否定側 スピーチ
- 1. 否定側 スピーチ<br /> 否定側は『公正かつ正確な裁判の実現』を立脚点に掲げ、日本の公訴時効制度撤廃に反対します。<br />では、公訴時効制度が必要である現状について説明します。<br /> 1点目の論点は『警察機関の公正かつ円滑な捜査の助長』です。<br />日本弁護士連合会は、2009年6月に提出した「公訴時効制度の在り方に関する意見書」の中で、現在の捜査資源の乏しさから、長期にわたる捜査員の配置に疑問を投げかけています。以下、同書から引用します。「現実の警察の捜査資源からして,すべての事件に長期的に捜査本部なり捜査員を配置することは無理である。公訴時効期間の大幅な延長は警察に相当の負担とならざるを得ない。また,限られた捜査資源を有効に用いるためには,時間の経過による事件ごとの捜査側の合理的な裁量による資源の配分が必要にならざるを得ない。」引用終わり。このように、時効が撤廃されることによってかかる捜査機関への負担は膨大なものであり、新たに起こる事件に十分な捜査能力を発揮できない恐れがあります。また、時効撤廃とは、強いて言えば「犯罪行為から長期間が経過し、およそ犯人が生存していないと考えられる場合であっても、時効は完成せず、捜査本部が解散することはできない」という意味であり、これは制度としておかしいと言わねばなりません。更に、時効期間が延長すれば、捜査資源の振り分け、すなわち優先度の順位付けが一層必要にならざるを得ず、そこに意図的な選びとりが無いとは言い切れないため、被害者やその遺族にとっては、捜査の不平等さが増すと考えられます。<br /> 2点目の論点は『冤罪被害者増加の防止』です。<br />人は、自分が被害者になったことは容易に想像できても、自分が加害者になるというのはなかなか実感できません。しかし、現実問題として、50年前の自分の行為をとがめられた場合に、その時自分がどこで何をしていたかというのを思い出せる人というのはほとんどいないでしょう。証拠や証人を見つけるのにも、膨大な時間と人手・資金が必要になると予想されます。つまり、被告人側の防御活動が困難となり、これが冤罪につながる恐れがあるのです。過去の事例を見てみると、弘前大学教授夫人殺人事件のように、時効完成後に真犯人が自ら出頭したために、冤罪を被った被告が再審無罪で釈放されるという可能性も少ないながら存在します。公訴時効を廃止したり、延長したりすることによって、そのような冤罪被害者の救済の道を閉ざしてしまうことにもなりかねません。<br /> 前回の改正から数年しかたっていない今、改正された時効制度がどのように機能するかを見ないままに新たに改正を求めるというのは、時効制度の延長はもちろん、時効制度廃止の立法理由としても成り立ちません。<br /> 結論として、日本は公訴時効制度撤廃を延期し、再考慮すべきです。<br />以上、『』のために 日本の公訴時効制度存続を求めます。<br />