1. Faculty of Architecture KINKI University
岩前 篤
近畿大学建築学部 教授・博士(工学)
2011年９月５日（浜松町：アジュール竹芝

2. 世帯家族人数の変遷
 世帯の少人数化は確実に進行しています。
 （2006年平均 2.55人/世帯）
100%
６人以上 ６人以上
５人
80% ５人
４人
４人
60%
３人
３人
40%
２人
２人
20%
１人 １人
0%
1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005
2 P
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3. 住宅の寿命
イギリス 141
アメリカ 40？ 103
フランス 86
ドイツ 79
日本 26～30
平均使用年数［年］
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4. これからの住宅業界
 2030年には、新築 万戸
 現在は、まだ120万以上の供給能力
 新築依存
「 新築」か「リフォーム」
 住宅メーカーはじめとして、住宅業界はこぞってリ
フォームにシフト
 他社との差別化
 力のアピール
4 Faculty of Architecture KINKI University

5. 地球に優しい：省エネ・省CO2への道
建設・廃棄時の
削減
長寿命化
使われ続ける魅力
日常運用での
削減
①高断熱・高気密化
暖冷房での削減
パッシブ化
給湯での削減 ②機器の高効率化
照明・家電 ③再生可能エネル
での削減 ギーの利用
車の低CO2化
人口の減少
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6. International comparison of House
insulation
Heat loss coefficient［W/m2K］
7
Japan 3rd Grade
Low 6
5
4
Insulation USA
3 Japan 4th Grade
GB
USA
2
France
1 GB Germany Sweden
High
0
0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000
Warm Heating Degree Day (Deg. Day) Cold
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7. 太陽熱温水パネルと太陽光発電パネル
太陽熱温水パネル 太陽光発電パネル
100 100
30～35 10～15
環境省＋準大手メーカ 経済産業省＋大手メーカ
・お湯にしか使えない ・なんにでも使える
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8. スマートハウスの独善性
 最低不幸社会のはずが、「最低信頼社会」
 原発、放射能への過剰な恐れ
 エネルギー自給自足？
 インフラ不信
 固定買取制度
お金持ちのために、みんなで税金を出す？
 オフサイトＰＶ
 アメリカ180㎡の平屋 VS 日本120㎡の二階建て
屋根面積1/3 ⇒ 太陽エネルギー1/3
 郊外で最適角度設置、集中管理する方がベターでは？
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9. 温暖地における断熱性能とコストの関係
断熱建材コスト
(万円/戸)
400 ゾーン
C
350 ゾーンB
300 ゾーンA
250
200
60GJ
150
100 20万円/Q値
50 20GJ
10GJ
0
1.2 1.4 1.6 1.8 2.0 2.2 2.4 2.6 2.8 3.0 3.2 3.4 3.6 3.8
Ｑ値 (W/m2K)
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10. 人に優しい： PPKモデルとNNKモデル
軽症
重症
年齢
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11. 人に優しい：健康と快適の区別
11 Faculty of Architecture KINKI University

12. 至適温度
 22℃・50％は、あくまで相対的な平均値
 個々の差は表現されない
通常は着衣で各自が調整
 個人の温感には“10℃近い差”がある。
 外気温では、１月と４月、４月と８月くらいの差
季節１つ分の差がある。
 チェック：着衣量！ Aug
30 Sep
Jul
Oct
Jun
20 May
Nov
Apr
Dec
10 Mar
Jan Feb 東京の平年月平均気温
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13. 医療費の症状別内訳
0 1 2 3 4 5 6
循環器系
新生物
呼吸器系
尿路性器系
精神系
外因
内分泌系
筋骨格系
消化器系
眼
神経系
感染症
皮膚
その他
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14. 温度と健康の因果関係
 月別の死亡割合では季節間変動が顕著である。
 冬に増加、夏に減少する。
 この傾向は過去少なくとも50年は変わっていない。
月別割合(%)
月別割合（％）
10
12
１月 8
10
平準値 6
8
6 ７月
May
Nov
Aug
Sep
Dec
Feb
Mar
Jun
Jan
Oct
Apr
1940 1960 1980 2000
Jul
日本の月別死亡割合の変遷 月別死亡割合：2004年
14 P Faculty of Architecture KINKI University

15. 季節間変動の見られない死因
 月毎死亡数／年間総数
16%
妊娠・分娩
他殺
12%
新生物
自殺
8%
周産期
4% 先天性
0%
Jan Feb Mar Apr May Jun Jul Aug Sep Oct Nov Dec
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16. 季節間変動の明らかな死因
12%
循環器系
呼吸器系
10% 血管系・免疫機構
精神・行動
8%
内分泌・代謝
神経系
6%
感染症及び寄生虫症 尿路性器系 筋骨格系
皮膚組織
傷病・外因 消化器系 老衰・突然死
4%
Jan Feb Mar Apr May Jun Jul Aug Sep Oct Nov Dec
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17. 月別死亡数：事故による死亡
14%
窒息
不慮の
12% 事故
溺死及び溺水
10%
転倒・転落
8%
交通事故
6%
4%
Jan Feb Mar Apr May Jun Jul Aug Sep Oct Nov Dec
17 Faculty of Architecture KINKI University

18. 高断熱住宅の健康影響度調査の概要
02～08年に
前 転居した人 後
第一次調査 100件
2008年９月
安全な住環境に関する研究会 340人
第二次調査 700件
2008年12月 ～ 2009年１月
安全な住環境に関する研究会 2,400人
第三次調査
6,000件
健康維持増進住宅 2009年９月 ～ 2010年１月
20,000人
開発委員会
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19. 症状の変化について
現在
出ていない 出ている
出ていな 変わらず 出るように
かった 出ない なった
以前
変わらず
出ていた 出なくなった
出ている
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20. 転居前の有症率：年代別
40% せき
のどの痛み
肌のかゆみ
30% 目のかゆみ
手足の冷え
気管支喘息
20%
アトピー性皮膚炎
関節炎
10% アレルギー性鼻炎
アレルギー性結膜炎
肺炎
0%
脳血管疾患
40代
0～4歳
5～9歳
10代
20代
30代
50代
60代
70代
80代以上
糖尿病
心疾患
高血圧
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21. 高断熱の健康改善効果
80%
新しい住まいで出なくなった人 気管支喘息
改善率＝
前の住まいで出ていた人 のどの痛み
せき
60% アトピー性皮膚炎
手足の冷え
肌のかゆみ
40%
目のかゆみ
アレルギー性結膜炎
アレルギー性鼻炎
20%
0%
3 4 5
転居後の住宅の断熱グレード
21 Faculty of Architecture KINKI University

22. 健康改善率に対する各因子の寄与割合
100%
飲
80% 酒
運
60% 動
喫
40% 煙
20% 断
熱
0%
せ の 肌 目 手 気 ア ア ア
き ど の の 足 管 ト レ レ
の か か の 支 ピ ル ル
痛 ゆ ゆ 冷 喘 ー ギ ギ
み み み え 息 性 ー ー
皮 性 性
膚 鼻 結
炎 炎 膜
炎
22 Faculty of Architecture KINKI University

23. “省エネ”に気をつけろ！
エネルギー消費 安全・健康
高断熱化 高断熱化 高効率
暖冷房 設備
暖冷房 高効率
設備
給湯 給湯 暖冷房
調理 調理 暖冷房
給湯 給湯
照明 照明 調理 調理
家電 家電 照明 照明
他 他 家電他 家電他
これまでの これまでの これからの 小手先の
普通の家 省エネ 省エネ 省エネ
住宅 住宅 住宅
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24. 室温の違い
24 P Faculty of Architecture KINKI University

25. 実態：寝室の温湿度
10
札幌 100 90 80 70
盛岡 60
絶対湿度 8 50
［g/kg’］ 金沢
40
松本
6 仙台 30
大阪
4 20
2 10
0
0 5 10 15 20 25
温度 ［℃］
25 Faculty of Architecture KINKI University

26. 寝室の温度
 寝室は単に寝るだけの空間ではありません。
 深夜の中途覚醒時のトイレでは、20℃近い温度差に身体
を曝す。→洗面所・風呂のヒートショック以上！
トイレ 廊下 寝室
8℃ 8℃ 10℃
寝具内
30～33℃
人体
寝台
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27. Housing Healthy & Safety Rating System
 イギリス：副首相府・BRE(英国建築研究所)開発
 住宅の健康安全性を評価するシステム
 居住者の健康や安全の観点から、住宅の居住者に対する
危険性の度合いを示す。
 2006年4月、イングランドならびにウェールズで法制化
 医療DBと住所・建物DBに基づく
 リスクを４つのクラスに分類
Class Ⅰ（死に至る可能性）
Class Ⅳ（怪我等の障害を負う可能性）
 リスクの高い建物には、改善命令が出る。
27 P Faculty of Architecture KINKI University

28. Harmの項目
温湿度・IAQ環境要因 感染症対策
1. 高湿・カビ繁殖 15. 衛生設備
2. 極端な寒さ 16. 食品安全性
3. 極端な暑さ 17. 個人の衛生・排水設備
4. アスベスト 18. 給水設備
5. 木材防腐剤 事故対策
6. 一酸化炭素・燃焼排気生成 19. 風呂内での転倒
物 20. 床での転倒
7. 鉛 21. 階段での転倒
8. 放射能 22. 床段差での転倒
9. 不完全燃焼ガス 23. 感電
10. VOC 24. 火災
空間・防犯・照明・音関連要因 25. 接触火傷
11. 空間の広さ 26. 指挟み
12. 侵入し易さ 27. 爆発
13. 照明（明るさ） 28. 使い勝手
14. 騒音 29. 構造物の崩壊・落下
28 Faculty of Architecture KINKI University

29. 「過度な寒さ」のリスク
呼吸器障害、
心疾患など
高齢者に 深刻な 健康 健康な
低体温症 リスクが リスクが 温度
が表れる 表れる 表れる
温度 温度 温度
10℃ 16℃ 19℃ 21℃
低温 高温
室温が18℃より下がらないと
一般には寒さを感じない。
29 P Faculty of Architecture KINKI University

30. NZ研究例：健康面での影響
 断熱改修をした世帯では、健康に関する自己申告値が大き
く改善された。
 5段階評価で、健康状態が悪い方から2つの回答が４割
減った。
 無断熱に比べ、呼吸器不全は57%、風邪・流感は54%に
減少
 子供の気管支ぜんそくも約半分に減少した。
 子供の学校の欠席回数は、断熱した世帯では半分になっ
た。
 通院回数に大きな違いは見られなかった。
 呼吸器不全による通院は半数に減った。
 コスト効果の試算
 断熱改修による効果は、断熱費用の約2倍になった。
30 P Faculty of Architecture KINKI University

31. 断熱の投資回収年数
断熱化 １００万円
暖房費
△3.6 △ 28年
万円/年
暖房費 医療費 暖房費・医療費 暖房費・医療費
△3.6 △3 △6.6 △6.6 15年
万円/年 万円/年 万円/年 万円/年
31 Faculty of Architecture KINKI University

32. 建物断熱性とトイレの最低室温
18
等級 ４ 等級３
16 (1999) (1992)
室温 （℃）
14 日最低値の１週間平均の年
最低値
12
10
エネルギー (GJ)
80
8
40
6
0
0 1 2 3 4 5
住宅断熱性能 Q値 (W/m2K)
32 Faculty of Architecture KINKI University

33. これからのエコリフォーム
①全体エコリフォーム（従来）
 住戸の外皮全体を断熱・気密化する。
②部分エコリフォーム（これから）
 住戸のあるゾーンを断熱・気密化する。
例）LDKと洗面所、寝室とトイレ
33 P Faculty of Architecture KINKI University

34. 寝室における断熱部位毎の効果
省エネ (MJ) 温度上昇 (℃)
窓 130 0.20
外壁 600 1.53
天井 600 1.65
間仕切り 100 0.50
気密化 200 0.63
34 P Faculty of Architecture KINKI University