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世界 日本
先進国(安定(停滞?))と新興国(成長)
が併存
• 先進国は日米欧軒並み低成長と政府債務
の膨張にあえぐが、市場の規模は大きい
• 一方、新興国は中国、ブラジルに続きメ
キシコ、トルコ、インドネシアなど新た
な成長ステージにはいる国が続出
• 中国が日本を、ブラジルがイギリスを
GDPで抜くなど、規模もかつてない大き
さに拡大
大手銀行と中小銀行が併存
• 不良債権処理が終わり金融危機の影響も
軽微だった大手銀行は、積極的に海外貸
出に進出し、再び世界有数の存在に
• ただこれ以上の拡大はあくまで海外で
• 海外に打って出る体力のない中小銀行は、
国内での低金利貸出競争に巻き込まれて
ますます体力が低下、企画力は不足
資金不足国と資金余剰国が併存
• 世界的不均衡はかつてない大きさに
• 南欧諸国は流動性危機でガタガタに、イギリス、オーストラリアも経済の頑健生を保ちな
がらも海外からの資金に頼る体質が残る
• 一方、日本、ドイツ等では資金が溢れ返り、アメリカでも強烈な金融緩和により資金が溢
れ返る
安定と成長の両立が可能? ニッチ市場のかつてない拡大?
各国のニーズをとらえれば、リスクをとりすぎずに高収益を達成?
9. (参考)International Bank はどんな銀行か(2)
International Bankは、LCCでユニクロでGREEでサムスン
• LCC:徹底した低コスト→ナローバンク(ただし最初だけ?)
• ユニクロ:資金を安い国で調達して高い国へ投資する、という考え方の
活用(ただし衣料品業界と違い、このコンセプトの「徹底」は難し
い。。)
• GREE:GREEは何を考えてどの国に展開しているか?
• サムスン:世界を席巻するサムスンの戦略立案に関する「組織」の仕組
とは
ライバル行(かつ見本)はINGダイレクト(オランダ)、サンタンデール銀
行(スペイン)
9
13. 事業モデル(フェーズ3、4)
13
成長基盤 安定収益基盤 縮小対象
4% 2%
X国支店
4% 1%
Y国支店
5% 2%
A国支店
4% 1%
B国支店
4% 2%
C国支店
1% 0%
I国支店
4% 3%
J国支店
バランスシートのイメージ図(金利は円建に引き直したもの)
• ユニクロモデル(資金を安いところで調達して高いところで運用するモデル)は
規模、利益水準の急激な拡大を見込めるが、大規模にやりすぎると将来どこかの
国でバブルを引き起こす可能性がある
• Global liquidity をめぐる今後の議論、規制動向を注視しつつ、総資産額10兆円到
達をめどに、フェーズ3以降は各国ごとに預貸を完結させる正攻法への転換を図
る予定
• 成長基盤+安定収益基盤の選別により収益性の向上を目指す
14. 事業展開まとめ
14
フェーズ 事業年度 新規展開国 事業モデル概要
ターゲット
総資産額
預貸マージン
(貸倒引当
後)
純利益額
(税引前)
1 1〜3 日本
国内最高金利での円預金の提供、
イギリス、アメリカ、オーストラリ
アのAAA格証券化商品に投資
2兆円 0.5% 50億円
2 4〜6
イギリス、アメリカ、オーストラ
リア、
ドイツ、カナダ、フランス(?)
資金の安い国で預金を集め、通貨を
スワップして、高い国での貸出のた
めの調達にあてる
10兆円 1.0% 500億円
3 7〜10
東南アジア、韓国、中国、
トルコ、メキシコ、ブラジル
成長の見込める国に進出。既存展開
国では、ユニクロモデルから各国そ
れ
ぞれでバランスシートが完結するモ
デ
ルへの転換を進める
20兆円 1.5% 1500億円
4 11〜 ?
安定収益基盤、成長基盤をもち、バ
ラ
ンスシートは各国ごとに完結。利ざ
や
のとれない国での業務は縮小
50兆円 2.0% 5000億円
18. 潜在的 Competitor
1. 日本の大手銀行
• 証券化商品は事務コスト+マージンが発行体にとられてしまううえ過度なクレ
ジットエンハンスメントが現在はされているため利ざやが薄く(それでも日本
での貸出よりは厚い)、海外貸出を自力で行った方が合理的。実際に大手銀行
の行動はそうなっている
2. 日本の地方銀行
• こういったビジネスモデルの成否はトップマネジメントの理解、管理する会議
体の存在などガバナンスの仕組にかかっており、現在の地方銀行が実行する可
能性はないと結論
• International Bank の成功をみて追随する銀行がある可能性はあるが、その時は
International Bank は既に次のフェーズ(自力での海外貸出)に進んでいる
3. 同じビジネスモデルを用いた新規参入行
• 金利競争でマージンが薄くなる可能性はあるものの、高金利預金市場の認知度
向上につながる。(ただし、現在の日本で競合行が現れてくれるか疑問 → ス
ライド19を参照)
4. 資金不足の国の外国銀行在日支店
• 相当の高金利を他国で提示しており、もし日本に参入してきたら円預金の金利
競争は難しい。「和製高金利円預金」というストーリーで勝機を狙うことにな
るか
• 金融庁が年内に外国銀行在日支店の取り扱いに関する銀行法、預金保険法改正
18
23. 金融庁の認可はおりるのか?
International Bank に銀行免許が与えられると考える理由
• 近年銀行免許が与えられたシティバンク銀行、SBJ銀行は日本で集めた預
金の大部分を本国へ(無担保で)回金しているという事実がある
• 担保付資産で運用するInternational Bank のモデルの方が保守的なモデル
であり、経営陣のガバナンス能力に対して信頼が得られれば銀行免許は
付与されると考える
考慮が必要な点
• 日本振興銀行の破綻(2010年)以来、当該銀行を想起させるビジネ
スモデル(高金利預金、ナローバンク)に対して金融庁が非常に否定的
になっているとされる
• 実際には当該銀行の倒産と高金利預金、ナローバンクというビジネスモ
デルに因果関係はない。(倒産は日本の資金循環構造に逆らった中小企
業への無理な貸出姿勢およびそれを許したガバナンスが原因)
• モデルにしているINGダイレクトは日本での銀行免許取得前に撤退(2
007〜2010年) 23
25. 開業時の組織(CEO)
25
Chief Executive
Officer x 1
Chief Investment
Officer x 1
Chief Operation
Officer x 1
Chief Control
Officer x 1
Chief
Infrastructure
Officer x 1
Chief Service
Officer x 1
• 一部の役職は当初兹務とし、開業時の職員数は55人程度を予定
26. 開業時の組織 (CIO、COO)
26
Chief Operation
Officer x 1
経営企画部
経済調査 x 1
事業企画 x 1
マーケティング x 1
IR x 1
事務サポート x 1
人事総務部
人事シニア x 1
人事ジュニア x 1
総務 x 1
Chief Investment
Officer x 1
資金運用部
ALM x 1
証券化商品運用 x 1
国債•資金運用 x 1
事務サポート x 1
営業統括部
シニアオフィサー x 2
ジュニアオフィサー
x 1
27. 開業時の組織(CCO)
27
Chief Control
Officer x 1
財務部
戦略会計 x 1
制度会計 x 1
事務サポート x 2
リスク管理部
市場リスク x 1
信用リスク x 1
オペレーショナル
リスク x 1
事務サポート x 2
事務統括部
リテールシニア x 1
リテールジュニア x
2
ホールセール
シニア x 1
ホールセール
ジュニア x 2
法務コンプライアン
ス部
法務 x 1
コンプライアンス x
1
事務サポート x 1
30. 財務計画(当初5年間)
30
• 規模、事業モデルに応じた自己
資本比率を維持するために、
フェーズ1およびフェーズ2の
初年度に100億円ずつの資本
金が必要
• コスト/インカム•レシオは25-
40%程度での推移を予定
• 平均RWAはフェーズ1で12%、
フェーズ2で16.5%をターゲッ
ト
• ROEはフェーズ1で35%、フェー
ズ2で75%をターゲット
*コスト(人件費、インフラ、マーケティング)数値は再度要確認
(億円)
事業年度 1 2 3 4 5
総資産 額 6,700 13,300 20,000 46,700 73,300
NIM 0.50% 0.50% 0.50% 0.67% 0.83%
NII 34 67 100 313 608
人件費 5 10 20 40 80
インフラ 2 5 15 30 60
マーケティング 2 2 2 20 30
税引前純利益 25 50 63 223 438
資本金 100 100 100 200 200
剰余金 22 74 137 360 798
自己資本 122 174 237 560 998
平均RWA 12.0% 12.0% 12.0% 13.5% 15.0%
自己資本比率 15.2% 10.9% 9.9% 8.9% 9.1%
ROE 24.5% 40.6% 36.2% 51.0% 78.3%
NIM…Net Interest Margin…ここでは貸倒引当後
NII…Net Interest Income
37. International Bank の方針
• 設立当初、International Bank のリスク管理指針において金利リスク•アペタイ
トはゼロと設定する(金利リスクをとることによりイールド•ギャップ分の利
ざやを稼ぐことは全くしない)
• International Bank は事業の初期段階においてはユニクロモデルによって預貸利
ざやを得ることに集中し、日本国債への投資は収益を得るためのものではな
く、コストを払って資金流動性を確保するためであると認識する
• 日本国債への投資は短期債の購入、または財政への信認度合いに応じて中長
期債に投資する場合でも金利リスクは全て変動金利とする(または定期預金
の金利リスクとマッチさせる)
• その他の貸出、証券化商品投資においても、金利リスクは変動金利にするか
定期預金金利の金利リスクとマッチさせ、金利リスクは一切とらない
37
市場金利の急上昇が起こると、経済の混乱による貸倒の増加は避けられないが、
金利上昇自体により損失をこうむることはないどころか市場金利の上昇に
「100%」連動して預金金利を引き上げることも可能(貸出の金利リスクを変
動金利にしているため)なため預金の価格競争力が劇的に向上し、
International Bank の経営の自由度は大幅に増すと考えられる
39. モデル•バランスシート(フェーズ1)
39
資産 負債
日本国債
円定期預金
外貨預金
証券化商品
その他貸出
企業貸出
資本金
15%, 0%, L-10 15%, L+0
5%, 50%, L+250
10%, 25%, L+50
70%, 10%, L+120
84%, L+40
*数値:”% of B/S”, “RWA”, “スプレッド(vs市場金利)”
グローバル資金フ
ローによる「構造
的」な通貨スワップ
価格の歪みにより、
低コストで日本一金
利の高い外貨預金が
提供できる。(のに、
それをやる日本の銀
行なし)
安い外貨預金でファ
イナンスすることに
より、資金流動性確
保のための日本国債
保有によるコストを
最小化
初期段階では、参入
の比較的容易なシン
ジケートローンを選
好(残高を積むため
に無理な貸出を行う
ことを防ぐ)
住宅ローン、リテー
ル無担保ローンもナ
ローバンクの段階や
それ以後の段階で残
高を積めるか検討の
予定
その他貸出では、比
較的リスクが高いが
成長が見込める新興
企業にも融資
40. モデル•バランスシート(フェーズ2)
40
資産 負債
国債
定期預金
外貨預金
証券化商品
その他貸出
資本金
10%, 0%, L-20
5%, L+0
5%, 50%, L+300
15%, 10%, L+120
69%, L+40
*数値:”% of B/S”, “RWA”, “スプレッド(vs市場金利)”
リテール貸出
35%, 25%, L+300
地方債
10%, 0%, L+0
企業貸出
25%, 25%, L+200
25%, L+20
普通預金
ネット銀行モデル、
支店展開モデルを採
用する場合は普通預
金も提供
普通預金は、低コス
トで日本最高金利を
提供できる。ただし、
要求されるリスク管
理の水準は高度化し
ている
「コア預金モデル」
で矛盾を隠す銀行は
普通預金の本質にあ
と10年は気がつか
ないと予想
日本でも、地方債
の金利が自由化さ
れてリスクリター
ンプロファイルが
適正化されれば積
極的に投資するこ
とを予定
49. サンタンデール銀行とは
• スペインの大手銀行。スペイン国政府より信用格付が高い
• 2012年第1四半期には、現在の金融危機にも関わらず1600億円の純利益を計
上
• ブラジルを中心とした南米で成長、アメリカ、イギリスを中心とした欧米で
安定収益を得て、経済危機に陥っているスペイン、ポルトガルでは徹底的に
リストラを行うとしている
• この結果、2012年第1四半期のスペインの利益寄与度はたったの12%
• リーマンショック後、所属国のスペインで貸出先の選別を行ってきたことか
ら現在の混乱の中でもスペイン国内での貸倒は平均に比べて低い
• 多くの銀行が所属国本部のバランスシートと海外支店のバランスシートを補
完関係にしている(ハブ&スポークモデル)のに対し、各国支店ごとにバラ
ンスシートが完結する支店独立モデルを採用
• 資本の有効活用のために、シェアでTop 5にはいれない国からは撤退すると
している
ソース:Grupo Santanderディスクロージャー 49