1. アーバニズムレポートA
A-4
11n1039 梶田 倫正

2. 集合住宅計画
シャルル・フーリエ
「ファランステール」
ジャン・バティスト・アンドレ・ゴダン
「ファミリステール」

3. ファランステール
原動力が自発性である協同体（アソシアシオン）の形式を環境に与える以外
に、どのように環境を適用するのか。フーリエの中でそのようなものとして
正当化されまた示された協同体は、精密な性格を持ちまた一つの名前を持っ
ていた。すなわちファランステールである。フーリエによれば、協同社会は
本質的に「大規模な結合体」でなければならない。彼が古代マケドニア軍の
方陣ファランタスからとってファランジュと名付けた生産と消費・生活全体
にわたる協同体は、1800名を最も適正な規模とし、一人当たり一ヘクタール
の農地を持つ。
ファランステール外観

4. ファランステール完成予定図
フーリエは時代情勢のなか、どのような理念で、どのように
組み立てれば、新たな協同組織（アソシアシオン・ヌー
ボー）が産業革命社会の只中でできあがるのか、そこに着手
していくことにした。すでに具体的な組織は見えていた。改
善点は見えている。けれどもフーリエは、のちにのべる理由
によって、自分の仕事を厳密に組み立てたいと考えていた。
そこで最初に理念を立てることを優先した。
そしてファランステールは計画だけで、実際には設立されな
かった。

5. 住宅計画
ファランジュの住民はファランステー
ルと呼ばれる四階建ての広大な共同宿
舎で生活し、その周辺には農園、作業
所、教会、情念取引所、劇場など配置
されている。ファランステールは兵営
でもなく修道院でもなく、３つの異な
る（鉄道の客室の等級のような）階級
と、食堂においては自由に選べるサー
ビスがあるような、贅沢ではないが一
種の非常に近代的な居住地である。こ
の居住形態は、半ば工業、半ば農業を
行うファランステールの住民たちの株
式により共有された作業場を隣接して
持つ。
フーリエが晩年過ごしたパリ

6. ファミリステール
劣悪な住宅構造を改善しようと1959年、
ゴダンは彼自身が自分の会社、ゴダン社
の工場で働く人々のための工員住宅を計
画した。ユートピア思想を持ったゴダン
は当時、鉄製ストーブや台所用品工場を
経営しており、フーリエに影響を受けて
ファミリステール（ギースの集合住宅）
を建設した。設計には病院や兵舎の機能
面を参考にし、1000人以上の労働者が住
む集合住宅を完成させた。共有の中庭を
配する当時の斬新な設計は、現代の集合
住宅に通じる。
ファミリステール内のゴダン像

7. ファミリステール正面

8. ゴダンが考える住宅問題、あるいはより一般的に建築問題は、
社会的進歩の道標で認識された。彼は貧しい家族を便利な住宅
で生活できるようにし、その住宅を静かで安楽な休息の空間と
すること、ブルジョアジーが家族で受けるサービスを公共サー
ビス制度に変えることなど、これらが物質的か知的幸福から排
除された労働者家族たちのために、そしてすべての人のために
実現されるべきと考えた。
ファミリステール外観図

9. 集合住宅「ファミリステール」の
住宅計画
共同住宅団地は、単に狭い宅地により多くの住宅
を作るためのものではなく、居住という住宅の単
なる機能を超えて、個人と家族の人生を取り巻く
すべての要素を含む統合的な役割を担う。こうし
た住居環境では、居住者たちが共同体的かつ社会
的な生活を営み、コミュニティ形成を促すととも
に、個人の真の尊厳性を与えられる。このように
ゴダンは労働者向けのコミュニティモデルに対す
る再考察を経てファミリステールという統合的住
居団地を計画することになった。

10. 住宅の配置計画
フランス北部のギーズのファミリステール工員住宅は、当時の一般労働者住宅
の待遇改善を願って計画されたものである。川の湾曲部に住宅がそして橋を
渡って反対側には工場が配置されている職住近接が基本で、こちらの住宅計画
も英国の田園都市と同様に、やはり田園に囲まれている。住宅の配置は実にユ
ニークである。地元産のレンガの外壁の素朴な造りに口の字型に配されている。

11. ファミリステールは
4層構造となってい
る。
ファミリステール断面図
外観図

12. 南棟
南棟窓

13. ファミリステール上部

14. 東棟内観
周辺環境
住居棟は上記のものを一単位
とすると合計三つのユニット
が通路で連結されていて、そ
の周りには店舗、図書館、風
呂やプール、家畜小屋、菜園、
託児所、学校そして劇場など
が配された。

15. 東棟内観

16. 東棟内観上部
床の模様

17. 左棟内観

18. 4層建住宅の中庭には半透明のガラス屋
根で覆われており、随筆／思想家・ワ
ルター・ベンヤミンが礼讃したパリ独
特のアーケード「パサージュ」を思わ
せますが、私たち日本人には新宿副都
心にある、NSビルの4階建て版と言え
ばより雰囲気が伝わるかもしれない。
この中庭が住人達の交流に場となり、
パーティーや会食などの懇親行事が開
催された。
川から見た外観

19. この計画の素晴らしさの一端
は、例えば劇場が単なる娯楽
のための劇場としてではなく、
人間の創造性のための劇場、
つまり住民がステージに立つ
ためのものであるということ
にも表れている。その上、例
えば自然換気／空調システム
やダストシュート、工場の廃
熱をプールの熱源として利用
するなど、当時の最先端技術
も取り入れている。

20. ファランステールとファミリステール
◆共通点
住宅問題に対し、労働者の協同住宅の計画
独自の思想の観点から見た住宅設計

21. ◆相違点
フーリエの環境を人間に当てはめるという場の設計・構
成後に労働者を住まわせる考えに対する
ゴダンの労働者のための住宅環境を設計した考え
ゴダンの考えたファミリステールは家族の生活環境をも
考えている点
約1800人と1000人という規模の違い
ファランステールは実現しなかったが、ファランス
テールは実在するという点