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マスメディアの影響と人々の心
- 1.
丸山直希<br />Japanese A2HL<br />3月23日<br />マスメディアの影響と人々の心<br />マスメディアとは今人々の中で、最も主流となっている情報媒体の一つである。しかし旧来型のマスメディアは力を持ちすぎてしまい、中立性に問題が出てきているうえ、政治家の発言の切り貼りなどで視聴者の多くに偏見を与えてしまっている。朝日新聞記事2008年1月29日(後述テクストA)と岸恵子の「巴里の空はあかね雲」(後述テクストB)の両テクストでは、動物の虐殺を題材にマスメディアの社会に与える大きな力を二つの大きな視点の違いから提起している。テクストAでは新聞記事という中立的な立場から、テクストBは、筆者の視点から各々の主題を提示している。これら二つのテクストは、同じ題材を使っていながら表現や構成を用いて、二つの異なる主題にたどりついている。ここから両テクストの共通点と相違点を提示し、各々の主題について表現から言及していく。<br />まず二つのテクストには視点の違いがあげられる。テクストAでは新聞記事ということから、第三者の視点、すなわち「神の視点」を用いて事実報道を行っている。比べて、テクストBでは随筆のため、一人称、つまり筆者本人の感情や心情表現を使い分けてストーリーを進めている。そして構成部分では、事実報道を主とするテクストAは背景事情や事件の概要を第一段落に載せて始めているが、テクストBではストーリーとして読み手に興味を持ってもらうために、故意に曖昧な出だしにしている。そしてその視点から、また大きく表現の仕方が変わってくる。テクストAでは中立的な立場から引用が少なく、彼ら新聞社の考えなどは載せていない。例としては環境保護団体グリーンピースの幹部のニュージーランドメディアへの勝利宣言、「われわれは100頭のクジラを救った」(1行目)など、当事者たちの言い分などがほとんどである。その分随筆であるテクストBでは、友人の「日本人というのは・・・」(4行目)やムスメの「なんてひどい人たちなの!」(17行目)の感嘆符やリードを用いて、登場人物の心理描写を表している。最後に、二つのテクストには大きな表現の違いが見られる。テクストAでの表現法はあくまで事実提示であり、他方への偏見を与えるような表現を避けている。しかしテクストBでは大きく異なり、まず「ひどい。ひどいわッ。」(一行目)などの聴覚に訴えかける音の描写で始まり、次第に視界に訴えかけるような情景描写、「血の海」(5行目)や「無残な光景」(7行目)を用いてストーリーを際立たせている。この二つの書き手の立場から、多くの相違点があることがわかる。<br />しかし題材が同じ所から、二つのテクストには共通点も見られる。両テクストが使用している題材が動物の虐殺であること。例として使用している動物は違うが、内容がメディアを通して広がっていることについて差異はない。テクストAでは、新聞記事という形でシー・シェパードら環境保護団体の言い分、日本が行っている調査捕鯨は虐殺であるとメディアを通して伝えている。同じくテクストBでテレビに流れるイルカの虐殺行為はマスメディアを通して筆者の家族に伝わり、そこから大きな偏見を生みだしている。そのほかにも同じような表現が双方で使われている。例としてテクストAよりシー・シェパードの「過激な活動」(7行目)や、テクストBである「野蛮人」(8行目)や「無残な光景」(7行目)など、対象が違うが同じような表現で非難している部分が見える。これらをまとめて、テクストAでいう「日本悪玉論」(13行目)が、両テクストで見られている。メディアという大きな力が与える影響が多大なものだということがわかる。 <br />