高校生の住居に対する価値観の検討
- 1. 家庭科演習【文献講読ゼミ】
2016/12/15
千川ひかり
高校生の住居に対する価値判断の検討.瀧川美樹.日本家庭科教育学会誌,第 32 巻(第 3 号), 77 頁-81
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背景
望ましい住生活の創造は自分自身の住生活に対する要求に基づいて住居をどうしていくかという意思
決定によるものである。このため住居の価値を判断できる能力は、住居領域で育成したい力の一つであ
るといえる。なぜなら安全性や快適性をはじめとする住居の価値の判断はその意思決定の基礎となると
考えられるからだ。また、日本の住宅問題の背景として国民の住要求や住居観を基にした基本的な判断
能力の弱さがある。住居の価値を判断できることは貧困な住宅事情への健全な対応へもつながると考え
られている。
目的
住要求に基づいて住居の価値を判断できることを住居の学習の目的の一つであると考え、高校生の実
態からそのための有効な指導の方法を探ろうとするものである。まずは実際に家庭科を学ぶ高校生が、
住居をどのように判断しているのかを調査より明らかにし、さらに、家庭科で学ぶ知識や最も身近な住
体験としての現在の住居に対する意識が住居に対する価値判断にどのように関わってくるのかをさぐる。
そのために“①家庭科で学ぶ住居や住宅問題に関する知識の認知は住居の価値判断に影響を与える。②
現在の住居に対する意識は住居の価値判断に影響を与える。”ということを仮定して調査を行う。
方法
1.調査対象
・神奈川県立の公立高等学校の男子・女子生徒
・高校で住居領域未学習の1年生もしくは2年生
県の8つの行政区分ごとに層化し、11校776名を対象に留め置き法によって行い、男子 369 人、女
子 396 人、計 765 人の回答を得た。
2.調査機関
昭和 61 年 7 月 2 日~7 月 20 日
3.調査の内容
⑴住居価値を決定する要因項目への重視度
住宅の性能評価(建設省「住宅性能総合評価システム」)、周辺環境、住生活における利便性などの項目
を高校生に理解できる表現にし、その重視度を5段階で尋ねる。→住居の価値をどのように判断してい
るかを反映するものである。
⑵ことばの認知
家庭科の教科書の中で説明されていることばを抽出し知っているか訊ねる。
⑶不満度
現在の住居について項目ごとに不満を感じているかどうかを尋ねる。
4.集計と結果
回収した結果はSPSS統計パッケージを用いて以下の計算を行う。
⑴各選択肢の頻度⑵重視項目の数量化⑶ことば認知得点群の数量化平均⑷不満度特典群の数量化平均
⑸ことば認知と重視項目とのクロス化