衆議院経済産業委員会・FIT法改正案審議に向けて	
〜	「施行に係る運用面での課題」と「次の課題」	〜	
	
平成28年4月27日	
NPO法人社会保障経済研究所
代 表 石 川 和 男
	 本法案の早期成立には賛成。だが、「施行に係る運用面での課題」として詰めるべき点は多々あり、
「次の課題」として検討しておくべき論点もある。本日は、こうした点について以下の通り提起す
るので、これらを附帯決議の形で国会から政府に指示されたい。	
1.コスト低減と並行可能な再エネ推進策を!
(1)「再エネ賦課金」の全体額の抑制による一般家庭・企業の負担軽減が必要		
(2)『再エネ賦課金減免措置』の適切な継続による電力多消費型企業の負担軽減が必要	
	 	 ↓	
『原子力発電と再エネ発電の抱き合わせ』を制度化	
	 ①このままでは、再エネは高い!との悪評が増長するばかりだが、それを確実に回避したい	
	 ②原子力発電所の高稼働率稼働で捻出した財源で、再エネ賦課金の大幅引下げや、「減免10割」
を目指す	
	 ③同時に、その財源を活用して、再エネ接続などに寄与する送電インフラ投資を進める	
	 ☆原子力規制委員会による新規制基準の運用改善(バックフィットの適正化など)が不可欠	
2.FIT終了後にも長期安定的な再エネ事業体制の構築を!
(1)FITでの買取期間(10 年又は 20 年)以降も再エネ事業は安定的に継続されることが必要	
(2)FITは再エネが国内で定着するまでの一時的補助策で、FIT後こそ本場との認識が必要	
	 	 ↓	
『再エネ事業者の集約化促進策』を制度化	
	 ①電力会社・都市ガス会社・石油会社など大手エネルギー事業者への再エネ設備集約を進める	
	 ②体力のない中小事業者の持っている再エネ設備の永続的な有効活用を図る	
	 ③財源論は、上記1.を参照のこと	
	
3.再エネのバックアップ電源(火力)の経営安定化策の構築を!
(1)太陽光・風力の発電量増加には、火力によるバックアップ機能を強化することも必要	
(2)太陽光・風力の発電量増加で稼働率が低下する火力の経営を維持させる仕組みが必要	
	 	 ↓	
『火力発電に係る投資回収システム』を制度化	
	 ①主に天然ガス火力・石油火力の経営安定化のための仕組みを構築する	
	 ②総括原価方式に代わる規制的手法を導入する
4.その他(施行に係る運用面での留意点など)
①入札対象の機動的追加:入札制度に係る省令・運用ガイドラインで明記	
	 →	入札対象見直し周期を6〜12ヶ月で設定する	
	
②安全・環境対策の追加:新認定制度に係る省令・運用ガイドラインで明記	
	 →	地震や豪雨など自然災害の経験を踏まえ、安全対策を強化する	
	 →	景観トラブルなどに鑑み、環境アセスメント(自治体アセスの活用も含む)を制度化する	
	
③既認定未稼働案件の取扱い:行政内部で新体制を構築	
	 →	既認定未稼働案件の処理は行政当局が「前面」に出て善処する	
	 →	各経済産業局が「前面」に出る体制を構築する	
	 	
	
《まとめ》
◎ 化石燃料輸入で外国に支払っている国民のおカネを、国内の再エネ推進に利用
◎ 再エネと原子力・火力は、「対立」から「協調」へ
◎ “すぐ逃げる再エネ関係筋”は不要、「最後まで責任を持つ再エネ事業者」が必要
	
<参考:石川家(東京電力管内)の場合・・・>

2016年4月27日 衆議院経済産業委員会経済産業委員会・再エネFIT法改正案 参考人質疑向け提出資料

  • 1.
    衆議院経済産業委員会・FIT法改正案審議に向けて 〜 「施行に係る運用面での課題」と「次の課題」 〜 平成28年4月27日 NPO法人社会保障経済研究所 代 表 石川 和 男 本法案の早期成立には賛成。だが、「施行に係る運用面での課題」として詰めるべき点は多々あり、 「次の課題」として検討しておくべき論点もある。本日は、こうした点について以下の通り提起す るので、これらを附帯決議の形で国会から政府に指示されたい。 1.コスト低減と並行可能な再エネ推進策を! (1)「再エネ賦課金」の全体額の抑制による一般家庭・企業の負担軽減が必要 (2)『再エネ賦課金減免措置』の適切な継続による電力多消費型企業の負担軽減が必要 ↓ 『原子力発電と再エネ発電の抱き合わせ』を制度化 ①このままでは、再エネは高い!との悪評が増長するばかりだが、それを確実に回避したい ②原子力発電所の高稼働率稼働で捻出した財源で、再エネ賦課金の大幅引下げや、「減免10割」 を目指す ③同時に、その財源を活用して、再エネ接続などに寄与する送電インフラ投資を進める ☆原子力規制委員会による新規制基準の運用改善(バックフィットの適正化など)が不可欠 2.FIT終了後にも長期安定的な再エネ事業体制の構築を! (1)FITでの買取期間(10 年又は 20 年)以降も再エネ事業は安定的に継続されることが必要 (2)FITは再エネが国内で定着するまでの一時的補助策で、FIT後こそ本場との認識が必要 ↓ 『再エネ事業者の集約化促進策』を制度化 ①電力会社・都市ガス会社・石油会社など大手エネルギー事業者への再エネ設備集約を進める ②体力のない中小事業者の持っている再エネ設備の永続的な有効活用を図る ③財源論は、上記1.を参照のこと 3.再エネのバックアップ電源(火力)の経営安定化策の構築を! (1)太陽光・風力の発電量増加には、火力によるバックアップ機能を強化することも必要 (2)太陽光・風力の発電量増加で稼働率が低下する火力の経営を維持させる仕組みが必要 ↓ 『火力発電に係る投資回収システム』を制度化 ①主に天然ガス火力・石油火力の経営安定化のための仕組みを構築する ②総括原価方式に代わる規制的手法を導入する
  • 2.
    4.その他(施行に係る運用面での留意点など) ①入札対象の機動的追加:入札制度に係る省令・運用ガイドラインで明記 → 入札対象見直し周期を6〜12ヶ月で設定する ②安全・環境対策の追加:新認定制度に係る省令・運用ガイドラインで明記 → 地震や豪雨など自然災害の経験を踏まえ、安全対策を強化する → 景観トラブルなどに鑑み、環境アセスメント(自治体アセスの活用も含む)を制度化する ③既認定未稼働案件の取扱い:行政内部で新体制を構築 → 既認定未稼働案件の処理は行政当局が「前面」に出て善処する → 各経済産業局が「前面」に出る体制を構築する 《まとめ》 ◎ 化石燃料輸入で外国に支払っている国民のおカネを、国内の再エネ推進に利用 ◎ 再エネと原子力・火力は、「対立」から「協調」へ ◎ “すぐ逃げる再エネ関係筋”は不要、「最後まで責任を持つ再エネ事業者」が必要 <参考:石川家(東京電力管内)の場合・・・>