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自立型組織への組織改革について
- 3. 目次
第一章 自立性の高い組織を構築する ・・・・・・・・・ 5
【1】ピラミッド組織から自立組織へ
・自立と自立
・高い自立性が求められる経営環境とは
【2】ソリューションビジネスと自立組織
【3】先行指標に基づくセルフマネジメント
・結果指標より先行指標
・バランススコアカードのアプローチ
・自立組織実現のための基本的要件
・第一線のリーダーの存在
・コーチング的マネジメントおよび少ないルールと多くのリソース
・仕事へのコミットメント
・結果指標より先行指標
・バランススコアカードのアプローチ
・ビジョンやバリューの共有
・組織品質の管理
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第二章 組織の序列を流動化させる ・・・・・・・・・ 5
【1】秩序維持という階層の機能と価値観としての序列
【2】序列固定化の弊害
【3】制度精緻化では流動化できない
【4】序列流動化の方法論
【5】序列重視から機能重視へ
【6】4つのフェーズ
【7】健全な序列流動化を生むステータスオークション
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第三章 柔軟で自立的な組織マネジメントを実現する ・・・・・・・・・ 5
【1】柔軟なチームの特徴
【2】目標管理はなぜうまくいかないのか
【3】個人の役割と目標が固定的か柔軟化
【4】抽象性の高いメッセージの伝達
【5】柔軟な組織のリーダーのマネジメントスタイル
【6】支援的マネジメントスタイル
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第四章 リーダーシップを開発する ・・・・・・・・・ 5
【1】リーダーの人材要件の重層性
【2】人材タイプによる重要要件の違い
【3】個人の役割と目標が固定的か柔軟化
【4】リーダーに求められる能力と資質
【5】コンピタンシーとしての WHAT 構築能力
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- 4. 【6】リーダー育成確保の方法論
【7】リーダーシップを育む土壌
・ソニーのケース
・ミスミのケース
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第五章 自立組織を実現している企業 ・・・・・・・・・ 5
【1】事例紹介 ミスミ
【】ミスミの制度
導入プロセス
【】ED コントライブ
【】PD 制度
【】導入プロセス
【】アメーバ経営
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第六章 個人主導のキャリアマネジメント ・・・・・・・・・ 5
【】柔軟で自立的なキャリアマネジメントを実現する
【】事例紹介 リクルート
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第七章 成果主義に納得性をもたらす 360 度多面的評価 ・・・・・・・・・ 5
【】事例紹介 GE
【】GE 評価制度
【】導入プロセス
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- 16. ここで、序列の概念を軸に組織がどのように進化してきたか、そして、今後どの要綱で変化していくか
を4つのフェーズでもう一度整理しておく。
【組織序列の4つのフェーズ】
第一フェーズ:機能としての階層から価値観としての序列へ
第二フェーズ:人生の目的化と序列の制度化 (序列の固定化)
第三フェーズ:序列の流動化 (序列重視の価値観)
第四フェーズ:序列重視から機能重視 (自立的な組織)
6. 健全な序列流動化を生むステータスオークション
ステータスオークションとは、直訳すれば、"実力の競り売り"という意味になるが、動物生態学の用語
で、どちらが実力的に強いかを競うとき、実際に闘うのではなく、自分の胸を叩く、歯茎を剥き出しにす
るなど、なんらかの示威行為をお互いにすることによって優劣を決め、服従あるいは禅譲の意思を表明す
ることをいう。
つまり、ステータスオークションにより日常的にお互いの強さを試し合い、最終的な殺し合いをせずに、
序列の流動化を実現し、最も力のあるものが最上位に座るという序列の秩序が担保される。ステータスオ
ークションが行われるのは、常に最強のサルをボスに就けることにより、群れの力を維持し、他の強い群
れに襲われる危険性を避けるためだ。
ビジネスの世界においても、序列の流動化をより効果的に実現するうえで、このステータスオークショ
ンが日常的にどれだけ機能しているかが、大きなポイントになる。つまり、何らかの形で相手の実力を知
ると同時に、自分の実力を知ると同時に、自分の実力に気づく場を日常的に設けることができるかどうか。
例えば、上司も部下も一堂に介し、創造的なアイデアや企画を自由に提案し合うブレーンストーミング、
社内公募制の整備などにより部下が上司を選べるようにする市場原理型の柔軟なチーム組み替え10
、それぞ
れが出した成果をみんなが知ることのできる場の設定など、さまざまな形でステータスオークションが考
えられる。
ブレーンストーミングでただ黙って聞いているだけで質問にも明確に答えられないリーダー、社内公募
しても部下が集まらない、あるいは、自分の部下が社内公募にどんどん応募して離れていくようなライン
長、明らかに成果を出していないことが誰の目にもわかってしまうような上司などは、現実に実力がない
ことがされけ出されてしまう。
GEで行われているワークアウト11
と呼ばれる場も、スタータスオークションの一種と考えられる。それぞ
れの職場ごとに一泊二日などの期間を設定してTQCの発表会のような場を設ける。そして、第一線の社員た
ちに自分たちの職場についてディスカッションさせ、一人ひとりに具体的な問題定義と解決案を次々発表
させていく。職場のリーダーはすべての提案に対してそれを行うか行わないかを全員の前で即決即断しな
ければならない。なぜなら、GEのリーダーシップバリューには、即決即断も要件の一つに入っているから
だ。イエスと答えれば、リーダーとして遂行責任を負わなければならないし、ノーと却下すれば、アイデ
アを出した人間に対し、明確な理由づけと今後の方向づけを与えなければ、納得性は得られない。その場
にはリーダーを統轄する役割の統轄責任者も出席し、後ろに座って一部始終を聞いている。まさに、リー
ダーとして機能しているかどうかが試される場である。こうしたステータスオークションの場がいろいろ
な場面で設定されることにより、自然な流動性が担保される。
これに対し、日本の場合、序列上位の人間に対し、恥じをかかせないことが部下の最大の使命となって
いるような組織が依然多く、ステータスオークションが成り立ちにくい土壌がある。しかし、ステータス
オークションがあまりにも少なく、序列の固定化が進むと、サルの群れが他の強い群れに襲われるように、
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11 ワークアウト
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