河野ゼミ	
  2016 年 12 月 9 日
政策提案	
  皇室:生前退位について
3 年	
  宮原七奈子	
  2 年	
  白木花恵
1
目次
・はじめに…2
・生前退位と公務負担の軽減…3
・皇室に関する法律…5
・生前退位をすることによる影響…13
discussion 1 あなたは天皇の生前退位について
賛成ですか、反対ですか…16
・政策提案 1
「特措法を成立させ、生前退位を認めさせる」…17
・政策提案 1 の利点、欠点…18
・政策提案 2
「臨時大綱を改正、摂政に権限を与え公務を可能に」…19
・政策提案 2 の利点、欠点…20
discussion 2 あなたは政策提案 1,2 のどちらに賛成ですか、
反対ですか?理由も明確に話し合ってください…21
・参考文献…22
2
はじめに	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
 
(文字数の関係により、基本的にさま、陛下は省略している)
みなさんは天皇が日常どのような公務をやっているかをご存知だろうか?公
務にも、いろいろあって国事行為、公的行為、私的行為など様々ある。いつも
私たちが見る天皇の御姿といえば、メディアに向かってにこやかに手を振って
いたり、悠仁さまと一緒に鹿に餌をやったり…と、なんともほほえましいが、
それと同時に「はあ…楽そうでいいな、ニコニコ手を振ってればいいだけなん
だもんなぁ。」と思っている人も中にはいるのではないかと思う。
	
  それは事実、全くの間違いである。天皇の公務は全く楽ではない。宮内庁の
HP の「天皇皇后両陛下のご日程」を見ると今年の元日から暇な日はほとんど
ない。しかも海外への外遊もこなされている。むしろ普通の国民で 80 歳のイ
メージとすれば、「ご隠居して、年金でうはうは暮らしているイメージ」が普
通であり、天皇のように「海外を飛び回り、日本全土、被災地を訪問し、和歌
をたしなみ、お茶会をし、国民のために自分の体を犠牲にしてまでも働く現
実」はどう考えても普通でないのである。
	
  そんな天皇から突如として飛び出した「生前退位」。いや、突如と思ってい
るのは、私たちだけなのかもしれない。今回調べてみて、この医学の発展した
現代を生きる今上天皇にとって、ご崩御なされなければ皇位を継承できないと
いう現状はどうにかして変えたい現状なのであると改めて理解した。
	
  日本国民統合の象徴である天皇の問題は、私たち日本国民の問題でもある。
今一度みなさんと一緒にその天皇の在り方、また皇室に関する法の在り方につ
いて見直したいと思い、今回このテーマを選ばせてもらった。いくら我々の象
徴といえ、普段身をもって天皇と関わっていると感じることは少ないと思う
が、これを機会に少しでも興味を持っていただければ幸いである。
3
生前退位と公務負担の軽減	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
 
生前退位とは?
天皇陛下が存命中に皇位を退き、後継者に譲位すること。
現行制度では生前退位は認められていない。
なぜ天皇はそもそも生前退位をしたいのか
天皇が生前退位をしたい理由は天皇が御自らお話になっている。
→http://www3.nhk.or.jp/news/special/japans-emperor/
…(前略)…
即位以来、私は国事行為を行うと共に、日本国憲法下で象徴と位置づけられた天
皇の望ましい在り方を、日々模索しつつ過ごして来ました。…(中略)…そのよ
うな中、何年か前のことになりますが、2度の外科手術を受け、加えて高齢によ
る体力の低下を覚えるようになった頃から、…(中略)…これまでのように、全
身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと
案じています。
4
→もう天皇の御年では激務をこなすには限界がある。
なぜ生前退位は認められていないのか
現行の皇室典範では、天皇の生前退位に関する規定はないから。	
 
皇室典範第四条には「天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する」とあり、
天皇の逝去に伴って皇位の継承が行われると規定されている。皇嗣とは天皇の
後継ぎのことで、皇位継承順位第 1 位は皇太子さまである。	
 
国民の象徴として位置づけられる天皇は、生前退位が想定されていなかった
とみられる。
	
  したがって、生前退位を可能にする方法としては、皇室典範の改正か今の天皇
陛下に限っての特別措置法の整備が挙げられる。
	
 
公務の負担軽減の方法
生前退位のほかに、天皇の公務の負担を軽減する方法として、下記の方法も挙
げられる。
対象 条件
摂政
(憲法第 4 条第 2 項)
皇太子又は皇太孫、親王及び
王、皇后、皇太后、太皇太后、
内親王及び女王の順で、成年に
達した皇族
①   天皇が成年に達しないとき
②   天皇が精神・身体の重患か重大な事故により国事行為
をできないとき
天皇の意思能力に関わりある事態が起きた場合
※皇室会議の議による
国事行為の臨時代行
(憲法第 5 条)
摂政となる順位にあたる皇族 精神もしくは身体の疾患又は事故があるとき
一時的な故障で、天皇の意思がはっきりしている場合
※内閣の助言と承認による
現行制度では今の天皇陛下は条件にあてはまらないため、摂政を置いたり、国
事行為の委任をしたりして公務の負担を軽減することはできない。
さらには…
上記の「象徴としてのお勤めについての天皇陛下お言葉」の中でも
…(前略)…
天皇の高齢化に伴う対処の仕方が、国事行為や、その象徴としての行為を限りな
5
く縮小していくことには、無理があろうと思われます。また、天皇が未成年であ
ったり、重病などによりその機能を果たし得なくなった場合には、天皇の行為を
代行する摂政を置くことも考えられます。しかし、この場合も、天皇が十分にそ
の立場に求められる務めを果たせぬまま、生涯の終わりに至るまで天皇であり
続けることに変わりはありません。
→天皇としての責務が中途半端になるくらいなら、退位したいということなの
だ
皇室に関する制度	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
 
	
 
(出典:内閣府	
  第1回天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議議事次第)
6
皇位継承	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
 
日本国憲法
	
  第 2 条	
  皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めると
ころにより、これを継承する。
皇室典範第一章	
  皇位継承
第 1 条	
 	
  皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。	
 	
 
第 2 条	
 	
  	
 
第 1 項	
  	
 皇位は、左の順序により、皇族に、これを伝える。	
 	
 
1 皇長子
2 皇長孫
3 その他の皇長子の子孫
4 皇次子及びその子孫
5 その他の皇子孫
6 皇兄弟及びその子孫
7 皇伯叔父及びその子孫	
 	
 
第 2 項	
  前項各号の皇族がないときは、皇位は、それ以上で、最近親の系統
の皇族に、これを伝える。	
 	
 
	
 第 3 項	
  前二項の場合においては、長系を先にし、同等内では長を先にす
る。	
 
つまり	
 
	
 第 2 項=	
  直系優先(天皇からその子への継承を優先)、長系優先(兄弟で
は年長者を優先)、近親優先(天皇から血縁が近いものを優先)とな
り、皇位継承順序を定める。	
 
	
 第 3 項=	
  天皇の長男が継承順序第 1 位になる。	
 
	
 
第 3 条	
 	
  皇嗣に、精神若しくは身体の不治の重患があり、又は重大な事故
があるときは、皇室会議の議により、前条に定める順序に従っ
て、皇位継承の順序を変えることができる。	
 	
 
第 4 条	
 	
  天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する。	
 	
 
以上よりまとめると、
皇位は世襲により継承し、皇統に属する男系の男子で、現に皇族であるものに皇
位継承資格を限定する。
7
皇族
皇室典範第 2 章	
  皇族
	
  第 5 条	
  皇后、太皇太后、皇太后、親王、親王妃、内親王、王、王妃及び女王
を皇族とする。
成年
皇室典範第 4 章	
  成年、敬称、即位の礼、大喪の礼、皇統譜及び陵墓
	
  第 22 条	
  天皇、皇太子及び皇太孫の成年は、18 年とする。
	
  	
  ※その他の皇族は 20 年(民法第 4 条より)。
天皇の行為	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
 
天皇の行為には、①憲法に定める「国事行為」、②象徴としての地位に基づく公
的な立場で行われる「公的行為」、③「その他の行為」に分類。
①   国事行為
日本国憲法
第 3 条 	
  天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要と
し、内閣が、その責任を負う。
第 4 条
第 1 項	
  	
  天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行い、国政に関
する権能を有しない。
第 2 項	
  	
  天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任
することができる。
第 6 条	
  	
  天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。
第 2 項 天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命す
る。
第 7 条	
  天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行
為を行う。
1	
  憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
2	
  国会を召集すること。
3	
  衆議院を解散すること。
4	
  国会議員の総選挙の施行を公示すること。
5	
  国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使
及び公使の信任状を認証すること。
6	
  大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
7	
  栄典を授与すること。
8	
  批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
9	
  外国の大使及び公使を接受すること。
8
10 儀式を行うこと。
②   公的行為
憲法上明文の根拠はないが、象徴たる地位にある天皇の行為ということで
当然に認められる。内閣としても、これが憲法の趣旨に沿って行われるとい
うように配慮することがその責任であると考える。
	
  公的行為の限界
①   国政に関する権能がこの行為に含まれてはいけない。つまり、政治的な意
味を持つものや政治的な響きを持つものがそこに含まれてはならないと
いうこと。
②   あくまでその天皇の行為について内閣が責任を取るという行為でなけれ
ばならない。
象徴天皇としての性格から言って、それに反するものであってはならない。
③   その他の行為
純粋に私的なものと、公的性格ないし公的色彩があるものとに区分される。
9
摂政	
  	
  	
  	
  	
 
日本国憲法
	
  第 5 条	
  皇室典範の定めるところにより、摂政を置くときは、摂政は、天皇の
名でその国事に関する行為を行う。この場合には、前条第 1 項の規
定を準用する。
	
  	
  	
  	
  第 4 条第 1 項	
  天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを	
  行
い、国政に関する権能を有しない。
皇室典範第 3 章	
  摂政
第 16 条	
  天皇が成年に達しないときは、摂政を置く。また、天皇が、精神・身
体の重患か重大な事故により、国事行為をみずからすることができ
ないときは、皇室会議の議により、摂政を置く。
第 17 条	
  摂政は、左の順序により、成年に達した皇族が、これに就任する。
1 	
  皇太子又は皇太孫
2 	
  親王及び王
3 	
  皇后
4 	
  皇太后
5 	
  太皇太后
6 	
  内親王及び女王
国事行為の臨時代行	
  	
  	
  	
 
憲法
第 4 条第 2 項
天皇は、法律の定めるところにより、その国事行為を委任することができる。
国事行為の臨時代行に関する法律
第 2 条
天皇は、精神・身体の疾患か事故があるときは、摂政を置くべき場合を除き、
内閣の助言と承認により、国事に関する行為を皇室典範第 17 条の規定により
摂政となる順位にあたる皇族に委任して臨時に代行させることができる。
10
(参考)憲法に規定する国事行為の「委任」と「摂政」の関係
代理制度として、憲法上「委任」(第 4 条第 2 項)と「摂政」(第 5 条)が存在
皇室会議	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
 
皇室典範第 5 条	
  皇室会議
第 28 条	
  皇室会議は、議員十人でこれを組織する。
第 29 条	
  内閣総理大臣たる議員は、皇室会議の議長となる。
第 30 条 	
  皇室会議に、予備議員十人を置く。
	
  [構成]
11
[審議事項]
・皇位継承の順序変更(皇室典範第 3 条)
・立后と皇族男子のご婚姻(皇室典範第 10 条)
・皇族の身分の離脱(皇室典範第 11 条・第 3 条・第 14 条)
・摂政の設置・廃止(皇室典範第 16 条・第 20 条)
・摂政の順序の変更(皇室典範第 18 条)
	
  [議事]
	
  	
  	
  第 35 条
	
  皇室会議の議事は、第 3 条、第 16 条第 2 項、第 18 条及び第 20 条
の場合には、出席した議員の 3 分の 2 以上の多数でこれを決し、その
他の場合には、過半数でこれを決する。
皇室経済制度	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
 
Ⅰ.制度の基本
日本国憲法
第 88 条	
  全て皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して
国会の議決を経なければならない。
皇室経済法
第 3 条	
  皇室の費用は、内廷費、宮廷費及び皇族費として、予算に計上する。
Ⅱ.皇室の費用
1.   内廷費	
 
天皇及び内廷にある皇族の日常の費用その他内廷諸費に充てる(皇室済
法第 4 条第 1 項)。
2.   皇族費
内廷にある皇族以外の各皇族に対し、皇族としての品位保持の資に充て
るため、年額により支出する(皇室経済法第 6 条第 1 項)。
12
3.   宮廷費
宮廷費は、内廷費以外の宮廷諸費に充てる(皇室経済法第 5 条)。
	
  	
 
MEMO
13
贈与税
生前退位をすることによる影響	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
 
http://www.jprime.jp/articles/-/7802
天皇が生前退位をすることによって、どのような影響が考えられるのでしょう
か?個別に見ていきましょう。
天皇誕生日はどうなる?
天皇誕生日に関しては現行の誕生日から今の皇太子の誕生日である 2 月 23 日に
変更になる。しかし、昭和天皇の誕生日も祝日として残されているため、なんら
かの形で今の天皇の誕生日も残るであろうとされている。
他の法律への影響は?
上記で示したような、法律が改正されるのは免れませんが、他にも相続税法が改
正される必要があります。
今まで天皇の皇位と共に受け継がれてきた、三種の神器は相続税の非課税財産
の対象にはなっていません。しかし、今回、もし生前退位をすれば天皇から皇太
子へこの三種の神器などが「贈与」されるわけですから、「贈与税」がかかって
くることになるのです。よって、三種の神器を「贈与税」の非課税財産に定めな
ければならないのです。
14
今の天皇を含め、皇族の方々の住まいはどうなるの?
そもそも今皇族の方々はそれぞれどこに住んでいらっしゃるのかというところ
から整理します。
天皇は皇居の御所というところに今はお住まいです。	
  	
  	
 
秋篠宮、皇太子、その他の皇族の方々は赤坂御用地にお住まいです。
皇太子は東宮御所に、秋篠宮、三笠宮、高円宮はそれぞれ邸宅があり、そこにお
住まいです。
もし生前退位をするとなると…一番実現可能性が高い方法が、
天皇→そのまま御所にお住まいになる
皇太子→皇居、吹上地区にある、昭和天皇、香淳皇后がお住まいになっていた吹
上大宮御所をリフォームして、そこに移り住まれる
秋篠宮→今皇太子がお住まいになっている、東宮御所に移り住まれる
吹上大宮御所
15
ここでちょこっと脱線
そもそも皇室典範で、皇太子は天皇の直系の息子でなければなることはできま
せん。そして、東宮御所は皇太子の方しか住むことができません。しかし秋篠宮
は、今の皇太子の息子ではないので新たに「皇太弟」という地位を作り、皇太子
のお世話係である東宮職の見直しも進めるようです。
新年祝賀や歌始会にはでられるのか?
天皇ではなく上皇という立場になった時、新年の祝賀の儀式は変わらずに出席
なさるようです。前例として、大正の貞明皇太后も出席なさってたそうです。
公務の引き継ぎはどうなるの?
公務の引き継ぎは住まいの移動に似ています。
天皇→上皇になられるので、公務は控えられる
皇太子→雅子妃と共に、今まで天皇皇后両陛下が行っていた公務を全て引き継
ぐ
秋篠宮→皇太子が行っていた公務を引き継ぐ
秋篠宮が行っていた公務は…眞子さま、佳子さま、悠仁さまに引き継がれる
天皇象徴制は揺らぐ?
上皇となり、公務は控えられるものの上皇として存在し続けられるため、天皇と
上皇、という二つの国民統合の象徴が存在することになります。国民的に混乱す
ることは避けられない。
MEMO
16
discussion 1
あなたは天皇の生前退位について賛成ですか、
反対ですか?
ちなみに
有識者会議のヒアリングにおいて、生前退位に肯定的な人は 16 人中 9 人、否
定的な人は 7 人となった。
肯定的な人の意見
天皇の崩御継承あるいは終身在位というのは残酷な制度だ。高齢譲位の選択肢
は設けるべきだ。譲位により上皇や院政の弊害が生じるとか、恣意的、強制的
な退位があり得るといった心配は考えにくい。国民主権下でのコンパクトな象
徴天皇制が定着し、高度な情報化社会が進んだ現代では考えにくい。
(岩井克己	
  ジャーナリスト)
否定的な人の意見
退位を排除する理由は主として、自発退位や強制退位など、退位には政治利用
の可能性があり、国民を対立・抗争の関係にする、自由意思による退位を認め
ると同じく自由意思によって次代の即位拒否、短期間での退位を認めなければ
ならなくなり、皇位の安定性を揺るがし、皇室制度の存立を脅かすということ
である。退位後の前天皇と新天皇の両立となり、国民統合の象徴が二元的にな
る可能性がある。国民の支持・敬愛の対象が分裂・対立する可能性も生ずる。
(八木秀次	
  麗澤大学教授)
MEMO
17
政策提案①	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
 
	
 
	
 
	
 
	
  	
 
	
 
	
 
	
 
	
 
	
 
	
 
	
 
	
 
	
 
	
 
	
 
特措法で一時的に天皇の生前退位を認め、これ
をのちに皇室典範を改正する際の試験的な試
みとする。
以下のように特措法を取り決める
・上皇→私的行為⭕逆に国事行為、公的行為❌
(皇室典範)
・上皇→今のまま御所に/新天皇→吹上大宮御所に/	
 
秋篠宮→現東宮御所に	
 
(皇室典範)	
 
	
 
・上皇/新天皇/秋篠宮→内廷費から予算を捻出	
 
(皇室経済法)	
 
	
 
・三種の神器等に関しては、「贈与税」も非課税に	
 
	
 
・皇位継承の順位で、「皇太子」の下に「皇太弟」をつくり、お世話
係は東宮職の担当とする。また「皇太子」「皇太弟」が同時に存在す
ることはあり得ない。	
 
	
 
・上記に関する他の法律(皇室典範、皇室経済法等)はこの法が施行
されている間は無効とする。
18
	
 
政策提案のメリット、デメリット	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
 
メリット	
 
・必ずいつかは向き合い整備をしなければならない問題である、生前退位につ
いての試験的な法の運用ができる。	
 
・国民の生活に支障がでるような法規則は全く変えずに、天皇の望む通りの形
で公務からの引退が可能。	
 
・上皇が可能な行為を私的行為に限定し、天皇があくまでも公務をこなすとい
う役割分担を明確に分けることによって、国民統合の象徴の二分化を防ぐ。	
 
	
 
デメリット	
 
・変わる部分が多すぎて、宮内庁が混乱しかねない。	
 
	
 
・法改正の手順が煩雑。	
 
	
 
POINT:なぜ特例法にしなかったか
政府は特例法を作り、皇室典範や皇室経済法を変更するだけにとどめようとし
ている。しかし、それでは現状規定が全くない上皇に関しての法規定が何も決め
られないため、特措法という形で今回は提案させていただいた。
MEMO
19
政策提案② 	
 
国事行為の臨時代行に関する法律を改正し、
臨時代行を可能にする。
国事行為の臨時代行に関する法律第 2 条
天皇は、精神・身体の疾患か事故があるときは、摂政を置くべき場合を除き、内
閣の助言と承認により、国事行為を皇室典範の規定により摂政となる順位にあ
たる皇族に委任して臨時に代行させることができる。
下線部を改正する。
・「精神・身体の疾患か事故があるときは」
→「精神・身体の疾患か事故があるとき、および天皇自身の意向に基くときは」
改正国事行為の臨時代行に関する法律第 2 条
天皇は、精神・身体の疾患か事故があるとき及び、天皇自身の意向に基くときは、
摂政を置くべき場合を除き、内閣の助言と承認により、国事行為を皇室典範の規
定により摂政となる順位にあたる皇族に委任して代行させることができる。
この改正により、天皇に公務の負担軽減の意向があるときも適用されるよう
にする。
また、
憲法第 4 条第 2 項
「天皇は、法律の定めるところにより、その国事行為を委任することができる」
より今の天皇陛下には意思能力があるため、国事行為として天皇が「臨時代行」
に国事行為を委任できる。
さらに、
皇室典範第 17 条
「摂政は、次の順序により、成年に達した皇族が就任する。1.皇太子(皇太孫)、
20
2.親王・王、3.皇后…」
より摂政となる順位にあたる皇族、つまり皇太子を「臨時代行」とする。
そして、
第 4 条第 1 項
「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行い、国政に関する権能を
有しない。」
を「臨時代行」にも準用する。
まとめると、
天皇に公務の負担軽減の意向があるときも、天皇が国事行為として「臨時代行」
に国事行為を委任できる。「臨時代行」は摂政となる順位にあたる皇族第 1 位の
皇太子に委任。「臨時代行は」憲法に定める国事に関する行為のみを行い、国政
に関する権能は持たない。
政策提案のメリット、デメリット	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
  	
 
メリット	
 
・天皇の公務の負担軽減をできる。
・特例法として法改正するので、宮内庁、その他各省庁の混乱を最小限に抑える
ことができる。
デメリット	
 
・天皇の政治介入になる可能性がある。
→天皇の意向で法改正をすることになるため。
・天皇の形式化をまねき、「象徴」としての役割を果たせないために、国民統合
の象徴が二分化するのではないかという懸念。
例:被災地訪問や戦跡慰霊など
21
discussion 2
あなたは政策提案 1,2 のどちらに賛成ですか、
反対ですか?理由も明確に話し合ってくださ
い。
22
参考文献
第 1 回	
  天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議	
  配付資料
(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/koumu_keigen/dai1/gijisidai.html)
	
  資料 3	
  皇室制度関係資料
	
  	
  ・皇室関係法令の全体像
	
  	
  ・皇室典範の概要
	
  	
  ・皇室経済制度等の概要
	
  	
  ・憲法における天皇に関する主な国会答弁等
	
  参考資料 1 皇室典範の概要
	
  参考資料 2 皇族制度の概要
	
  参考資料 3 皇室経済制度
	
  参考資料 4 憲法における天皇に関する主な国会答弁等
毎日新聞	
  2016 年 11 月 21 日東京朝刊	
  社説
NHK NEWS WEB 特設	
  天皇	
  象徴としてのお勤めについての天皇陛下お言
葉
http://www3.nhk.or.jp/news/special/japans-emperor/
日本経済新聞	
  「生前退位」特例法軸に	
  有識者会議設置、通常国会提出も視野
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS23H4R_T20C16A9EA2000/
国事行為の臨時代行に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S39/S39HO083.html
宮内庁 HP 摂政
http://www.kunaicho.go.jp/about/seido/seido04.html
同上	
  皇室会議
http://www.kunaicho.go.jp/about/seido/seido07.html
憲法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S21/S21KE000.html
皇室典範
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO003.html
皇室経済法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO004.html
週刊女性 PRIME 天皇陛下「生前退位」の影響はどこまでわれわれの生活に影
響するのか〜Q&A 第 2 弾〜
http://www.jprime.jp/articles/-/7802?page=2

政策提案 皇室:生前退位について 

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    河野ゼミ 2016年 12 月 9 日 政策提案 皇室:生前退位について 3 年 宮原七奈子 2 年 白木花恵
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    1 目次 ・はじめに…2 ・生前退位と公務負担の軽減…3 ・皇室に関する法律…5 ・生前退位をすることによる影響…13 discussion 1 あなたは天皇の生前退位について 賛成ですか、反対ですか…16 ・政策提案1 「特措法を成立させ、生前退位を認めさせる」…17 ・政策提案 1 の利点、欠点…18 ・政策提案 2 「臨時大綱を改正、摂政に権限を与え公務を可能に」…19 ・政策提案 2 の利点、欠点…20 discussion 2 あなたは政策提案 1,2 のどちらに賛成ですか、 反対ですか?理由も明確に話し合ってください…21 ・参考文献…22
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    2 はじめに (文字数の関係により、基本的にさま、陛下は省略している) みなさんは天皇が日常どのような公務をやっているかをご存知だろうか?公 務にも、いろいろあって国事行為、公的行為、私的行為など様々ある。いつも 私たちが見る天皇の御姿といえば、メディアに向かってにこやかに手を振って いたり、悠仁さまと一緒に鹿に餌をやったり…と、なんともほほえましいが、 それと同時に「はあ…楽そうでいいな、ニコニコ手を振ってればいいだけなん だもんなぁ。」と思っている人も中にはいるのではないかと思う。 それは事実、全くの間違いである。天皇の公務は全く楽ではない。宮内庁の HP の「天皇皇后両陛下のご日程」を見ると今年の元日から暇な日はほとんど ない。しかも海外への外遊もこなされている。むしろ普通の国民で 80 歳のイ メージとすれば、「ご隠居して、年金でうはうは暮らしているイメージ」が普 通であり、天皇のように「海外を飛び回り、日本全土、被災地を訪問し、和歌 をたしなみ、お茶会をし、国民のために自分の体を犠牲にしてまでも働く現 実」はどう考えても普通でないのである。 そんな天皇から突如として飛び出した「生前退位」。いや、突如と思ってい るのは、私たちだけなのかもしれない。今回調べてみて、この医学の発展した 現代を生きる今上天皇にとって、ご崩御なされなければ皇位を継承できないと いう現状はどうにかして変えたい現状なのであると改めて理解した。 日本国民統合の象徴である天皇の問題は、私たち日本国民の問題でもある。 今一度みなさんと一緒にその天皇の在り方、また皇室に関する法の在り方につ いて見直したいと思い、今回このテーマを選ばせてもらった。いくら我々の象 徴といえ、普段身をもって天皇と関わっていると感じることは少ないと思う が、これを機会に少しでも興味を持っていただければ幸いである。
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    3 生前退位と公務負担の軽減 生前退位とは? 天皇陛下が存命中に皇位を退き、後継者に譲位すること。 現行制度では生前退位は認められていない。 なぜ天皇はそもそも生前退位をしたいのか 天皇が生前退位をしたい理由は天皇が御自らお話になっている。 →http://www3.nhk.or.jp/news/special/japans-emperor/ …(前略)… 即位以来、私は国事行為を行うと共に、日本国憲法下で象徴と位置づけられた天 皇の望ましい在り方を、日々模索しつつ過ごして来ました。…(中略)…そのよ うな中、何年か前のことになりますが、2度の外科手術を受け、加えて高齢によ る体力の低下を覚えるようになった頃から、…(中略)…これまでのように、全 身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと 案じています。
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    4 →もう天皇の御年では激務をこなすには限界がある。 なぜ生前退位は認められていないのか 現行の皇室典範では、天皇の生前退位に関する規定はないから。 皇室典範第四条には「天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する」とあり、 天皇の逝去に伴って皇位の継承が行われると規定されている。皇嗣とは天皇の 後継ぎのことで、皇位継承順位第 1位は皇太子さまである。 国民の象徴として位置づけられる天皇は、生前退位が想定されていなかった とみられる。 したがって、生前退位を可能にする方法としては、皇室典範の改正か今の天皇 陛下に限っての特別措置法の整備が挙げられる。 公務の負担軽減の方法 生前退位のほかに、天皇の公務の負担を軽減する方法として、下記の方法も挙 げられる。 対象 条件 摂政 (憲法第 4 条第 2 項) 皇太子又は皇太孫、親王及び 王、皇后、皇太后、太皇太后、 内親王及び女王の順で、成年に 達した皇族 ①   天皇が成年に達しないとき ②   天皇が精神・身体の重患か重大な事故により国事行為 をできないとき 天皇の意思能力に関わりある事態が起きた場合 ※皇室会議の議による 国事行為の臨時代行 (憲法第 5 条) 摂政となる順位にあたる皇族 精神もしくは身体の疾患又は事故があるとき 一時的な故障で、天皇の意思がはっきりしている場合 ※内閣の助言と承認による 現行制度では今の天皇陛下は条件にあてはまらないため、摂政を置いたり、国 事行為の委任をしたりして公務の負担を軽減することはできない。 さらには… 上記の「象徴としてのお勤めについての天皇陛下お言葉」の中でも …(前略)… 天皇の高齢化に伴う対処の仕方が、国事行為や、その象徴としての行為を限りな
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    6 皇位継承 日本国憲法 第 2 条 皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めると ころにより、これを継承する。 皇室典範第一章 皇位継承 第 1 条 皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。 第 2 条 第 1 項 皇位は、左の順序により、皇族に、これを伝える。 1 皇長子 2 皇長孫 3 その他の皇長子の子孫 4 皇次子及びその子孫 5 その他の皇子孫 6 皇兄弟及びその子孫 7 皇伯叔父及びその子孫 第 2 項 前項各号の皇族がないときは、皇位は、それ以上で、最近親の系統 の皇族に、これを伝える。 第 3 項 前二項の場合においては、長系を先にし、同等内では長を先にす る。 つまり 第 2 項= 直系優先(天皇からその子への継承を優先)、長系優先(兄弟で は年長者を優先)、近親優先(天皇から血縁が近いものを優先)とな り、皇位継承順序を定める。 第 3 項= 天皇の長男が継承順序第 1 位になる。 第 3 条 皇嗣に、精神若しくは身体の不治の重患があり、又は重大な事故 があるときは、皇室会議の議により、前条に定める順序に従っ て、皇位継承の順序を変えることができる。 第 4 条 天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する。 以上よりまとめると、 皇位は世襲により継承し、皇統に属する男系の男子で、現に皇族であるものに皇 位継承資格を限定する。
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    7 皇族 皇室典範第 2 章 皇族 第 5 条 皇后、太皇太后、皇太后、親王、親王妃、内親王、王、王妃及び女王 を皇族とする。 成年 皇室典範第 4 章 成年、敬称、即位の礼、大喪の礼、皇統譜及び陵墓 第 22 条 天皇、皇太子及び皇太孫の成年は、18 年とする。 ※その他の皇族は 20 年(民法第 4 条より)。 天皇の行為 天皇の行為には、①憲法に定める「国事行為」、②象徴としての地位に基づく公 的な立場で行われる「公的行為」、③「その他の行為」に分類。 ①   国事行為 日本国憲法 第 3 条 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要と し、内閣が、その責任を負う。 第 4 条 第 1 項 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行い、国政に関 する権能を有しない。 第 2 項 天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任 することができる。 第 6 条 天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。 第 2 項 天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命す る。 第 7 条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行 為を行う。 1 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。 2 国会を召集すること。 3 衆議院を解散すること。 4 国会議員の総選挙の施行を公示すること。 5 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使 及び公使の信任状を認証すること。 6 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。 7 栄典を授与すること。 8 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。 9 外国の大使及び公使を接受すること。
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    8 10 儀式を行うこと。 ②  公的行為 憲法上明文の根拠はないが、象徴たる地位にある天皇の行為ということで 当然に認められる。内閣としても、これが憲法の趣旨に沿って行われるとい うように配慮することがその責任であると考える。 公的行為の限界 ①   国政に関する権能がこの行為に含まれてはいけない。つまり、政治的な意 味を持つものや政治的な響きを持つものがそこに含まれてはならないと いうこと。 ②   あくまでその天皇の行為について内閣が責任を取るという行為でなけれ ばならない。 象徴天皇としての性格から言って、それに反するものであってはならない。 ③   その他の行為 純粋に私的なものと、公的性格ないし公的色彩があるものとに区分される。
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    9 摂政 日本国憲法 第 5 条 皇室典範の定めるところにより、摂政を置くときは、摂政は、天皇の 名でその国事に関する行為を行う。この場合には、前条第 1 項の規 定を準用する。 第 4 条第 1 項 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを 行 い、国政に関する権能を有しない。 皇室典範第 3 章 摂政 第 16 条 天皇が成年に達しないときは、摂政を置く。また、天皇が、精神・身 体の重患か重大な事故により、国事行為をみずからすることができ ないときは、皇室会議の議により、摂政を置く。 第 17 条 摂政は、左の順序により、成年に達した皇族が、これに就任する。 1 皇太子又は皇太孫 2 親王及び王 3 皇后 4 皇太后 5 太皇太后 6 内親王及び女王 国事行為の臨時代行 憲法 第 4 条第 2 項 天皇は、法律の定めるところにより、その国事行為を委任することができる。 国事行為の臨時代行に関する法律 第 2 条 天皇は、精神・身体の疾患か事故があるときは、摂政を置くべき場合を除き、 内閣の助言と承認により、国事に関する行為を皇室典範第 17 条の規定により 摂政となる順位にあたる皇族に委任して臨時に代行させることができる。
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    10 (参考)憲法に規定する国事行為の「委任」と「摂政」の関係 代理制度として、憲法上「委任」(第 4 条第2 項)と「摂政」(第 5 条)が存在 皇室会議 皇室典範第 5 条 皇室会議 第 28 条 皇室会議は、議員十人でこれを組織する。 第 29 条 内閣総理大臣たる議員は、皇室会議の議長となる。 第 30 条 皇室会議に、予備議員十人を置く。 [構成]
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    11 [審議事項] ・皇位継承の順序変更(皇室典範第 3 条) ・立后と皇族男子のご婚姻(皇室典範第10 条) ・皇族の身分の離脱(皇室典範第 11 条・第 3 条・第 14 条) ・摂政の設置・廃止(皇室典範第 16 条・第 20 条) ・摂政の順序の変更(皇室典範第 18 条) [議事] 第 35 条 皇室会議の議事は、第 3 条、第 16 条第 2 項、第 18 条及び第 20 条 の場合には、出席した議員の 3 分の 2 以上の多数でこれを決し、その 他の場合には、過半数でこれを決する。 皇室経済制度 Ⅰ.制度の基本 日本国憲法 第 88 条 全て皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して 国会の議決を経なければならない。 皇室経済法 第 3 条 皇室の費用は、内廷費、宮廷費及び皇族費として、予算に計上する。 Ⅱ.皇室の費用 1.   内廷費 天皇及び内廷にある皇族の日常の費用その他内廷諸費に充てる(皇室済 法第 4 条第 1 項)。 2.   皇族費 内廷にある皇族以外の各皇族に対し、皇族としての品位保持の資に充て るため、年額により支出する(皇室経済法第 6 条第 1 項)。
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    13 贈与税 生前退位をすることによる影響 http://www.jprime.jp/articles/-/7802 天皇が生前退位をすることによって、どのような影響が考えられるのでしょう か?個別に見ていきましょう。 天皇誕生日はどうなる? 天皇誕生日に関しては現行の誕生日から今の皇太子の誕生日である 2 月 23 日に 変更になる。しかし、昭和天皇の誕生日も祝日として残されているため、なんら かの形で今の天皇の誕生日も残るであろうとされている。 他の法律への影響は? 上記で示したような、法律が改正されるのは免れませんが、他にも相続税法が改 正される必要があります。 今まで天皇の皇位と共に受け継がれてきた、三種の神器は相続税の非課税財産 の対象にはなっていません。しかし、今回、もし生前退位をすれば天皇から皇太 子へこの三種の神器などが「贈与」されるわけですから、「贈与税」がかかって くることになるのです。よって、三種の神器を「贈与税」の非課税財産に定めな ければならないのです。
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    14 今の天皇を含め、皇族の方々の住まいはどうなるの? そもそも今皇族の方々はそれぞれどこに住んでいらっしゃるのかというところ から整理します。 天皇は皇居の御所というところに今はお住まいです。 秋篠宮、皇太子、その他の皇族の方々は赤坂御用地にお住まいです。 皇太子は東宮御所に、秋篠宮、三笠宮、高円宮はそれぞれ邸宅があり、そこにお 住まいです。 もし生前退位をするとなると…一番実現可能性が高い方法が、 天皇→そのまま御所にお住まいになる 皇太子→皇居、吹上地区にある、昭和天皇、香淳皇后がお住まいになっていた吹 上大宮御所をリフォームして、そこに移り住まれる 秋篠宮→今皇太子がお住まいになっている、東宮御所に移り住まれる 吹上大宮御所
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    15 ここでちょこっと脱線 そもそも皇室典範で、皇太子は天皇の直系の息子でなければなることはできま せん。そして、東宮御所は皇太子の方しか住むことができません。しかし秋篠宮 は、今の皇太子の息子ではないので新たに「皇太弟」という地位を作り、皇太子 のお世話係である東宮職の見直しも進めるようです。 新年祝賀や歌始会にはでられるのか? 天皇ではなく上皇という立場になった時、新年の祝賀の儀式は変わらずに出席 なさるようです。前例として、大正の貞明皇太后も出席なさってたそうです。 公務の引き継ぎはどうなるの? 公務の引き継ぎは住まいの移動に似ています。 天皇→上皇になられるので、公務は控えられる 皇太子→雅子妃と共に、今まで天皇皇后両陛下が行っていた公務を全て引き継 ぐ 秋篠宮→皇太子が行っていた公務を引き継ぐ 秋篠宮が行っていた公務は…眞子さま、佳子さま、悠仁さまに引き継がれる 天皇象徴制は揺らぐ? 上皇となり、公務は控えられるものの上皇として存在し続けられるため、天皇と 上皇、という二つの国民統合の象徴が存在することになります。国民的に混乱す ることは避けられない。 MEMO
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    16 discussion 1 あなたは天皇の生前退位について賛成ですか、 反対ですか? ちなみに 有識者会議のヒアリングにおいて、生前退位に肯定的な人は 16人中 9 人、否 定的な人は 7 人となった。 肯定的な人の意見 天皇の崩御継承あるいは終身在位というのは残酷な制度だ。高齢譲位の選択肢 は設けるべきだ。譲位により上皇や院政の弊害が生じるとか、恣意的、強制的 な退位があり得るといった心配は考えにくい。国民主権下でのコンパクトな象 徴天皇制が定着し、高度な情報化社会が進んだ現代では考えにくい。 (岩井克己 ジャーナリスト) 否定的な人の意見 退位を排除する理由は主として、自発退位や強制退位など、退位には政治利用 の可能性があり、国民を対立・抗争の関係にする、自由意思による退位を認め ると同じく自由意思によって次代の即位拒否、短期間での退位を認めなければ ならなくなり、皇位の安定性を揺るがし、皇室制度の存立を脅かすということ である。退位後の前天皇と新天皇の両立となり、国民統合の象徴が二元的にな る可能性がある。国民の支持・敬愛の対象が分裂・対立する可能性も生ずる。 (八木秀次 麗澤大学教授) MEMO
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    17 政策提案① 特措法で一時的に天皇の生前退位を認め、これ をのちに皇室典範を改正する際の試験的な試 みとする。 以下のように特措法を取り決める ・上皇→私的行為⭕逆に国事行為、公的行為❌ (皇室典範) ・上皇→今のまま御所に/新天皇→吹上大宮御所に/ 秋篠宮→現東宮御所に (皇室典範) ・上皇/新天皇/秋篠宮→内廷費から予算を捻出 (皇室経済法) ・三種の神器等に関しては、「贈与税」も非課税に ・皇位継承の順位で、「皇太子」の下に「皇太弟」をつくり、お世話 係は東宮職の担当とする。また「皇太子」「皇太弟」が同時に存在す ることはあり得ない。 ・上記に関する他の法律(皇室典範、皇室経済法等)はこの法が施行 されている間は無効とする。
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    18 政策提案のメリット、デメリット メリット ・必ずいつかは向き合い整備をしなければならない問題である、生前退位につ いての試験的な法の運用ができる。 ・国民の生活に支障がでるような法規則は全く変えずに、天皇の望む通りの形 で公務からの引退が可能。 ・上皇が可能な行為を私的行為に限定し、天皇があくまでも公務をこなすとい う役割分担を明確に分けることによって、国民統合の象徴の二分化を防ぐ。 デメリット ・変わる部分が多すぎて、宮内庁が混乱しかねない。 ・法改正の手順が煩雑。 POINT:なぜ特例法にしなかったか 政府は特例法を作り、皇室典範や皇室経済法を変更するだけにとどめようとし ている。しかし、それでは現状規定が全くない上皇に関しての法規定が何も決め られないため、特措法という形で今回は提案させていただいた。 MEMO
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    19 政策提案② 国事行為の臨時代行に関する法律を改正し、 臨時代行を可能にする。 国事行為の臨時代行に関する法律第2 条 天皇は、精神・身体の疾患か事故があるときは、摂政を置くべき場合を除き、内 閣の助言と承認により、国事行為を皇室典範の規定により摂政となる順位にあ たる皇族に委任して臨時に代行させることができる。 下線部を改正する。 ・「精神・身体の疾患か事故があるときは」 →「精神・身体の疾患か事故があるとき、および天皇自身の意向に基くときは」 改正国事行為の臨時代行に関する法律第 2 条 天皇は、精神・身体の疾患か事故があるとき及び、天皇自身の意向に基くときは、 摂政を置くべき場合を除き、内閣の助言と承認により、国事行為を皇室典範の規 定により摂政となる順位にあたる皇族に委任して代行させることができる。 この改正により、天皇に公務の負担軽減の意向があるときも適用されるよう にする。 また、 憲法第 4 条第 2 項 「天皇は、法律の定めるところにより、その国事行為を委任することができる」 より今の天皇陛下には意思能力があるため、国事行為として天皇が「臨時代行」 に国事行為を委任できる。 さらに、 皇室典範第 17 条 「摂政は、次の順序により、成年に達した皇族が就任する。1.皇太子(皇太孫)、
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    20 2.親王・王、3.皇后…」 より摂政となる順位にあたる皇族、つまり皇太子を「臨時代行」とする。 そして、 第 4 条第1 項 「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行い、国政に関する権能を 有しない。」 を「臨時代行」にも準用する。 まとめると、 天皇に公務の負担軽減の意向があるときも、天皇が国事行為として「臨時代行」 に国事行為を委任できる。「臨時代行」は摂政となる順位にあたる皇族第 1 位の 皇太子に委任。「臨時代行は」憲法に定める国事に関する行為のみを行い、国政 に関する権能は持たない。 政策提案のメリット、デメリット メリット ・天皇の公務の負担軽減をできる。 ・特例法として法改正するので、宮内庁、その他各省庁の混乱を最小限に抑える ことができる。 デメリット ・天皇の政治介入になる可能性がある。 →天皇の意向で法改正をすることになるため。 ・天皇の形式化をまねき、「象徴」としての役割を果たせないために、国民統合 の象徴が二分化するのではないかという懸念。 例:被災地訪問や戦跡慰霊など
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    21 discussion 2 あなたは政策提案 1,2のどちらに賛成ですか、 反対ですか?理由も明確に話し合ってくださ い。
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    22 参考文献 第 1 回 天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議 配付資料 (http://www.kantei.go.jp/jp/singi/koumu_keigen/dai1/gijisidai.html) 資料 3 皇室制度関係資料 ・皇室関係法令の全体像 ・皇室典範の概要 ・皇室経済制度等の概要 ・憲法における天皇に関する主な国会答弁等 参考資料 1 皇室典範の概要 参考資料 2 皇族制度の概要 参考資料 3 皇室経済制度 参考資料 4 憲法における天皇に関する主な国会答弁等 毎日新聞 2016 年 11 月 21 日東京朝刊 社説 NHK NEWS WEB 特設 天皇 象徴としてのお勤めについての天皇陛下お言 葉 http://www3.nhk.or.jp/news/special/japans-emperor/ 日本経済新聞 「生前退位」特例法軸に 有識者会議設置、通常国会提出も視野 http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS23H4R_T20C16A9EA2000/ 国事行為の臨時代行に関する法律 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S39/S39HO083.html 宮内庁 HP 摂政 http://www.kunaicho.go.jp/about/seido/seido04.html 同上 皇室会議 http://www.kunaicho.go.jp/about/seido/seido07.html 憲法 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S21/S21KE000.html 皇室典範 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO003.html 皇室経済法 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO004.html 週刊女性 PRIME 天皇陛下「生前退位」の影響はどこまでわれわれの生活に影 響するのか〜Q&A 第 2 弾〜 http://www.jprime.jp/articles/-/7802?page=2