機会の拡大による安定供給と収益増  ・消費者レスポンスによるブランド力・差別化の強化  ・評価によるやりがいの向上 消費者の期待 ・安心・安全 ・生産物の情報比較の充実(調理向け、味、) ・ブランド店使用と同じ作物の選択可能性 ・農家からの情報提供による消費価値の高まり 加工の期待 ・安心・安全 ・専門性のある食材の選択確保 ・消費者への付加価値の提供 が想定されます。