2021年2月28日―日本幼少児健康教育学会第39回大会【春季：加須大会】

1. 超音波式加湿器から放出される
微粒子の分析と安全性検証
梅澤 雅和
（東京理科大学）
masa-ume@rs.tus.ac.jp
2021年2月27～28日
日本幼少児健康教育学会 第39回大会【春季：加須大会】

2. 超音波式加湿器から放出される
微粒子の分析と安全性検証
• 環境と健康
PM2.5、NO2（窒素酸化物）
Lelieveld et al. Nature (2015)
Torkmahalleh and Umezawa et al.
Aerosol Air Qual Res (2021)

3. 超音波式加湿器から放出される
微粒子の分析と安全性検証
• 環境と健康
PM2.5、NO2（窒素酸化物）
屋外だけでなく「室内」も重要
• 室内環境
温度  エアコン
湿度  加湿器
CO2  換気率
「ほこり」など  空気清浄機
Torkmahalleh and Umezawa et al.
Aerosol Air Qual Res (2021)

4. 超音波式加湿器から放出される
微粒子の分析と安全性検証
• 環境と健康
PM2.5
屋外だけでなく「室内」も重要
• 室内環境
温度  エアコン
湿度  加湿器
CO2  換気率
「ほこり」など  空気清浄機

5. 加湿器のタイプ
• 気化式（ヒーターレス）
• スチーム（加熱）式
• 超音波式
• 上記のハイブリッド（複合）型
蒸発しない成分は
放出されない
熱くない
超音波のエネルギー
で水分子を振動させ
て気化
↓
中に含まれるものが
すべて放出される
本研究の目的
• 超音波式加湿器から放出される微粒子の分析
• 水中に抗菌剤を適用したときの問題点の文献調査 どんなものが？ どの程度の量？

6. エアロゾル微粒子の分析
質量濃度
個数濃度
粒子径
形態観察
走査型電子顕微鏡 (SEM)
透過型電子顕微鏡 (TEM)
微粒子の元素同定
エネルギー分散型X線分光法 (EDS)
・水道水
・溶存ケイ素高含有ミネラルウォーター（シリカ水）
・逆浸透膜ろ過水（RO水）
・超純水
どんなものが？ どの程度の量？

7. ・水道水など
Na, Ca, Mg, SiO2 の濃度
30 ~ 100 mg/L × 約 0.1 L/h
エアロゾル微粒子の分析
チャンバー容積： 0.765 m3
換気率
11.5 m3/h
換気回数
15回/h
どの程度の量？
どんなものが？
Umezawa et al. Part Fibre Toxicol (2013)
水中塩濃度 100 mg/L のとき
約 0.4 mg/m3

8. ・水道水など
Na, Ca, Mg, SiO2 の濃度
30 ~ 100 mg/L × 約 0.1 L/h
エアロゾル微粒子の分析
チャンバー容積： 0.765 m3
換気率
11.5 m3/h
換気回数
15回/h
水中塩濃度 100 mg/L のとき
約 0.4 mg/m3
実験用チャンバー 11.5 m3/h
微粒子
10 mg/h
（水の消費速度
0.1 L/h のとき）
理論値 0.87 mg/m3
 0.4 mg/m3（約40~50%）
実際の教室 900 m3/h
40/900 = 44 μg/m3
 22 μg/m3
微粒子
40 mg/h
（水の消費速度
0.4 L/h のとき）
※ 参考： PM2.5の
屋外大気環境基準
（一時間値）35 μg/m3

9. ・水道水など
Na, Ca, Mg, SiO2 の濃度
30 ~ 100 mg/L × 約 0.1 L/h
エアロゾル微粒子の分析
チャンバー容積： 0.765 m3
換気率
11.5 m3/h
換気回数
15回/h
どんなものが？
Umezawa et al. Part Fibre Toxicol (2013)
1 μm 1 μm 0.2 μm 0.5 μm 0.5 μm
0.2 μm 0.2 μm
吸入した動物の気道の細胞
（マクロファージ）
1 μm

10. 本研究の目的
• 気化式（ヒーターレス）
• スチーム（加熱）式
• 超音波式
• 上記のハイブリッド（複合）型
熱くない
超音波のエネルギー
で水分子を振動させ
て気化
↓
中に含まれるものが
すべて放出される
• 超音波式加湿器から放出される微粒子の分析
• 水中に抗菌剤を適用したときの問題点の文献調査

11. 抗菌剤を入れた水で超音波式
加湿器を運転して発生した、
重篤な有害事象発生事例
• 2002～2015年に韓国で使用された抗菌剤
ポリヘキサメチレングアニジン
(Polyhexamethylene guanidine: PHMG)
および、
オリゴ（2-（2-エトキシ）エトキシエチ
ル）グアニジニウム (oligo (2-(2-ethoxy)
ethoxyethyl guanidinium: PGH)
 数百人の死亡例
＋ 重篤な肺障害
妊婦や未就学児でも高率に発生

12. 人のいる空間の環境への薬剤放出は高リスク
• “除菌” “除ウイルス” が話題に。
• “除菌剤” を加湿器に？
• 生体影響は、濃度×時間
• たとえ医薬品であっても、吸入での使用を
想定されていないものは、吸入した場合の
安全性は保証されていない。
2020年12月14日 中京テレビ
2020年12月1日 産経新聞 「コロナ除菌液噴霧
健康に懸念 厚労省『推奨されない手法は不適切』」

13. 超音波式加湿器から放出される微粒子の分析と安全性検証
• 加湿器の水タンクの清潔性は重要
⇔ しかし、病原体を除く目的で水タンクに抗菌薬
や消毒薬を入れることは不適切。
• 超音波式加湿器を水道水で運転すると、水中に含
まれる “ミネラル成分” (Na, Ca, Mg, SiO2) に由来
する微粒子が発生する。
 肺（気道）にある細胞は、この微粒子を処理する機能を発
揮する。
 粒子は水溶性  一般的な “PM2.5” より生体影響は小さい。
 空間濃度の問題  換気率が極端に悪くなければ問題ない。
• 繰り返される報道・・・周知されていない？
 実際の教育・保育・家庭環境における加湿器の
使用・管理状況を、現場調査に長けた先生方のご
協力を仰いで行いたい。
梅澤 雅和（東京理科大学）
masa-ume@rs.tus.ac.jp
＜謝辞＞
微粒子の分析は、東京理科大
学薬学部において武田健教授
（現：山陽小野田市立山口東
京理科大学）ならびに関田啓
佑氏と共に行いました。