人形劇によるロールプレイ学習支援システムの
開発と実験的評価
望月 俊男*1 佐々木 博史*2 脇本 健宏*3 平山 涼也*1 久保田 善彦*4 鈴木 栄幸*5
*1専修大学 *2神戸大学 *3青山学院大学 *4宇都宮大学 *5茨城大学
ロールプレイを活性化する“触媒”としての人形劇 (望月ほか 印刷中)
背景:即興性が有効なロールプレイ訓練
危機管理訓練
ロールプレイ訓練:即興性が必要な分野例
看護医療教育 教師教育
ロールプレイ学習支援システム「えでゅーすぼーど」 (望月ほか 2012)
「えでゅーすぼーど」の予備的評価:教師教育の文脈で
ARマーカー + LED(赤・青)による
位置・状態推移の記録
演技の会話はマイクで録音
Web上で授業シミュレーションをアニメ再生
タイムライン上に相互コメント⇒リフレクション
I1: 教師の<授業の流れ>に沿う発言
I2: 教師の<授業の流れ>に沿わない発言
R1 : 生徒の<授業の流れ>に沿う発言
R2 : 生徒の<授業の流れ>に沿わない発言
V: 授業の流れと独立した生徒の声
【事例1】*Bが教師役、C, Dが生徒役(中学数学)
D(女子役で):私教科書忘れちっゃたんだけど.
C(女子役で): えー.私も忘れっちゃった.
B(教師役): えー.
C(別の子役で): 先生.MちゃんとSちゃんふたりとも教科書がな
いらしいです.
B: だめだね.じゃあ,Tくん.真ん中のTくん,みんなに見せて
あげてください.
C(Tくん役で):本当ですか?しょうがないですね.
B: はい.減点しますよ.
C: はい.ごめんなさい.
B: はい,じゃあ前の3人も相談してね.
D: Tくん,モテんじゃん,ヒューヒュー.
C(別の子役で): あっ,モテモテだ.
B: はいはい.人にちょっかい出さないでちゃんと前向いてね.
A:私も,(著者注:普段は)授業聞きながら書いちゃって
いて,最後にまとめて良いところ悪いところを分けてコメ
ントするタイプなので,実際こうやってコメント打つより
まとめた方が良いんですけど,こういうコメントの方が,
わざわざこうやって,ここのプリントのこの辺なんだけど
とか,最初にこんなふうに言ってたじゃんと言っても,分
かり辛かったように思うので,リアルタイムでコメントで
きた方が,ここなんだと見る側がわかりやすいなあって思
いました.
(中略)
司会:逆に,自分に入ってきたコメントを見るというのは
どうでしたか?タイムラインでコメントが見えている時.
C:なんでそう思ったのかを知りたいというのがいくつか
……
D:逆に言うと,この時点で人はこういうふうに思ったん
だっていう率直なのがわかるから,それはそれで良いと思
うんですよね.
5分間の数学授業の人形劇(えでゅーすぼーど)と、普通のマイクロティーチング(MT)×各3回
人形劇後には、相互に「えでゅーすぼーど」を使った相互コメント活動
「えでゅーすぼーど」使用後にグループインタビュー(約60分)
■発話傾向および内容の変化
発話をMehan(1979),Wood (1992),鈴木ほか(2010)をもとにカテゴリ生成し、分類(κ=.83)
Fisher’s exact testの結果
C:人形だから凄く演じやすかった.
D:確かに.
司会:人形だから演じやすいというのはなんで?
C:なんでだろう,……なんでなんですかね?
B:演じやすかった.
C:うん,演じやすかった.自分じゃないから.
D:ほとんどの子がそれでよく遊ぶから,入り込むんじゃないの
かな.
B:それはその(聴取不能)でいるから,普段だったら自分一人
だから真面目とか真面目じゃないとかあれだけど.
C:キャラがいるから.
B:途中で注意することもそんなにないので……途中だと,
いつ注意しようとタイミングを見計らいながら授業するの
が難しい.
D:リアルはリアルだったよね.
B:まあね.
C:リアルだった.
D:ここ,こうだったなあとか.
司会:どんなところがリアルだった?
D:寝ている人とか,ずっといるから…あとは,やっぱ……
C:喋り始める子とかね.
D:喋り始めちゃう子とか,茶々入れる子とかいるから……
⇒えでゅーすぼーどでは、多くの発話、MTでみられない多様な役割演技が生じる
○評価懸念の低減→演じやすい ○多様な役割演技→リアルなロールプレイ
■相互コメント活動の評価
3度の演技に平均18.3個(SD=2.52)の相互コメント
内容をRosaen et al.(2008)をもとに分類(κ=.88)
18 18 18 0
0
5
10
15
20
a) Focus on
teacher
management
b) Focus on
teacher
instruction
c) Focus on
children
management
d) Focus on
children
instruction
a) スムーズに授業を進めるための教師の役割や振る舞いについて
b) 授業の目標に向けた認知的・社会的効果のある指導について
c) 子どもの振る舞いに着目して、スムーズに授業を進めるため
子どものマネジメントについて
d) 指導に対する子どもの反応に着目した、認知的・社会的効果の
ある指導について
⇒教師・子ども双方の個々の言動に対して、
細かく、まんべんのないコメントが可能
⇒○言動に対してピンポイントに言及可能
△相互確認のディスカッションが必要
Webサーバ
データベース
■ダイナミックで複雑な現象を、他者視点で学ぶロールプレイ
■ロールプレイの中で
いかにリアルな参加者を想定できるかがカギ
■過剰適応(Landrousse 1989)や評価懸念(Cottrell et al. 1968)で
十分な演技ができないおそれがある
こうしたコミュニケーションや意思決定は、状況に対
応するために、次にどのような手を打つか、他の様々
な人物からのリアクション(多声)を想定しながら考
える対話的(dialogic)で、即興的なプロセス
対話理論(バフチン 1979)
心理的安全地帯
(Aronoff 2005)
人形(非自己)に
演者(自己)の振る舞いを投影
直接演じていないが、
自分の演技は同定して観察可能
バランスの良い演技参加が可能
とくに、従来持っている
信念システムを壊していく
(=他者視点を得て考える)には、
スクリプトベースではなく、
即興を重視することが多い
(Friedman 2004)
*本研究は科学研究費補助金事業JSPS#23700985, 23300295, 24300286 と、平成25年度専修大学研究助成(個別研究)を受けています。
(Resnick & Wilensky 1997; Landrousse 1989)
** ** * **
I1 I2 R1 R2 V

Jset2013 poster yoko

  • 1.
    人形劇によるロールプレイ学習支援システムの 開発と実験的評価 望月 俊男*1 佐々木博史*2 脇本 健宏*3 平山 涼也*1 久保田 善彦*4 鈴木 栄幸*5 *1専修大学 *2神戸大学 *3青山学院大学 *4宇都宮大学 *5茨城大学 ロールプレイを活性化する“触媒”としての人形劇 (望月ほか 印刷中) 背景:即興性が有効なロールプレイ訓練 危機管理訓練 ロールプレイ訓練:即興性が必要な分野例 看護医療教育 教師教育 ロールプレイ学習支援システム「えでゅーすぼーど」 (望月ほか 2012) 「えでゅーすぼーど」の予備的評価:教師教育の文脈で ARマーカー + LED(赤・青)による 位置・状態推移の記録 演技の会話はマイクで録音 Web上で授業シミュレーションをアニメ再生 タイムライン上に相互コメント⇒リフレクション I1: 教師の<授業の流れ>に沿う発言 I2: 教師の<授業の流れ>に沿わない発言 R1 : 生徒の<授業の流れ>に沿う発言 R2 : 生徒の<授業の流れ>に沿わない発言 V: 授業の流れと独立した生徒の声 【事例1】*Bが教師役、C, Dが生徒役(中学数学) D(女子役で):私教科書忘れちっゃたんだけど. C(女子役で): えー.私も忘れっちゃった. B(教師役): えー. C(別の子役で): 先生.MちゃんとSちゃんふたりとも教科書がな いらしいです. B: だめだね.じゃあ,Tくん.真ん中のTくん,みんなに見せて あげてください. C(Tくん役で):本当ですか?しょうがないですね. B: はい.減点しますよ. C: はい.ごめんなさい. B: はい,じゃあ前の3人も相談してね. D: Tくん,モテんじゃん,ヒューヒュー. C(別の子役で): あっ,モテモテだ. B: はいはい.人にちょっかい出さないでちゃんと前向いてね. A:私も,(著者注:普段は)授業聞きながら書いちゃって いて,最後にまとめて良いところ悪いところを分けてコメ ントするタイプなので,実際こうやってコメント打つより まとめた方が良いんですけど,こういうコメントの方が, わざわざこうやって,ここのプリントのこの辺なんだけど とか,最初にこんなふうに言ってたじゃんと言っても,分 かり辛かったように思うので,リアルタイムでコメントで きた方が,ここなんだと見る側がわかりやすいなあって思 いました. (中略) 司会:逆に,自分に入ってきたコメントを見るというのは どうでしたか?タイムラインでコメントが見えている時. C:なんでそう思ったのかを知りたいというのがいくつか …… D:逆に言うと,この時点で人はこういうふうに思ったん だっていう率直なのがわかるから,それはそれで良いと思 うんですよね. 5分間の数学授業の人形劇(えでゅーすぼーど)と、普通のマイクロティーチング(MT)×各3回 人形劇後には、相互に「えでゅーすぼーど」を使った相互コメント活動 「えでゅーすぼーど」使用後にグループインタビュー(約60分) ■発話傾向および内容の変化 発話をMehan(1979),Wood (1992),鈴木ほか(2010)をもとにカテゴリ生成し、分類(κ=.83) Fisher’s exact testの結果 C:人形だから凄く演じやすかった. D:確かに. 司会:人形だから演じやすいというのはなんで? C:なんでだろう,……なんでなんですかね? B:演じやすかった. C:うん,演じやすかった.自分じゃないから. D:ほとんどの子がそれでよく遊ぶから,入り込むんじゃないの かな. B:それはその(聴取不能)でいるから,普段だったら自分一人 だから真面目とか真面目じゃないとかあれだけど. C:キャラがいるから. B:途中で注意することもそんなにないので……途中だと, いつ注意しようとタイミングを見計らいながら授業するの が難しい. D:リアルはリアルだったよね. B:まあね. C:リアルだった. D:ここ,こうだったなあとか. 司会:どんなところがリアルだった? D:寝ている人とか,ずっといるから…あとは,やっぱ…… C:喋り始める子とかね. D:喋り始めちゃう子とか,茶々入れる子とかいるから…… ⇒えでゅーすぼーどでは、多くの発話、MTでみられない多様な役割演技が生じる ○評価懸念の低減→演じやすい ○多様な役割演技→リアルなロールプレイ ■相互コメント活動の評価 3度の演技に平均18.3個(SD=2.52)の相互コメント 内容をRosaen et al.(2008)をもとに分類(κ=.88) 18 18 18 0 0 5 10 15 20 a) Focus on teacher management b) Focus on teacher instruction c) Focus on children management d) Focus on children instruction a) スムーズに授業を進めるための教師の役割や振る舞いについて b) 授業の目標に向けた認知的・社会的効果のある指導について c) 子どもの振る舞いに着目して、スムーズに授業を進めるため 子どものマネジメントについて d) 指導に対する子どもの反応に着目した、認知的・社会的効果の ある指導について ⇒教師・子ども双方の個々の言動に対して、 細かく、まんべんのないコメントが可能 ⇒○言動に対してピンポイントに言及可能 △相互確認のディスカッションが必要 Webサーバ データベース ■ダイナミックで複雑な現象を、他者視点で学ぶロールプレイ ■ロールプレイの中で いかにリアルな参加者を想定できるかがカギ ■過剰適応(Landrousse 1989)や評価懸念(Cottrell et al. 1968)で 十分な演技ができないおそれがある こうしたコミュニケーションや意思決定は、状況に対 応するために、次にどのような手を打つか、他の様々 な人物からのリアクション(多声)を想定しながら考 える対話的(dialogic)で、即興的なプロセス 対話理論(バフチン 1979) 心理的安全地帯 (Aronoff 2005) 人形(非自己)に 演者(自己)の振る舞いを投影 直接演じていないが、 自分の演技は同定して観察可能 バランスの良い演技参加が可能 とくに、従来持っている 信念システムを壊していく (=他者視点を得て考える)には、 スクリプトベースではなく、 即興を重視することが多い (Friedman 2004) *本研究は科学研究費補助金事業JSPS#23700985, 23300295, 24300286 と、平成25年度専修大学研究助成(個別研究)を受けています。 (Resnick & Wilensky 1997; Landrousse 1989) ** ** * ** I1 I2 R1 R2 V