2019年度日本認知科学会第36回大会のオーガナイズドセッション07: 【「ドラえもん」を題材とした日常になじむ知能の探索】での大澤の発表資料です。

1. 0
ドラえもんをつくるとはどの
ような取り組みか
⼤澤正彦 (慶應⼤)

2. 1
ドラえもんをつくる
夢

3. 2
ドラえもんを
つくることは難しい

4. ドラえもんをつくることはむずかしい?
‪ ドラえもんをつくるのはなぜ難しいか
– 膨⼤かつ⾼難易度な機能要件集合
• ドラえもん⾃⾝（ヒトレベルの汎⽤⼈⼯知能）
• ひみつ道具
• 四次元ポケット
– ドラえもんの定義が曖昧
• 何ができたらドラえもんか？
• あまりに有名かつ⼈気キャラクターすぎて、
個⼈が独⽴に機能要件を無意識に保持
まずはみんなが認めてくれる
ドラえもんの定義から考える
3

5. ドラえもんをつくることはむずかしい?
‪ ドラえもんをつくるのはなぜ難しいか
– 膨⼤かつ⾼難易度な機能要件集合
• ドラえもん⾃⾝（ヒトレベルの汎⽤⼈⼯知能）
• ひみつ道具
• 四次元ポケット
– ドラえもんの定義が曖昧
• 何ができたらドラえもんか？
• あまりに有名かつ⼈気キャラクターすぎて、
個⼈が独⽴に機能要件を無意識に保持
まずはみんなが認めてくれる
ドラえもんの定義から考える
4

6. ドラえもんの定義
‪ ⼈⼯物の定義⽅法1: 機能要件集合
ラベル𝑦 の名で呼ばれるための機能要件集合𝑹 𝒚 とする。
𝑹 𝒚に含まれるすべての機能要件𝑅 を𝑥が満たすとき、
𝑥 は𝑦 である。
ドラえもんは機能要件集合によって定義できない
5
– 例：腕につけられて、時を刻めるものを、腕時計という
– 有名かつ⼈気すぎて、
誰もが納得する機能要件集合は定義不可能
– ⽭盾が⽣じる

7. ドラえもんをつくることはむずかしい?
‪ ドラえもんをつくるのはなぜ難しいか
– 膨⼤かつ⾼難易度な機能要件集合
• ドラえもん⾃⾝（ヒトレベルの汎⽤⼈⼯知能）
• ひみつ道具
• 四次元ポケット
– ドラえもんの定義が曖昧
• 何ができたらドラえもんか？
• あまりに有名かつ⼈気キャラクターすぎて、
個⼈が独⽴に機能要件を無意識に保持
まずはみんなが認めてくれる
ドラえもんの定義から考える
6

8. ドラえもんをつくることはむずかしい?
‪ ドラえもんをつくるのはなぜ難しいか
– 膨⼤かつ⾼難易度な機能要件集合
• ドラえもん⾃⾝（ヒトレベルの汎⽤⼈⼯知能）
• ひみつ道具
• 四次元ポケット
– ドラえもんの定義が曖昧
• 何ができたらドラえもんか？
• あまりに有名かつ⼈気キャラクターすぎて、
個⼈が独⽴に機能要件を無意識に保持
まずはみんなが認めてくれる
ドラえもんの定義から考える
7

9. ドラえもんの定義
– 有名かつ⼈気だからこそ
あるロボットをドラえもんか否か直感的に判断可能
すべての⼈∀ ℎ𝑚𝑛が𝑥が𝑦であるという信念を持ったとき、
𝑥は𝑦である。
ドラえもんだからこそ社会的承認で定義できる
8
‪ ⼈⼯物の定義⽅法2: 社会的承認
– 例：みんなが認めたらドラえもん！

10. ドラえもんの定義
‪ ⼆つの定義の違いの整理
機能要件集合による定義をした場合 社会的承認による定義をした場合
定義する時 定義する時
𝑹*←,
𝑹*←-
𝑹*←.
𝑹*←,
𝑹*←-
𝑹*←.
9

11. ドラえもんの定義
‪ ⼆つの定義の違いの整理
機能要件集合による定義をした場合 社会的承認による定義をした場合
定義する時 定義する時
𝑹*
𝑹*←,
合議𝑹*←-
𝑹*←.
𝑹*←,
𝑹*←-
𝑹*←.
合議による
共通の機能要件集合は
作られない
10

12. ドラえもんの定義
‪ ⼆つの定義の違いの整理
機能要件集合による定義をした場合 社会的承認による定義をした場合
定義する時
完成する時
定義する時
完成する時
ロボット
(𝑹*/
)
ロボット
(𝑹*/
)
𝑹*
𝑹*←,
合議𝑹*←-
𝑹*←.
𝑹*←,
𝑹*←-
𝑹*←.
合議による
共通の機能要件集合は
作られない
11

13. ドラえもんの定義
‪ ⼆つの定義の違いの整理
機能要件集合による定義をした場合 社会的承認による定義をした場合
定義する時
完成する時
定義する時
完成する時
ロボット
(𝑹*/
)
𝑹*
照会
ロボット
(𝑹*/
)
𝑹*←,
𝑹*←-
𝑹*←.
𝑹*
𝑹*←,
合議𝑹*←-
𝑹*←.
𝑹*←,
𝑹*←-
𝑹*←.
合議による
共通の機能要件集合は
作られない
12
照会

14. ドラえもんの定義
‪ ⼆つの定義の違いの整理
機能要件集合による定義をした場合 社会的承認による定義をした場合
定義する時
完成する時
定義する時
完成する時
ロボット
(𝑹*/
)
𝑹*
照会
ロボット
(𝑹*/
)
𝑹*←,
𝑹*←-
𝑹*←.
𝑹*
𝑹*←,
合議𝑹*←-
𝑹*←.
𝑹*←,
𝑹*←-
𝑹*←.
合議による
共通の機能要件集合は
作られない
13
不変 可変
相互適⽤
照会

15. ドラえもんをつくる
‪ 機能要件集合で定義された⼈⼯物𝑦のつくりかた
– 固定された機能要件𝑅*に対して
– 以外の⽅法はない
実装する
14

16. ドラえもんをつくる
‪ 社会的承認で定義された⼈⼯物𝑦のつくりかた
– 個⼈がそれぞれ持っている機能要件𝑅*←-に対して
– の、いずれか⼀番容易なものを実⾏すれば良い
実装する 実装せずに
許してもらう
実装しているように
みせる
15

17. ‪ 例
– R1: ⽬に⾒える
– R2: 感情がある
– R3: タイムマシーンに乗ってやってくる
ドラえもんをつくる
16
実装する 実装せずに
許してもらう
実装しているように
みせる

18. ドラえもんをつくる
‪ 実現するドラえもんの位置付け
想定できるすべての機能要件を実装した
ドラえもん
実装する
実質実現
不可能
17

19. ドラえもんをつくる
‪ 実現するドラえもんの位置付け
想定できるすべての機能要件を実装した
ドラえもん
実際に実現する
ドラえもん
実装する
実装しているように
みせる
実装せずに
許してもらう
実装しない
18

20. ドラえもんをつくる
あらかじめ
実現しておく
インタラクション
の中で徐々に実現
する
19
実装する 実装せずに
許してもらう
実装している
ようにみせる

21. ドラえもんをつくる
あらかじめ
実現しておく
インタラクション
の中で徐々に実現
する
20
実装する 実装せずに
許してもらう
実装している
ようにみせる
ミニドラ
HAI

22. ドラえもんをつくる
‪ 実現するドラえもんの位置付け
想定できるすべての機能要件を実装した
ドラえもん
実際に実現する
ドラえもん
実装する
実装しているように
みせる
実装せずに
許してもらう
実装しない
21

23. ドラえもんをつくる
22
想定できるすべての機能要件を実装した
ドラえもん
実際に実現する
ドラえもん
マイルストーン的
ドラえもん
実装しない
実装する
実装しているように
みせる
実装せずに
許してもらう
まずはここ
おうむの夢と操り⼈形と
関連があると思われる

24. ドラえもんをつくる
あらかじめ
実現しておく
インタラクション
の中で徐々に実現
する
23
実装する 実装せずに
許してもらう
実装している
ようにみせる
ミニドラ
HAI
適応

25. ドラえもんをつくる
あらかじめ
実現しておく
インタラクション
の中で徐々に実現
する
24
実装する 実装せずに
許してもらう
実装している
ようにみせる
ミニドラ
HAI
適応
⾃然⾔語,
ロボット,
etc…