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映像を用いた農家間の知識継承
- 1. 映像を用いた農家間の知識継承 ～能美市農村DXの可能性の検討～ 北陸先端科学技術大学院大学 担当教員： 内平直志教授、吉高淳夫准教授 メンバー： 犬伏萌々子、鈴木凱、髙野あゆみ、日高輝、涌田椋也 日程： 2021年2月17日（水） 1
- 2. ● 今回の副テーマ研究の流れ ● 研究背景 ● 研究目的 ● 設定した課題の解決法 ● 研究方法・プロセス ● インタビュー・分析 ● アイデア構想・提案 ● デモンストレーション ● まとめ ● 本プロジェクトを通しての学び 目次 3
- 3. 副テーマ（農業xAI）の立ち位置 農業者・生活者の現状把握 (アンケート・インタビュー) 農村 ＤＸＰＪ （農林課） 農業生産現場の把握 （農作業） 本格プロジェクト ２０２０年 ２０２１年以降 グループ 副テーマ （市長戦略室） 能美市×ＡＩ／ＩｏＴ 農業分野でのＡＩ／ＩｏＴの活用検討 分 析 今回の成果報告 11月12日 能美市における 農村デジタルトランス フォーメーションの 推進に関する協業覚書 締結 能美市の農家間で気軽に映像を用いて知 識継承を行うことができる環境作り 4 ２０１９年 農業者・生活者の 現状把握 (インタビュー) 農業生産現場 の把握 （農作業）
- 4. 農作業者の知識の把握・データ収集、アイデア評価 経過概要 (年/月) 5 顔合わせ イントロ 9月5日 情報共有 (農村DX革命) 9月17日 能美市役所で のヒアリング (年/月) 20/08 20/09 （学内） グループ 副テーマ 発表会 インタビュー データ分析 農作業者の知識の把握・整理・対象選定 今回の副テーマ研究の流れ 20/10 新規農家 ベテラン農家 インタビュー ４件 20/11 20/12 予備調査 10月1日 丸いも農家 Aさん 10月20日 丸いも農家 Bさん アイデア出し 21/01 アイデア評価 （今回） 能美市役所 報告会 21/02
- 5. ● 農業者の高齢化 現在の農業者平均年齢は66.8歳で、コメ農家に関しては70歳超 10年前と比べて平均年齢は＋７歳高齢化 ● 農業就業人口の減少 1970年/1,000万人 → 1990年半ば/500万人 → 現在/200万人 ● 「農業就業人口の減少」＋「高齢化」 → 知識の継承が十分なされないままに世代交代を迎え， これまでに蓄えられた情報が失われてしまう恐れがある 研究背景１： 就農人口の高齢化と減少 50年前の5分の1 6
- 12. 予備調査 1. 能美市役所 農林課 村本様（2020年9月17日） ・能美市における作物の現状 2. 若手丸いも農家（2020年10月1日） 3. ベテラン丸いも農家（2020年10月20日） ・丸いも栽培の現状 ・動画利用の実態 13 調査の様 子 丸いも栽培の様子
- 15. インタビュー調査 実際に能美市役所から提供された動画を用いてインタビューを行う (動画概要―長さ：18分, 内容:整地～植えるまで, 期間:4月～6月) インタビューにより知識継承に必要な知識を明らかにする ・知識の送り手にとっての知識 ・知識の受け手にとっての知識 方法 対象 内容 実施日 インタビュー 丸いも農家A 農業に関する情報収集方法 栽培についての必要知識 映像の改善点 2020年 11月9日-25日 丸いも農家B 非丸いも農家C 非丸いも農家D 株式会社AGRI SMILE 農業従事者向け動画サービス製作 のポイントや難しさについて 2020年11月21日 16
- 18. カテゴリー 質的手法による分析プロセス 映像改善点 ・テロップが欲しい ・目的が欲しい等 情報収集手段 ・初めは本 ・最近はYouTube ・しかし丸いもはない 動画ノウハウ シェアの必要性 ・文字だけでは わからない 能美市の18分の 丸いも動画に 足りない情報 インタビュー テキスト化 コード化 アイデア提案に 繋げる ❏ 分析プロセス ❏ カテゴリー分け 19
- 20. インタビュー分析内容 ❏ 動画は見るが発信はしない → 動画視聴で分からない点を人に聞くストレスの軽減 → 一方で、発信する余裕やモチベーションはない ❏ 未だ知識を得るための理想の動画に出会えていない ❏ 動画はイメージや妥協点を理解しやすい ❏ 能美市提供の丸いも動画から作業を行う理由や目的が分からない ❏ 同じアングルの映像が多く、長い印象 ❏ 音声や文字での説明が欲しい → 工程全てかつ詳細に言ってほしい ❏ 失敗例に関する情報が欲しい → 動画を見ることで同じ失敗を繰り返さない 以上の内容から、知識共有動画の発信ハードルを下げる工夫や、動画に農家の 方々が必要としている付加情報を効率的に盛り込む支援が必要であると考えた 21
- 22. アイデア１：動画の要点に移動できる 動画の要点が可視化され、各々の作業が確認しやすくなる 0:00 作業道具紹介 7:32 畝立て方 10:05 畝立てコツ PC タブレット スマートフォン 見たい情報が動画のどの部分に あるのか分かりずらい Before After 要点を選択すると そこから再生 吉高研究室 撮影・編集支援システム 23
- 23. アイデア２：映像の冗長性を自動で削減 編集の素材容量を削減し、 編集を楽にできる 動画に冗長な部分が含まれている ＝ 編集が大変 PC タブレット スマートフォン 映像処理 動画素材 時間が短くなった動画素材 Before After 同じ場面の部分・動きのない部分を検出・削除し 動画時間を削減 吉高研究室 撮影・編集支援システム 24
- 24. 知識継承動画 PR動画 知識継承動画 PR動画 アイデア３：蓄積データからPR・知識継承動画自動作成 Before After 動画の目的ごとに 毎回撮影が必要であった 映像素材から 目的に合わせた動画を生成 計画的な撮影を支援し、動画作成者の負担を軽減する 全ての作業工程を撮影した映像素材 PC タブレット スマートフォン 吉高研究室 撮影・編集支援システム 25
- 25. 撮影テンプレート 農作業に慣れ た人が編集 動画の目的を 最初に入れる 伝わりやすい動画の 撮り方が分からない アイデア４：撮り方テンプレート作成 Before After 動画作成のポイントが分かっていないと 視聴者に伝わりにくい動画が出来てしまう 撮影テンプレートをもとに撮影する 撮影テンプレートを参考にすることで 的確な動画を簡単に作成できる ？ PC タブレット スマートフォン 藤波研究室 身体技能 エキスパートシステム 26
- 26. アイデア５：自動インタビュー なぜ切って いるのですか ①撮影作業の内容をAIが判別し， 内容にマッチした質問を投げかける ②インタビュー内容を自動で文字起こし 動画制作の協力者を集めるのは大変 ・・・ ＆そもそも何を聞けばよいか分からない Before After AI インタビュアー 撮影者 ● 動画撮影に関わる人数を減らし、動画制作のハードルを下げる ● 新規農家の理解を助ける情報を動画に盛り込むことができる インタビュー・撮影を 1人で 何を聞こうか… PC タブレット スマートフォン 27 岡田研究室 マルチモーダルインタラクション パターン認識
- 27. アイデア６：アテレコ 農 家 皮を上にしてちょっと抑えます 撮影者とは違う農家にコメントしながら視聴してもらうことで 客観的立場から 動画に不足している情報を補足する Before After PC タブレット スマートフォン 視 聴 者 ただ埋めるだけで いいのかな？ 視 聴 者 なるほど！ 28 敷田研究室 地域人材活用
- 28. アイデア７：Live配信 Live配信で相互コミュニケーションが可能になり 動画に対する理解をより深めてもらうことができる Before After ？ どうやって 切るんだろう？ 視聴者は、Live配信で質問することですぐに疑問を解決できる 配信者は、視聴者のニーズに合わせた知識を提供できる 分からないことがあっても普段視聴している 動画には質問することができない 視聴者 視聴者 配信者 投稿者に質問 質問受付受け答え より理解を 深められる ニーズに合わせた 知識を提供できる PC タブレット スマートフォン 29 由井薗研究室 コミュニティ・知識創造支援
- 29. アイデア８：スケジュール管理/提案システム 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 農 家 栽培物：丸いも，ネギ 所持農機：トラクタ 丸いも ネギ 植付など 支柱 立て つる誘引 畝立 収穫等 種まき 収穫 収穫 忙 忙 新規作物の検索支援： ・栽培物ベースで検索 →忙しくない時季に作付け可能な作物が検索できる ・所持農機で検索 →追加予算の比較的少ない作物が検索できる ・農家のスケジュール情報を収集 →新規農家向けにいくつかのスケジュールモデルを提示 →地域の特産物農家になる道筋を整える PC タブレット スマートフォン 平石研究室 ビジネスプロセス 30
- 32. ここまでインタビューにより、丸いも農家の知識継承の課題を 明らかにし、それをもとにシステムの提案を行った。 その後、4名の農家の方にgoogle formにてシステム提案の評価をしていただ き、提案システムのニーズを測った。 アイデア提案から評価 ＜農家の方にお配りしたアンケート内容＞ ベスト1 → 3点 ベスト2 → 2点 ベスト3 → 1点 として農家の方が本当 に必要としているシス テムを選定した 33
- 33. アイデア評価 順位 アイデア 点数（12） 🥇1 ⑧スケジュール管理/提案システム 10 🥈2 ③蓄積データからPR・知識継承動画 自動作成 6 🥉3 ①動画の要点に移動 3 ● 農家の方々のニーズがどの程度あるか確認 →⑧スケジュール管理/提案システムが最も支持を 集めた ● 映像知識継承の前段階としてICTニーズがある ＜農家4名によるアイデア評価＞ 34
- 41. デモンストレーション①（農家情報の登録） 育てている作物 作物を育てる主な場所 石川県能美市 丸いも ネギ 従業員の人数 ３ 資金 0〜200万円 ユーザー名 nomi-maru 登録する 農家情報の登録 所持している農機 トラクター 42
- 43. デモンストレーション③（農機検索） 気になる！ 〇〇農場 トレンチャー 農機の説明 xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx 金額 xxxxx 円／日 今月の空き状況 8 (月) 9 (火) 10 (水) 11 (木) 12 (金) 13 (土) 14 (日) ○ ○ ○ × × × × 検索結果： トレンチャー 農機のレンタル・貸出の管理 44
- 44. デモンストレーション④（農家・モデルケース検索） 丸いも ネギ お米 丸いも 検索結果： 丸いも＆さつまいも ピーマン キャベツ さつまいも れんこん 〇〇 農場 △△ ファーム ×× 農場 〇〇 さん（個人） 詳しくみる 詳しくみる 詳しくみる 詳しくみる さつまいも 45
- 48. ● 農林水産省HP https://www.maff.go.jp/j/finding/mind/pdf/itrikatu.pdf （最終閲覧日：2020年12月20日） ● 塚原農園YouTube https://www.youtube.com/user/tukaharayuuji （最終閲覧日：2020年12月21日） ● 三輪泰史・井熊均他（2020）『アグリカルチャー4.0の時代 農村DX革命』 日刊工業新聞社, p.184. ● ウヴェ・フリック（2002）『質的研究入門』春秋社, p.670． 参考文献 49
- 49. ● 現場ニーズとIoT技術の合致させる上で必要なコミュニケーション の取り方の難しさ ● 現場のニーズから課題へ落とし込むこと ● 異分野間の知識融合の難しさ 本プロジェクトを通しての学び 50