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JASRACは独禁法違反か? & そこから派生する問題 岩田 彩
【感想】 ・JASRACは作曲家や作詞家から、その作品の著作権を委託されて管理し、  音楽の利用者から徴収し、著作権者に分配している。 ・今回問題となっているのは、「 JASRAC と放送事業者が締結している包括的利用許諾契約が、独   占禁止法が違反する『私的独占』に違反しているかどうか?」であるわけだが、JASRACが独占禁止法に違反するかどうかは実に微妙なところである。 2000年著作権等管理事業法が制定され、現在はJASRAC以外にも、イーライセンスやアジア著作協会といった著作権等管理事業者が出てきてはいる。 しかし、概要にもあるように、JASRACが放送事業者と結んでいる包括契約のせいで、放送事業者がJASRAC以外のところの楽曲を使わないというのが実情である。 ・2000年に著作権管理事業法が制定されたことにより明らかに独占禁止法違反、とは言えなくなったが、まだまだ他者の参入を許さない独占市場だと思う。このような状態を招いたのは、もちろん政府のガイドライン不足もあるが、JASRACを選び続ける放送事業者にもあると思う。 新規事業者は、いかにJASRACと差別化し放送事業者にアピールしていくか、が今後の課題であろう。 参照ページ:  http://www.jasrac.or.jp/index.html  
そもそも・・・ “ 私的独占”とは 事業者が、単独に、他の事業者の事業活動を排除し、 公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に 制限すること。(独禁法2⑤) ・例外 “ 知的財産法による権利行使”により 著作権法、などによる権利の行使と認められる行為は、独禁法 適用除外となる。(同21) -> これにより、独占してきた。
【議論点】 ・新規参入者がJASRACと対等に経済競争出来るようにする  ためには、政府はどのような処置をすべきか? ・仮に音楽著作権管理業が自由競争市場になったとすると、企業は  価格競争にはしるのではないか?  ->その場合、作曲者の著作権は本当に守られるのか?  ( ≒違法性以外に、 音楽著作権管理業を自由市場にするメリットは     何か?) ・新規参入者は、どうやって自分を差別化していけばいいか? ・最終的に、著作権事業においては独占と自由競争市場のどちら  が優れていると思うか?

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