占有権
占有の意義・要件
占有の意義・要件
占有権は、自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得する。
要件①
所持
要件②
自己のためにする意思
占有の意義・要件
占有権は、自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得する。
要件①
所持
要件②
自己のためにする意思
占有権の成立
効果
占有の類型
自主占有
他主占有
所有の意思をもってする占有
自主占有以外の占有
類型
1
占有の類型
自主占有
他主占有
善意占有
悪意占有
所有の意思をもってする占有
自主占有以外の占有
本権があると信じてする占有
本権がないことを知り、または本権の有無
について疑いをもちつつする占有
類型
1
類型
2
占有の類型
自主占有
他主占有
善意占有
悪意占有
所有の意思をもってする占有
自主占有以外の占有
本権があると信じてする占有
本権がないことを知り、または本権の有無
について疑いをもちつつする占有
自己占有
(直接占有)
代理占有
(間接占有)
本人が直接にする占有
占有代理人を通じて間接的にする占有
類型
1
類型
2
類型
3
占有の承継
原則として、占有は引渡しにより承継される。
承継人は、その選択に従い、自己の占有のみを主張し、又は自己の占有の前の占有者の
占有を併せて主張することができる。
もっとも、前の占有者の占有を併せて主張する場合には、その瑕疵をも承継する。
なお、本規定は相続のような包括承継にも適用される。
土地
占有
被相
続人
相続
人
被相続人の死亡により
承継する。
×
占有訴権の意義と類型
占有訴権の意義と類型
占有訴権とは、占有者が占有を妨害されたり、妨害されるおそれがある場合に、妨害者に
対して、その妨害の排除またはそのおそれの排除を請求する権利である。
占有保持の訴え
占有保全の訴え
占有回収の訴え
占有訴権の意義と類型
占有訴権とは、占有者が占有を妨害されたり、妨害されるおそれがある場合に、妨害者に
対して、その妨害の排除またはそのおそれの排除を請求する権利である。
占有保持の訴え
占有保全の訴え
占有回収の訴え
占有者がその占有を奪われたときは、その物の返還およ
び損害の賠償を請求することができる。
占有訴権の意義と類型
占有訴権とは、占有者が占有を妨害されたり、妨害されるおそれがある場合に、妨害者に
対して、その妨害の排除またはそのおそれの排除を請求する権利である。
占有保持の訴え
占有保全の訴え
占有回収の訴え
占有者がその占有を奪われたときは、その物の返還およ
び損害の賠償を請求することができる。
占有者がその占有を妨害されたときは、その妨害の停止
および損害の賠償を請求することができる。
占有訴権の意義と類型
占有訴権とは、占有者が占有を妨害されたり、妨害されるおそれがある場合に、妨害者に
対して、その妨害の排除またはそのおそれの排除を請求する権利である。
占有保持の訴え
占有保全の訴え
占有回収の訴え
占有者がその占有を奪われたときは、その物の返還およ
び損害の賠償を請求することができる。
占有者がその占有を妨害されたときは、その妨害の停止
および損害の賠償を請求することができる。
占有者がその占有を妨害されるおそれがあるときは、その
妨害の予防または損害の賠償を請求することができる。
占有の訴えと本権の訴えの関係
占有の訴えは、本権の訴えを妨げず、また、本権の訴えは占有の訴えを妨げない。
A
時計
所有&占有
占有の訴えと本権の訴えの関係
占有の訴えは、本権の訴えを妨げず、また、本権の訴えは占有の訴えを妨げない。
A
時計
所有&占有
B
Aの時計を奪った場合
Aは、
• 所有権に基づく返還請求権
• 占有回収の訴え
のいずれか、または、双方を提
起することができる。
占有の訴えと本権の訴えの関係
占有の訴えは、本権の訴えを妨げず、また、本権の訴えは占有の訴えを妨げない。
占有の訴えは、本権に関する理由にもとづいて裁判をすることができない。
→ 占有の訴えに対する抗弁として、本権の主張をすることはできない。
占有回収の訴えの被告は、「これは自分の所有物だから」という(本権にもとづく)理由で原告の
請求を拒むことはできない。
もっとも、その被告は、反訴として、「所有権の基づく返還請求訴訟」を提起することはできる。
A
時計
所有&占有
B
Aの時計を奪った場合
Aは、
• 所有権に基づく返還請求権
• 占有回収の訴え
のいずれか、または、双方を提
起することができる。

5 占有権

Editor's Notes

  • #3 占有(せんゆう)の意義・要件
  • #4 占有権は、自己のためにする、意思をもって物を所持することによって取得します。 要件は、物の所持と、自己のためにする意思です。
  • #5 これらの要件が満たされると、占有権が成立します。
  • #6 次に、占有(せんゆう)の類型についてです。 まず、自主占有と他主占有です。 自主占有とは、所有の意思をもってする占有です。 他主占有とは、自主占有以外の占有です。
  • #7 次が、善意占有と悪意占有です。 善意占有とは、本権があると信じてする占有です。 悪意占有とは、本権がないことを知り、または本権の有無について疑いをもちつつする占有です。
  • #8 次が、自己占有と代理占有です。直接占有と間接占有とも言います。 自己占有、または直接占有とは、本人が直接にする占有です。 代理占有、または間接占有とは、占有代理人を通じて間接的にする占有です。
  • #9 原則として、占有は引渡しにより承継されます。 承継人(しょうけいにん)は、その選択に従い、自己の占有のみを主張し、又は自己の占有の前の占有者の占有を、併せて主張することができます。 もっとも、前の占有者の占有を併せて主張する場合には、その瑕疵(かし)をも承継します。 なお、本規定は相続のような包括承継にも適用されます。
  • #10 占有訴権の意義と類型
  • #11 占有訴権とは、占有者が占有を妨害されたり、妨害されるおそれがある場合に、妨害者に対して、その妨害の排除、またはそのおそれの排除を請求する権利です。 占有訴権には、占有回収の訴え、占有保持の訴え、占有保全の訴えの、3つの類型があり ます。
  • #12 まず、占有回収の訴えとは、占有者がその占有を奪われたときに、その物の返還、および損害の賠償を請求することができることです。
  • #13 次に、占有保持の訴えとは、占有者がその占有を妨害されたときに、その妨害の停止、および損害の賠償を請求することができることです。
  • #14 占有保全の訴えとは、占有者がその占有を妨害されるおそれがあるときに、その妨害の予防、または損害の賠償を請求することができることです。
  • #15 占有の訴えは、本権の訴えを妨げず、また、本権の訴えは占有の訴えを妨げません。
  • #16 つまり、AがBに時計を奪われた場合、Aは、所有権に基づく返還請求権、および占有回収の訴えのいずれか、または、双方を提起することができます。
  • #17 占有の訴えは、本権に関する理由にもとづいて裁判をすることができません。 つまり、占有の訴えに対する抗弁(こうべん)として、本権の主張をすることはできないことになります。 占有回収の訴えの被告は、「これは自分の所有物だから」という理由で、原告の請求を拒む(こばむ)ことはできません。 もっとも、その被告は、反訴として、「所有権の基づく返還請求訴訟」を提起することはできます。