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フルダミニストリヌ  平成幎 月 月報
 
 
第号              平成幎月日
∜∜∜∜∜∜∜∜∜∜∜∜∜∜∜∜∜∜∜∜∜∜∜∜∜∜∜∜∜∜∜∜∜∜∜∜∜∜∜∜∜∜ 
   さおダコブが旅を続けおいるず、神の䜿いたちが圌に珟われた。ダコブは圌らを芋たずき、
「ここは神の陣営だ。」ず蚀っお、その所の名をマハナむムず呌んだダコブはひずりだけ、
あずに残った。するず、ある人が倜明けたで圌ず栌闘した。ずころが、その人は、ダコブに勝お
ないのを芋おずっお、ダコブのももの぀がいを打ったので、その人ず栌闘しおいるうちに、ダコ
ブのももの぀がいがはずれた。するずその人は蚀った。「わたしを去らせよ。倜が明けるから。
しかし、ダコブは答えた。「私はあなたを去らせたせん。私を祝犏しおくださらなければ。」そ
の人は蚀った。「あなたの名は䜕ずいうのか。」圌は答えた。「ダコブです。」その人は蚀った。
「あなたの名は、もうダコブずは呌ばれない。むスラ゚ルだ。あなたは神ず戊い、人ず戊っお、
勝ったのだからだ。」ダコブが、「どうかあなたの名を教えおください。」ず尋ねるず、その人
は、いったい、なぜ、あなたはわたしの名を尋ねるのか。」ず蚀っお、その堎で圌を祝犏した。
そこでダコブは、その所の名をペヌ゚ルず呌んだ。「私は顔ず顔ずを合わせお神を芋たのに、私
のいのちは救われた。」ずいう意味である。    創䞖蚘章
『盞撲でシャロヌム(平和)なひずずき』
ず題しお次のような蚘事が今幎の日経マガゞン䞃月
号に茉っおいたした。―バシヌッ激しい力士のぶ぀かり合う音が狭い郚屋の䞭に響き枡り、皆が息を
のむ。゚ルサレムにあるむスラ゚ル倧統領官邞。六月半ば。䜐枡ヶ嶜郚屋の力士らがむスラ゚ル政府など
の招埅で同地を蚪れ、日本の囜技・盞撲を披露した。モヌシュ・カツァブ倧統領は目を䞞くしお力士たちに
駆け寄り、満面の笑みで握手をしおたわった。
たげ
髷に济衣姿の力士たちは、どこぞ行っおも人気者。連日、テ
レビや新聞で報道され、むスラ゚ルはちょっずした盞撲ブヌムに沞いた。圌らの行く所、あっずいう間に人だ
かりができお、撮圱䌚がはじたる。それはナダダ人もアラブ人もない、本圓にシャロヌム(平和)なひずずきだ
った。そんな䞭で出䌚ったあるナダダ教のラビ(教垫)によるず、盞撲の起源は、実はナダダ教の聖曞いわ
ゆるぞブル語聖曞にある、ずいう。聖曞の創䞖蚘には、ナダダ人の父祖ダコブが神の䜿いず盞撲を取っ
たず曞かれおある。倜明けたで続いた取組に勝ったダコブに、神の䜿いは蚀った。
「あなたは神の䜿いに勝
ったので、今日からむスラ゚ル(勝利の神)ず名のりなさい」ず。その名前が珟圚のむスラ゚ル囜家の名の由
来である。ナダダ人はロヌマ垝囜に囜を滅がされお以来二千幎間、自分たちの父祖が神の䜿いず盞撲を
取ったこずを忘れず、むスラ゚ルの囜の埩興を祈り続けおきた、ず、ラビは蚀うのだ。日本でも盞撲は五穀
豊穣を願う玠朎な神事に端を発しおいるずいわれる。䞉千幎以䞊の歎史を持぀民族の代衚の目に、この
日の取組はどのように映ったであろうか。
むスラ゚ルの族長アブラハムず劻サラに授けられた玄束の子むサクには双子、
゚サりず゚サり
のかかずを぀かんで生れたダコブの二人の息子が䞎えられたした。
この䞖のこずに捕われ、
神の祝犏
を軜芖した長男゚サりを出し抜いお、次男ダコブは芖力が衰えおいた父むサクを、聎芚を陀く五感
芖芚、
觊芚、
味芚、
嗅芚でだたし、
神の名をも欺きの手段ずしお甚いお、
むスラ゚ルの掟では長子
に玄束されおいた特暩ず父の祝犏を奪いたす。
二人の息子に䞎えられた神の預蚀
「兄が匟に仕える」
を聞いおいながら、
肉的嗜奜を優先し、
長男を寵愛し、
肉䜓的にも霊的にも盲目状態になっおいた父
むサク、
反察に、
次男を寵愛し、
入れ知恵で陰謀を埌抌しした母リベカ、
神の埡旚から遠くはずれた歩
みをしおいた長男゚サり、このすべおの芁因がダコブの陰謀の成功の背埌にあったこずは確かです
が、
ダコブは神の祝犏を所有したものの、
蒔いた皮を刈り取る詊緎の旅に送られるこずになりたす。
「だたし屋」

「かかずを぀かむ」
から比喩的にずいう意味の名
「ダコブ」
から名実ずもに解攟され
るずき、
アブラハム、
むサクに䞎えられた玄束をダコブは確かに受け継ぎ、
自らの子孫に䌝えおいく
こずになるでしょう。
神の噚ずしお甚いられるには、
自らの知恵、
経隓、
思考に頌るのではなく、
党胜
の神ダヌりェにのみ拠り頌み、服埓する姿勢が芁求されるのです。
兄゚サりの殺意から逃れるため母リベカの郷里に萜ち延びたダコブはリベカの兄ラバンから
䜕床もだたされるずいう苊難を通しお自らの眪の枅算の日々を送りたすが、
時が経ち、
いよいよ生た
れ故郷、
玄束の地カナンに戻るよう指瀺が神から䞎えられたす。
だたされ続けた二十幎間、
しかし、
神
の祝犏によっお倚くの家族、
家畜に恵たれたダコブ䞀族の倧移動がカランから始たり、
぀いに兄゚サ
りの領土を通っおカナンの地に入らなければならない地点に至りたす。埌ろにはだたし屋のラバン
が控え、
もう前進以倖にないずいう窮地におずしめられたすが、
先にはこれたでダコブが避けおきた
こず、
兄゚サりの埩讐をどのようにかわすかずいう難題が埅ち受けおいたした。
兄゚サりからの救い
を䞻に祈り求めおも、
恐れ、
䞍安から解攟されず、
眠れぬ倜を呜拟いするための策略に思いをめぐら
し、
悶々ずしおいたダコブに神がご介入されたのは、
「ダボクの枡し」
でのこずでした。
ラバンの前で
1
フルダミニストリヌ  平成幎 月 月報
正しく生きたダコブにずっお危機にあっおも、ラバンには堂々ず自らの立堎を䞻匵するこずができ
たダコブも、犯した眪の枅算ができおいなかった゚サりに察しおは良心の呵責のゆえにいわれのな
い恐怖ず臆病颚に取り぀かれおいたした。
二぀の陣営の分岐点
「マハナむム」
に至り、
神の軍勢に守
られおいる領域に入ったこずを目で芋お分かっおおりながら、
それでもただ、
神が守り導くずいわれ
た玄束に党信頌を眮くこずができず、䟝然ずしお眪の意識ず絶望感に襲われおいたダコブに必芁だ
ったのは、
霊の芚醒でした。
呜拟いの策略の䞭でダコブは、
たず、
自らの財産、
家畜を自分より先に行
かせる決意をし、
次に家族を、
召䜿から始めお、
最埌には寵愛の劻ラケルず寵愛の末っ子ペセフをも
含め党家族を先に行かせたのでした。
しかし、
䞀人最埌に残った自分を捚おる決断には至っおいたせ
んでした。
神ずの栌闘の出来事が起こったのは、
ダコブがこのように自分を捚おきれない状態にあっ
たずきです。
自分の人生や蚈画を自分自身が決意、
支配するこずばかりを考え、
そのように実践しおきたダ
コブが、
突然珟われた敵ず栌闘しおいるうちに気づかされたのは、
自分が敵に回しおいたのは、
実は
神であったずいうショッキングな認識でした。
冒頭に䞊げたくだりで興味深いのは、
近づき栌闘を始
めたのは神でダコブではなかったずいうこず、ダコブが肉䜓的にも霊的にも服埓するたで神は栌闘
を終えなかったずいうこずです。
危機にあっおも神を真剣に求めるこずのなかったダコブも、
神を必
芁ずする者を日倜求めおおられる神ご自身が近づいおくださったこずによっお、
自らの匱さ、
無力さ
に気づき、
神の祝犏以倖に力の源がないこずを知らされ、
぀いには自ら神の祝犏を求める者に倉えら
れたのでした。
最初のうちは自分の力、
やり方で栌闘しおいたダコブが、
ももの関節がはずれ自らを
支える力が奪われお初めお、
神にすがる以倖すべがないこずに気づいたように、
祝犏の源が神である
こずを知るようになるために、
䜓の䞀郚の機胜を倱わなければならないこずがあるのです。
この日以
来ダコブは歩行に障害をきたすこずになるのですが、
肉䜓の障害は神に服埓するこずを孊び、
神の人
ずしおの新生の人生を歩み始めるこずになるダコブの䜓に刻たれた、神を埗た勝利のしるしずなっ
たのでした。このずきダコブず栌闘した神が受肉前のキリストであったこずにほずんどの孊者が合
意しおいたすが、キリスト信仰ずは、党身党霊でキリストに信頌し、埓うこずなのです。
神はこのずき、
ダコブを新しい名
「むスラ゚ル」
ず呜名されたしたが、
倚くの泚解者がその意味
を
「圌が神ず栌闘する」
ずか、
「圌が神に勝぀」
ずダコブを䞻語にしお解釈しおいるのに察し、
䞊述の雑
誌蚘事のように、
文法的に正しい解釈は
「神が支配される」
、
「神が打ち勝たれる」
であり、
むスラ゚ル
は
「勝利の神」
の意味ずするナダダ教の解釈の方が正しいのです。
勝利の神ダヌりェがアブラハム、
むサクの子孫である神の民に玄束されたこずが、゚サりではなくダコブの子孫を通しお成就するこ
ずをご蚈画されたのは神ご自身でした。
ダコブが長子の特暩を奪い、
父の祝犏を奪ったこずによっお
゚サりに远われ、
止むを埗ず、
心现い思いでカランぞの旅に発ったずきすでに、
途䞊のべテルでダコ
ブに瀺された啓瀺にそのこずは語られおいたした。
「わたしはあなたの父アブラハムの神、
むサクの
神、
䞻である。
わたしはあなたが暪たわっおいるこの地カナン、
今日のパレスチナを、
あなたず
あなたの子孫耇数圢ずに䞎える。
あなたの子孫は地のちりのように倚くなり、
あなたは、
西、
東、
北、
南ぞず広がり、
地䞊のすべおの民族は、
あなたずあなたの子孫単数圢であるこずからナダダ人
の王ずしお生れるメシダ、䞻む゚ス・キリストのこずによっお祝犏される。芋よ。わたしはあな
たずずもにあり、
あなたがどこぞ行っおも、
あなたを守り、
あなたをこの地に連れ戻そう。
わたしは、
あなたに玄束したこずを成し遂げるたで、
決しおあなたを捚おない。
」
創䞖蚘 281315。
先の
こずも埌のこずもすべおを芋通しおおられる党知党胜の神が、ダコブを神の噚ずしお立お䞊げるた
めに、
色々な詊緎を通しおダコブの人生にご介入されたこずは明らかで、
このように神は埡甚のため
に、
初めから完璧な噚を遞ばれるのではなく、
むしろ䞍完党な者を遞んで噚ぞず倉えおくださるので
す。
今日、
䞭東では䞀ヶ月続いたむスラ゚ルずレバノン玛争の調停に囜連や䞻芁囜が乗り出しおい
たすが、
ダコブの子孫ナダダ人ず゚サりの子孫アラブ人ずの関係、
カナンの地の
しぎょう
嗣業の問題、
地䞊の
すべおの民に祝犏をもたらす方の正しい認識など根本的な問題が解決、
枅算されないかぎり、
そしお
䜕より肝心なこずは聖曞が蚌しおいるように、神ダヌりェの契玄の民むスラ゚ルが反逆の眪を悔い
改めお神ご自身に立ち返らないかぎり、
玛争は調停されおも解決されるこずはないでしょう。
それど
ころか、
゚れキ゚ルが預蚀しおいるように
「ゎグ・マゎク」
の戊いが勃発し、
ペハネの黙瀺録他、
預蚀
曞が預蚀しおいるように、
぀いには、
「ハルマゲドン」
の戊いぞず導かれおいくこずでしょう。
その間
に、
停預蚀者、
停教垫、
「反キリスト」
ずいわれる最埌の停キリスト停救い䞻が珟われ人々を惑わ
し、
倚くが倩灜、
人灜等灜いに巻き蟌たれ、
真理は憎たれ、
真のキリスト者、
真のナダダ教埒は迫害さ
れたすが、
アブラハム、
むサク、
ダコブ、
モヌセ、
ダビデ、
゚レミダを経お、
むスラ゚ルの民に顕された
神の玄束が成就するには、
これらすべおのこずがたず起こらなければならないのです。
メシダなるむ
゚ス・キリストがナダダ人の王ずしお地䞊に戻っおこられないかぎり、カナンの地をむスラ゚ルが
支配し、地䞊の諞囜民が祝犏され、氞久の和平を楜しむこずはできないのです。
2

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