education in Malaysia

1. 私たちはこれからマレーシアの学校制度について発表します。まず初めに、マレーシア
の文化を理解するにあたり、私たちはマレーシアと日本の学校制度の違いに注目しました。
マレーシアの学校制度を理解することによって、実際に私たちが NAP でお世話になるチュ
ーターと、より良い関係を気づくことができるのではないかと思います。ここで、簡単に
マレーシアの学校制度について説明したいと思います。マレーシアでは 6 年間の初等教育
の後、前期３年、後期２年の中等教育があって、さらに１年から１年半の大学予備教育、
３年間の大学と、大きく四つに分けられます。日本では６年間の初等教育、３年間の中等
教育、３年間の高等教育、そして４年間の大学教育が一般的であります。皆さんお気づき
であるように、マレーシアと日本は教育期間の長さや名称が違っていることがポイントで
す。また、マレーシアの高等教育は中等教育まで無償であるため、初等教育の就学率は１
００％であります。そして、日本にはないマレーシアの学校制度の一環として、飛び級制
度と移行学級制度があげられます。前者は小学校を５年で修了できる制度、後者は中等教
育進学前にマレー系以外の子どもがマレー語を１年間学習する制度です。
それではマレーシアの初等教育について八木さんに詳しく説明してもらいたいと思いま
す。八木さんお願いします。
子供が 7 歳になると、6 年間の初等教育に就学し、中等レベルに進学する前に、十分な基礎
が築かれます。みなさん知ってのとおり、マレーシアは多民族国家です。では、小学校段
階ではどのような言語を使うと思いますか？マレー語を教授言語とする学校の他、中国語、
タミル語による学校もあります。この違いにより、国立小学校、国立中国語小学校、国立
タミル語小学校に分かれます。このように、主要民族であるマレー系、中国系、インド系
の各民族に母語で教育を受ける選択肢が与えられます。しかし、いずれの学校においても
マレー語は必修です。小学校終了時点、つまり、6 年の終わりに生徒は、PAST(初等教育成
績評価試験)というものを受験します。この結果に関係なく、小学校卒業生は全員前期中等
教育第一学年に入学できます。しかし、成績のよい生徒は、全寮制の中等学校に選抜され、
遠隔地および、低所得世帯の生徒には、優先権が与えられます。また、マレーシア国内に
は、2000 年では、7217 校の学校があり、在籍する生徒数は 2,931,190 人です。学校数およ
び、教師数が不足しているため、多くの学校が午前と午後の二部制、低学年が午後、高学
年が午前という方法を採用しています。
次に、マレーシアの中等教育について若森さんお願いします。
続いてマレーシアの中等教育について紹介します。中等教育は、前期中等教育、後期中等
教育および上級中等教育の２段階に分類できます。一般的に、中学校と高校は 1 校にまと
められて 5 年制の課程をとっているところが多いです。中学校第 1 学年から順に
FORM1~5 と呼ばれています。中等教育（前期中等学校 3 年＋後期中等学校及び上級中等
教育 2 年）になると、公立ではマレー語による学校（SMK）に統一されます。前期中等教
育である中学校からは表に示されているように、必修教科のほかに追加教科が置かれてお
り、授業時間は 40 分が１時限に相当します。英語は第二言語としてすべての学校で必修教

2. 科となっています。必修教科のうち、「生活技術」は科学技術と経済にも精通した個人の育
成を目指して導入されたもので、その内容には操作技能、ビジネス技能､家政技能の習得な
どが含まれています。後期中等教育のカリキュラムでは、一般的な教育科目に加え、科学、
技術､職業もしくは宗教などの専門教育が加わってきます。これらの学校には、普通科、技
術、職業､宗教の各コースがあります。第 5 学年を終了した段階で生徒は強制的に全国試験
である MCE：マレーシア教育修了証明試験) あるいは職業課程の場合の証明試験は、SPM
（後期中等教育成績評価）というものを受けます。この成績は就職の際に参考にされるほ
ど重要なものとなっています。
マレーシアの大学予備教育については私が説明させてもらいます。上級中等教育（SMT）
終了後、マレーシアの国内の大学に進学を希望する場合は大学予備教育を二年間（ロウア
ー・フォーム６とアッパー・フォーム６）受けねばなりません。アッパー・フォーム６終
了時に行われる STPM と呼ばれる全国統一試験で一定以上の成績とると、始めて大学進学
が可能になります。一方、最終学年に実施される全国統一試験 SPM 受験生で成績優秀なマ
レー系生徒には大学予備教育課程（マトキュレ—ション・コース）が設けられています。こ
のコースは一年間で、終了時には STPM を受験せずに直接大学に入学が認められます。そ
の よ う な 学 生 は 正 規 の 大 学 教 育 を 受 け る 前 に 、 大 学 内 に 設 置 さ れ た PAS(Pusat
AsasiSains：基礎科学センター)と呼ばれる予備教育部で数学、物理、化学の自然科学系基
礎科目の教科教育を 1 年間受講します。通常の大学予科教育の 2 年より 1 年短くなってい
るのが特徴で、これもブミプトラ政策の一つであります。しかし、2003 年より大学の入学
システムがブミプトラの一環である割当(Quota)制から成績重視主義(Meritocracy)と大き
く転換しました。国内の大学に進学せずに学業を続ける方法としては、私立カレッジや教
員養成用カレッジ、あるいはポリテクニックなどに進学することがあります。カレッジは
日本の専門学校に相当します。ポリテクニックとは、高等教育機関の一種です。大学機関
が主に学問（学術）を教える組織であるのに対し、ポリテクニックでは実学（職業教育）
を中心に教育課程が編成されています。また、裕福な子女の場合 SPM 試験の合格者に対し
て門戸を開いている国外の大学に留学する場合もあります。ここで私が皆さんに一つ注意
してもらいたいことは、中華系私立中等学校の卒業生が国内の大学の 4 年制コースに進学
しようとすると、さらに 2 年間の大学予科教育を受けなければならず、さらに STPM 試験
がマレー語で実施されるために大きな不利を被るということです。このため、中華系私立
中等学校の卒業生で国内の国立大学に進学する生徒は殆どいないと言われています。しか
し、大学進学の成績重視主義（Meritocracy）の採用や私立大学の増加により華人にとって
大学進学の選択肢は拡大しつつあるそうです。
最後に、マレーシアの大学予備教育について宮前さんお願いします。マレーシアの大学
についてです。マレーシアの大学は修業年限が文科系で大部分が３年間、理科系で４年間、
医科・歯科系で５～６年間となっています。日本とは文科系が３年間というところが少し
違います。マレーシアには現在国立大学 20 校、私立大学 40 校あります。国立大学はブミ

3. プトラ政策（マレー人の経済的・社会的地位向上のための優遇政策）によってマレー人の
学生比率が圧倒的に高いです。授業も英語よりもマレー語主体で行われています。私立大
学は、施設の充実度や授業水準によってレベルの高い方から「ユニバーシティ」、「ユニバ
ーシティーカレッジ」、「カレッジ」と分類されています。学校によってはこれらを伏せ持
った大学もあります。私立大学の授業は主として英語で行われ、海外からの留学生が多い
のが特徴です。次に大学の入学基準についてです。マレーシアでは、日本とは大きく異な
り高校での成績・英語力を証明する資格 TOFLE や IELTS で判断します。マレーシアの大
学は日本のような入学試験の基準をクリアできる学力が求められるため、ある程度のレベ
ルの進学校と呼ばれるような高校からでないと難しいのが現状です。しかし、マレーシア
では高校での成績、TOFLE、IELTS で判断するため、高校のレベルに関わらず学校での成
績および英語力により、有名校に進学できる可能性があるのです。
このようにマレーシアは初等教育・中等教育・大学予備教育・大学と日本とは異なる点
がたくさんあります。現地でさらに理解を深めていきたいと思います。