Recommended
More Related Content
Featured
Featured (20)
「ゆんぬの冒険」20131102
- 4. 約10万年前？ 3
- 5. 人類が琉球弧に到達し始めた頃 年前 時代 32000 30000 後期旧石器時代 ピンザアブ洞人 （宮古島） （最終氷河期） •海水準は現在より120～140ｍ低下。 しかし、琉球弧は陸で繋がっていない。 •遺跡が海底に存在する可能性。 白保竿根田原洞穴 土濱ヤーヤ遺跡 15000 港川人 13000 縄文時代 10000 6000 5000 M7a ・南方から流入した日 本列島における基礎的 集団 ・沖縄 25％ ・本土日本 7％ ・北海道アイヌ 15.7％ N9b 18000 7500 遺伝子 山下町第一洞人 26000～27000 20000 化石人骨・ 遺跡 ・ 北方経由で東アジア に流入 ・沖縄 4.3％ ・本土日本 2.1％ ・北海道アイヌ 2.0％ 下地原洞人（久米島） •黒潮の深層部は東シナ海に流入 縄文前期 （ヒプシサーマル期） D2 •海水準が上昇。 •北琉球地方は曾畑式土器様式圏（九州 から沖縄）。貝交易？ 天城（徳之島） ・ 東北アジアに広く分 布したが、O系統に よって周辺に追いやら れた。 ・北琉球 39％ 南琉球 4％ ・日本人男性の 30～ 40％ 4
- 7. 珊瑚礁ができて、最初の島人がやってきた 年前 時代 オーストロネシア 珊瑚礁 形成開始 海面到達 遺跡 遺伝子 語族 13000 縄文時代 9900 喜界島 7900 沖永良部島 6500 久米島 5500 久米島 5280 4000 与論島 縄文時代後期 Ⅰ（ハイ）期 B 3600 与論島 3500 3000 石西礁、沖縄島南部 沖縄北部 縄文時代晩期 Ⅱ（ヨネ期） 赤崎ヤドゥン ジョー ・中国南部、東南アジア ・約6000年前、南太平 洋の島嶼世界に展開し たヒト集団 ・沖縄 15% ・オーストロネシア語 族？ 2800 弥生時代 1800 1400 弥生時代後期 Ⅲ（ハヤト）期 古墳時代 6
- 10. なぜ、「ゆんぬ」は「砂州」なのか オーストロネシア語。 （ユニ）＝（砂州）。 (cf.崎山理) ex.1 duni（与那国島） yuni（竹富島・鳩間島、首里） -yunee（波照間島） yuuni（石垣島） ex.2 与那国島、与那原、与那嶺、与那 yuni ＞ yuuni ＞ yuunu ＞ yunnu 1. 「よ（寄）りぬ」（堀信行、1992） 地形、地勢を示すのが地名の初期型。「天然描写法」（柳田國男） 2. 「ユル（与路島）、ユンヌ（与論島）という方言名の島々は、船舶の寄り着く 意をそのまま島名にしている。」（「古代の南島経営と奄美の地名表記考」 林蘇喜男、2005年） 与論は寄港地に適さない。 3. 「ヌはユンとシマとを繋ぐ働きをする格助詞である」（外間守善、1996） 「島」を付けて呼ぶ以前から、「ゆんぬ」と言われていただろう。 9
- 17. 「ゆんぬんちゅ」の形成 次 年前 世紀 サークラ（ダークラ） 0 •ショウ、サキマ、キン、アダマ 3000～ ～ 1800～ ～ 2 1000～ 11世紀～ •プカナ ～ 1 •ニッチェー •サトゥヌシ（スーマ） •プサト（パンタ）、ユントゥク 3 500～ 16世紀～ •グスクマ ～ 16
- 19. なぜ、「ゆんぬ」は「与論」と記されたのか 由魯奴 『歴代宝案』1431年 輿留濃 輿論 『海東諸国記』1471年、李氏朝鮮 由論 姚姓又吉系譜伝・1614年、 『中山伝信録』1721年、清 東恩納寛惇『南島風土記』1950年 與論 「代官記」 1. 「ゆんぬ」に当てる適当な漢字がない。 2. -an（オーストロネシア語地名）の語感を活かした。 • • 台湾の東海岸には南北を通じてラン、ルアン、ロンなどの語尾を 有する地名が非常に多い（金関丈夫） 瑞慶覧、勝連、阿波連 18
- 20. 19
- 21. 20
- 25. 「ふた」地名の特徴 1. 「ふた」に関わる地名はとても６ヶ所と少ない。 • 与論島、我謝杜、首里杜・真玉杜（首里城内）、新城（粟国か渡名 喜、所在未詳）、安須杜、新垣（久米島） 2. 聖域あるいは琉球王朝が重視した場所に付けられている。 • 我謝杜、首里杜・真玉杜（首里城内）、安須杜 3. 固有名詞の他に普通名詞としても使われている。 • 地名：「かゑふた」、歌謡名：「かいふたの大ころが節」 4. 「かいふた」、「かゑふた」の両方の表記がある。 •「かい（ゑ）」は、与論の地名に基づくのではなく、形容詞 的な意味があるのではないか。 24
- 27. 「掻い撫で」への着目 訳（外間守善） •掻い撫でわる貴（たゝ）み子（きよ） 守護し給う王 •吾が掻い撫で按司襲（あんじおそい）撫でいつくしむ国王様 •掻い撫で君（きみ） 王を守護し給う神女 •掻い撫で大ころ達（た） 撫でいつくしむ立派な男たち •掻い撫で真（ま）ころ達（た） 撫でいつくしむ立派な男たち •掻い撫で水（みづ） 大切な水 「掻き撫でる」 やさしくさする 1. もともと「掻き撫でる」以上の意味を持つ形容になっ ている。 2. 下に行くほど、美称、尊称、祝称自体の意味が強く なる。 26
- 29. 「ふた」の美称、尊称、祝称 「掻い撫で」由来であるとすると、 1. 「かいふた」、「かゑふた」の両方の表記の説明ができる。 • 「掻ゑ撫で 掻い撫で 送らに」 「ふた」の美称、尊称、祝称であれば、 2. 「ふた」地名が、聖域あるいは琉球王朝が重視した場所 に付けられていることに適う。 3. 「かいふた」が、固有名詞にも普通名詞にも使われるの は自然。 28
- 30. 「根の島」、「根国」としての与論島 一 又 は 根 此 吾 た 渡 （ か （ あ ら は ふ つ ゑ ね 又 か （ ３ 一 ９ ９ （ つ （ ３ 根 按 玉 真 与 ２ 国 司 金 徳 論 （ 襲 浦 （ 十 ね （ （ よ 三 く あ ま ろ に ） こ い し の が じ と ん お く ） そ う こ ら い に 根 根 し 3 、 第 十 三 国 の 島 宜 う よ べ う み 通 し お わ て し お （ 与 の 城 （ 敷 （ 論 （ 野 論 湾 お も （ ろ 6 ）、 糸 満 （ 8 ）、 浦 添 （ や と と 与 第 ） の 島 （ し ま ） の 親 （ ゑ 佐 し 、 や 船 玉 に （ 1 4 ）、 ）、 ） 中 2 赤 城 木 （ 名 （ 5 4 1 ） ）、 ）、 2 ）、 御 さ あ た す の び 親 ん が ） ） が 節 節 船 渡 守 （ （ （ ゑ と お 崇 の わ や ま （ お た も の ろ ぶ ） か た ） ） し 御 ） て ろ ） い ） し に に の が さ 、 、 や れ や か せ よ 天 天 啓 ） 啓 三 の 三 ) 年 年 て ） ろ ） 29
- 37. 与論人の抵抗 「恐れながら口上書をもって訴え奉り候」（1805） 1. 竹木が無く、仮屋、お蔵、役所から島中の役々まで、居 宅や農具などに使う木材や明り用の松までみな山原の 方へ買い求めて、公私の用を達している。 2. 枯れ草や牛の糞などを朝夕の焚き火用にしてようやく 仕事をしており、砂糖を仕上げる際の薪がほとんどない。 3. 製糖期間の十二月から二月。与論の田は天水で、九月 中旬に苗を蒔き、正月、二月に植え付けを行うが、その 頃までは、雨で潤えば踏みつけを行っているので、製糖 時期と重なる。雨が降り次第、牛馬で油断なく踏みつけ をしないと、水持ちが悪くなってしまう。 • 役々と島中の者で吟味。「何卒、黍作の儀は、御免被り 仰せつけ被りくださりたく願い上げ奉り候」 36
- 39. これからの 冒険は？ 38
- 41. 思考縮小の3層構造 アメリカに対する日本の従属性が露わになって。 • • 現実的なことと思想的なことが同時に考えられなければ ならない。 委縮、停滞、思考停止の枠組みから抜け出る。 1. 日本 ― アメリカ 2. 沖縄 ― 日本 3. 奄美 ― 鹿児島 40
- 42. 奄美にとっての復帰という意味 敗戦（1945年）の意味を通過していない。 「日の丸」（1951年12月） 「日の丸」 「旗を振る」（1953年9月） 「旗を振る」 （前略） 灰色の歳月のおくがに なお ありありとひるがえるもの はげしくもえあがつているもの なつかしい白と赤の象形 ああ ほのぼのと 島の正月があけて どこの門口でも日の丸は見えなくても ひとびとは さやさやと新年おめでとうをかわし たがいの胸底に しっかりと日の丸をかかげている 奄美の子らは旗を振る 八年のあいだ胸底にひそめていた日の丸だ 古だんすの底にしまいこんであった日の丸だ 戦死した夫の遺留品といっしょにかえってきた寄 せ書の日の丸だ 手垢のついた ぼろぼろ虫ざれのついた 空襲の壕の中の泥水をそめた せつないかなしいおもいのにじんだ ひとつひとつのこころをもった さまざまの日の丸だ 奄美の子らは日の丸をとりもどした 泣き挫き胸の中で振ってきた日の丸 ぼくが生まれたとき おかあさんがそっとにぎらせてくれた日の丸 あれからもう八年 奄美はやっと日の丸の国にもどったのだ 晴れた島の秋 燃え上がる日の丸 奄美の子らは旗を振る 41
- 45. グローバリズムのなかのナショナリズム • 国家主義者による国民国家解体 • 日本に向けて、奄美が「復帰」の経験として語れる もの • 国民国家の「良さ」を説く 44
- 47. 参考文献 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 野口才蔵『南島与論島の文化』（1976） 野口才蔵『与論島の俚諺と俗信』（1982） 竹内浩『辺戸岬から与論島が見える<改訂版>』（2009） 高橋誠一・竹盛窪『与論島―琉球の原風景が残る島』（2005） 増尾国恵『与論郷土史』（1963） 管浩伸「琉球列島におけるサンゴ礁の形成史」（2010） 吉成直樹『琉球の成立―移住と交易の歴史―』（2011） 吉成直樹・福寛美『琉球王国誕生』（2007） 崎山理「オセアニア・琉球・日本の国生み神話と不完全な子－アマンの起源－」 （1993） 10. 大山彦一『南西諸島の家族制度の研究』（1960） 11. 小野重朗「与論島のシヌグとウンジャミ」（1974） 12. 東恩納寛惇『南島風土記』（1950） 13. 先田光演『与論島の古文書を読む』（2012） 14. 外間守善「与論の歴史の拓け方」（1996） 15. 外間守善校注『おもろそうし』（2000） 16. 伊波普猷「南島人の精神分析」（1930） 17. 吉本隆明『母型論』（1995） 18. 知名町教育委員会編『江戸期の奄美諸島』（2011） 19. 町健次郎「奄美大島開闢神話の民俗学的研究」（2012） 20. 泉芳朗『泉芳朗詩集』（1959） 21. 「［現代のエスプリ］別冊」（2003） 46