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ネーミングライツがいよいよ第 2 段階へ
                           -味の素スタジアムの契約更新を受けて-


                                                            ボーダーゼロ
                                                           2007 年 11 月

   公共施設へのネーミングライツでは国内初めての事例として知られている味の素スタジアム(東京スタジ
 アム)の契約更新が今日(11/30)発表された。6 年間で総額 14 億円。過去 5 年間の契約総額 12 億円で
 あることから、単年当たりの契約額では大きく違いは見られない。かくいう筆者、今回の味の素スタジアムの
 契約更新の行方が、国内でネーミングライツビジネスが今後普及していく上での試金石となると見ており、同
 見解についてはさまざまな場所で言ってきた。契約金額および露出も他案件と比較して大きなこれら案件の
 契約条件が、施設側から見て極端に悪化(=契約期間の短縮、契約金額の減少など)したなら、今後の案件
 の募集において施設側に極めて不利な立場にやられてしまいかねなかったからだ。

   なお、今回のレポートもこれまでと同様プロ野球の球場および J リーグのスタジアムを対象とした「球技場」
 のみを扱っている。

   まず、今回の味の素スタジアムの更新の意義について簡単にまとめてみたい。今回の更新には、今後の
 ネーミングライツビジネスにおいて 2 つの大きな意味があることを挙げておきたい。

   1) 契約期間の長期化

   2) 単年契約金額の維持

   1) これまでの 5 年間の契約期間が 1 年延びて、新たな契約期間が 6 年間となり味の素スタジアムの合
       計契約期間は 11 年間となる。今回の味の素の案件は、国内ではじめてネーミングライツが契約延長
       されたケースに該当する。なお、更新ではないが契約満了に伴い別のスポンサーが契約締結に至っ
       た事例は 2 件ある(神戸グリーンスタジアムのスポンサーは Yahoo!BB からスカイマークへ、西武球
       場のスポンサーはインボイスからグッドウィル・グループへ)。1 社が契約更新を含めて 10 年以上にも
       及ぶ期間の契約を結ぶということは、スポンサーがネーミングライツは取得目的を満たすに値する仕
       組みであると認めた、長期間締結のメリットが見出せたと解釈できないだろうか。

   2) 単年契約金額は従来の 2.4 億円/年からさほどかわらない金額(約 2.3 億円/年)で落ち着いたことは
        ちょっとした驚きである。球技場案件での平均単年契約金額は 1.5 億円弱で(表 1 参照)、味の素スタ
        ジアムはプロ野球のフランチャイズでなく連日露出されるような高い稼働率が期待できないなどなどか
        ら、場合によっては 2 億円を下回る金額で契約が更新されるのではと予想していたためだ。ここから
       は筆者の想像の範囲ではあるが、新たなスポンサーを募集している県営宮城球場(旧フルキャストス
       タジアム宮城)の募集金額が 2 億円であるにもかかわらず 3 社が応募していることが、味の素スタジ
       アムの契約金額の決定に追い風(施設運営者にとって)として吹いたのかもしれない。


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表 1 《各球技場のネーミングライツ契約状況》




   2007 年春、弊社では既存ネーミングライツスポンサーへのアンケート調査を実施した(ネーミングライツ
 のいま -スポンサーの声からこれからを考える-)。アンケート結果から、ネーミングライツへの高い満足度お
 よび既存案件に対する更新意欲の大きさがデータとして現れていたのは、味の素スタジアムの更新を心配し
 ていたことはいささか大げさだったのかもしれない。

   大阪ドーム(現京セラドーム大阪)にネーミングライツが 2006 年春に導入されたのを最後に新たな導入が
 途切れていた球技場へのネーミングライツ。だが、2007 年に入り神戸ウイングスタジアム(現ホームズスタ
 ジアム神戸)や募集活動に苦戦していた新潟スタジアム(ビッグスワン)(現東北電力ビッグスワンスタジア
 ム)の契約締結が発表されるなど、復活の兆しを見せ始め(表 2 参照)、2008 年から導入されるものが既に
 発表されるなど 2007 年はネーミングライツの再出発の年だと言える。募集を発表したにもかかわらずなか
 なかスポンサーが手をあげずに契約にいたるまで難儀するケースが多かったというのが 2007 年の特長とし
 て挙げられる。




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表 2 《各球技場のネーミングライツ契約期間》




   現在、球技場のみならず多様な案件で新たな運営費確保の手段としてネーミングライツを募集するケース
 が多く見られる。だが、これら案件も 2007 年に契約にどうにか至ったもの同様、さまざまな理由から苦戦す
 ることが予想される。これから募集を開始しようと検討している施設運営者は、募集案件はどのくらい露出が
 期待できるのかなど、案件の特徴に沿った対策を十分に練ってから取り組むことを推奨しておきたい。

   味の素スタジアムの契約が大きな見直しも無く延長されたことは、2007 年暮れのネーミングライツビジネ
 スおよび自治体による広告ビジネスにおいて良いニュースだと評価したい。今後数年は、新規契約案件の募
 集と同じくらい、契約延長に対する関心が高まることと思われる。まずは、スカイマークスタジアムおよび、契
 約延長には該当しないが新たなスポンサー契約を目指す県営宮城球場の動向に注目したい。
                                                                                       以上

                     《お問合せ先》
                         ボーダーゼロ Border Zero                 福元 聖也(ふくもと まさや)
                         URL:http://www.borderzero.com           U




                                                     3/9(水)に施設管理・運営者を対象としたネーミングライツ
                                                導入に向けたセミナーを開催します。
                                                http://www.borderzero.com/semnr.html

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【ボーダーゼロによるネーミングライツ関連資料(弊社 HP 掲載分)】
   『日本にネーミングライツを浸透させるために―アメリカのネーミングライツ導入実態調査から―』
   2005/5 (http://www.borderzero.com/namingJP1.html)

   『アメリカのネーミングライツ導入競技場リスト』
   2005/5 (http://www.borderzero.com/namingJP2.html)

   『日本でのネーミングライツ最新導入状況―2005 年以降じわりと普及が進むネーミングライツ―』
   2006/3 (http://www.borderzero.com/namingJP3.html)

   『全米 4 大プロスポーツ施設のネーミングライツ導入状況(2006 年版)』
   2006/8 (http://www.borderzero.com/namingJP4.html)

   『個人向けネーミングライツの将来やいかに?-企業向けネーミングライツとの比較から理解する-』
   2007/6 (http://www.borderzero.com/namingJP5.html)

   『ネーミングライツのいま –スポンサーの声からこれからを考える』
   2007/3 (http://www.borderzero.com/naming07.html)

   『正念場を迎える 2010 年度のネーミングライツに向けて』
   2010/3 (http://www.borderzero.com/namingJP7.html)


【メディア紹介・執筆実績】

   日経産業新聞 2006/3/10 「ビジネス+ 「施設の命名権契約、米長日短」」

   日本経済新聞 2006/6/5                「法務インサイド 「命名権 使い勝手は?」」

   サンスポ            2006/6/6       「甘口辛口」

   産業新潮             2006/12/1 「広告収入で運営費軽減 真の win-win 関係を」

   日本能率協会 2007/1/22 「自治体の広告導入ガイドブック」 第 5 章 実例にみる広告導入の留意点

   産経新聞             2007/4/20 「華やか命名権ビジネスの実態は 苦戦続く地方自治体」

   SMR              2007/4/25 「日本のスポーツ界に『富』を与える“戦略的”ネーミングライツ活用法」

   読売新聞             2008/4/15 「大手町博士のゼミナール」

   北海道新聞            2010/3/31 「施設の命名権契約 明暗くっきり」

   スポーツニッポン 2010/11/22 「興味新深」

                                                           ※2011 年 2 月 一部改訂



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ネーミングライツがいよいよ第2段階へ

  • 1. ネーミングライツがいよいよ第 2 段階へ -味の素スタジアムの契約更新を受けて- ボーダーゼロ 2007 年 11 月 公共施設へのネーミングライツでは国内初めての事例として知られている味の素スタジアム(東京スタジ アム)の契約更新が今日(11/30)発表された。6 年間で総額 14 億円。過去 5 年間の契約総額 12 億円で あることから、単年当たりの契約額では大きく違いは見られない。かくいう筆者、今回の味の素スタジアムの 契約更新の行方が、国内でネーミングライツビジネスが今後普及していく上での試金石となると見ており、同 見解についてはさまざまな場所で言ってきた。契約金額および露出も他案件と比較して大きなこれら案件の 契約条件が、施設側から見て極端に悪化(=契約期間の短縮、契約金額の減少など)したなら、今後の案件 の募集において施設側に極めて不利な立場にやられてしまいかねなかったからだ。 なお、今回のレポートもこれまでと同様プロ野球の球場および J リーグのスタジアムを対象とした「球技場」 のみを扱っている。 まず、今回の味の素スタジアムの更新の意義について簡単にまとめてみたい。今回の更新には、今後の ネーミングライツビジネスにおいて 2 つの大きな意味があることを挙げておきたい。 1) 契約期間の長期化 2) 単年契約金額の維持 1) これまでの 5 年間の契約期間が 1 年延びて、新たな契約期間が 6 年間となり味の素スタジアムの合 計契約期間は 11 年間となる。今回の味の素の案件は、国内ではじめてネーミングライツが契約延長 されたケースに該当する。なお、更新ではないが契約満了に伴い別のスポンサーが契約締結に至っ た事例は 2 件ある(神戸グリーンスタジアムのスポンサーは Yahoo!BB からスカイマークへ、西武球 場のスポンサーはインボイスからグッドウィル・グループへ)。1 社が契約更新を含めて 10 年以上にも 及ぶ期間の契約を結ぶということは、スポンサーがネーミングライツは取得目的を満たすに値する仕 組みであると認めた、長期間締結のメリットが見出せたと解釈できないだろうか。 2) 単年契約金額は従来の 2.4 億円/年からさほどかわらない金額(約 2.3 億円/年)で落ち着いたことは ちょっとした驚きである。球技場案件での平均単年契約金額は 1.5 億円弱で(表 1 参照)、味の素スタ ジアムはプロ野球のフランチャイズでなく連日露出されるような高い稼働率が期待できないなどなどか ら、場合によっては 2 億円を下回る金額で契約が更新されるのではと予想していたためだ。ここから は筆者の想像の範囲ではあるが、新たなスポンサーを募集している県営宮城球場(旧フルキャストス タジアム宮城)の募集金額が 2 億円であるにもかかわらず 3 社が応募していることが、味の素スタジ アムの契約金額の決定に追い風(施設運営者にとって)として吹いたのかもしれない。 Copyright ©2007-. Border Zero All rights reserved. -1-
  • 2. 表 1 《各球技場のネーミングライツ契約状況》 2007 年春、弊社では既存ネーミングライツスポンサーへのアンケート調査を実施した(ネーミングライツ のいま -スポンサーの声からこれからを考える-)。アンケート結果から、ネーミングライツへの高い満足度お よび既存案件に対する更新意欲の大きさがデータとして現れていたのは、味の素スタジアムの更新を心配し ていたことはいささか大げさだったのかもしれない。 大阪ドーム(現京セラドーム大阪)にネーミングライツが 2006 年春に導入されたのを最後に新たな導入が 途切れていた球技場へのネーミングライツ。だが、2007 年に入り神戸ウイングスタジアム(現ホームズスタ ジアム神戸)や募集活動に苦戦していた新潟スタジアム(ビッグスワン)(現東北電力ビッグスワンスタジア ム)の契約締結が発表されるなど、復活の兆しを見せ始め(表 2 参照)、2008 年から導入されるものが既に 発表されるなど 2007 年はネーミングライツの再出発の年だと言える。募集を発表したにもかかわらずなか なかスポンサーが手をあげずに契約にいたるまで難儀するケースが多かったというのが 2007 年の特長とし て挙げられる。 Copyright ©2007-. Border Zero All rights reserved. -2-
  • 3. 表 2 《各球技場のネーミングライツ契約期間》 現在、球技場のみならず多様な案件で新たな運営費確保の手段としてネーミングライツを募集するケース が多く見られる。だが、これら案件も 2007 年に契約にどうにか至ったもの同様、さまざまな理由から苦戦す ることが予想される。これから募集を開始しようと検討している施設運営者は、募集案件はどのくらい露出が 期待できるのかなど、案件の特徴に沿った対策を十分に練ってから取り組むことを推奨しておきたい。 味の素スタジアムの契約が大きな見直しも無く延長されたことは、2007 年暮れのネーミングライツビジネ スおよび自治体による広告ビジネスにおいて良いニュースだと評価したい。今後数年は、新規契約案件の募 集と同じくらい、契約延長に対する関心が高まることと思われる。まずは、スカイマークスタジアムおよび、契 約延長には該当しないが新たなスポンサー契約を目指す県営宮城球場の動向に注目したい。 以上 《お問合せ先》 ボーダーゼロ Border Zero 福元 聖也(ふくもと まさや) URL:http://www.borderzero.com U 3/9(水)に施設管理・運営者を対象としたネーミングライツ 導入に向けたセミナーを開催します。 http://www.borderzero.com/semnr.html Copyright ©2007-. Border Zero All rights reserved. -3-
  • 4. 【ボーダーゼロによるネーミングライツ関連資料(弊社 HP 掲載分)】 『日本にネーミングライツを浸透させるために―アメリカのネーミングライツ導入実態調査から―』 2005/5 (http://www.borderzero.com/namingJP1.html) 『アメリカのネーミングライツ導入競技場リスト』 2005/5 (http://www.borderzero.com/namingJP2.html) 『日本でのネーミングライツ最新導入状況―2005 年以降じわりと普及が進むネーミングライツ―』 2006/3 (http://www.borderzero.com/namingJP3.html) 『全米 4 大プロスポーツ施設のネーミングライツ導入状況(2006 年版)』 2006/8 (http://www.borderzero.com/namingJP4.html) 『個人向けネーミングライツの将来やいかに?-企業向けネーミングライツとの比較から理解する-』 2007/6 (http://www.borderzero.com/namingJP5.html) 『ネーミングライツのいま –スポンサーの声からこれからを考える』 2007/3 (http://www.borderzero.com/naming07.html) 『正念場を迎える 2010 年度のネーミングライツに向けて』 2010/3 (http://www.borderzero.com/namingJP7.html) 【メディア紹介・執筆実績】 日経産業新聞 2006/3/10 「ビジネス+ 「施設の命名権契約、米長日短」」 日本経済新聞 2006/6/5 「法務インサイド 「命名権 使い勝手は?」」 サンスポ 2006/6/6 「甘口辛口」 産業新潮 2006/12/1 「広告収入で運営費軽減 真の win-win 関係を」 日本能率協会 2007/1/22 「自治体の広告導入ガイドブック」 第 5 章 実例にみる広告導入の留意点 産経新聞 2007/4/20 「華やか命名権ビジネスの実態は 苦戦続く地方自治体」 SMR 2007/4/25 「日本のスポーツ界に『富』を与える“戦略的”ネーミングライツ活用法」 読売新聞 2008/4/15 「大手町博士のゼミナール」 北海道新聞 2010/3/31 「施設の命名権契約 明暗くっきり」 スポーツニッポン 2010/11/22 「興味新深」 ※2011 年 2 月 一部改訂 Copyright ©2007-. Border Zero All rights reserved. -4-