広告論文 本文
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Ⅰ.研究背景・研究目的
近年、日本の住宅会社がアジアの市場に進出したりなど日本企業の海外進出や 2020 年に
開催される東京オリンピックなどによりグローバル化が進んでいると言われている。現状
日本人の出国者数は増加傾向にある。しかし若者に関しては SankeiBiz の『今どきの若者
は胆力を感じない なぜ人事部は「イモトアヤコ」を欲しがるのか』の記事によると海外
で働きたくないという新入社員は 6 割を越え、また、観光庁発表資料によると海外旅行者
数は減少しているというデータがある。グローバル化が進む中、海外とのつながりが重視
されてくるので若者が海外に行くことが重要視されるだろう。しかし、2020 年問題が深刻
になり少子高齢化が加速していくと予測されている。2020 年問題とは人口構成が急激に変
化する問題で、現在働き手の重要な立ち位置についている団塊世代の高齢化や死亡者数が
150 万台に達して出生率の 2 倍になるだろうと予測されている問題である。少子高齢化がさ
らに進むと、国内では伝統職の継承者不足や、地方での若者の働き手不足に陥るなど様々
な問題が深刻になるだろう。このことから海外に行った若者の日本での活躍、伝統職を継
承といった“日本のためを考えた積極的な行動”が必要であると私たちは考察する。そこ
で日本に対する愛国心を再認識させることが重要なのではないだろうか。よって若者の自
国に対する意識の向上を図ることを促進するための広告を提案することを本研究の目的と
し、メディアを通じて若者に啓発していく。
Ⅱ.先行研究
1.愛国心について
⑴愛国心の定義
愛国心とは,「自分の国を愛する心」であると『広辞苑』(第6版)で説明されている。
また,堀(2006:6)は以下のように愛国心について述べている。人間が生れ育った地域,
共同体に対してもつ愛や忠誠心を指し,祖国を愛し守ろうという感情をいい、英語のパト
リオティズム Patriotism に当る。また、佐伯(2008:2)は,「愛国心について書くことは
難しい。ひとつの理由は、この主題がどうしてもある種の価値判断や態度選択を迫るとこ
ろがあるからだ[中略]愛国心とはその本質上、どうしてもある国の特定のありようを強
調する傾向をもつ」とまとめている。これらのことから、本研究で愛国心とは自分の生ま
れ育った、国や地域、共同体に対してもつ愛情と定義する。
⑵愛国心と頻度依存行動
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第二次世界大戦終結の 1945 年から 70 年が経ち、戦争を知らない国民が 8 割を超えた。
現在の戦争体験世代は 75 歳以上だ。NHK が 2010 年に行った世論調査によると、「広島に
原爆が投下された日を」を正しく答えられた人は全体で 27%。「長崎に原爆が投下された日」
はわずか 23%という少ない結果になった。世代別にみると、40 代以上の人は 7 割以上が正
しく答えたが、20 代 30 代の正答率は 5 割で他の世代に比べて低かった。しかし 2014 年に
共同通信社が行った全国電話世論調査によると、集団自衛権の行使使用については、20~
30 代の 69.7%が反対と答え、ほかの世代より一番多い結果となった。このことから未来を
担ぐ若者たちが、戦争や平和のことについて考え始めているとも言われている。
内閣府「社会意識に関する世論調査」によれば、「日本は平和な国である」という自意識
を持つ日本人が非常に多い結果となった。
3.若者の現状
⑴若者の愛国心について
東京広告協会(FUTURE2014)の大学生 1000 人を対象とした調査によると、「日本が好
きか」という項目に「大好き」と答えた人は 5 割を超え、「好き」と答えた人は 97%となっ
た。また、2001 年に同様の項目を調査した結果「大好き」は約 13 ポイント増え、「好き」
は約 9 ポイント増える結果となった。このことから、13 年前と比べ大学生は「日本」に対
する好意度が大幅に上がったことが分かる。また、若者が「日本が好きな理由」を調査し
てみると、「治安が良いから・平和だから」という答えが約 5 割となり次いで、「和食など、
日本で食べる食事がおいしいから」「おもてなしや思いやりの心があるから」というものが
挙げられた。さらにそんな日本に「生まれてよかったと思う瞬間はあるか」と聞いたとこ
ろ約 9 割もの人が「ある」と回答した。また「日本人であることへの誇りを持っているか」
という項目に対しては約 8 割もの人が日本人であることの誇りを持っていた。これらのこ
とから、日本の若者は自国人であることの誇りを持ち日本の良さを明確に感じていること
が見受けられる。
また、内閣府の平成 25 年度の若者を対象とした調査では、「自国のために役立つと思うよ
うなことをしたい」という項目では 7 か国(韓国、アメリカ、イギリス、ドイツ、フラン
ス、スウェーデン)の中で最も役に立ちたいと感じている割合が高かった。また「将来の
国や地域の担い手として積極的に政策決定に参加したい」「私の参加により,変えてほしい
社会現象が少し変えられるかもしれない」と考える日本の若者の割合は 7 か国の中で最も
低かった。このことから、日本のために何かしたいと思う若者はたくさんいるがなかなか
実行に移すことができない若者が多いことが分かる。
⑵若者の日本に対する意識
若者は社会の変化に敏感である。最新の厚生労働白書を見ると、2000 年に若者の職に対す
る意識が大きく変わっていることが読み取れる。2013 年の厚生労働白書によると、若年層
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の職や雇用に関する意識が変わり始めていた。新入社員を対象に働く目的を調査した結果
「社会のために役に立ちたい」と答えた人は 2000 年までは 5%程だったのが、2000 年を境
に急増し、2012 年には 15%まで増加した。また、「楽しい生活をしたい」という項目も 2000
年を境に急増し 40%とトップになっていることが分かる。その一方で、「経済的に豊かな生
活を送りたい」「自分の能力をためす生き方をしたい」という項目は 2000 年を境に減少傾
向にあり現在は 20%まで下がった。このことから、2000 年を境に賃金にこだわりを持つ若
者が減り、社会の役に立ち明るい未来を築いていこうとしている若者が増えていることが
分かる。バブルが崩壊から 20 年が経ち、各国の GDP が拡大しているのにもかかわらず、
日本はかなり貧しくなってしまった。こうした不況が 2000 年には顕著に表れたため、若者
は自ら国のために働く意欲が増したのではないか。
⑶若者の国際化
米岡(1993;p.8)表 2 より、国別の国際感覚度を見ると日本の学生は他国の学生よりも国際
化に関しての意識が低く、自国に関しても国際化していないと考えていることがわかる。
このことより日本の学生は他国の学生よりも国際化への意識が低いので日本の若者は非国
際化状態の若者が多いと考察する。
出典 米岡(1993;p8)
4.会社員が会社に尽くすロイヤリティ
国家への愛国心を企業の従業員のロイヤリティに置き換えられるのではないだろうか。
日本という国家は人口約 1 億の大衆から成る組織である。同じように、企業という存在も、
規模はさまざまであるものの、国と同じ組織といえるのではなかろうか。以上の理由から、
企業で働く従業員の企業へのロイヤリティへの考え方を国家への愛国心と置き換えて考え
ることとする。
荻原(2009:pp3-4)によれば、は「対自己 基礎力(自分の感情をコントロールする力,や
る 気を維持する力,良い行動を習慣として続けられる力)」、「対課題基礎力(情報を収集・
分析して課題を発見する力、課題解決のための計画を立案する力、行動を起こし最後まで
やりきる力)」が高い若年層(この論文では 20 代男性)は転職意向が高く、仕事を通して
成長の実感が強いほど、転職意向は低い、とある。このことから、日本における成長可能
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原則にまとめている。(八巻;天津 1991:pp142-149. 松井 2011:pp30-31 より重引)
第一原則:訴求力の強さは、相対する訴求物がないほど強い。コピーはできるだけ簡単か
つ衝撃的なものにすべきである。
第二原則:訴求力の強さは,呼び起こされた感覚の強さによって決まる。 動いているもの
は静止しているものより強烈な印象を与えるし,白地に黒の方が黒地に白よりも効果的で
ある。
第三原則:注目度の高さは,その前後にくるものとの対比によって変わる。闇夜の閃光や
深夜のふくろうの鳴き声のように、対照があまりにも強い場合は、強力に注目される。 同
じように、斬新なものや急激な 変化もよく注目される。
第四原則:訴求力・注目度を高めるには、できる限りわかりやすく。 「分かりやすい」と
いう場合に、誰を対象にするべきかについては、国民すべてにマスメディアが行き渡った
現在では、誰もが理解する内容のレベルはどのようなものかは議論がある。
第五原則:注目度は、目に触れる回数や反復回数に影響される。
第六原則:注目度は、広告を見た時に引きおこされる感情の強さによる。 注目させるとい
うのは、人の心の中にある事実をとらえるというのではなく、感情を呼び起こすというこ
とである。理想的な広告というのは、消費者を得意客にしてしまうか、そうなったかのよ
うに感動させるものである」とある。第二原則によれば、広告の訴求力の強さは、呼び起
された感覚の強さによって決まる、とある。具体的には、静止しているものよりも、動い
ているものの方が訴求力が高いと述べている。プロパガンダにおいても、この原則は利用
可能ではないのだろうか。第四原則によると、広告の訴求力、注目度を高めるには、でき
るだけわかりやすい広告が有効であるとある。これは、脳のモジュールにおいて、理性的
な部分よりも、感覚的な部分に訴求することが重要である、という事であろう。この事は、
前述したナチスのプロパガンダにおいても同じことが言えるだろう。また、第六原則によ
ると、広告の注目度は、それを見たときに引き起こされる感情の強さによるものであると
あるが、こちらの原則でもやはり、前述した第四原則と同じように、人間の脳のモジュー
ルにおいての感覚的部分が人間にとって強い影響力を持っていることが述べられている。
Ⅲ.仮説
仮説 1-1 愛国心が高まれば若者は行動に移すようになる。
仮説 2-1a 日本の文化(スポーツ、景観、食べ物等)的動画に接することにより愛国心は高ま
る。
b 日本の文化(スポーツ、景観、食べ物等)的静止画に接することにより愛国心は
高まる。
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仮説 2-2a 日本の戦争(歴史)の動画に接することにより愛国心は高まる。
b 日本の戦争(歴史)の静止画に接することにより愛国心は高まる。
Ⅳ.調査設計
プレ調査概要
方法:web 調査
日時:11 月 9 日~14 日
対象者:18 歳~22 歳
サンプル数:47(女性 34/男性 13)
本調査概要
方法:定量調査
日時:11 月 18 日
場所:駒澤大学食堂
対象者:駒澤大学生
サンプル数:100(男 46 人/女 54 人)
質問は選択式と自由回答である。また、問 1~問 7 までは共通項目とし、問 8 以降の質問は
4 グループに分けられる。
(1) 「ANA」による日本の PR 動画を見て回答してもらう。
(2) 国土交通省による日本を PR しているポスター広告をみて回答してもらう。
(3) 「永遠の 0」の PR 動画を見て回答してもらう。
(4) 「永遠の 0」のポスター広告を見て回答してもらう。
(1)(2)(3)(4)という四グループに分け、一グループ 25 人、全部で 100 人に回答してもらう。
Ⅴ.調査結果
1.プレ調査結果
(問3)「あなたは日本が好きですか」という質問には「はい」答えた人が 93.6%もの人
がいた一方、「いいえ」と答えた人が 6.4%であった。また(問4)「あなたは日本のどこが
好きですか。」(自由回答)によると、多かった意見を分類分けしてみると最も多かった意
見が「平和」で 31%。次に「人柄」が 28%、「文化」が 16%。「清潔さ」「和」が同率でそ
れぞれ 10%、9%。「食」という結果が 6%となった。また(問8)「あなたは世の中の人が
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日本のために行動していると思いますか(ボランティア、寄付など)」という質問には、81.8%
もの人が「いいえ」と答え、「はい」と答えた人は 18.2%のみであった。そして、(問9)
あなたはボランティアに行きますか。という問には「はい」という答えが 23%、「いいえ」
という答えは 77%と過半数以上にも及んだ。また、(問 10)「愛国心に対するあなたのイメ
ージを一言でお願いします」。という答えには「良いイメージ」と答えた方は 16%、「怖い」、
「日本を思う心」、「戦争時代の洗脳」と答えた方が約 15%、「誇り」、「忠誠心」、と答えた
方が 11%、その他が 21%という結果となった。
2.本調査結果
質問項目で「東日本大震災のあと、日本に対する意識が高まった」と答えた人に自由回
答で「実際に何か行動に移しましたか」という質問をしたところ、69 人の人が募金、節電、
衣服を被災地に送るという結果になった。
(1)グループと(2)グループを比較してみると、「この写真または動画を観て、日本に対する意
識が上がりましたか。」という項目に対して(1)グループ、(2)グループともに、「そう思う」
「ややそう思う」と回答した割合は 40%であった。しかし、「この写真または動画を観て、
日本に対する意識が下がりましたか。」という項目では、「あまりそう思わない」「そう思わ
ない」と回答した(1)グループの割合は 84%で(2)グループは 56%という結果になった。
次に、(3)グループと(4)グループを比較してみると、「この写真または動画を観て、日本に対
する意識は上がりましたか。」という項目に対して(3)グループでは「そう思う」「ややそう
思う」と回答した割合は 76%であり、(4)グループでは 40%であった。しかし、「この写真
または動画を観て、日本に対する意識が下がりましたか。」という項目で「あまりそう思わ
ない」「そう思わない」と答えた(3)グループは 80%で (4)グループは 56%という結果にな
った。
Ⅵ.分析
1.プレ調査分析
(問3)、(問4)から過半数の人が日本の「平和」「人柄」「文化」が好きなようであった。
また、(問8)(問9)より、日本の現在の若者は 8 割もの人が日本のために行動しておら
ず、ボランティアにも 7 割もの人が行っていないのでいので行動力に欠けるということが
分かった。
そして、(問 10)によると日本人の愛国心のイメージは最も多い意見は「良いイメージ」と、
ポジティブであるものの、二番目に多かった意見が「怖い」、「戦争時代の洗脳」というネ
ガティブなイメージの意見も数多く寄せられたことが気になった。
2.本調査分析
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仮説 1 の立証として、アンケートの問 2~5 を利用する。改めてここで仮説 1 を確立する
と、「愛国心が高まれば、若者は行動に移すようになる」である。愛国心が高まる状況とし
て、スポーツで日本が活躍した状況と、東日本大震災時の状況をアンケートにて提示した。
それらの質問の次の質問で、そう思う、ややそう思うと回答した被験者に対し、各状況に
おいて行動に移したかどうかを質問した。この質問で行動に移していれば、仮説は立証さ
れる。問 2 において、そう思う、ややそう思うのどちらかに回答した被験者は 86%に上っ
た。またその回答者に何らかの行動に移したか質問したところ、はいと答えた被験者は 69%
と過半数を超えた。また、問 4 においてもそう思う、ややそう思うとの回答は 74%に上っ
た。それらの回答者に何らかの行動に移したか質問したところ、はいと答えた被験者は 63%
と過半数を超えた。これらの結果を踏まえ、仮説 1 は立証されたといえる。
グラフ 1
仮説 2-1
(1)、(2)グループを比較してみると、「この写真または動画を観て、日本に対する意識が上が
りましたか。」という項目に対して(1)グループは 8 割もの人が「そう思う」「ややそう思う」
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と回答し(2)グループでは 4 割の人がこのように回答した。このことから、動画に接した時
の方が日本に対する意識が上がることが分かった。また、「この写真または動画を観て、日
本に対する意識が下がりましたか。」という項目に対しては、(1)グループの人は「あまりそ
う思わない」「そう思わない」と回答した人が 8 割で(2)グループでは 6 割となった。このこ
とから、動画に接した人の方が日本に対する意識が下がらないことが分かった。
これらのことから、文化的観点の動画に接すると日本に対する愛国心が高まり、静止画に
接することで日本に対する愛国心は上がらないことが分かった。よって仮説 2-1a は支持さ
れ 2-1b は棄却された。
仮説 2-2
(3)、(4)グループを比較すると、「この写真または動画を観て、日本に対する意識が上がりま
したか。」という項目に対して(3)グループは 4 割の人が「そう思う」「ややそう思う」と回
答し(4)グループでも 4 割の人がこのように回答した。このことから、戦争に対する動画や
静止画に接しても日本に対する意識が上がらないことが分かった。また、「この写真または
動画を観て、日本に対する意識が下がりましたか。」という項目に対しては、(3)グループの
人は「あまりそう思わない」「そう思わない」と回答した人が 8 割で(4)グループでは 6 割と
なった。このことから、戦争の動画に接した人は日本に対する意識が下がらないことが分
かった。これらのことから、仮説 2-1a と仮説 2-1b は棄却される。
また、文化的観点と戦争的観点を比べたところ((1)(2)、(3)(4)の比較)、「この写真または動
画を観て、日本に対する意識が上がりましたか。」という項目に対して(1)(2)グループは約 3
割の人が「そう思う」「ややそう思う」と回答し(3)(4)グループでは約 6 割の人が「そう思
う」「ややそう思う」と回答した。また、「この写真または動画を観て、日本に対する意識
が下がりましたか。」という項目に対しては、(1)(2)グループは約 5 割の人が「あまりそう
思わない」「そう思わない」と回答し、(3)(4)グループでは約 7 割の人が「あまりそう思わ
ない」「そう思わない」と回答した。これらのことから、戦争的観点よりも、文化的観点の
方が若者に効果的であると考察する。
他にも動画と静止画で比べたところ((1)(3)、(2)(4)の比較)、「この写真または動画を観て、
日本に対する意識が上がりましたか。」という項目に対して(1)(3)グループは約 6 割の人が
「そう思う」「ややそう思う」と回答し、(2)(4)グループは約 3 割の人が「そう思う」「やや
そう思う」と回答した。また、「この写真または動画を観て、日本に対する意識が下がりま
したか。」という項目に対しては(1)(3)グループは約 8 割の人が「あまりそう思わない」「そ
う思わない」と回答し、(2)(4)グループでは約 6 割りの人が「あまりそう思わない」「そう
思わない」と回答した。このことから静止画の広告より動画の広告の方が効果的であると
考察する。
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Ⅶ.まとめ
分析の結果、仮説 1「愛国心が高まれば、若者は行動に移すようになる」は立証され、日
本に対する若者の行動を促すためには愛国心を高めることが有効だと分かった。また、仮
説 2-1-a が支持されたことにより、愛国心を高めるための手段として、「文化的」特徴を取
り入れた「動画」の広告が有効であるということも分かった。以上の事実から、日本再興
の手段として効果的な方法が明白になり、有用な、そして十分に「使える」選択肢として
加わったのだ。
Ⅷ.提案
2020 年、日本の文化を若者たちに訴えかける広告が増えていくだろう。また調査の結果
より、静止画広告より動画広告で訴求されることが多いと予測する。
東京オリンピックが開かれる 2020 年、外国人旅行者も増えることが言われている。日本の
若者だけでなく、外国人旅行者にもこの動画広告が目に入ったら、日本の文化を促進する
効果的な PR にもなるだろう。
現在、若者は日本の為に動きたいという気持ちを持ちつつも、何をしていいか分からず行
動にうつさない人が多い。調査結果からは、愛国心が生まれると行動にうつしやすいこと
が分かった。また、日本の文化的広告を見ることによって、自国の文化を再認識し自国を
愛する気持ち(愛国心)が増えるということも調査で明らかになった。そして、その媒体が動
画だとより心情をより動かされやすい。このことから、日本の文化的広告を動画で見せる
ことによって、若者の愛国心は上がり、行動にうつしてくれるだろう。またその具体的な
行動とは調査の結果から募金やボランティアが多かった。身近なことから始めてくれたら
いいと思う。愛国心を高め、若者の心を動かし行動にうつさせる広告が 2020 年の広告の在
り方と予測する。
Ⅸ.今後の課題
現在、身近に愛国心を感じる機会が少ないと思う。東京オリンピックが開かれる2020年、
自国を応援する気持ちとともに愛国心も上がるだろう。広告の面からも、日本の愛国心を
あげるアプローチもしていくべきだ。2015 年の今、日本の文化的広告を見る機会は実に少
ない。TVCM でもあまり流れないし、空港などに行かなければポスター広告を目にする機
会もほとんどないと言ってもいい。今後の課題としては、動画広告で文化的広告を流すの
なら、トレインチャンネルや若者の生活の中心となっている SNS など媒体も考えていきた
い。また文化的広告の方が有効なことが分かったので、どんな内容だったら愛国心が上が
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り行動にうつすか中身の方も具体的にしていきたい。
<参考文献>
『広辞苑』(第六版)
アドルフヒトラー、平野一郎、将積茂訳(1923)『わが闘争(上)(下)―民族主義的世界観』角川文庫
荻原牧子(2009) 「どうしてすぐに転職してしまうのか――大卒正社員の転職意向と成長実感の関係――」
『Works Review 』Vol 4
小川雅人(2011)「中小企業経営における人的資源の活用と育成」
厚生労働省 「平成 25 年度版 厚生労働白書 若者の意識を探る」
佐伯啓思(2008) 『日本人の愛国心:序説的考察』NTT 出版
坂本剛(1998) 「同調行動が適応に及ぼす環境――社会的適応と内的適応の視点を中心として――」
造事務所(編)(2010)『 こんなに違うよ!日本人・韓国人・中国人』PHP 研究所
高橋克己、綾牧子(2008) 「学生アンケートにみる若者たちの社会意識」
原田宗彦(1998) 「スポーツファンの消費行動」
ビル・トッテン(2008) 『愛国者の流儀』PHP 研究所
堀幸雄(2006) 『最新 右翼辞典』拍書房
松井一洋(2011) 「真実の情報はありうるか」
八巻俊雄、天津日呂美(1991)「広告表現の科学-独創的クリエーティブへの理論と経験則」
山岸俊男(2002) 『心でっかちな日本人』日本経済新聞社
米岡ジュリ(1993) 「海外事情研究』」
FUTURE(2014) 『進撃の日本人』
<参考サイト>
日経 BPnet 「2015 年の ASEAN 統合にらみ、日本企業の進出が加速」
(http://www.nikkeibp.co.jp/article/matome/20140722/408439/?rt=nocnt)
アクセス日時 2015 年 11 月 15 日
SankeiBiz 「今どきの若者は胆力を感じない なぜ人事部は「イモトアヤコ」を欲しがるのか」
(http://www.sankeibiz.jp/econome/news/151107/ecd1511071716002-n1.htm)
アクセス日時 2015 年 11 月 15 日
内閣府 「平成 25 年度 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」
(http://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/thinking/h25/pdf_index.html)
アクセス日時 2015 年 11 月 14 日
(https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/yoron/social/pdf/100806.pdf)
アクセス日時 2015 年 11 月 14 日
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中野香織ゼミナール 中井 秋吉 瀬戸山 村山 杉浦
大変お忙しい中、当アンケートにご協力いただき、ありがとうございます。このアンケートの回答は調査
という本来の目的以外で使用することは一切ございません。お手数ではありますが、ご協力をお願い申し
上げます。
アンケート実施日 月 日
・あなたの学年をお答えください。 年生
・あなたの性別をお答えください。 男 ・ 女
●スポーツに関する質問です●
問 1.あなたはスポーツが好きですか。
1. そう思う2.ややそう思う3.どちらとも言えない4.あまりそう思わない5.そう思わない
問 2.スポーツで日本が活躍した時に、日本に対する誇りが芽生えましたか。
1. そう思う2.ややそう思う3.どちらとも言えない4.あまりそう思わない5.そう思わない
問 3.(問 3.問 2 でそう思う、ややそう思うとお答えの方)
日本代表戦の試合を観戦しに行ったり、そのグッズを買う等の行動に
移したことはありますか。また、どんな行動に移しましたか。
●次に東日本大震災に関する質問です●
問 5.問 4.東日本大震災のあと、日本に対する意識は高まりましたか。
1.そう思う2.ややそう思う3.どちらとも言えない4.あまりそう思わない5.そう思わない
若者の意識に関するアンケート
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問 5.(問 4 でそう思う、ややそう思うとお答えの方)実際に何か行動に移しましたか。
(募金、ボランティア、節電など。)
●次に日本への意識に関する質問です●
問 6.他国との領土問題や歴史認識等の国家間摩擦が生じた際、日本に対しての
民族意識が高まりましたか。
1.そう思う2.ややそう思う3.どちらとも言えない4.あまりそう思わない5.そう思わない
問 7.(問 6 でそう思う、ややそう思うとお答えの方)
実際に何か行動に移しましたか。(デモ、ボランティアなど。)
☆ここからは写真または動画を実際にご覧頂きそれに関する質問をさせていただきます☆
問 8.この写真または動画を観て、日本に対する意識は上がりましたか。
1.そう思う2.ややそう思う3.どちらとも言えない4.あまりそう思わない5.そう思わない
問 9.この写真または動画を観て、日本に対する意識が下がりましたか。
1.そう思う2.ややそう思う3.どちらとも言えない4.あまりそう思わない5.そう思わない
問 10.この写真または動画を観て、どんなところが(場面が)印象に残りましたか。
質問は以上です。ご協力、ありがとうございました。