国際法の中で戦争時において適用されるルールとして武力紛争法(国際人道法ともいう)である。武力紛争法は、本来国家間の武力紛争を想定し、戦時中に各国の遵守すべき規則を定めたものである。その武力紛争の中でも人道的性質を発展させてきたのが1949年ジュネーヴ四条約(以下、ジュネーヴ諸条約)である。このジュネーヴ諸条約は、「傷病者の保護」、「海上傷病者の保護」、「捕虜の待遇」及び「文民の保護」の4つの条約からなり、戦争犠牲者の保護を規定している。
そこで問題となるのが、昨今世界各地で起こっている国際テロリズムをきっかけに国家とテロ組織の間で生じた武力衝突である。テロリストは文民ではなく、所属するテロ組織は国家ですらない。それではテロリストには戦時において人権は保障されていないのかという疑問が生じる。
そこでジュネーヴ4条約に共通する3条の適用ができるのではないかという観点から研究を進めている。